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第3章
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しおりを挟む王は、いつもと同じように目立って関心を引きたかったようだが、いつもと違うことになっていたことに応用力が追いつかなかったのではなかろうか。
そうはいっても、花の守り手に挨拶さえ済ませれば、どうにか挽回できると思っていた。
それこそ、フィオレンティーナの養父も、王弟夫妻より、王が養父になった方がいいと思っていて、そのために今も待っていて、何ならフィオレンティーナの方がいくらでも待つと変な勘違いもしていた。王は、フィオレンティーナに会わずして、認められていると勝手に思っていたが、そんなことはなかった。
もっとも会う前から、小物そうだと思われていようとは、王弟の方は微塵も考えていなかった。
まぁ、そんなこんなで王は、わざと目立つようにして、フィオレンティーナのところに挨拶に向かうことにしたのだが……。
「何をしている。さっさとしろ。約束の時間に待にあわぬではないか!」
「それが、これ以上、すすめません!」
「何だと!?」
王の乗った馬車が、あるところから一向に動かなくなってしまったのだ。
それによって、悪目立ちすることになった。
「あれは、陛下の馬車よね?」
「やっと、フィオレンティーナ様に挨拶に行かれるみたいね」
「あぁ、今日だったのか」
街の人々は、何事かと見物に来ていた。王を一目見ようとしてのことではない。何やら面白いことになりそうだと集まりだした方が多かった。
それは、妖精たちもそうだ。
「でも、全然進んでいないな」
「何をしているんだ?」
王は馬車が故障したと思って降りた途端、馬車は普通に進んだ。お付きの面々もそうだ。ただ1人取り残されたのは、王だった。
その光景に街の人々は……。
「っ、まさか」
「あの噂は、本当だったのか?」
「信じられない。花の守り手にここまて近づけない者が、この国の王だなんて」
「っ!?」
噂が本当だったと知れ渡ることが、街中で起こっていた。
王は、そんなことないと必死にフィオレンティーナのところに行こうとしたが、観えない壁でもあるかのように進むことは叶わなかった。
それで、街の人々は呆れ果てて、そのうち笑われることになり、それに気づいて……。
「きゅ、急用ができた。王宮に戻るぞ!」
王が、先に進んでしまった者たちに声を掛けるも、あちらはフィオレンティーナに挨拶しないままでは戻れそうもなかった。
「何をしている!!」
「っ、も、申し訳ありません! 戻りたくても戻れません!」
「なっ、」
王を残してずんずんと進む行列に王は絶句した。
だが、街の人々の反応は、慌てる王たちとは違っていた。
「ありゃ、フィオレンティーナ様に挨拶済ませないと戻れないんじゃないか?」
「そりゃ、フィオレンティーナ様も、散々またされているんだ。堪忍袋の尾が切れるさ」
「花の守り手となられた方にこんな無礼を働くとは信じられないわ」
そこから、婚約者である王子が気に入らないからと特例も許さずにしていたことやらを言われて、それを聞いていられなくなり、王だけが王宮に逃げ帰ることになった。
何とも間抜けなことになり、とんでもない恥をかくことになった。
「おのれ、よくも、この私にこんな恥をかかせたな!!」
王は、フィオレンティーナがオギュストに頼んで何かしたと思っていた。所詮は人間の娘だ。花の守り手ににったのも、何かの手違いに違いないと思っていたこともあり、人間の小娘に馬鹿にされた怒りは凄まじいものがあったが、行列と共に出かけたはずが、王だけで戻って来たことで、門番たちも最初は……。
「国王を語る不届き者め!!」
「なっ、何を言うか! 私は……」
王を語るうちに偽物扱いされたりしたようで、それも街の人々に知れ渡って、恥の上塗りをすることになった。
フィオレンティーナは王不在で挨拶を済ませて戻って来るまで偽物扱いされたようだ。
王の顔をよく知る者たちも、そんな風に戻って来たのが本物だと思うわけもなく、そっくりなだけだと思っていたが、本物と聞いても慌てふためいて平謝りしたかというとそんなことはなかった。
ただ、気まずさと言ったらなかったが、王を語るは怒りで顔を赤くしていたが怒鳴り散らして、これ以上の笑いものにされまいとしたが、それは無理があった。
それもこれも、目立ちたがるなおうのせいでしかなかったが、そんなことをわざと広めたのも、オギュストたちの仕業と思っていたが、自分がそうさせることをしたとは思うことはなかった。
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