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突然の忘年会

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 楽しかったクリスマスも終わり、年末に向かって時間は進んでいく。

 水野家も例外では無く、26日…リビングのクリスマスツリーを片付けるついでに一部大掃除をしていた。

 「透…私もこっち掃除しようか?」

 泉が腕まくりをしながらリビングに入ってくる。

 「泉は…出来たら自分の部屋の掃除してよ。他のところは俺やれるけど、泉の部屋のもの勝手に弄りたくないし…ね?」

 …まあ泉の部屋はそんなに掃除するような場所はないと思うけど…。

 「…でも透が掃除するところ多くない?」

 困ったような顔で泉がオレの顔を見つめてくる。

 「オレは別に…普段オレが使って汚してる所だし、できたら泉は自分の部屋を…要らなくなった雑誌とかあるでしょ?オレに見せたくない物とかだってあるだろうし…ね?まあ泉の部屋終わったら手伝ってくれればいいよ?」

 泉の部屋の前で分かれる。

 「面倒なこと早く終わらせて、残った日は楽しく過ごそう?さあ、とっとと片付けよう?ねっ★」

 泉に声をかけて、まずはキッチンに向かった。


 流しやガスコンロをピカピカに磨き上げ、換気扇も外して丸洗い。

 油ぎっていたところもピカピカに…。

 掃除をすると綺麗になって…気持ちいい。

 戸棚なんかも水拭きして、ちょうど洗濯機が停まったので洗濯物を干す。

 
 そろそろお昼の用意でもしようかな…。

 今日は泉もいるし、チキンライスにでもしようか…。

 そう考えながらベランダで洗濯物を干していると泉が来る。 

 …何だか困っているような、嫌そうな顔をしている。

 「…ど、どうしたの?何か困った事でもあったの?!」

 「透…今晩…忘年会になっちゃった…ごめんなさい…断れなくって…」

 泉がそんなことを言いながら携帯を握りしめている。

 「そういえばそんなものもあったよね。何時から?スーツ着る?それとも少しお洒落なの…可愛いの着てく?」

 …スーツはまだクリーニングに出していなかったし、こういう時用に泉によく似合う可愛らしい服はたくさんあるはずだ。

 「…スーツでいいよ。透がいるわけでもないのにお洒落したって意味ないし…行きたくないなあ…」

 いじけながら泉が背中に抱きついてくる。

 暖かくて柔らかな泉のおっぱいが背中に当たるのを感じて少しだけエッチな気分になってしまう。

 「でもまあ、真実の会社の忘年会なんだから行かないわけにもいかんでしょ?送ってあげるし、帰りも迎えに行ってあげるから行っておいで?仲良い子とでも呑んでればすぐ終わるよ」

 「新年会だったら透も一緒なのに…」

 泉が腕に力を入れる。

 
 泉が勤めているのは、泉の双子の兄…水野真実が経営している会社だった。

 真実は大学卒業と同時にお父さんの経営していた会社を引き継いで、それを支えたいと泉がその会社に勤めだした。

 真実の会社は忘年会は各部署で行い、新年会は真実のお父さんとじいちゃんが経営する他の水野グループ関連も集まって大々的に新年会を実施していた。

 新年会の時は、挨拶代わりに透も参加させてもらっていたが、忘年会は泉の部署のみだったので透が参加するわけにもいかない。




 「面倒くさいなあ…」

 珍しく泉がそんなことを言い…抱きつかれて…ますます泉のおっぱいの感触が強くなる。

 泉の腕を優しく外して向かい合う。

 泉の身体を抱きしめて、見上げた泉の唇に自分の唇を重ねた。

 「オレだって泉のこと…行かせたくないよ?分かる?ただでさえ泉はこんなに可愛くって美人で…ねえ泉…お酒呑んで絶対…他の男とこんな事しないでね?」

 「…しないよっ!」

 そう言う泉の唇にもう一度キスをして塞ぐ。

 

 ★



 面倒くさがっているスーツ姿の泉を車に乗せて、忘年会の行われるお店の駐車場まで送る。

 「帰り終わりそうになったらまた連絡してね?またここに来るからね?」

 「…分かった」

 ふうっとため息を吐く泉を見ていると何だか申し訳なくなってくる。

 …泉は真実を支えたいと言っているが、多分オレの為に外に働きに出るという選択をしてくれたんだと思う。

 オレが社会に出るのが不向きだと見抜いたのか泉は…。

 「泉…ごめんね。オレの為に外で働くって選択してくれて…。本当だったら…もっとオレがちゃんとした男だったら泉を…家に居させてやれたのに…」

 助手席に座った泉がハッとしたような顔をした。

 「…やっぱり年明けからオレ…就職活動するよ、オレが外で働ければ泉だって嫌な思いしながらこんな…我慢しながら忘年会なんてやらないで済むでしょ?」

 「やだっ!絶対やだっ!」

 泉が慌てたように腕に抱きついてくる。

 「私は真実を…まだまだ手伝いたいし…透の事外で働いて欲しいなんて少しも…思ってないよ!?」

 「…でもっ」

 …女性の社会進出が珍しく無くなったとはいえ、まだまだ大変なことは多いだろう。

 泉が突然キスしてくる。

 口を塞がれて驚いていると唇を離した泉がニコッと笑った。

 「もうこの話は終わりね、透…ごめん、キスしたら唇に口紅ついちゃった★…じゃあ行ってくるね。帰り連絡するからっ★」 

 そう言いながら泉は車を降りる。

 ニコニコと笑って、手を振って泉はお店に入って行った。

 …無理させちゃったかな…

 
 

 

 
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