三世町には絶対に住むな！

第5話 眠り

　昨夜は一睡も眠れなかった。大学で佐江ちゃんと出くわすと、三世街から出て行ったほうがいいと。でも、わたしは否定した。
　せっかく自分が選んだ場所であり、近隣の人たちはみんな優しい人だし、悪い人はいない。ただ、自分のスマホがおかしくなったのかもしれない。


　そう結論つけて、携帯ショップにスマホを直している。佐江ちゃんは「早く出たほうがいい」と何度も言われた。


　スマホがないから、暇なときは読書か寝るしかない。夜の9時だ。やることもないし、もう寝ることにしよう。電気を消して布団に丸まった。




　夢を見た。
　とても心地良い夢。陽だまりのような温かさに包まれ。誰かの膝枕で寝てて周りはきれいなお花畑に囲まれている。妖精さんたちが遊ぼうと言ってきた。

　わたしは妖精さんたちと遊ぶことに。
　お花を摘んで冠にしたり、指輪にしたり、大人になるにつれ消えていった子供の無邪気さが戻ってきた。


　高揚してお花畑を駆け回る。楽しい。まるで、お姫様になった気分だ。



　目が覚めると知っている部屋。自分の部屋だ。起きてみても現実味がない。まだ体がふわふわ浮いている。あぁ……あれは夢だったのか。まだ、見てみたかったな。また、見れるだろうか。


　あの夜、寝れなかったせいで、ぐっすり眠れた。体が異常なまでに軽い。