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1話

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赤い髪と赤い目、鍛えた身体には数々の傷跡。冒険者としてダンジョンに潜っていた頃は、目立つ外見なので喧嘩を売られることも多かった。売られた喧嘩は全部買ってきた俺も、今年で25歳。知り合いの推薦でこの国の騎士として働けることになったのが3年前。ようやく騎士という仕事にも慣れてきた。
後輩の面倒をみたりしている内に、最近は落ち着いてきて、俺も大人になったな、なんて思う今日この頃。俺、第1警邏隊ジェイク・ラッセルは、御前試合で優勝したことを契機に、第3王子のアルベルト様の護衛として働くことになった。
こうして俺は私室で休む王子の傍らで、少し所在無くしながら立っているわけだ。まだ慣れない。なんか仕事ないの?『これまでの俺』を回想するのもう5回目だよ?王子ずっと本読んでるし、俺ここで立ってるだけなの?ずっと?
「ごめんね?暇じゃない?」
「いえ!滅相も無い!王子の護衛など、これ以上名誉ある仕事はございません!」
「本当?なんか僕が呼んだせいで、暇な思いさせちゃってたら悪いなと思ってて」
「むしろ有り難い限りですよ」
確かに大いに暇だが、これは本音だ。あのまま街の警邏勤務なんかしてても、一生縁が無かった護衛という名誉ある配属。出世欲はあまり無いが、エリートコースとも言われる登竜門。しかも王子の直接指名だ。嬉しいに決まっている。
「そう言ってくれると嬉しいな」
なんて言って爽やかに笑うアルベルト様を見て、俺は違う懸念を思い出して汗を掻く。アルベルト様は現在18歳。しかしその知能は大人どころか学者も顔負けであり、国内でもトップクラスの魔力量を持ちながら、その勤勉な性格で数々の魔法を習得し、宮廷魔道士からも信頼と尊敬を寄せられている程だ。
「元気ない?どうしたの?」
「いや、俺なんかで本当に役に立つのか不安で」
そう、たぶんこの方、俺なんかよりよっぽど強い。俺だって剣には自信があるが、それでも俺とアルベルト様とでは役者が違い過ぎる。
「うーん、そうだな。僕が詠唱する時間を稼ぐ前衛って事でどう?」
「確かに理には適ってますね」
「でしょ?」
もうこれ以上言わないが、この前無詠唱で範囲魔法ぶっ放してる所を見た気がする。
「でもなんだか、それって護衛というより、パーティーみたいですね」
「そう思ってくれても良いよ?いっそ一緒にダンジョンでも潜ってみる?」
「勘弁してください。首が飛びます」
「冗談だよ、はは」
気さくで人当たりも良く、穏やかで戦いを好まない。人間としてもできたお方だ。プレッシャーはあるが、この方の側で働けるなんて夢のような話だ。

と、俺がそう思っていたのは3時間前のことだったか。これからはこうやって穏やかな時間が続くのだろう。そう思っていた俺だが、たった今大ピンチを迎えている。
「ふふ、油断し過ぎだよ?」
筋肉はないが、細身で無駄な贅肉は付いていない身体。身長は俺より頭ひとつは低く、その頭には覚醒遺伝と魔力の関係で銀色に光る美しい髪が踊る。端正な顔立ちに部屋着とはいえ豪華な衣装。何度確認しても、俺に杖を突き付けて笑っているのは、アルベルト第3王子その人でしかない。そう、俺は読書中だったはずの王子から、急に魔法を放たれたのだ。
「残念だね。これで君は僕のモノ、だよ?」
ニヤッと笑う顔は、今まで知っている優しくて爽やかなアルベルト様の印象とは程遠い、陰湿な印象を感じる。
「あはは!よし!やった!やったぞ!」
ふむ、しかし喜ぶ顔は年相応の子供っぽさもある。さてさて、問題はそこじゃない。さっき俺、なんの魔法掛けられたの?
「まさか自分の護衛対象に、催眠魔法掛けられるとは思わないもんね?流石にあのジェイク・ラッセルでもこれは予想出来なかった、でしょ?」
あー、催眠魔法かぁ。俺昔ダンジョン潜ってた時、無駄に何回も掛かり過ぎて耐性MAXになっちゃってるんだよな。だから伝説の魔道士と云われるアルベルト様の魔法でも通用しなかったのか。
「さーて、どうしよう?ふふぅ!どうしちゃおっかなぁ?」
マジでどうしよう。これって掛かってませんって言って良いやつ?空気読む方が良い?護衛って難しいなぁ。
「じゃあ、とりあえず脱いでくれる?」
「ん?」
「ん?」
あ、拙い、普通に聞き返しちゃった。
「聞こえなかった?服、脱いで?」
武装解除というわけなのか?とりあえず言う通りにしてみよう。別に男の前で脱ぐのに抵抗はないし。風呂場だと思えば。
「うひゃあ、す、凄い筋肉。これ全部傷?痛くない?」
めっちゃ触るやん?俺の硬い胸揉んでも楽しくないだろうに。
「はわぁ、思ってた以上の仕上がり」
そして俺が下着を脱いで全裸になった瞬間。
「ごくっ」
アルベルト様が唾を飲み込んで固まった。俺の、ナニを見て。そして、そして、えっと、ずっと固まってる。また待ち時間か。この仕事待ち時間多いなぁ。
「おっきい」
なんて言ってまだ動かない。いや、なんだろう。相手が男でも、ここまでジッと見られると、その、ちょっと恥ずかしい。
「さ、さて。魔法が切れるまでに遊ばないとね」
なにか不穏な台詞を吐いた王子が、楽しそうに俺の肌に触れる。さっきまでの筋肉を珍しがって触る手付きじゃない。なんか、こう。
「うっ」
胸を指先で優しく撫でるように触れられ、つい変な息が出た。
「なに?もう声出ちゃった?」
何故か嬉しそうな王子は、そのまま、いやこれなんだ?なんで俺、王子に乳首触られてるの?
「んふふ、立っちゃったね?」
おぉふ。王子が急に俺の胸に飛び込んできて、声出そうになった。抱き着いてない?これ。
「ふー」
至近距離で乳首に息を吹き掛けられ、ビクッとするのを止められなかった。案の定それが嬉しかったのか、王子はクックと笑いながら、なおも執拗に両方の乳首を指で転がしたり、引っ張ったりと遊んでいる。
「どう?年下の男に乳首玩具にされるの?恥ずかしい?」
う、んん?まあ、恥ずかしいっちゃ恥ずかしい。てかこれ答えた方が良いのか?
「素直な気持ちで喋って良いよ?身体は動かせないけどね?」
「恥ずかしいです」
答え用意してて良かった。てか身体動くんですよ王子。もう1回全力で掛けてみてくれませんかね?
「ねえ、これ、僕が舐めたら、気持ち良いかな?」
「んっ?」
下を向いていたら、上を向いた王子と思いっきり目が合った。舐めたら?これって?これ?てか、王子近くで見たら超イケメンだな。いや、んん?なに?どゆこと?
「実験、しちゃおっか?」
悪戯っぽく笑う顔に、何故か一瞬胸がドキッと弾む。
「ん、ちゅ、んはぁ、れろ、ちゅ、ちゅ、ちゅ」
んんんん!?俺今王子に乳首舐められてない!?全裸で!王子の部屋で!え!?俺なに!?これなんなの!?
「あ、勃ってきた」
うそん!?勃ってるの!?いや勃ってるわ!俺勃ってるよ!?なんで!?
「騎士のクセに、王子に舐められて感じてるの?」
「んふっ」
背伸びした王子が耳元で囁いてくる。その間も指で乳首が遊ばれている。
「男に乳首ペロペロされて、チンポ大っきくなっちゃった?れろ」
「んぐぅ!?」
急に耳舐めたら駄目だろ!?
「んふ、変態さんだぁ?チンポ大っきくして、なに期待してんの?護衛対象の王子に、なにして欲しいの?うふふ」
いやもう解放してください!てかせめてちゃんと魔法掛けてください!
「触って欲しい?」
おおぉ、太ももから中心に、爪の先でのフェザータッチ。あ、だめだめ。そこは、それ以上は、マジでヤバいって。
「ねえ、触って欲しかったらさ?そこで四つん這いになってよ。嫌なら良いんだよ?どうする?」
その俺次第のやつやめて!どっちが正解かわからん!いや、わかるけども!
「あはは!犬みたいに四つん這いになって、尻尾振ってるつもり?」
床に両手足を付けた俺を見て喜ぶ王子。俺は更に無防備になった自分のそれが、妙に硬くなっているのに気付いていた。
「んふふ、ふー」
「んっ!」
息を掛けられただけでこれだ。どうしたんだ俺?催眠には掛かんないクセに。いやもういっそ掛かってるのか?なんか変だぞ?
「裏側、こうすると気持ち良い?」
「おっうぅ、うっ」
また爪で、裏筋から、今度は上へ玉も刺激される。爪の先が玉の表面を踊る度に、俺は腰をビクつかせる。王子はそれが楽しいのか「ほら、もっと御主人様に尻尾振りなよ」なんて言いながら笑っている。
「ねえねえ、ここ」
「おわっ!」
急に指の腹で先っぽを擦られた。
「あはぁ、糸引いてる。わかる?我慢出来なくて、お汁出ちゃってるよ?エッチなお汁、僕の指に付いちゃった」
「ん!くぅ!」
指で何度もゴシゴシと、頭の部分を撫でられる。それは付いたんじゃなくて、付けたんですよ王子!
「こんなに大きな身体で、いっぱい鍛えて筋肉付けたのに、僕の指先で擦っただけで負けちゃうの?ねえ、ねえってば」
「ぐぅ!ううぅ!」
ヤバいヤバい。頭おかしくなりそうだ。さっきからずっとゴシゴシやられ続けてる。ちょ、ちょっと止めてくれ。
「負けちゃおうか?おチンポ、僕の指に負けちゃう?ねえ、負けるの気持ち良いよ?ほら、ほーら」
鈴口の部分に沿って、何度も何度も。まだそこしかしっかり触って貰ってないのに。それなのにもう、俺は。
「ぐっ、う、うぅ」
「んんー。可愛い声。初めだから、サービスしちゃうね?」
サービス?亀頭を擦られたまま、王子の顔が俺の顔に近付いてくる。そして再び耳元に息が掛かり。
「僕の指で、チ、ン、ポ、負、け、て?チュッ」
耳の中に王子のエッチな声が響く。それは脳まで届いて、その瞬間、俺は、マジで出してしまった。
「あははは!出た出た!ジェイク!ザーメン出しちゃったね!」
それを見て嬉しそうに笑う王子。なんだこれ、無性に恥ずかしい。四つん這いで、年下の男に、俺は。
「さて、ジェイクは服を着て、床を掃除したら、この事を全部忘れる。良いね?わかったら返事」
「は、はい」
なんだよ、これ。なんなんだ?
「あー!良いね!楽しくなってきた!これからもよろしくね!ジェイク・ラッセル!」
アルベルト王子の笑い声が部屋に響く。俺は大変な任務に就いてしまったかも知れない。
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