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十章 侵略者たちと俺たちと
第100話〈終〉もしかしたら
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鹿室が未来に帰って、また月日が立った。俺は就職試験に追われる毎日。初夏が通り過ぎ、夏休みに入っていく。終業式が終わり、学生の殆どが楽しく過ごすが、半分は試験のために勉強に明け暮れている。俺もその一人だ。
「……何してんだ」
「暑かったから」
コスモは冷蔵庫の中に丸くなって涼しんでいた。学校から帰ってきて、冷たいアイスを食べようと冷蔵庫の中を開いた途端、等身大の人型が冷蔵庫の中に入っててびっくり。暫く固まっていた。
「早く閉めて。熱気が来るでしょ!」
同じく冷蔵庫の中にスターも入っていた。
家の冷蔵庫はそれ程大きくない。それなのに、宇宙人がさも当たり前のように冷蔵庫に入って食材を踏んでいる。
当然、雷を落としたのは言うまでもない。
「たくっ……」
俺はぶつぶつ文句を言って、ぐちゃぐちゃになった冷蔵庫の中を綺麗にした。コスモたちは二階にあがり、今日の侵略について話し合っていた。冷蔵庫の中を綺麗にし終わったちょうど、玄関のチャイムが鳴った。
誰も出てくれない。
暇なくせして。
俺はバタバタ足音をたてて玄関に向かった。玄関を開けるとその先に待っていたのは、委員長。
「委員長……どうしたんだ?」
「あ、えっと今日夏祭りがあるから、一緒に行かないかなって」
委員長は走ってきたのか、顔が赤い。
「いいけど、学校で言えば良かったのに」
「言う前に一樹くん、もう帰っていたから」
委員長は苦笑した。
今日だけは羽目を外していいかもしれない。受験生でありながら、まだ青春を過ごすたい。高校生活、この年が最後の青春をぱーと盛り上げる要だ。
もちろん、コスモたちも誘って夏祭りに。
「夏祭りって?」
コスモがんまい棒をさくっと食べて、聞いてきた。
「夜に人間たちがどんちゃん騒ぎするのよ」
スターがオレンジジュースをコップに注ぎ、ガブガブ飲む。
「説明が悪い。祭りてのは慰霊とか祈りを捧げる場なの。夜にそういった儀式があるとき、必ずサバンナでは異常なくらい静かになる。あのときは恐ろしかった……」
ダスクは遠い目で壁を見つめた。
祭りは夜の六時にある。まだ時間の猶予がある。俺は三人分の浴衣がないか、もう一度下に降りた。長女が一人だから、浴衣は一着しかないかもしれないが、探してみよう。
契をかわして、度々、宇宙のほうから連絡が入るようになった。回数によればギャラクシーとの連絡のほうが多い。頻繁にかけてくるもんで、無視したら、今度はオービットを使ってきた。
「ギャラクシーも心配しすぎ。あたしら、もう子供じゃないのに」
ダスクはやれやれとため息ついた。タブレットの画面に映っているのは、コスモたちの後輩、オービット。
『わたくしは、ダスク様のお顔を見れてそれだけで幸せです』
オービットは目をキラキラ輝かせた。以前と変わらない元気ぽさ。がその顔には見慣れぬものが巻かれていた。
「どうしたの? それ」
スターが画面を覗いて、左目を指差した。
オービットの左目が黒い眼帯で隠れている。大きな瞳が一つに。オービットは苦笑した。頭の後ろに手を置く。
『実は、実験で毒の調味料を間違えていれて……でもすぐに回復いたします!』
オービットは画面越しに元気に敬礼した。ダスクがゆっくりして、と言うと素直に従う。地球と契をかわし、実質地球はもうすでに、宇宙人の配下になっているのでは、とオービットから指摘。
「それは未来の話で、今は違う。それに契って、対等な関係でいうから配下じゃないわね」
ダスクが言った。
「はあ、五十世紀てわたしたち何やっているのかしらね」
スターが遠い景色を眺めた。
「五十世紀て、どれくらい?」
コスモは、遠い目で遠い景色を眺めるスターに訊いた。スターはゲフン、と咳払いする。
「遥か遠い未来よ。わたしたち今十四歳でしょ? それが三十六のババアになるの! いやあああ! 考えたくないっ!!」
スターは頭をブンブン振った。コスモはなる程と理解。宇宙人は地球人と同じように一年一年歳を重ねない。数年ごとに一回歳を重ねる。
「三十六のババアは何してんだろう」
コスモが地雷源を踏みながら訊いた。スターがぎろりと睨む。
「歳は言わんくていい。地球にいない可能性が高いかも。というか、もうその頃は侵略者をやめて普通にくらしてる」
スターは寂しい表情になった。世代交代で侵略者をやめて、普通になる。今こそ現役だが、その頃は後輩の後押しをしなければならない。
画面にいたオービットがパン、と手を合わせてニッと笑った。
『このオービットがちゃんと先輩方の責務を継ぎます! 先輩方が心配なさっているその契を結んだかどうか、確認するまで、バリバリ現役です!』
オービットは敬礼して、勝ち誇った笑みをこぼした。その笑みをみて、自然と不安も不満もない。オービットとの通信も終わり、気がつくと祭りが始まる時間帯。
姉貴が浴衣三着持ってて良かった。タンスの奥にあって、少し古臭い臭いがする。消臭スプレーをかけて、二階にあがる。誰かと通信してたようで、ちょうど終わっていた。
「なにこれ」
コスモが持ってきた青い浴衣をプランと持った。
「これは今夜使う民族衣装!」
ダスクが鼻息を荒くして赤い浴衣を手に取った。
「違うわよ。これは浴衣でしょ。ノーブラノーパンでも構わない衣装で、アレになったときは着衣のまま乱れる。同人誌でもあるんだけど、まっさか持っていたとは、破廉恥なっ!」
スターは黄色の浴衣を手にとって、腰をくねくねさせた。あらぬ誤解が生んでいるのは気のせいか。
三匹とも自分の好きな色を選んだところで、着付けした。
「似合う?」
コスモはくるくる回転して、青い浴衣に青い櫛をつけた自分をみせた。
「おうおう。似合う。青が割と似合うな」
コスモは照れ臭そうに笑った。
奥の部屋がやたらバタバタ騒がしい。ダスクがスターの着付けをしているが、スターは暴れ回っている。何やら、エロ着を着るのが抵抗してそれで揉み合っている。
「おーい、大丈夫か?」
扉越しに聞くとけたましい叫び声が。
「これ聞いて大丈夫だって思うんなら、脳みそ糸みたいに軽いわね」
ダスクの非常に冷たい応答がかかって、そっとした。
それから暫くして、準備が整った。祭り会場に行くと華やかな提灯と、空腹を刺激する香り、活気溢れる声、辺りが暗くなると余計提灯の灯が赤くなり眩しい。
「これがこの国の儀式。で、何を生贄にしたの?」
ダスクが大真面目に訊いた。
「ふん。ばかね。この国の儀式は無償よ。ただ楽しめればいいの」
スターがドヤ顔で言った。ダスクはわなわな驚く。すると、同じころに委員長がやってきた。履き慣れない下駄をパカパカいわせて駆け寄ってくる。
「ごめん。着付けに時間かかっちゃって……」
「こっちも今来たところだから」
委員長は顔を真っ赤にさせて、荒い呼吸を整えた。
委員長とも合流したし、早速屋台を回ろう。が、コスモたちは先に何処かに行っていた。気づいたら二人きり。
「なんか前もこんなことあったよね」
委員長が照れ臭そうに笑った。
「たく、あいつらお小遣いを無駄にしないといいけど」
ちょっと前に持たせたお小遣いは三匹合わせて五千円。コスモはよく食べるだろうから、多めに持たせた。無駄遣いしないといいけど。
すると、委員長がいきなり笑いだした。
「ふ、ふふふ……あ、ごめん。なんか一樹くん娘を心配する親バカみたいで」
委員長は顔を手で隠してくすくす笑った。俺は恥ずかしくなり、委員長の手を引いて屋台を回った。今頃あいつらも楽しくやってんだろ。
お好み焼きやたこ焼きの屋台を周り、一通り満腹になった。射的ゲームで知っている人間とすれ違った。
「あれ? あれれ? 弟くんじゃーん、彼女!? デート中っすか!?」
刹那がぶんぶん手を振って、ニヤニヤ笑った。委員長は首を傾げる。そういえば、そういう設定なの委員長知らない。側には千枝ちゃんがついていた。
「刹那、腕」
千枝ちゃんは、浴衣着のまま腕をあげて、白い腕が露わになっているのを注意した。刹那は腕を下ろす。俺は小さく「同級生だ」と答えると刹那は「またまた~」とニヤニヤしてくる。これのいたちごっこだ。
北山姉妹が揃ってこの祭りに来ていることにびっくり。しかも、色違いのクマのぬいぐるみを取って、なんやかんや、楽しそうだ。北山姉妹と色々あったが別れて、今度はコスモたちと再会。
数分前に別れたのに、その別人さに驚いた。
コスモのお腹がぽて腹になっている。スターの頭にひょっとこのお面が二つついている。ダスクは頭から全身びしょ濡れ。金魚すくいを張り切って頭から落ちたらしい。
コスモに持たせたお金は等に尽きていた。もっと、と強請る。
その時、バン、と大きな音が空に響いた。見上げると花火が打ち上がって赤やら黄色に変わる。立て続けに打ち上げ、バンバンと響いた。コスモたちは最初驚いた。
「銃声?」
コスモが花火を見上げてポツリと呟いた。
「これは花火だ。綺麗だろ?」
「うん」
皆、空を見上げ花火を見上げた。
そのうち、ハート型や星型が打ち上がってくる。夜空に大きく咲く花火を最後まで見届けたコスモたちは「綺麗だったね」と絶賛。
「わたし、いい考えがあるんだけど、さっきの花火でみんな、空見上げてたじゃん? わたしたちもそれと同じことやれば、侵略出来そうじゃない?」
スターがドヤ顔で目をキラキラ輝かせて提案。
「つまり、空に暗示みたいなのを打ち上げればいいてこと?」
ダスクが首を傾げて言う。スターは「そうそう」と頷く。
「どんな暗示なの?」
コスモがじっと、うかがう。その暗示について、スターは何も考えてないらしく、まぁ、ちょっとした提案。
今年の夏もこいつらと過ごせて良かった。暗くなった夜空を見上げる。もし、仮に暗示をかければ、侵略達成だな。
もしかしたら、うちのペットは地球を侵略するかもしれない。
―完―
「……何してんだ」
「暑かったから」
コスモは冷蔵庫の中に丸くなって涼しんでいた。学校から帰ってきて、冷たいアイスを食べようと冷蔵庫の中を開いた途端、等身大の人型が冷蔵庫の中に入っててびっくり。暫く固まっていた。
「早く閉めて。熱気が来るでしょ!」
同じく冷蔵庫の中にスターも入っていた。
家の冷蔵庫はそれ程大きくない。それなのに、宇宙人がさも当たり前のように冷蔵庫に入って食材を踏んでいる。
当然、雷を落としたのは言うまでもない。
「たくっ……」
俺はぶつぶつ文句を言って、ぐちゃぐちゃになった冷蔵庫の中を綺麗にした。コスモたちは二階にあがり、今日の侵略について話し合っていた。冷蔵庫の中を綺麗にし終わったちょうど、玄関のチャイムが鳴った。
誰も出てくれない。
暇なくせして。
俺はバタバタ足音をたてて玄関に向かった。玄関を開けるとその先に待っていたのは、委員長。
「委員長……どうしたんだ?」
「あ、えっと今日夏祭りがあるから、一緒に行かないかなって」
委員長は走ってきたのか、顔が赤い。
「いいけど、学校で言えば良かったのに」
「言う前に一樹くん、もう帰っていたから」
委員長は苦笑した。
今日だけは羽目を外していいかもしれない。受験生でありながら、まだ青春を過ごすたい。高校生活、この年が最後の青春をぱーと盛り上げる要だ。
もちろん、コスモたちも誘って夏祭りに。
「夏祭りって?」
コスモがんまい棒をさくっと食べて、聞いてきた。
「夜に人間たちがどんちゃん騒ぎするのよ」
スターがオレンジジュースをコップに注ぎ、ガブガブ飲む。
「説明が悪い。祭りてのは慰霊とか祈りを捧げる場なの。夜にそういった儀式があるとき、必ずサバンナでは異常なくらい静かになる。あのときは恐ろしかった……」
ダスクは遠い目で壁を見つめた。
祭りは夜の六時にある。まだ時間の猶予がある。俺は三人分の浴衣がないか、もう一度下に降りた。長女が一人だから、浴衣は一着しかないかもしれないが、探してみよう。
契をかわして、度々、宇宙のほうから連絡が入るようになった。回数によればギャラクシーとの連絡のほうが多い。頻繁にかけてくるもんで、無視したら、今度はオービットを使ってきた。
「ギャラクシーも心配しすぎ。あたしら、もう子供じゃないのに」
ダスクはやれやれとため息ついた。タブレットの画面に映っているのは、コスモたちの後輩、オービット。
『わたくしは、ダスク様のお顔を見れてそれだけで幸せです』
オービットは目をキラキラ輝かせた。以前と変わらない元気ぽさ。がその顔には見慣れぬものが巻かれていた。
「どうしたの? それ」
スターが画面を覗いて、左目を指差した。
オービットの左目が黒い眼帯で隠れている。大きな瞳が一つに。オービットは苦笑した。頭の後ろに手を置く。
『実は、実験で毒の調味料を間違えていれて……でもすぐに回復いたします!』
オービットは画面越しに元気に敬礼した。ダスクがゆっくりして、と言うと素直に従う。地球と契をかわし、実質地球はもうすでに、宇宙人の配下になっているのでは、とオービットから指摘。
「それは未来の話で、今は違う。それに契って、対等な関係でいうから配下じゃないわね」
ダスクが言った。
「はあ、五十世紀てわたしたち何やっているのかしらね」
スターが遠い景色を眺めた。
「五十世紀て、どれくらい?」
コスモは、遠い目で遠い景色を眺めるスターに訊いた。スターはゲフン、と咳払いする。
「遥か遠い未来よ。わたしたち今十四歳でしょ? それが三十六のババアになるの! いやあああ! 考えたくないっ!!」
スターは頭をブンブン振った。コスモはなる程と理解。宇宙人は地球人と同じように一年一年歳を重ねない。数年ごとに一回歳を重ねる。
「三十六のババアは何してんだろう」
コスモが地雷源を踏みながら訊いた。スターがぎろりと睨む。
「歳は言わんくていい。地球にいない可能性が高いかも。というか、もうその頃は侵略者をやめて普通にくらしてる」
スターは寂しい表情になった。世代交代で侵略者をやめて、普通になる。今こそ現役だが、その頃は後輩の後押しをしなければならない。
画面にいたオービットがパン、と手を合わせてニッと笑った。
『このオービットがちゃんと先輩方の責務を継ぎます! 先輩方が心配なさっているその契を結んだかどうか、確認するまで、バリバリ現役です!』
オービットは敬礼して、勝ち誇った笑みをこぼした。その笑みをみて、自然と不安も不満もない。オービットとの通信も終わり、気がつくと祭りが始まる時間帯。
姉貴が浴衣三着持ってて良かった。タンスの奥にあって、少し古臭い臭いがする。消臭スプレーをかけて、二階にあがる。誰かと通信してたようで、ちょうど終わっていた。
「なにこれ」
コスモが持ってきた青い浴衣をプランと持った。
「これは今夜使う民族衣装!」
ダスクが鼻息を荒くして赤い浴衣を手に取った。
「違うわよ。これは浴衣でしょ。ノーブラノーパンでも構わない衣装で、アレになったときは着衣のまま乱れる。同人誌でもあるんだけど、まっさか持っていたとは、破廉恥なっ!」
スターは黄色の浴衣を手にとって、腰をくねくねさせた。あらぬ誤解が生んでいるのは気のせいか。
三匹とも自分の好きな色を選んだところで、着付けした。
「似合う?」
コスモはくるくる回転して、青い浴衣に青い櫛をつけた自分をみせた。
「おうおう。似合う。青が割と似合うな」
コスモは照れ臭そうに笑った。
奥の部屋がやたらバタバタ騒がしい。ダスクがスターの着付けをしているが、スターは暴れ回っている。何やら、エロ着を着るのが抵抗してそれで揉み合っている。
「おーい、大丈夫か?」
扉越しに聞くとけたましい叫び声が。
「これ聞いて大丈夫だって思うんなら、脳みそ糸みたいに軽いわね」
ダスクの非常に冷たい応答がかかって、そっとした。
それから暫くして、準備が整った。祭り会場に行くと華やかな提灯と、空腹を刺激する香り、活気溢れる声、辺りが暗くなると余計提灯の灯が赤くなり眩しい。
「これがこの国の儀式。で、何を生贄にしたの?」
ダスクが大真面目に訊いた。
「ふん。ばかね。この国の儀式は無償よ。ただ楽しめればいいの」
スターがドヤ顔で言った。ダスクはわなわな驚く。すると、同じころに委員長がやってきた。履き慣れない下駄をパカパカいわせて駆け寄ってくる。
「ごめん。着付けに時間かかっちゃって……」
「こっちも今来たところだから」
委員長は顔を真っ赤にさせて、荒い呼吸を整えた。
委員長とも合流したし、早速屋台を回ろう。が、コスモたちは先に何処かに行っていた。気づいたら二人きり。
「なんか前もこんなことあったよね」
委員長が照れ臭そうに笑った。
「たく、あいつらお小遣いを無駄にしないといいけど」
ちょっと前に持たせたお小遣いは三匹合わせて五千円。コスモはよく食べるだろうから、多めに持たせた。無駄遣いしないといいけど。
すると、委員長がいきなり笑いだした。
「ふ、ふふふ……あ、ごめん。なんか一樹くん娘を心配する親バカみたいで」
委員長は顔を手で隠してくすくす笑った。俺は恥ずかしくなり、委員長の手を引いて屋台を回った。今頃あいつらも楽しくやってんだろ。
お好み焼きやたこ焼きの屋台を周り、一通り満腹になった。射的ゲームで知っている人間とすれ違った。
「あれ? あれれ? 弟くんじゃーん、彼女!? デート中っすか!?」
刹那がぶんぶん手を振って、ニヤニヤ笑った。委員長は首を傾げる。そういえば、そういう設定なの委員長知らない。側には千枝ちゃんがついていた。
「刹那、腕」
千枝ちゃんは、浴衣着のまま腕をあげて、白い腕が露わになっているのを注意した。刹那は腕を下ろす。俺は小さく「同級生だ」と答えると刹那は「またまた~」とニヤニヤしてくる。これのいたちごっこだ。
北山姉妹が揃ってこの祭りに来ていることにびっくり。しかも、色違いのクマのぬいぐるみを取って、なんやかんや、楽しそうだ。北山姉妹と色々あったが別れて、今度はコスモたちと再会。
数分前に別れたのに、その別人さに驚いた。
コスモのお腹がぽて腹になっている。スターの頭にひょっとこのお面が二つついている。ダスクは頭から全身びしょ濡れ。金魚すくいを張り切って頭から落ちたらしい。
コスモに持たせたお金は等に尽きていた。もっと、と強請る。
その時、バン、と大きな音が空に響いた。見上げると花火が打ち上がって赤やら黄色に変わる。立て続けに打ち上げ、バンバンと響いた。コスモたちは最初驚いた。
「銃声?」
コスモが花火を見上げてポツリと呟いた。
「これは花火だ。綺麗だろ?」
「うん」
皆、空を見上げ花火を見上げた。
そのうち、ハート型や星型が打ち上がってくる。夜空に大きく咲く花火を最後まで見届けたコスモたちは「綺麗だったね」と絶賛。
「わたし、いい考えがあるんだけど、さっきの花火でみんな、空見上げてたじゃん? わたしたちもそれと同じことやれば、侵略出来そうじゃない?」
スターがドヤ顔で目をキラキラ輝かせて提案。
「つまり、空に暗示みたいなのを打ち上げればいいてこと?」
ダスクが首を傾げて言う。スターは「そうそう」と頷く。
「どんな暗示なの?」
コスモがじっと、うかがう。その暗示について、スターは何も考えてないらしく、まぁ、ちょっとした提案。
今年の夏もこいつらと過ごせて良かった。暗くなった夜空を見上げる。もし、仮に暗示をかければ、侵略達成だな。
もしかしたら、うちのペットは地球を侵略するかもしれない。
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