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3:ダンジョンクローラーになろう

272:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、イオノファラー切断

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 さて、二人ふたりだけになった。

「――店主テンシュドノ、ココでワレはナニをすれば良いのだ?――」
「ん――ぅ? リオレイニア……いゎ……しろぃのとか、ざん……あかぃのとか、黄緑色きみどりいろのがあつまって間取まどりを詰めてるから、ソレを聞いて――」

 カシャ――『(Θ_Θ)』
「そうわねー。出来でき範囲はんいでイーからさ、ダンジョンの模様替もようがえをおねがいしたいわぁーねぇー
 ヴォォォォン♪

 おまえさまも居たか。
 めし支度時したくどきに、かまどに張りついてなくて良いのかぁー?

 ふぉふぉふぉふぉふぉぉん♪
 ヴユパァァッ――――!
 ひかる美の女神めがみが、絵で板エディタをひろげた。

「グギャゥォォォォゥッ――――!?」
 どすどすと起きあがる火龍かりゅう……名前なまえなんだっけ?

 ふぉん♪
『>火龍ゲートルブです。龍の口形状により彼が発音するとゲートルーブとなるようですが、共用語の表記上は〝ゲートルブ〟となります』

「〝牙江戸瑠伏げえとるぶ〟……呼びづれぇな」
「ゲートルブどノ、コレは攻撃魔法こうげキまほうではアりまセん。言うなれば建築魔法けんチくまほう
 おまえもいたな。

「――ゴギャーァ……建築魔法ケンチクマホウとな。ではワレのダンジョンスキルとおなじ、ツチ魔法マホウに似たモノか?――」
「ゲートルブちゃんわぁー、エリアボスなぁのぉよぉねぇー。ならそーかんがえてもらってー、かまわないわよおぉーん
 わからんが、やっぱり言いづれぇ。

「〝牙江戸瑠伏げえとるぶ〟は呼びづれぇんだが、もうすこしみじかくならんかぁ?」
「そーお? じゃぁねぇー、ゲールってどう? つよかぜって意味いみだけ……」
「――ツヨカゼ……ふむ、気に入った。ゲートルーブでもゲールでも好きに呼ぶが良い――」

 しゅるる――――ヴォォン♪
 かみに挿しといたかんざしが、自分じぶんででほどけて浮かびあがった。

火龍かりュうゲールどノ、わたシハ美の女神めガみイオノファラーノ眷属けんゾくにシて、このシガミーにつカエるアーティファクト迅雷ジンライでス。以後いゴ見知みシりおキ

「――飛ぶボウが、しゃべった!?――」
 飛ぶ大蜥蜴おおとかげがしゃべるよりは、めずらしくねぇとおもうが。

「ところでさー、はなしは変わるんだけどさーぁ?」
 ヴォォォンッとゲールに詰めよる、いお女神はら
「おい、あんまりはなしをややこしくするなよ」

「うふふ、このダンジョンにはさ――アレないのアレ
 美の女神めがみ下卑げびわらいを浮かべて、まるで小銭こぜにをもてあそぶような仕草しぐさをした。
 そのがらわるさは、おまえさまのひと……かみとなり・・・ただしくつたえてるけど、「(それ、やめろ)」。
 どこぞの食客しょっきゃくか、無宿人むしゅくにんにしかみえん。

「――アレとハ――」
「アレはアレよ――ダンジョンって言ったらさー、一番下いちばんしたに住んでるでっかいのをたおしたらさっ、出るじゃんかぁ――おったからちゃんがさぁっ♪」
 れいのおにぎりそっくりの小躍こおどりが、またはじまった。
 うん、そっちのほうがまだ良い。
 おまえさまの神となり・・・・も、新入りゲールに良ぉーくつたわるだろうよ。

「――おタカラ……ダンジョンナイで採れた、希少キショウ鉱石コウセキのコトか?――」
「そう! それよっ!」

「――たしかにレア度のタカ鉱石コウセキ強者キョウシャアカシとして、シタ階層カイソウハコばれてくる。そしてイマはワレが溜めている――」

「だして、だして! もうねゲールちゃんもさ、我が猪蟹屋ししがにや社員しゃいんなんだからさっ! スベテのおたからわぁー、まず一度いちど、あたくしさまが徴収ちょうしゅうしまぁぁすぅ♪」
「おいやめろっ――――ゴガンッ!」
 おれはこしかわベルトに差しといた小太刀こだちで、浮かぶたまをひっぱたいてやった!

鞘打さやうちなのは、せめてものなさけだ。おまえさまは食い意地張いじはった惡神わるがみだが、悪党あくとーじゃあねぇだろうがっ!」
 これはゆずれねぇ。
 おれもひとのことは言えねぇ。
 破戒無慙はかいむざんさけおんな博打ばくちも、お手のもんだ。
 いくさで首級くびを取ったのも、一度いちど二度にどじゃきかん。

 それでも、したがえた雑兵ぞうひょうからものをかすめ取るようなマネだけは、やっちゃいねぇ。
 僧侶そうりょ……破戒僧はかいそうってのをなしにしても、これは駄目だめだぜ。

ったいわねぇー! なんてコトすんのよ、プロジェクションBOTボット筐体カウルへこんじゃったじゃないっ
 やっぱり、こいつぁードコかおさない。
 神々かみがみなかには、そー言うヤツも五万ごまんと居るが――

ぁっっっーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!! やかーしぃーやぁっ、これはひととしての誠意せいいはなしだぁ!」
 今生こんじょう最大さいだいはつをくれてやった!
 ビリビリとふるえる子供シガミーからだ
 自分てめぇみみいてぇが、どーにか耐えた。

「っち――j☆fj∮んkぇb、――ブッツンッ!」
 けど――浮かぶなんたら・・・・いうたまは、一喝いっかつに耐えられなかったらしく。
 ゴチンッ!
 地に落ちて――うごかなくなった。

「――シガミー、イオノファラーとの接続リンク切断せつだんされまシた――」
 ふぉん♪
『>復旧するには女神像なら500メートル、超女神像なら約5㎞の強電界圏内へ移動する必要があります』

「あぁー? なんでぇい軟弱なんじゃくな! けどいまのは、アイツがわりぃ。たとえ魔物まものでも一度いちど主従しゅじゅうちぎりりをむすんだからには――」
 ふりかえると――
 火龍かりゅうがひっくりかえってた。
 おれの剣幕けんまく服従ふくじゅうの意をしめした――わけじゃなくて。
 本当ほんとうに……目をまわしてやがる。

何奴どいつ此奴こいつきたかたが、なっちゃいねぇっ! そのてん、おれの迅雷あいぼうはピンピンしてて、えらいぞ!」
「イえシガミー、わたシ電磁でんジノイズヲソうサイするタめ、EMSイーエムえスシールドにぜンデンりょクを……ショウ費しテ……シ――」
 ヴゥゥゥ――――カラランッ!

 おれは迅雷ジンライめし神力棒しんりょくぼうを取りに――仮の拠点キャンプへ掛けこんだ。

ーーー
破戒無慙/定められた戒律を破ってなお恥じず、良心が咎めないこと。
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