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再々
第51話 巡り合う
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時は26世紀。
ひだまりの陽光が降り注ぐ春。温かくて桜がヒラヒラと風に揺られて散っていく。地面に散らばった桜の花弁は桜色の絨毯のように広がっている。そこを踏むものはいない。
雪の草原ならぬ、桜色の草原のように広がるそこは圧巻するほど美しい。
花弁がハラハラと散っていく景色と静かな風を肌と目で感じ、呆然と眺めていると一人の女の人がその草原に足を踏み入れた。サクッサクッと桜色の絨毯を踏み抜いていく。
まだ誰も踏み入れてない絨毯は音がして、そこに足跡が残る。
おいおい東京もんはこんなすんばらしい景色を踏み抜くほど度胸さ強えんだな! その場で固まって去っていく女性の後ろ背をずっと眺めてた。
腰まであるストレートの長い髪の毛。黒い髪の毛は艶があって、樹木の隙間から溢れる陽光の日差しから玉のように光っている。
制服姿でもわかるスレンダーで足がモデルのように細くて長い。黒いストッキングが長い足を隠すよう。でも一瞬だけど、通り過ぎたとき、女性の顔はやたら整っているくせに、なぜかこの世を飽きた退屈そうな、悲しそうな顔をしていた。
はっ、そうだ。いけねぇ初日から遅刻するわけにいけねぇ! 東京の学校に進学するために田舎から上京し中々お目にかかれない田舎とは違った都会の、それまでの常識を覆すルールと景色に圧巻され、やや一日目で疲れてるが、高校生活だけはどうせなら夢を叶えたい。
わざわざど田舎から上京し都会で住むのは、俺には叶えたい夢がある。それは『都会の高校キャンパスライフを謳歌したい』からである!
漫画やアニメとか、都会の高校キャンパスライフは男女とイチャイチャしたり彼女できたり、三角関係にもなったり、そういうのど田舎では経験できないからな!
さて、俺の名前は戸村 六路。都会に憧れてど田舎から上京した平凡な人間。趣味は特になし。特技は弓を射ることくらいかな。弓道部があれば入ると思う。
入学式に無事間に合いそわそわと落ち着かなくキョロキョロしていると右後ろからトントンと肩を叩かれた。振り返るとブニッと頬が指に食い込んだ。
「あはは、ごめん。あまりにもガチガチになってたから緊張を解そうかな~と思って」
謝罪は述べているがヘラヘラ笑っているので悪いと思っていないが、こういうのは男じゃなくて女にやられたかった!
「悪いて思ってないだろ。あとこういうのは、女の子にやられたかった! 俺の周り、女子さいねぇけどさっ! 女の子から声かけられたかった‼」
「うわーすごい人発見。見てよ琉巧」
「お前変な人間捕まえすぎだろ」
琉巧と呼ばれた男子生徒は呆れてため息ついた。
すると司会の人が「生徒会長からの挨拶です」と号令がかかると、会場がたちまち、しん、となった。気がする。からかってきた男子生徒も口を閉ざし、前を見ろと言わんばかりに顎をしゃくる。
言われんくても分かってるべ。
ほとんどそっぽを向く感じで前を向く。
すると、壇上には朝、桜色の絨毯を踏み抜いた女性が立っていた。そういえばあれ、この学校の制服なのか。その人は壇上に立つや、先にマイクをいじり、次にこちらに視線を向けた。
『新入生の皆さん、おはようございます。生徒会長の柴 四葉です。冬から温かい日差しへ心地いい季節になりました。あなたたちに出会えることをわたしたちはずっと歓迎してました。新たな一歩を踏み出した新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます……』
マイク超しなのに心地いい声。
冷たい顔と裏腹にその声は神経に入っても痛くない、心地よく、まるで抱きしめるような優しい声で俺たち全員に目配らせながら挨拶を告げている。俺は壇上の上をただただ見上げてた。魅入られてた。
やがて挨拶が終わると柴四葉生徒会長は一礼して壇上から立ち去る。
壇上から立ち去って先生たちと同じ席に座てる。ニコリとも笑わないのを見て、モヤモヤ感じた。笑わせよう、なんて思うことも。
それから入学式が終わり各教室へ。
さて、この教室で夢のキャンパスライフを送る一歩だ――束の間の……
「何でお前らがいるんじゃ」
「うひょ、同クラでいいじゃん!」
「頼」
俺と同じ教室にあの男子生徒二人がいて、しかも席が近い。
「こーいうのは女子と再会&キャキャうふふじゃねんの⁉ 何か思ってたとの違うべ!」
愕然と膝をつく俺を見てケラケラ笑う。
金髪で鼻や唇にピアスをいれてる自称真面目だぞと言う見た目ヤンキーでしかない男、伊礼。最初に声をかけたやつ。
そして一見クールな見た目をしてて顔が整っているほうが琉巧。だが、そいつがスマホ片手に話している内容は「昨日別れた女しつこいから殴った」とか「こんなくっそつまんないのYouTubeとかマジ無能」話す内容が悪質。
夢のキャンパスライフは男友達からなのか。
まあ、これからだよぁ。うん。男友達とか学生時代にゃ大事なものだもんな。
ひだまりの陽光が降り注ぐ春。温かくて桜がヒラヒラと風に揺られて散っていく。地面に散らばった桜の花弁は桜色の絨毯のように広がっている。そこを踏むものはいない。
雪の草原ならぬ、桜色の草原のように広がるそこは圧巻するほど美しい。
花弁がハラハラと散っていく景色と静かな風を肌と目で感じ、呆然と眺めていると一人の女の人がその草原に足を踏み入れた。サクッサクッと桜色の絨毯を踏み抜いていく。
まだ誰も踏み入れてない絨毯は音がして、そこに足跡が残る。
おいおい東京もんはこんなすんばらしい景色を踏み抜くほど度胸さ強えんだな! その場で固まって去っていく女性の後ろ背をずっと眺めてた。
腰まであるストレートの長い髪の毛。黒い髪の毛は艶があって、樹木の隙間から溢れる陽光の日差しから玉のように光っている。
制服姿でもわかるスレンダーで足がモデルのように細くて長い。黒いストッキングが長い足を隠すよう。でも一瞬だけど、通り過ぎたとき、女性の顔はやたら整っているくせに、なぜかこの世を飽きた退屈そうな、悲しそうな顔をしていた。
はっ、そうだ。いけねぇ初日から遅刻するわけにいけねぇ! 東京の学校に進学するために田舎から上京し中々お目にかかれない田舎とは違った都会の、それまでの常識を覆すルールと景色に圧巻され、やや一日目で疲れてるが、高校生活だけはどうせなら夢を叶えたい。
わざわざど田舎から上京し都会で住むのは、俺には叶えたい夢がある。それは『都会の高校キャンパスライフを謳歌したい』からである!
漫画やアニメとか、都会の高校キャンパスライフは男女とイチャイチャしたり彼女できたり、三角関係にもなったり、そういうのど田舎では経験できないからな!
さて、俺の名前は戸村 六路。都会に憧れてど田舎から上京した平凡な人間。趣味は特になし。特技は弓を射ることくらいかな。弓道部があれば入ると思う。
入学式に無事間に合いそわそわと落ち着かなくキョロキョロしていると右後ろからトントンと肩を叩かれた。振り返るとブニッと頬が指に食い込んだ。
「あはは、ごめん。あまりにもガチガチになってたから緊張を解そうかな~と思って」
謝罪は述べているがヘラヘラ笑っているので悪いと思っていないが、こういうのは男じゃなくて女にやられたかった!
「悪いて思ってないだろ。あとこういうのは、女の子にやられたかった! 俺の周り、女子さいねぇけどさっ! 女の子から声かけられたかった‼」
「うわーすごい人発見。見てよ琉巧」
「お前変な人間捕まえすぎだろ」
琉巧と呼ばれた男子生徒は呆れてため息ついた。
すると司会の人が「生徒会長からの挨拶です」と号令がかかると、会場がたちまち、しん、となった。気がする。からかってきた男子生徒も口を閉ざし、前を見ろと言わんばかりに顎をしゃくる。
言われんくても分かってるべ。
ほとんどそっぽを向く感じで前を向く。
すると、壇上には朝、桜色の絨毯を踏み抜いた女性が立っていた。そういえばあれ、この学校の制服なのか。その人は壇上に立つや、先にマイクをいじり、次にこちらに視線を向けた。
『新入生の皆さん、おはようございます。生徒会長の柴 四葉です。冬から温かい日差しへ心地いい季節になりました。あなたたちに出会えることをわたしたちはずっと歓迎してました。新たな一歩を踏み出した新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます……』
マイク超しなのに心地いい声。
冷たい顔と裏腹にその声は神経に入っても痛くない、心地よく、まるで抱きしめるような優しい声で俺たち全員に目配らせながら挨拶を告げている。俺は壇上の上をただただ見上げてた。魅入られてた。
やがて挨拶が終わると柴四葉生徒会長は一礼して壇上から立ち去る。
壇上から立ち去って先生たちと同じ席に座てる。ニコリとも笑わないのを見て、モヤモヤ感じた。笑わせよう、なんて思うことも。
それから入学式が終わり各教室へ。
さて、この教室で夢のキャンパスライフを送る一歩だ――束の間の……
「何でお前らがいるんじゃ」
「うひょ、同クラでいいじゃん!」
「頼」
俺と同じ教室にあの男子生徒二人がいて、しかも席が近い。
「こーいうのは女子と再会&キャキャうふふじゃねんの⁉ 何か思ってたとの違うべ!」
愕然と膝をつく俺を見てケラケラ笑う。
金髪で鼻や唇にピアスをいれてる自称真面目だぞと言う見た目ヤンキーでしかない男、伊礼。最初に声をかけたやつ。
そして一見クールな見た目をしてて顔が整っているほうが琉巧。だが、そいつがスマホ片手に話している内容は「昨日別れた女しつこいから殴った」とか「こんなくっそつまんないのYouTubeとかマジ無能」話す内容が悪質。
夢のキャンパスライフは男友達からなのか。
まあ、これからだよぁ。うん。男友達とか学生時代にゃ大事なものだもんな。
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