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しおりを挟むフェリシティーの後の測定は、順調に進んだ。そして、大トリと言わんばかりにゼフィリーヌが自信満々で水晶に触るも、何も怒らなかったのだ。
「あなたの魔力は、規定以下ですね」
「っ、そんなわけないわ!」
親子して、ギャーギャーと騒ぎまくって抗議をしたが、ゼフィリーヌが水晶を触っても何も起きないままだった。
(本当に何も起こらないものなのね)
フェリシティーは、ゼフィリーヌが触れるのを特等席から見ていた。他の貴族の子供たちの時には、あった反応が本当に全くなかったのだ。
フェリシティーに魔力があって、自分にないのはおかしいと言うゼフィリーヌ。あまりにしつこいせいか、フェリシティーはゼフィリーヌとの関係を聞かれたので、義理の姉妹だと答えた。
だが、義母はすぐさま父親が一緒だと言い、フェリシティーは絶句してしまった。
(ここで、それを言うの?! 母が亡くなる前から不倫していたと言ってるようなものなのに)
義母の言葉に眉を顰めている者も多くいて、ヒソヒソと話す者たちがいたが、義母はゼフィリーヌのことで頭がいっぱいなようで気づいていなかった。
「男爵の娘さんなら、魔力なしでもおかしくはないでしょう」
「え?」
父は話を振られて、肩を震わせていた。というか、ゼフィリーヌの魔力の反応がない辺りから顔色がずっと悪い。それこそ、義母のように父もまざって、ゼフィリーヌを擁護するなりしてもおかしくないはずだが、なぜかそれをせずにいたのだ
(どういうこと??)
フェリシティーは、その意味がわからずに首を傾げてしまった。
どうやら、フェリシティーの父親は学園にいる間に魔力が枯渇してしまい、それを補える伴侶として相性のいい母となら、次の世代に魔力の高い子供が生まれる率があがると言われたらしいが、父はそれを全く信じていなかったようだ。
父としては好きな女性と結婚したいのに彼女とは、相性が最悪だからとずっと反対されて出来なかった腹いせを生まれたフェリシティーに全部向けていたにすぎなかったようだ。
それこそ、母が存命だったら、それすら出来なかっただろうが、亡くなってしまえば好きにできると威張っていたに過ぎなかったようだ。
(そんな父と相性が最悪だと言う義母との間に生まれたゼフィリーヌの魔力が高いわけがないわよね。むしろ、ほとんどなくて当たり前ってことなら、どうして、高いってふれ回っていたのかしら??)
フェリシティーは、そこが不思議でならなかったが、きっと反対していた人たちや散々なことを言って馬鹿にしてきた面々を見返したかったのだろう。
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