59 / 78
再々
第59話 晴れ
しおりを挟む
図書館から近いファミレスで昼食をとることに。四葉さんは蕎麦を。俺はカツ丼にした。昼飯時もあって人も多い。ガヤガヤと賑わってる。ガラガラ空いてる田舎とは大違い。
「ここ、多いすね」
話しかけると返事がなかったから顔を上げてもう一度話しかけてみた。
「昼飯時もあって人多いすね」
再度話しかけたらようやく反応してくれた。きっと周りの音で俺の声が届かなかったのだろう。
「え? あ、うん。わたしもここ初めてきた」
「今度行きつけのトコ行ってみたいべ、じゃなかった、です」
まずった。都会の大ど真ん中で田舎語喋ったら変な目見られるかも。この方言は封じないといけないのについつい出てしまうべ。
四葉さんは何か喋りたそうに口をパクパクしながらも、ポツリと呟いた。今まで聞いたことない弱弱しい声。
「今度、バイトじゃない日に行こう。だから」
「あー! ラインの交換! 都会では仲良くなったらまずそれをするのが定番だったんべ! 四葉さんとは部活の先輩だしな、何で忘れてんだ」
俺はポケットからスマホを取り出す。四葉さんも慌てて鞄からスマホを取り出した。お互いのスマホを翳し、俺のスマホの中に四葉さんの連絡先が入った。
数少ない連絡先の中に四葉さんの名前と可愛らしい動物のアイコン。
「これ、可愛いすね」
「か、飼ってる猫。ミナていうの」
「猫飼ってるんすね。実家は犬べ」
実家で飼っている老犬の雑種犬の写真を四葉さんに見せる。茶色で毛先は白いよく近所から狐だっていわれる。ケージの布団の中で丸まって寝ている写真。
「わ、可愛い」
「ふっふっ、近所の子供から大人気なんべ。噛まないし、懐くし」
「へぇ~噛まないんだ。じゃあミナを連れて行ってもいいのね。わたし、全然猫派寄りじゃないから犬派もいけるし」
「ん?」
「あ、こっちの話だから! 気にしないで!」
四葉さんはスマホを大事そうに握りしめて恍惚に笑った。
人も多くなって外で並ぶ人も出てきた。ご飯も食べたし長居すれば後の人たちが困るだろう。会計を済ませて外へ出る。
「すいません。お金、出してもらって」
「全然いいよ。バイトやりながら節約してる子に出せなんて言う先輩じゃないからね」
ふふっと四葉さんは笑ってくれたがお金は後々尾を引く。
「今度、奢らせてください」
「え、それはデートの誘い?」
四葉さんは目をうるうるさせて上目遣いで言ってきた。
「で、で~と……」
あ、あれ? そんな誘い方だったか? 今度奢らせてくれ=どっか二人で遊びに行く、ということはこの言葉の解釈でいえば確かにこれはデートの誘いだ。無自覚でデートの誘っちまった。俺が言葉の咀嚼をしている間に四葉さんは話を続けてきた。
「えっと、じゃあ来週の土曜日で。二人きりで。みんなには内緒ね」
唇に人差し指を翳して四葉さんは今まで見たことないほど幸せに笑った。う、うわー! デートの約束までしちまった。どうしよ。そんな大人ぽいやり方できねぇべ。
店を出て再び暑さに晒される。ちょっと動いただけでも汗をかいている。鉄板の上にいるかのような暑さで頭上では太陽とミンミンゼミがけたましく鳴る。まるで、合戦のように鳴り響く。
デートの話だけで頭がいっぱいだ。来週はどうするかもんもんと考えていると背後から忍び寄る影が。
「お、そこにいんのはろくろっちとパイセン⁉」
この高い声は振り向かなくても知っている。振り向くと案の定、奴らは揃いも揃ってる。こんな都会で大勢がいる街中で誰も学校の人とはあっていないのに何故、この二人とは鉢合わせるのか。
「伊礼くんに琉巧くん」
四葉さんが小さく手を振った。
二人は人を避けながらこちらに寄る。
伊礼は金髪さながらにアロハシャツにサンダル、グラサンかけて何処かのチンピラのような格好。対して隣にいる琉巧は今流行りの黒いシャツに肩にウエストポーチをかけている。ピアスもしてて大人ぽい。
「二人して何何? デートとか?」
「お前らこそ二人してこんなところであうとは思わなかった」
伊礼はニヤニヤしグラサンを額の上にあげた。つぶらな瞳が出てくる。
「へぇ。そんな仲良かった? あ、もしかして邪魔だっかな? 僕たちは普通に買い物だよ」
琉巧も細目で笑っている。揶揄っているな。仲良いのは本当じゃがまるで恋人のように扱われたらそりゃ、四葉さんが一番困るだろ。勘違いをされたら四葉さんが可哀想べ。
「こらこら! 勘違いしてはならんべ! 俺と四葉さんは仲のいい先輩後輩だべ」
「ふーん」
「ほぉ」
伊礼と琉巧は適当に流す。立ち話もなんだし、どこか涼しい場所に。
「ほーん。そんならろくろっちのボロアパート行くぜ!」
「はっ⁉」
有無を言わさずに三人は街から出ようとしている。まるで意図してきたかのような段取りと軽快な足取り。
「おいおいおい! 待ち!」
三人のあとを追う。びっくりして体が動けなかった。なんで涼しむ場所が俺んボロアパートなんだ。エアコンもないべ。
「ここ、多いすね」
話しかけると返事がなかったから顔を上げてもう一度話しかけてみた。
「昼飯時もあって人多いすね」
再度話しかけたらようやく反応してくれた。きっと周りの音で俺の声が届かなかったのだろう。
「え? あ、うん。わたしもここ初めてきた」
「今度行きつけのトコ行ってみたいべ、じゃなかった、です」
まずった。都会の大ど真ん中で田舎語喋ったら変な目見られるかも。この方言は封じないといけないのについつい出てしまうべ。
四葉さんは何か喋りたそうに口をパクパクしながらも、ポツリと呟いた。今まで聞いたことない弱弱しい声。
「今度、バイトじゃない日に行こう。だから」
「あー! ラインの交換! 都会では仲良くなったらまずそれをするのが定番だったんべ! 四葉さんとは部活の先輩だしな、何で忘れてんだ」
俺はポケットからスマホを取り出す。四葉さんも慌てて鞄からスマホを取り出した。お互いのスマホを翳し、俺のスマホの中に四葉さんの連絡先が入った。
数少ない連絡先の中に四葉さんの名前と可愛らしい動物のアイコン。
「これ、可愛いすね」
「か、飼ってる猫。ミナていうの」
「猫飼ってるんすね。実家は犬べ」
実家で飼っている老犬の雑種犬の写真を四葉さんに見せる。茶色で毛先は白いよく近所から狐だっていわれる。ケージの布団の中で丸まって寝ている写真。
「わ、可愛い」
「ふっふっ、近所の子供から大人気なんべ。噛まないし、懐くし」
「へぇ~噛まないんだ。じゃあミナを連れて行ってもいいのね。わたし、全然猫派寄りじゃないから犬派もいけるし」
「ん?」
「あ、こっちの話だから! 気にしないで!」
四葉さんはスマホを大事そうに握りしめて恍惚に笑った。
人も多くなって外で並ぶ人も出てきた。ご飯も食べたし長居すれば後の人たちが困るだろう。会計を済ませて外へ出る。
「すいません。お金、出してもらって」
「全然いいよ。バイトやりながら節約してる子に出せなんて言う先輩じゃないからね」
ふふっと四葉さんは笑ってくれたがお金は後々尾を引く。
「今度、奢らせてください」
「え、それはデートの誘い?」
四葉さんは目をうるうるさせて上目遣いで言ってきた。
「で、で~と……」
あ、あれ? そんな誘い方だったか? 今度奢らせてくれ=どっか二人で遊びに行く、ということはこの言葉の解釈でいえば確かにこれはデートの誘いだ。無自覚でデートの誘っちまった。俺が言葉の咀嚼をしている間に四葉さんは話を続けてきた。
「えっと、じゃあ来週の土曜日で。二人きりで。みんなには内緒ね」
唇に人差し指を翳して四葉さんは今まで見たことないほど幸せに笑った。う、うわー! デートの約束までしちまった。どうしよ。そんな大人ぽいやり方できねぇべ。
店を出て再び暑さに晒される。ちょっと動いただけでも汗をかいている。鉄板の上にいるかのような暑さで頭上では太陽とミンミンゼミがけたましく鳴る。まるで、合戦のように鳴り響く。
デートの話だけで頭がいっぱいだ。来週はどうするかもんもんと考えていると背後から忍び寄る影が。
「お、そこにいんのはろくろっちとパイセン⁉」
この高い声は振り向かなくても知っている。振り向くと案の定、奴らは揃いも揃ってる。こんな都会で大勢がいる街中で誰も学校の人とはあっていないのに何故、この二人とは鉢合わせるのか。
「伊礼くんに琉巧くん」
四葉さんが小さく手を振った。
二人は人を避けながらこちらに寄る。
伊礼は金髪さながらにアロハシャツにサンダル、グラサンかけて何処かのチンピラのような格好。対して隣にいる琉巧は今流行りの黒いシャツに肩にウエストポーチをかけている。ピアスもしてて大人ぽい。
「二人して何何? デートとか?」
「お前らこそ二人してこんなところであうとは思わなかった」
伊礼はニヤニヤしグラサンを額の上にあげた。つぶらな瞳が出てくる。
「へぇ。そんな仲良かった? あ、もしかして邪魔だっかな? 僕たちは普通に買い物だよ」
琉巧も細目で笑っている。揶揄っているな。仲良いのは本当じゃがまるで恋人のように扱われたらそりゃ、四葉さんが一番困るだろ。勘違いをされたら四葉さんが可哀想べ。
「こらこら! 勘違いしてはならんべ! 俺と四葉さんは仲のいい先輩後輩だべ」
「ふーん」
「ほぉ」
伊礼と琉巧は適当に流す。立ち話もなんだし、どこか涼しい場所に。
「ほーん。そんならろくろっちのボロアパート行くぜ!」
「はっ⁉」
有無を言わさずに三人は街から出ようとしている。まるで意図してきたかのような段取りと軽快な足取り。
「おいおいおい! 待ち!」
三人のあとを追う。びっくりして体が動けなかった。なんで涼しむ場所が俺んボロアパートなんだ。エアコンもないべ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる