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3、何が気になる?
しおりを挟む「ねえ。さっき、何飲んでたの?」
は?
当たりを見回したが彼の質問の対象は見当たらない。
彼は、私に質問したらしいが不信感しか感じない。
「・・・なんで?」
振り向いた以上、無視をする事も性格的にできず、低い声で尋ねる。
「なんか、美味しそうで、すっごくホッとした顔してたから。顔に幸せっても書いてあったよ。だから、あそこの店初めて入ったから、そんなに美味しい飲み物って何かな~て思ったんだ。」
そう言いながら、人懐っこい笑みを浮かべて裕の横に並んできた。
「駅に行くんでしょ?俺もだから一緒に行こう。」
そう言って歩き始める。
釣られて歩き始める裕だが、不信感は消えない、眉間のシワは取れない。
「何飲んでたの?」
どうしても聞きたい訳ね。
「・・・ホワイトモカ。」
つい答えてしまった。
駅まで2~3分だし、そこまでならと思いつい答えてしまった。
「へ~。甘そうだね。飲んだ事あるけど、俺には甘すぎ。でも、あそこのは違うのかな?」
「さあ・・・。次回飲んでみたらいかがですか?」
淡々と返す裕は、早く駅につかないかな、とそれだけだ。
相手にも、私はあなたと話す気は無いんですよアピールをする。
「そうだね。・・・でも、飲んでる時の君、いい表情してたよ。良い事でもあった?」
思わず立ち止まる裕。
良い事・・・。
1ヶ月しか付き合っていない彼氏と早々に別れた事は、いい事なのかな?
付き合おうと言い出したのは明人の方だった。
コールセンターでリーダー業務をしている裕は、先月完結したチームのクライアントの担当者の1人である明人に打ち上げの帰りに告白された。
正直、再依頼が可能性としてあるクライアントだけに、もしも付き合っても別れたら気まずいという疑念はあった。
でも、付き合う前からそんな縁起の悪いこと考えても、と言われ、嫌いじゃなければと押し切られた。
明人は仕事にとても真摯で物腰も柔らか。
仕事のやり方も考え方も裕とあっていた。
だから、もしかしたら今回は長く付き合えるかも、と思った裕。
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