私の理想の結婚式と婚約者を奪ったのは、婚約者の幼なじみでした。それで彼らは人生を台無しにしたようですが、私はそれどころじゃありません

珠宮さくら

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(イライラする)


ラクスミ・ガウタムは、結婚式の準備におわれていた。これまで、友達の姉や従姉やらに頼まれて結婚式を陰ながら手伝ってきた。

いや、最初は手伝うと言うより気になったことがあって口出ししていた。仲良くしていた友達の年の離れたお姉さんが結婚式のプランで、煮詰まっていたのだ。

友達は、今は物凄く怖いから近づかない方がいいと言っていたのだが、ラクスミは気になってしまい、そのうちこんなことを言ってしまっていた。


「こうしたら?」
「ちょっ、ラクスミ! お姉様、ごめんなさい」
「黙って」
「っ、」


妹の方は、姉の言葉に肩を震わせて黙った。ラクスミは、震えることはなかったが言われた通りに黙っていたら……。


「ラクスミ、続けて」


黙れと言われたのは妹の方だったようだ。ラクスミは、その通りにして話した。お姉さんは、それを聞いてぷるぷると震えた。

それに妹の方が顔色を悪くさせていたが、ラクスミはケロッとしていた。このお姉さんのことをラクスミが怖いと思ったことは、それなりにあるがこの時のラクスミは思いついたことに夢中になっていた。


「っ、ラクスミ!!」
「?」
「っ、」
「あなた、最高よ! 凄くいいわ!!」


実の妹の方は、激怒されるのを想像していたようだが、姉が大喜びしたのにびっくりして気づけば彼女は腰を抜かしていた。

姉は、それに何も言わずに興奮気味にラクスミにこう言っていた。


「ラクスミ。他のことでも、意見を聞かせてくれる?」


そう聞かれて遊びに来たことを覚えていたラクスミは、そこで腰を抜かしている友達を見下ろした。

その時に顔色が悪くなっていたから、お姉さんに睨まれていたのかもしれないが、友達が声も出ないまま、こくこくと頷いたのを見てから答えた。


「いいよ」
「こっちなんだけど」


そこから、妹のところに遊びに来ていたはずが、そのお姉さんの結婚式のことで話しこむことになって、末っ子はつまらなそうにしていた。


「どうかしら?」
「素晴らしいな」
「ラクスミが、色々相談に乗ってくれたのよ」
「そうか。ありがとう」
「いえ。素敵なお式になるといいですね」
「えぇ、絶対になるわ。ラクスミ、本当にありがとう」


そこから、そのお姉さんが従姉にその話をしたことで、ラクスミはその人のところに友達のお姉さんとあれこれ相談に乗りに行った。

そのせいで、友達と遊ぶ時間がなくなってしまって、友達は他の令嬢と遊ぶことにしてしまったようだが、ラクスミは同年代の友達と遊ぶよりも、結婚式のプランを決める方が楽しくて仕方がなかった。

それが、ついに今回は自分のための結婚式の準備をすることになったのだ。それは嬉しいことだし、やりたいことやモチーフなども、色々手伝いながら決めてある。これまで、手伝ってきた結婚式は、どれも高評価を受けて、全部が喜ばれてきた。

それを真似る者も現れるくらいだが真似られた方は、嬉しそうにしていた。

それを手伝ってきたからこそ、自分の時には、これがやりたい。あれがやりたいと言うのが、明確にあった。

それが上手くいかないとわかったからイライラしているわけではない。ラクスミが苛ついて仕方がないのは、自分の結婚式のはずなのに思い通りのものを何一つ選べずにいたからだ。

それを選べない理由は、婚約者の母親が出張ってきているからではない。婚約者の身内が、あれこれ言ってきているのではないことに一番苛ついていた。

これまで、たくさん新郎新婦の話を聞いてきたが、それを邪魔する気はないが、昔はこうだったとか。自分たちがやりたかったことをやらせようとする両親たちや身内の話も聞いてきたが、ラクスミは身内でもない人間にあれこれ言われる日が来ようとは思いもしなかった。

しかも、自分の結婚式の準備が、こんなに難航するとは思わなかった


「そんなのじゃ、駄目よ」
「……」


そう言って、ラクスミが選んだものを全部変えさせてばかりいるのは、ラクスミの婚約者のラフール・パンディットの幼なじみのシャンティ・タネジャ。彼女が、ラクスミのイライラの原因であり、根源だ。


(また始まったわ)


もう何度目になるか、数えてすらいないが、もう聞き飽きた。これは、あなたの結婚式じゃないだろうと言ってやりたいが、ただの幼なじみではなくて、兄弟同然の仲だからとシャンティは口やかましくしていた。

彼女のセンスがよければ、そういう案もあるのかと思えるが、そんなもの欠片もない。彼女はそもそも婚約するたび失敗していて、やっと結婚までしたらしいが、すぐに離婚して実家に戻って来たらしい。丁度戻って来ているところで、毎日暇を持て余しているから、こうして呼んでもいないのにラクスミのやることなすことに口出しして、ダメ出しをし続けていた。

それこそ、出戻って来た理由は、今のラクスミならよくわかる。身を以て知ってしまっていた。こんなのを毎日相手にしていたら、夫の気が変にならないわけがない。


(こんなのと結婚したら、毎日イライラするでしょうね。家に帰って来たくなくなるのも早いのだけはよくわかる。……どうして、そんなのと結婚したと言われそうよね。結婚するまで上手く隠せていたのなら、結婚が長続きするように隠し通せばよかったのに)


ラクスミの婚約者のラフールは忙しいと言ってばかりいて、結婚式の準備をラクスミに任せっきりにしていた。

それも、色んな人たちからラクスミの関わった結婚式は素晴らしいと聞いているからと丸投げしていた。……まぁ、その分、文句や口出しは一切しないと約束させているが、これでは文句を言われても仕方がないものにしかならない。

婚約者が丸投げしているのを見かねたかのように頼んでもいないのにシャンティが毎回呼んでもいないのに現れて、あーでもないこーでもないと好き勝手なことを言って来て、こっそりと打ち合わせをしようてしても、なぜか現れた。もはや、恐怖でしかない。


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