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しおりを挟むフェリシティーたちが小さい頃に家で、魔力の測定をしたことがあった。あの時は偽装していたようだ。それにフェリシティーやゼフィリーヌは、すっかり騙されていたのだ。
今日の測定でも、神殿では買収した神官に水晶に細工してもらったのを使って、フェリシティーを学園に行かせないようにして、ゼフィリーヌを行かせるようにしようとしたようだが、それが上手くいかなかったのだ。
細工した水晶が、フェリシティーの魔力が高すぎて割れてしまい、替えの水晶は本物ばかりとなり、偽装が出来なかったということらしい。
(その細工を知らずにゼフィリーヌたちは、私のことをトップバッターにさせてしまったせいで、ゼフィリーヌが魔力なしだと知られることになったってことね)
そんな不正を働こうとしたことがバレることとなり、父が男爵の爵位を返上することになるまで、あっという間のことだった。
父は離婚して、ゼフィリーヌは母親の母方の祖父母の元に身を寄せたようだが、神殿でのことを周りが知っていて、針のむしろのような人生を送ることとなったようだ。
(偽装したところで、学園でバレないわけがないのに)
そんなことをフェリシティーは思ってしまったが、父はずっと買収して誤魔化し続ける気でいたようだ。
フェリシティーはというと養女にしたいと言う申し入れがたくさんあり、本家に引き取られることとなった。フェリシティーの母親が亡くなった時に一番悲しんでくれた人たちで、父たちのことを毛嫌いしていた人たちだった。
(とてもいい人たちばかりで、私の方が驚いてしまうわ)
それだけ、父や義母、義妹が嫌な人たちだったというべきかも知れないが。
貧乏くじを引いたのは、フェリシティーの元婚約者だ。ゼフィリーヌたちの話を鵜呑みにしてしまい、魔力の高い嫁を取り損なったのだ。
フェリシティーを引き取ってくれた本家は、二度とあの家とも、そこに連なる家にも嫁がせないと鼻息を荒くしているほどで、フェリシティーは苦笑するしなかった。
フェリシティーは学園に入る前から有名人となっていて、王太子と婚約することになるまで、それはもう早かった。
一番の決め手は相性だった。側に居るだけで魔力が心地よくて、王太子もフェリシティーと同じだったようだ。婚約してから、王太子はフェリシティーを溺愛してやまず、いつ見かけても仲睦まじい二人は、理想そのものだと羨ましがられることとなったのだ。
フェリシティーは幸せいっぱいで笑顔溢れる人生を送ることが出来たのだった。
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