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しおりを挟むシーラの婚約が破棄となって、父からはシーラだけがグチグチと言われていた。
(私が面倒を起こしたって言いたいみたいね。いつもそう。面倒なことは私がやったって思っているのよね)
リネーアにも散々なことを言われたが、そんな子息と婚約していたくなかったシーラは、何を言われても反論しなかった。言ったところで、シーラが悪いとしか誰も思っていないのだ。そんな労力すら、シーラは使いたくなかった。
(喪が明けもしていないのに新しい婚約もすぐにしてしまうなんて、信じられない。この人たちにとって、お母様のことなど、もう終わったことのようね)
常識のないことをする家族と元婚約者たちにシーラは呆れるしかなかった。
常識のある人たちからしたら、最低最悪な非常識なことをしている自覚が、この人たちには全くなかったのだ。
それこそ、そんな人たちにシーラが何か言ったところで話が通じることなどなさそうだと思っている面々は、シーラ以外にもいたようで二人が婚約者したことを知っても、そんな二人におめでとうと言う者は一人としていなかった。
なのにリネーアは、婚約者ができたことに浮かれたのか。色んなところで婚約したと話していて、それを聞いた面々は……。
「そうなの。えっと、どなたと?」
「ラーシュよ! 伯爵家のラーシュ・ノルデンショルド」
「……彼と?」
「えぇ」
「……」
ラーシュと聞いて、シーラの婚約者だと知っている面々は、何とも言えない顔をしていたが、おめでとうと言う者はいなかった。
「それは、よかったわ」
「本当ね」
リネーアは、思っているようなリアクションではなくて、そこでその話は終わったかのように流され続けていたようだ。
「ちょっと、それだけなの?」
「それだけって?」
婚約したのにお祝いには、何がいいかと聞かれるとでも思っていたのかも知れない。だが、リネーアがまだその話を続けようとすることを嫌そうにする者ばかりで、それ以降、リネーアが友達だと思っていた面々はリネーアとは挨拶程度で、仲良くすることはなくなっていった。
その意味も、リネーアには全くわからなかったようだ。
その一件で、友達を失くしたのは、ラーシュも同じだったし、末の妹が婚約したのに平然としているアルヴァも、同じように友達が離れていくことになったようだが、3人ともシーラに当たり散らすことばかりをしていて、どう見られているかなんて気にもしていなかったようだ。
ラーシュは、新しい婚約者が可愛いリネーアになったことで、浮かれていたようだ。そのせいで、リネーアが喪中なこともすっかり忘れているようだ。
(忘れているのか、気にかけていないのかはわからないけれど、そういう子息ってことよね)
そんなことを思ったのは、シーラだけではなかったようだ。可愛い婚約者になって、自慢したかったのかも知れないが、ラーシュはそんなことを話しても聞いてくれる友達が白けた目を向けていることに気づいてはいなかった。
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