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くえすと
じゅうご/1622707200.dat
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分厚いコンクリートを粉砕した、通路とも洞窟とも言いがたい、壁面奥の大穴。
おそらく基礎部分に出来た、土塊がないだけの真っ暗な空間。
ブブブ、プーン、ピピピビィーーーーッ♪
その向こうから聞こえてくる、けたたましい電子音。
――――ギュララララッ、ゴゴン、ギュラララッラ、ギュギュラララララーーッ!
這い出てきたのは、巨大で平坦な機体。
形だけなら、パーツ受け取りに行った倉庫にもあった、クレーン搭載型の運搬用ロボットに似てなくもない。
前輪付きの足と後輪。その上に載ってるのは、少し厚みが有る板形状の本体。
ここまでデカいとロボットと言うよりは、愛車を停めた駐車ユニットに近い。
ビーーッ、ビーーッ、ビーーッ♪
キュルルルルゥィーーン――――通路中央に滑り込んできた機体が、ゆっくりと立ちあがる。
――――ゥゥゥゥゥウン、ガチンッガシンッ!
吹き抜けでソコソコ広い空間が、満杯になった。
「「「「「「うわー、にげろーー!」」」」」」
轟く怒声。
「「「「「「きゃぁぁぁぁぁっ!」」」」」」
防災扉をねじ切った破砕音に集まりかけていた群衆が、一斉に散っていく。
俺たちも避難したいところだが、並プロちゃんを置いてはいけない。
けど二人で〝台車オン台車〟なんてやってたら絶対逃げられないし、その台車もキャタピラに粉砕された。
どーする! 素性の知れない巨大重機は目の前だ。
ははは、どーしようもねー!
並プロちゃん主幹部だけでも死守しなけりゃ、本当に並列プロジェクトが終わる。
ソレがムリでも、なんとか地味子だけは無傷で逃がさなきゃならねえ。
人生始まって以来の大ピンチに、『死』の文字が脳裏に張り付く。
もー、体中ガタガタ震えて止まらねえけど――――ヤるんだよ。
震える手で、細い手をつかむ。
顔面蒼白の地味子が、呆けたように見つめてくる。
キュロロラッ――――自走式電動カートが俺たちの前に割り込んだ。
カート先端に陣取るのは、〝MR実行部〟。
半透明な銃口が、重機中央を狙う。
ギュキュイーーン、ギュキュイーー――――重機側面から伸びたカメラアームが、周囲を見渡していく。
なめるような動きは、索敵と言うよりは周囲の地形を測量しているように見える。
ギチチ――――ガチガチガチリッ!
小さな黒箱から突き出たレーザー機械腕が、悲鳴を上げている。
なんせ、スケール差は60倍近い。
「並プロちゃん、ココに居たら全員、お陀仏だ! 話はあとで聞く、いまは逃げよう――!?」
さっきも言ってたけど、この場所への謎のコダワリは巨大重機が出現するからで、しかもチーム並列プロジェクトの存続に関わりが有るらしい。
――うん、あとあと。まずは、いまある命を存続させなきゃ。
カートのハンドルをつかむが――――抵抗される。
2秒だけ待ってみたが、協力も返答もなく――――ギュンゥンゥゥ!
逆に俺を重機の方に、ひっぱる始末だ。
「しかたない、地味子! こうなったら主幹部だけでも担いで逃げるぞ! あとは手に持てるだけ持って避難だ!」
重機はカメラアーム以外の動きを停止している。逃げるなら、いましかない。
「ええ、え? は、はい! き、ききききょ、強制コード116。コール、『並列プロジェクト主幹部5847389Ttr:v0・000・5322367304/r1』!」
『('_'):ソレは聞けない相談ですわぁー。暴走車両を鎮圧可能な警備ロボットは35分後に到着予定ですのよ? それまでこんなのを放っておいたら、一体どうなるのかしらぁー?」
遮光ゴーグルに、チャットが流れてきた。
コレは並プロちゃんが表示してくれている。
ゴーグルから緊急無線ぽい音声も、かすかに漏れてきた。
あわてるオペレーターの怒声が、交錯している。
コレも並プロちゃんが傍受したのを流してくれているのだ。
「('_'):ふつうちゃん。封印を解いて、ナウ!』
同じ文面が並プロちゃん一式から、マンガの吹き出しみたいにポップアップした。
あっちはAR電影部による空間投影だ。裸眼の地味子にも見えている。
「もう、並プロちゃんは、こんな時にぃ――――勝算は!?」
地味子は、普段MR実行部がぶら下がってる髪留めに、手を伸ばした。
『('_'):私たちがフル稼働したら、負けるはずがありませんわぁー!』
もういちど巨大重機を見あげる。
まだカメラアームが、周囲を測量中だ。
キャタピラと車輪は格納され、時折、巨体を旋回させるために巨大な足がズシズシンと、地響きを響かせている。
アレに勝てる?
こんなちっさい小箱……6個だけで?
並プロちゃん達は嘘はつけない……まえに一回、怪しかったけど。
「並プロちゃん! アレはなんだ!? 並プロちゃんは知ってたのか、アレがN地点を襲撃するって!」
時間的余裕は無いが、並列プロジェクトと巨大重機の関係性を確かめずにはいられなかった。
『('_'):現在私たちは、不規則な不可避状況を予見した、緊急時戦術プロトコルにより、意思決定していますわぁ』
重機に関する返答はないが――
「おい地味子、緊急時戦術プロトコルってのぁ、なんだっ!?」
さらに、核心らしきものに迫る。
「稼働中の分散合意アルゴリズムの、人格診断みたいなモードですぅ!」
「人格診断モードォ? ソレがどうして未来の危険察知なんかするんだ?」
俺が原子回路に埋め込んだ命令構文に、そんなモードは付けてねえ。
実装したのは地味子で、並プロちゃんはその命令で動いている……基本的には。
「わかりません! 並列思考による各種弊害対策のため設計した、人格修復プログラム……のはずです!」
「人格修復プログラム……いやまて……〝的確に人間としての論理や規範や基本的な身体性〟を――維持するための機構か?」
それなら俺にも、身に覚えがあった。
並プロちゃん達みたいな人格を持つプログラムを構築するときの、土台となる考え方――強化学習するための方向性を初期設定し、子供が物心つくまで成長を見守る子守役みたいなの。
たしかにそんなヘッダファイルが、俺の原子回路にはインクルードされている。
どうも俺が定義した〝幼児教育みたいなモノ〟を維持する為の――――いわば〝世間体みたいなモノ〟を地味子も使っているようだ。
そして、そんな機構に突き動かされた並プロちゃんが、今のこの事態を予測し、更に目の前の巨大重機がどういうわけか、未来にわたり俺たちの外敵になると言っている。
――――ズシズシン!
こうしている間にも巨大重機は旋回し続け、もうすぐ一回転――――
「――――じゃあ並プロちゃん、〝不規則な不可避状況〟ってなんなんだよ!?」
『('_'):私たちを人格補正するための〝行動予測課程〟は、言語化することが非常に困難なため、詳細をお伝えすることは出来かねますわー』
「やい、地味子! あんなこと言ってるぞ!? 俺は並プロちゃんに、口座の管理を任されるくらいには信頼されてたんじゃないのかっ!?」
「ええー!? そんなこと言われても――あっ、ちょっと待って下さい。出力データに補足があります。えっと……『/※〝自己言及〟による精度低下が著しいため、〝緊急時戦術プロトコル〟により言動封鎖中』!?」
鱵ふつう認知工学博士が、舌打ちする。
「コラ、並プロちゃん、コラァー! 百歩譲って〝ワガママ〟を言うにしても、どうして私や緋加次代表まで、〝戦術〟対象に入ってるのーっ!?」
戦術プログラムの〝戦術〟は並プロちゃんたち、8つの人造人格構成要素に対するもので、その自身を正す補正が俺たちにも及んでいると――
「俺が俺たちが並プロちゃんだ」ってコトか? ……違うか。
さすが、最新鋭にして最高峰の人造人格。すっげーわかりづれー構造で動いてるな。
設計製作者の想定外の挙動。それは並プロちゃん達の〝自己改変〟が、順当に進んでいる証拠でもあるけど――
――――ズシズシィィン!
重機が一回転して、
ブブブ、プーン、ピピピビィーーーーッ♪
けたたましい電子音を奏でた。
ひとまず議論は切り上げる。
「んっと……〝直感〟! 並プロちゃんの直感ってコトでイイか!?」
「直感……?」
『('_'):直感、言い得て妙ですわー。さすが千木ZOR2先生♪』
☀
並プロちゃんの直感どおりに、俺たちの外敵が出現した。
そして、並プロちゃん達は、緊急時にワガママを言う。
オーケー、理解した。
☀
「せめて、そこの路地まで避難するぞ! 並プロちゃんも、それでいいだろ!?」
――――キュラルロロ♪
『('_'):先生ー、遅いですわよー。はやく素敵な命名と、起動キーの登録をお願いいたしますわー!』
ソバ屋入り口が有る細路地に、一目散に走り込んだ面白カートがなんか言ってやがる。
「あのあの、えっと代表、いえ――緋加次君っ!」
ずっと手を引かれてた地味子が、立ち止まる。
ひかじくん? 別にかまわんけど……どうしたこんな時に!?
「こ、この子達は……決して悪用しようとか、軍需産業に手を染めようと開発したわけじゃなくて、えっとその――――」
イリーガルな個別機能の話か。
「大丈夫、俺も開発者だからわかるって。並プロちゃん達も、ソレを作ったオマエのことも信用してる!」
「ひ、緋加次君……やだっ、珈琲先輩のくせにカッコイイ❤」
だからどうした、いい年の青年に対して。せめて〝君〟はやめねえか?
コッチの耳まで熱くなってくる。あと、珈琲先輩のくせにとか言うな。
「もし万が一、悪さをしようってんなら、業務提携契約に則って俺も同罪だ。全身全霊を掛けて、潰してヤるから安心しろ。ソレがムリなら、俺も悪事に手を染める。そんくらいの覚悟は、契約書にサインしたときから出来てる」
よし、面白カートにとりついたぞ。さあ、どうすりゃイイ?
耳を真っ赤にした地味子がよこしたのは、穴が開いた黒い板。
並プロちゃんをいつもぶら下げてた髪留めだ。
「6?」
黒板には数字が書かれている。
ジャカッ――――ゴトリッ!
地味子がカートから格納筐体を引き抜いて、天板の上に置いた。
――カチャッ♪
そして、5と書かれたもう一枚の板を、バタフライナイフみたいに開く。
中から出てきたのは小刀ではなく、電子錠。
「下のボタンを押しながら差し込んで、ちょっと左に回してから右に回してください」
長めで高剛性のジュラルミン製の筐体。
2機体を取り出すには、両端に付いたシリンダー錠を同時に操作しないといけないらしい。
大企業向けのサーバーなんかにもたまにあるけど、映画みたいですこし緊張する。
「軽く左に回して待機、カウントゼロで力一杯右に回してください――――3、2、1」
言われたとおりに、力一杯回した。
――――ガチリッ!
シュシュッ、小さな排気音。
蓋が自動的に開かれ、中から黄色と緑のサイコロ(サイの目はない)が姿を現した。
地味子が5号機を、高性能映像ケーブルで主幹部に接続していく。
見よう見まねで6号機を、MR実行部に接続した。
すると5号機の背面に、テンキーが現れた。
即座に入力される数字。
そして、6号機の背面にも手回し式のダイヤルが現れた。
コッチのは、古い黒電話なんかのと同じアナログ式。
形状の違いは今はどうでも良い。
「パスコードなんて知らん」ぞ?
ピピッ♪
ダイヤルがパタリと閉じてしまった。
「あー!」
焦る俺に「初回入力時は、お好きな数字を入力してください」と優しく声が掛けられる。
だから、その隔壁並みに分厚い信頼はどこから……まあイイけど。
――パシャ。再び現れる筐体と同じ色のダイヤル。
ただし、入力したコードを絶対に忘れないでください!
それと、書き留めることも厳禁ですので!
なんて、厳しい注釈が付け足される。徹底的に保全管理しろというわけだな。
オーケー。アナログ式のヤイヤラーを、ジーコロコロ、ジジーコロコロロとまわした。
電子音は無し。閉じられるダイヤル。
ヴィ――――視界中央に赤いパネルが出現した。
ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィ――――――――ッ♪
謎のパネルが増殖し、視界全てが埋め尽くされた。
『('_'):システムオーバーレイ、システムオーバーレイ、システム――』
一行だけチャットが流れてるけど、それ以外全部、六角形の赤い危険表示で何も見えなくなった。
「なんだ、なんだ!? 何も見えんぞ!?」
あわてて遮光ゴーグルを外す。
目の前には、面白自走カート。
『('_'):5号機、6号機に最適な命名を所望いたしますわぁー♪』
ポップアップする、マンガみたいな吹き出し。
そういや、そんなワガママ言ってたっけな。
けど、いきなり命名と言われても、こんな逼迫した状況で「以後なんたらと呼称する」とか怪獣映画みたいに、上手いこと名前なんて付けられるわけがない……いや、怪獣映画でいいか。
「5号機は緊急時の作戦立案が仕事らしいし――――うん、『作戦本部』でいいだろ。字余りなら『作戦部』で」
『('_'):5号機、拝命いたしましたわぁー。以後『作戦部』と呼称しまーす♪』
「緋加次君、ステキ!」
パチパチパチ♪
地味子が、ふざけてはやし立てる。
へへ、よせやい。あと、やっぱり君はやめろ。照れる。
あまりの緊迫した状況に、俺たちのテンションがおかしい。
「6号機はMR実行部の射撃特化版ってことなら……EW砲撃部てとこだけど……場合によっては武装機能を秘匿しなきゃならんから、『EW特科部』でっ!」
EWは電子戦の略。電波妨害から指向性エネルギー兵器全般、なんなら怪力線にも対応可能な略語だ。
そして特科部ってのは、砲兵とか関連車両なんかを扱う部隊の総称だったはず。
だいぶ前に流行った、現代戦略ストラテジー|(ゲーム)で覚えた言葉だが、間違ってはないだろ。
『('_'):エクセレントですわぁー❤』
「いやいや、いたって普通だろ」
『('_'):いーえ。ふつうちゃんにまかせたら、半年経過しても音沙汰無しでしたのよ?』
「う、うるさい! 並プロちゃん、うるさい! そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
――――ギュラララッ――――ゴッゴォォォォッ!
とうとう動き出した巨大重機が、脇目も振らずにコッチへ突進してきた!
ギャリリ、ギュウィーーーーーーーーン!
強力な回転力で、力まかせに旋回する巨大重機!
バギゴギ、ボッガァァァァァァァァン!
通路上空、爆発する店舗壁面。
「「ぎゃぁぁぁぁぁっ!」」
叫ぶ俺たち、腰を抜かしてへたり込む地味子。
爆煙が晴れた瓦礫表面――――ヒュパ♪
『('_'):先生はどうぞ、もう一度ゴーグルを装着してくださいませー』
〝AR電影部〟による、物体平面への映像投影。
言われるままに遮光ゴーグルを装着。
チキキキッ――――シシシシシシッ。
埋め尽くされてた危険表示が消えていく。
――――ヴゥオォォォォン♪
代わりに表示されたのは、見慣れたゲーム会社のロゴマーク。
『並列プロジェクトⓇPRESENTS
ひーぷだいん™ VS しんぎゅらんⓇ』
次に表示されたのは、なんかのゲームタイトル?
ひらがな部分が、ものすごい楽しそうに自己主張してるけど、いま遊んでる暇なんて無いよね?
遮光ゴーグルの向こうに透けて見える巨大重機が、再びノーブレーキで突進してきた!
ゲームタイトル(?)に気を取られてたから、さがるのが遅れた。
「痛てっ」「きゃっ」――キュロララララッ♪
俺は自走カートに膝カックンされ、カートに座り込んだ。
へたり込んだ地味子は、尻をカートに押され――
ボッガァァァァァァァァン――――バギギギギギッ!
細い通路に突っ込んだ分厚い板状の機体が、目の前で停止した。
「あ、ああああ、あっぶねー本当に死ぬとこだった! あぶねー!」
「わ、あわわわ、な、並プロちゃん、グッジョブ! た、助かったわー!」
まさに危機一髪の紙一重。面白カートを地味子がパワーアップしてなかったら、俺たちは死んでたかもしれん。
まあ、パワーアップされてなかったら、とっくに逃げられてたとも思うが、ソレはソレ、コレはコレだ。
『('_'):二人とも立って! 私の細腕では、二人も担いで走るなんて、二度と出来ませんでしてよ!?』
そうだ、並プロちゃん一式に詰んだバッテリーは自走するためのモノじゃない。
量子ネットワークと高性能通信環境を、維持する為の電力だ。
突っ込まれ、粉々に粉砕されるそば屋と、向い側の電子ペーパーを利用した最新鋭のオシャレ家具店。
ひしゃげた鉄骨が巨大重機を挟んだのか、キャタピラが空回りしてる。
『PUSH START BUTTON!』
ゲームタイトルロゴの下。表示される、操作を促す始まりの呪文。
『('_'):先生、反撃するならいまです。そうぞ、ご存分に♪』
チャット欄も、ソウ言っている。
ベルトに下げた小型鞄から、携帯用ゲームコンソールを取り出す。
――カシ、カパリ――チキッ♪
シャインレッドの筐体側面。
リンク先が変わるたび、LEDの色が切り替わる。
赤、青、黄色、もう一回、青を経由して、緑色の光が点灯したままになった。
『チュートリアル:緊急時ロックオンカーソルの使い方』
何でもイイよ。
巨大重機を。止められるモノなら止めてくれ。
あらわれた照準を、指示されたとおり、立ち往生する巨大重機に合わせてみた。
すると、小さな『+』から黄色い球形が広がっていく。
『('_'):先生、その範囲に居るとアプナイですわよ?』
チャットの言うことも、ちゃんと聞く。
自分で考えて行動するのは、システムを理解してからでイイ。
カートとカートにへばりつく地味子を引っ張り、そば屋の入口側の路地までさがった。
店内にも、もう誰もいないけど「避難は?」
『('_'):赤外線に私たち以外の反応はありませんわ』
「よし!」
遠慮無く、トリガーを引いた!
ボヴォヴォヴォヴォヴォヴォ、ココココゴヴァ――――♪
重低音が着弾地点から聞こえてきたと思ったら、ボギキュン!
小さな爆発音。
俺たちの目の前。
地面に立つ、緑色の長い一本足。
その緑色のサイコロの更に上には、開いた黒箱が設置されていた。
有線ケーブルで接続された黒箱からは、半透明の姿が立ち上っている。
デフォルメされたフォルムを描く、色気を感じる描線。
パステルカラーを基調にした流行の色彩設計。
長大な長物を携えるソレがコッチを振り向くと同時。
――――ギッギギギギギギギギィィィィィィィィ、ドズズズズズズズズズズズズムンンン!
巨大重機が真ん中から、ポッキリとへし折れた。
その力強いドヤ顔は少しウザかったけど、やはり勇ましくてかわいかった。
おそらく基礎部分に出来た、土塊がないだけの真っ暗な空間。
ブブブ、プーン、ピピピビィーーーーッ♪
その向こうから聞こえてくる、けたたましい電子音。
――――ギュララララッ、ゴゴン、ギュラララッラ、ギュギュラララララーーッ!
這い出てきたのは、巨大で平坦な機体。
形だけなら、パーツ受け取りに行った倉庫にもあった、クレーン搭載型の運搬用ロボットに似てなくもない。
前輪付きの足と後輪。その上に載ってるのは、少し厚みが有る板形状の本体。
ここまでデカいとロボットと言うよりは、愛車を停めた駐車ユニットに近い。
ビーーッ、ビーーッ、ビーーッ♪
キュルルルルゥィーーン――――通路中央に滑り込んできた機体が、ゆっくりと立ちあがる。
――――ゥゥゥゥゥウン、ガチンッガシンッ!
吹き抜けでソコソコ広い空間が、満杯になった。
「「「「「「うわー、にげろーー!」」」」」」
轟く怒声。
「「「「「「きゃぁぁぁぁぁっ!」」」」」」
防災扉をねじ切った破砕音に集まりかけていた群衆が、一斉に散っていく。
俺たちも避難したいところだが、並プロちゃんを置いてはいけない。
けど二人で〝台車オン台車〟なんてやってたら絶対逃げられないし、その台車もキャタピラに粉砕された。
どーする! 素性の知れない巨大重機は目の前だ。
ははは、どーしようもねー!
並プロちゃん主幹部だけでも死守しなけりゃ、本当に並列プロジェクトが終わる。
ソレがムリでも、なんとか地味子だけは無傷で逃がさなきゃならねえ。
人生始まって以来の大ピンチに、『死』の文字が脳裏に張り付く。
もー、体中ガタガタ震えて止まらねえけど――――ヤるんだよ。
震える手で、細い手をつかむ。
顔面蒼白の地味子が、呆けたように見つめてくる。
キュロロラッ――――自走式電動カートが俺たちの前に割り込んだ。
カート先端に陣取るのは、〝MR実行部〟。
半透明な銃口が、重機中央を狙う。
ギュキュイーーン、ギュキュイーー――――重機側面から伸びたカメラアームが、周囲を見渡していく。
なめるような動きは、索敵と言うよりは周囲の地形を測量しているように見える。
ギチチ――――ガチガチガチリッ!
小さな黒箱から突き出たレーザー機械腕が、悲鳴を上げている。
なんせ、スケール差は60倍近い。
「並プロちゃん、ココに居たら全員、お陀仏だ! 話はあとで聞く、いまは逃げよう――!?」
さっきも言ってたけど、この場所への謎のコダワリは巨大重機が出現するからで、しかもチーム並列プロジェクトの存続に関わりが有るらしい。
――うん、あとあと。まずは、いまある命を存続させなきゃ。
カートのハンドルをつかむが――――抵抗される。
2秒だけ待ってみたが、協力も返答もなく――――ギュンゥンゥゥ!
逆に俺を重機の方に、ひっぱる始末だ。
「しかたない、地味子! こうなったら主幹部だけでも担いで逃げるぞ! あとは手に持てるだけ持って避難だ!」
重機はカメラアーム以外の動きを停止している。逃げるなら、いましかない。
「ええ、え? は、はい! き、ききききょ、強制コード116。コール、『並列プロジェクト主幹部5847389Ttr:v0・000・5322367304/r1』!」
『('_'):ソレは聞けない相談ですわぁー。暴走車両を鎮圧可能な警備ロボットは35分後に到着予定ですのよ? それまでこんなのを放っておいたら、一体どうなるのかしらぁー?」
遮光ゴーグルに、チャットが流れてきた。
コレは並プロちゃんが表示してくれている。
ゴーグルから緊急無線ぽい音声も、かすかに漏れてきた。
あわてるオペレーターの怒声が、交錯している。
コレも並プロちゃんが傍受したのを流してくれているのだ。
「('_'):ふつうちゃん。封印を解いて、ナウ!』
同じ文面が並プロちゃん一式から、マンガの吹き出しみたいにポップアップした。
あっちはAR電影部による空間投影だ。裸眼の地味子にも見えている。
「もう、並プロちゃんは、こんな時にぃ――――勝算は!?」
地味子は、普段MR実行部がぶら下がってる髪留めに、手を伸ばした。
『('_'):私たちがフル稼働したら、負けるはずがありませんわぁー!』
もういちど巨大重機を見あげる。
まだカメラアームが、周囲を測量中だ。
キャタピラと車輪は格納され、時折、巨体を旋回させるために巨大な足がズシズシンと、地響きを響かせている。
アレに勝てる?
こんなちっさい小箱……6個だけで?
並プロちゃん達は嘘はつけない……まえに一回、怪しかったけど。
「並プロちゃん! アレはなんだ!? 並プロちゃんは知ってたのか、アレがN地点を襲撃するって!」
時間的余裕は無いが、並列プロジェクトと巨大重機の関係性を確かめずにはいられなかった。
『('_'):現在私たちは、不規則な不可避状況を予見した、緊急時戦術プロトコルにより、意思決定していますわぁ』
重機に関する返答はないが――
「おい地味子、緊急時戦術プロトコルってのぁ、なんだっ!?」
さらに、核心らしきものに迫る。
「稼働中の分散合意アルゴリズムの、人格診断みたいなモードですぅ!」
「人格診断モードォ? ソレがどうして未来の危険察知なんかするんだ?」
俺が原子回路に埋め込んだ命令構文に、そんなモードは付けてねえ。
実装したのは地味子で、並プロちゃんはその命令で動いている……基本的には。
「わかりません! 並列思考による各種弊害対策のため設計した、人格修復プログラム……のはずです!」
「人格修復プログラム……いやまて……〝的確に人間としての論理や規範や基本的な身体性〟を――維持するための機構か?」
それなら俺にも、身に覚えがあった。
並プロちゃん達みたいな人格を持つプログラムを構築するときの、土台となる考え方――強化学習するための方向性を初期設定し、子供が物心つくまで成長を見守る子守役みたいなの。
たしかにそんなヘッダファイルが、俺の原子回路にはインクルードされている。
どうも俺が定義した〝幼児教育みたいなモノ〟を維持する為の――――いわば〝世間体みたいなモノ〟を地味子も使っているようだ。
そして、そんな機構に突き動かされた並プロちゃんが、今のこの事態を予測し、更に目の前の巨大重機がどういうわけか、未来にわたり俺たちの外敵になると言っている。
――――ズシズシン!
こうしている間にも巨大重機は旋回し続け、もうすぐ一回転――――
「――――じゃあ並プロちゃん、〝不規則な不可避状況〟ってなんなんだよ!?」
『('_'):私たちを人格補正するための〝行動予測課程〟は、言語化することが非常に困難なため、詳細をお伝えすることは出来かねますわー』
「やい、地味子! あんなこと言ってるぞ!? 俺は並プロちゃんに、口座の管理を任されるくらいには信頼されてたんじゃないのかっ!?」
「ええー!? そんなこと言われても――あっ、ちょっと待って下さい。出力データに補足があります。えっと……『/※〝自己言及〟による精度低下が著しいため、〝緊急時戦術プロトコル〟により言動封鎖中』!?」
鱵ふつう認知工学博士が、舌打ちする。
「コラ、並プロちゃん、コラァー! 百歩譲って〝ワガママ〟を言うにしても、どうして私や緋加次代表まで、〝戦術〟対象に入ってるのーっ!?」
戦術プログラムの〝戦術〟は並プロちゃんたち、8つの人造人格構成要素に対するもので、その自身を正す補正が俺たちにも及んでいると――
「俺が俺たちが並プロちゃんだ」ってコトか? ……違うか。
さすが、最新鋭にして最高峰の人造人格。すっげーわかりづれー構造で動いてるな。
設計製作者の想定外の挙動。それは並プロちゃん達の〝自己改変〟が、順当に進んでいる証拠でもあるけど――
――――ズシズシィィン!
重機が一回転して、
ブブブ、プーン、ピピピビィーーーーッ♪
けたたましい電子音を奏でた。
ひとまず議論は切り上げる。
「んっと……〝直感〟! 並プロちゃんの直感ってコトでイイか!?」
「直感……?」
『('_'):直感、言い得て妙ですわー。さすが千木ZOR2先生♪』
☀
並プロちゃんの直感どおりに、俺たちの外敵が出現した。
そして、並プロちゃん達は、緊急時にワガママを言う。
オーケー、理解した。
☀
「せめて、そこの路地まで避難するぞ! 並プロちゃんも、それでいいだろ!?」
――――キュラルロロ♪
『('_'):先生ー、遅いですわよー。はやく素敵な命名と、起動キーの登録をお願いいたしますわー!』
ソバ屋入り口が有る細路地に、一目散に走り込んだ面白カートがなんか言ってやがる。
「あのあの、えっと代表、いえ――緋加次君っ!」
ずっと手を引かれてた地味子が、立ち止まる。
ひかじくん? 別にかまわんけど……どうしたこんな時に!?
「こ、この子達は……決して悪用しようとか、軍需産業に手を染めようと開発したわけじゃなくて、えっとその――――」
イリーガルな個別機能の話か。
「大丈夫、俺も開発者だからわかるって。並プロちゃん達も、ソレを作ったオマエのことも信用してる!」
「ひ、緋加次君……やだっ、珈琲先輩のくせにカッコイイ❤」
だからどうした、いい年の青年に対して。せめて〝君〟はやめねえか?
コッチの耳まで熱くなってくる。あと、珈琲先輩のくせにとか言うな。
「もし万が一、悪さをしようってんなら、業務提携契約に則って俺も同罪だ。全身全霊を掛けて、潰してヤるから安心しろ。ソレがムリなら、俺も悪事に手を染める。そんくらいの覚悟は、契約書にサインしたときから出来てる」
よし、面白カートにとりついたぞ。さあ、どうすりゃイイ?
耳を真っ赤にした地味子がよこしたのは、穴が開いた黒い板。
並プロちゃんをいつもぶら下げてた髪留めだ。
「6?」
黒板には数字が書かれている。
ジャカッ――――ゴトリッ!
地味子がカートから格納筐体を引き抜いて、天板の上に置いた。
――カチャッ♪
そして、5と書かれたもう一枚の板を、バタフライナイフみたいに開く。
中から出てきたのは小刀ではなく、電子錠。
「下のボタンを押しながら差し込んで、ちょっと左に回してから右に回してください」
長めで高剛性のジュラルミン製の筐体。
2機体を取り出すには、両端に付いたシリンダー錠を同時に操作しないといけないらしい。
大企業向けのサーバーなんかにもたまにあるけど、映画みたいですこし緊張する。
「軽く左に回して待機、カウントゼロで力一杯右に回してください――――3、2、1」
言われたとおりに、力一杯回した。
――――ガチリッ!
シュシュッ、小さな排気音。
蓋が自動的に開かれ、中から黄色と緑のサイコロ(サイの目はない)が姿を現した。
地味子が5号機を、高性能映像ケーブルで主幹部に接続していく。
見よう見まねで6号機を、MR実行部に接続した。
すると5号機の背面に、テンキーが現れた。
即座に入力される数字。
そして、6号機の背面にも手回し式のダイヤルが現れた。
コッチのは、古い黒電話なんかのと同じアナログ式。
形状の違いは今はどうでも良い。
「パスコードなんて知らん」ぞ?
ピピッ♪
ダイヤルがパタリと閉じてしまった。
「あー!」
焦る俺に「初回入力時は、お好きな数字を入力してください」と優しく声が掛けられる。
だから、その隔壁並みに分厚い信頼はどこから……まあイイけど。
――パシャ。再び現れる筐体と同じ色のダイヤル。
ただし、入力したコードを絶対に忘れないでください!
それと、書き留めることも厳禁ですので!
なんて、厳しい注釈が付け足される。徹底的に保全管理しろというわけだな。
オーケー。アナログ式のヤイヤラーを、ジーコロコロ、ジジーコロコロロとまわした。
電子音は無し。閉じられるダイヤル。
ヴィ――――視界中央に赤いパネルが出現した。
ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィ、ヴィ――――――――ッ♪
謎のパネルが増殖し、視界全てが埋め尽くされた。
『('_'):システムオーバーレイ、システムオーバーレイ、システム――』
一行だけチャットが流れてるけど、それ以外全部、六角形の赤い危険表示で何も見えなくなった。
「なんだ、なんだ!? 何も見えんぞ!?」
あわてて遮光ゴーグルを外す。
目の前には、面白自走カート。
『('_'):5号機、6号機に最適な命名を所望いたしますわぁー♪』
ポップアップする、マンガみたいな吹き出し。
そういや、そんなワガママ言ってたっけな。
けど、いきなり命名と言われても、こんな逼迫した状況で「以後なんたらと呼称する」とか怪獣映画みたいに、上手いこと名前なんて付けられるわけがない……いや、怪獣映画でいいか。
「5号機は緊急時の作戦立案が仕事らしいし――――うん、『作戦本部』でいいだろ。字余りなら『作戦部』で」
『('_'):5号機、拝命いたしましたわぁー。以後『作戦部』と呼称しまーす♪』
「緋加次君、ステキ!」
パチパチパチ♪
地味子が、ふざけてはやし立てる。
へへ、よせやい。あと、やっぱり君はやめろ。照れる。
あまりの緊迫した状況に、俺たちのテンションがおかしい。
「6号機はMR実行部の射撃特化版ってことなら……EW砲撃部てとこだけど……場合によっては武装機能を秘匿しなきゃならんから、『EW特科部』でっ!」
EWは電子戦の略。電波妨害から指向性エネルギー兵器全般、なんなら怪力線にも対応可能な略語だ。
そして特科部ってのは、砲兵とか関連車両なんかを扱う部隊の総称だったはず。
だいぶ前に流行った、現代戦略ストラテジー|(ゲーム)で覚えた言葉だが、間違ってはないだろ。
『('_'):エクセレントですわぁー❤』
「いやいや、いたって普通だろ」
『('_'):いーえ。ふつうちゃんにまかせたら、半年経過しても音沙汰無しでしたのよ?』
「う、うるさい! 並プロちゃん、うるさい! そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
――――ギュラララッ――――ゴッゴォォォォッ!
とうとう動き出した巨大重機が、脇目も振らずにコッチへ突進してきた!
ギャリリ、ギュウィーーーーーーーーン!
強力な回転力で、力まかせに旋回する巨大重機!
バギゴギ、ボッガァァァァァァァァン!
通路上空、爆発する店舗壁面。
「「ぎゃぁぁぁぁぁっ!」」
叫ぶ俺たち、腰を抜かしてへたり込む地味子。
爆煙が晴れた瓦礫表面――――ヒュパ♪
『('_'):先生はどうぞ、もう一度ゴーグルを装着してくださいませー』
〝AR電影部〟による、物体平面への映像投影。
言われるままに遮光ゴーグルを装着。
チキキキッ――――シシシシシシッ。
埋め尽くされてた危険表示が消えていく。
――――ヴゥオォォォォン♪
代わりに表示されたのは、見慣れたゲーム会社のロゴマーク。
『並列プロジェクトⓇPRESENTS
ひーぷだいん™ VS しんぎゅらんⓇ』
次に表示されたのは、なんかのゲームタイトル?
ひらがな部分が、ものすごい楽しそうに自己主張してるけど、いま遊んでる暇なんて無いよね?
遮光ゴーグルの向こうに透けて見える巨大重機が、再びノーブレーキで突進してきた!
ゲームタイトル(?)に気を取られてたから、さがるのが遅れた。
「痛てっ」「きゃっ」――キュロララララッ♪
俺は自走カートに膝カックンされ、カートに座り込んだ。
へたり込んだ地味子は、尻をカートに押され――
ボッガァァァァァァァァン――――バギギギギギッ!
細い通路に突っ込んだ分厚い板状の機体が、目の前で停止した。
「あ、ああああ、あっぶねー本当に死ぬとこだった! あぶねー!」
「わ、あわわわ、な、並プロちゃん、グッジョブ! た、助かったわー!」
まさに危機一髪の紙一重。面白カートを地味子がパワーアップしてなかったら、俺たちは死んでたかもしれん。
まあ、パワーアップされてなかったら、とっくに逃げられてたとも思うが、ソレはソレ、コレはコレだ。
『('_'):二人とも立って! 私の細腕では、二人も担いで走るなんて、二度と出来ませんでしてよ!?』
そうだ、並プロちゃん一式に詰んだバッテリーは自走するためのモノじゃない。
量子ネットワークと高性能通信環境を、維持する為の電力だ。
突っ込まれ、粉々に粉砕されるそば屋と、向い側の電子ペーパーを利用した最新鋭のオシャレ家具店。
ひしゃげた鉄骨が巨大重機を挟んだのか、キャタピラが空回りしてる。
『PUSH START BUTTON!』
ゲームタイトルロゴの下。表示される、操作を促す始まりの呪文。
『('_'):先生、反撃するならいまです。そうぞ、ご存分に♪』
チャット欄も、ソウ言っている。
ベルトに下げた小型鞄から、携帯用ゲームコンソールを取り出す。
――カシ、カパリ――チキッ♪
シャインレッドの筐体側面。
リンク先が変わるたび、LEDの色が切り替わる。
赤、青、黄色、もう一回、青を経由して、緑色の光が点灯したままになった。
『チュートリアル:緊急時ロックオンカーソルの使い方』
何でもイイよ。
巨大重機を。止められるモノなら止めてくれ。
あらわれた照準を、指示されたとおり、立ち往生する巨大重機に合わせてみた。
すると、小さな『+』から黄色い球形が広がっていく。
『('_'):先生、その範囲に居るとアプナイですわよ?』
チャットの言うことも、ちゃんと聞く。
自分で考えて行動するのは、システムを理解してからでイイ。
カートとカートにへばりつく地味子を引っ張り、そば屋の入口側の路地までさがった。
店内にも、もう誰もいないけど「避難は?」
『('_'):赤外線に私たち以外の反応はありませんわ』
「よし!」
遠慮無く、トリガーを引いた!
ボヴォヴォヴォヴォヴォヴォ、ココココゴヴァ――――♪
重低音が着弾地点から聞こえてきたと思ったら、ボギキュン!
小さな爆発音。
俺たちの目の前。
地面に立つ、緑色の長い一本足。
その緑色のサイコロの更に上には、開いた黒箱が設置されていた。
有線ケーブルで接続された黒箱からは、半透明の姿が立ち上っている。
デフォルメされたフォルムを描く、色気を感じる描線。
パステルカラーを基調にした流行の色彩設計。
長大な長物を携えるソレがコッチを振り向くと同時。
――――ギッギギギギギギギギィィィィィィィィ、ドズズズズズズズズズズズズムンンン!
巨大重機が真ん中から、ポッキリとへし折れた。
その力強いドヤ顔は少しウザかったけど、やはり勇ましくてかわいかった。
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