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第3章
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しおりを挟むフィオレンティーナは、オギュストたちと王が来るのを待っていたが、妖精が知らせて来たことに養父母たちが絶句したのは、来ると言っていた時間を過ぎたあたりだった。
妖精の見えないフィオレンティーナは、不思議そうにした。
「どうかされましたか?」
「……フィオレンティーナ様の言っていた通りになったようです」
「え?」
どうやら、花の守り手を利用しようとしたせいで、挨拶にも行けないほどに拒絶されていることが、国民に知れ渡ることになったようだ。
大恥をかいた王は怒り心頭になっているようだが、良からぬことを考えていたせいで、近づけないということが明るみになった。
それを何とか誤魔化そうとしたが、色々と無理があった。
待てど暮らせども王が来なかったのだ。ただ、行列だけがやって来て、それにフィオレンティーナはぽかーんとしていた。
養父母たちは、王不在でやって来た。これまた目立つ馬車で来たものだと呆れた顔をしていた。
王を語る付き人は、フィオレンティーナたちに自分たちが王宮に帰るために挨拶をさせてほしいと懇願したのだ。
「え? もしかして、王様だけ自力で帰って皆さんだけで来たんですか?!」
フィオレンティーナの驚きの声にオギュストたちは、もはや遠い目をしていた。まさか、ここまでとは思わなかったのだ。
そうは言っても、王不在の行列にその場に残られても困ってしまう。そのため、フィオレンティーナはおろおろしたが、そこまでかしこまることでもないと挨拶のみで、一行に早々にお帰り願ったのは、オギュスト夫妻だった。
まぁ、そんなことがあって、フィオレンティーナは養子先を正式にオギュストのところにしたとされたのは、すぐだった。
それと婚約者たちも、仮の婚約者という立場から、フィオレンティーナが認めた正式な婚約者となり、コルラードは母方の駆け落ちに賛成して手伝った者の養子になることになったのは、これまでの放置からはあり得ないほど早かった。
反対していた者が、コルラードのことを養子にしようと躍起になったが、フィオレンティーナに挨拶できるところの養子になると言ったことで、そちらになった。
コルラードは、貴族の仲間入りとなっても、庭師見習いのままだった。養子先が、これまでのコルラードのことを聞いて、その職業になりたい彼を後押しすることにしたのだ。
だが、同時に貴族となり、花の守り手の正式な婚約者となったのだから、彼女に恥はかかせられないと貴族のこともきっちり学んでもらうとして、コルラードは忙しそうにしながら、敬語や文字を覚えた時のように楽しそうにしていた。
色々と起こったが、フィオレンティーナは養子先が思った通りのところになり、ホッとしていた。
とんでもないことになったあとで、ことはトントン拍子に進んだのだ。それこそ、王が大恥をかいたあとだから、あちらも強く反対できなかったのが大きかったようだ。
もっとも、花の守り手のやりたいことを止めるなど、あってはならないことのようだが。
オギュストは、今回のことで兄を立てようとしたことを物凄く後悔しているようだ。
だが、クラリスは無事にフィオレンティーナがしたかったことをすすめられたことで、夫にきつくあたっていたのをやめた。そうなる前にきちんとオギュストが謝ったのも大きかった。
フィオレンティーナは、謝罪されることなどあったかと思ったが、夫妻が円満になったのならと深く考えることをやめた。
すぐに別のことを考え始めた。
(それにしても、この蔦、凄い)
蕾が、少しずつ大きくなり始めていた。
コルラードは、リュシアンたちと同じく学園にも通うらしいが、フィオレンティーナはやることがなくて、手持ち無沙汰になっていた。
利用しようとする者は近づけないことはわかった。だが、フィオレンティーナが外に出て好きな方向に行くとその分、利用しようとする者が遠ざかるということが起こるようだ。
(まるで強力な磁石ね)
今はフィオレンティーナが勝っているが、これに負けたら引き寄せられることになりそうで、ちょっと恐ろしく思えてもいた。
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