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タイムスリップ
9―1 気づいたらタイムスリップ!?
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気がづいたら、ここは何処だ。
祭りでもないのに、人が道路を行き交っている。雑音だ。人の声と機械の音が空中に響き渡っている。見たことない景色だ。御伽話の本の中にいるみたい。
「俺は死んだのか……?」
俺の名前は春吉。神社の帰り、階段で足を滑らせて真っ逆さまに落ちた人間だ。そう、階段で足を滑らせて落ちたんだ。もしかして、死んだのか。こんなアッサリと。
で、ここはどこなんだ。天国か? にしては人がいっぱいだな。耳がキィキィする変な音もするし。
店と店の間の虚空間では一人の少女に対して複数の男たちが群がっていた。あんなのも極楽浄土に行くのか。世の中知らないことばかりだ。
さてと、これからどこ行こうか。キョロキョロ見渡すといきなり腕を掴まれた。がっしりとした手のひらに一瞬驚き、飛ぶように振り向いた。そこにいたのは、腰に鉄の棒を掲げた軍装たち。ヒヤリと冷汗が背筋が凍った。
もしや、町奉公人か。焦った俺は必死な命乞いをしてみせた。
「なにも悪いことしてないんです。お願いっす。見逃してくれ」
軍装を着た男が一瞬身を引いた。刹那、威厳声で語りかける。
「通行人から通報があってな。見逃してくれるんだったら保険証見せてくれる?」
「ほけんしょう……?」
はて、聞きなれない言葉だ。ほけんしょうとやらは食えるのか。返答に困って俺は黙っていると男は目尻を突き上げ、怒り出した。
「保険証! 持ってるだろ!」
その保険証とやらが分からないんだ。身を潔白しようにも相手は聞いてくれなさそうな神経だ。
はて、知らぬ間に保険証という制度を幕府はつくったのか。田舎者なんで知らねぇな。誰か、情報と救出をプリーズ。
そんなとき、もう一方の腕を引っ張られた。町奉公に触れられた逆の腕。びっくりして振り向くと、太陽みたいに明るい髪した女がそこにいた。
慌ててるようで肩で息をしている。見たことない奇妙な服を着ている。女がだらしなく足を膝まで見せて。
「この人は私の連れです! コスプレ大会で迷子になってて、ね?」
いきなり話しかけられた。
握られた腕に力が込められ、ギリギリいう。女から張り詰める緊張がこっちまで流れてきた。
「コスプレ大会? そう、だったらいいんだけど……」
男が口調と顔色を変えた。明らかにやや大人しくなった。ジロリと怪しむような目つきで俺に視線を向けた。
「いい歳なんだから、迷子は勘弁してね、それじゃ」
颯爽と踵を返し、群がる周囲の中に入ってく。颯爽と帰り、きびきびと人の群れを避けて歩いている。その姿がだんだんと小さくなった頃、女が口を開いた。
「ねぇあんた」
初対面であんたとは、本当に失礼な女だな。女はジロジロと怪訝に見上げてこう言った。
「何時代の人? というかさっき目合ったよね? なんで助けてくれなかったの?」
さ、さっき? もしかして店の間の路地で男たちに囲まられてた女か。足をそんなに出しているから男たちに目をつけられるんだ、そう言おうとした矢先、女はキョロキョロと辺りを窺った。
「ここじゃひと目につく、まずはひと目のいない場所に行きましょ!」
グイと強引に服を引っ張られ、早足でこの場を去る。周囲の目がやたら鋭く刺さる。
女に連れて来られた場所は、公園、と書かれた場所だった。ジメッとした沼がある。近所の人さえ疎らに見かけるだけで本当に人気はない。
やっと落ち着き女は深く深呼吸した。そして、カラフルな椅子にドカッと腰掛け猫のように体を伸ばした。
「はぁやっと逃げ切ったぁ」
座ったままストレッチをした。ちょっと距離を置いて俺はそのさまを見ていた。途端、視線に気づいたのか、女が顔を向けてきた。怪訝と俺の全身をまじまじ見つめる。まるで、別世界の住人を見ているような眼差し。
「私、こんな真っ昼間からコスプレしている人初めてみたよ。あ、私千春ね。おじさんは?」
よく聞いてみると、ちょっと高い声。でも、どこか棘のある口調。俺はそっぽを向いて答えた。
「武士は軽く名を名乗らぬ。ところで、聞きたいことがある」
「断る」
千春が俺の声真似をして応えた。俺はムッとして千春を睨んだ。千春はその視線さえ気にも留めず淡々と喋る。
「だって素性も知らないおじさんの聞きたいことなんて絶対ろくでもないし聞きたくなぁい」
俺はびっくりして千春の顔色を窺った。よほど、びっくりしたのか、千春がクスクスと笑った。
俺はムッとして目を細めて千春を睨んだ。その視線に気づき、千春は笑みをとめた。
「えぇ!? おじさん、江戸時代の人なの!?」
素性を語ったら、千春は口をパクパクさせた。さっきより態度がそわそわしている。
「し、しかも階段から落ちたって!?」
「そうだ」
自慢話でもないのに俺はふんぞり返った。千春はまだ口を金魚みたいにパクパクさせている。
「おじさん、それはタイムスリップだよ!!」
千春がすごい勢いで立ち上がった。
「た、タイムスリップ?」
はて、また聞きなれない言葉だ。首を傾げてると千春はコホンと一つ咳込んだ。
「ここは平成。戦争もテロもない平穏な時代。おじさんは未来にやってきたんだよ!」
み、未来にやってきただと、話しの筋が見えない。頭が真っ白になり呆然としていると千春はバッグからなにやら分厚い本を取り出した。
「見て。この年表の緑色が江戸時代でここからずうと奥にかかれてある黄色の年表がこの平成時代なの」
文字は分からないけど確かに緑の枠には江戸、と書かれている。それから右にずっと進むと平成と書かれていた。こんな年表見せられても未来に来たとは思いつかない。
でも、今広がる景色や場所はとても奇妙で不思議な場所だ。信じられないがここは信じなきゃ話しが合わない。
「あの軍装男は?」
「あれは警察官、ま、市民のヒーロー的な?」
「その男が言っていた保険証とやらは」
「あぁ、昔でいうと……身を潔白するもの?」
千春は頭を撚って言う。
瞬間、千春はなにか良いことを考えニヤリと笑った。
「その汚らしい服装だから目をつけられるんだよ! あたしと一緒にキューブに行こう!」
断る言葉さえ聞いてもらえず、強制的に腕を引っ張られた。そのキューブとやらに向かうらしい。キューブとは服屋だ。
引っ張られて来たものの、キラキラした服がいっぱい並んでいた。
祭りでもないのに、人が道路を行き交っている。雑音だ。人の声と機械の音が空中に響き渡っている。見たことない景色だ。御伽話の本の中にいるみたい。
「俺は死んだのか……?」
俺の名前は春吉。神社の帰り、階段で足を滑らせて真っ逆さまに落ちた人間だ。そう、階段で足を滑らせて落ちたんだ。もしかして、死んだのか。こんなアッサリと。
で、ここはどこなんだ。天国か? にしては人がいっぱいだな。耳がキィキィする変な音もするし。
店と店の間の虚空間では一人の少女に対して複数の男たちが群がっていた。あんなのも極楽浄土に行くのか。世の中知らないことばかりだ。
さてと、これからどこ行こうか。キョロキョロ見渡すといきなり腕を掴まれた。がっしりとした手のひらに一瞬驚き、飛ぶように振り向いた。そこにいたのは、腰に鉄の棒を掲げた軍装たち。ヒヤリと冷汗が背筋が凍った。
もしや、町奉公人か。焦った俺は必死な命乞いをしてみせた。
「なにも悪いことしてないんです。お願いっす。見逃してくれ」
軍装を着た男が一瞬身を引いた。刹那、威厳声で語りかける。
「通行人から通報があってな。見逃してくれるんだったら保険証見せてくれる?」
「ほけんしょう……?」
はて、聞きなれない言葉だ。ほけんしょうとやらは食えるのか。返答に困って俺は黙っていると男は目尻を突き上げ、怒り出した。
「保険証! 持ってるだろ!」
その保険証とやらが分からないんだ。身を潔白しようにも相手は聞いてくれなさそうな神経だ。
はて、知らぬ間に保険証という制度を幕府はつくったのか。田舎者なんで知らねぇな。誰か、情報と救出をプリーズ。
そんなとき、もう一方の腕を引っ張られた。町奉公に触れられた逆の腕。びっくりして振り向くと、太陽みたいに明るい髪した女がそこにいた。
慌ててるようで肩で息をしている。見たことない奇妙な服を着ている。女がだらしなく足を膝まで見せて。
「この人は私の連れです! コスプレ大会で迷子になってて、ね?」
いきなり話しかけられた。
握られた腕に力が込められ、ギリギリいう。女から張り詰める緊張がこっちまで流れてきた。
「コスプレ大会? そう、だったらいいんだけど……」
男が口調と顔色を変えた。明らかにやや大人しくなった。ジロリと怪しむような目つきで俺に視線を向けた。
「いい歳なんだから、迷子は勘弁してね、それじゃ」
颯爽と踵を返し、群がる周囲の中に入ってく。颯爽と帰り、きびきびと人の群れを避けて歩いている。その姿がだんだんと小さくなった頃、女が口を開いた。
「ねぇあんた」
初対面であんたとは、本当に失礼な女だな。女はジロジロと怪訝に見上げてこう言った。
「何時代の人? というかさっき目合ったよね? なんで助けてくれなかったの?」
さ、さっき? もしかして店の間の路地で男たちに囲まられてた女か。足をそんなに出しているから男たちに目をつけられるんだ、そう言おうとした矢先、女はキョロキョロと辺りを窺った。
「ここじゃひと目につく、まずはひと目のいない場所に行きましょ!」
グイと強引に服を引っ張られ、早足でこの場を去る。周囲の目がやたら鋭く刺さる。
女に連れて来られた場所は、公園、と書かれた場所だった。ジメッとした沼がある。近所の人さえ疎らに見かけるだけで本当に人気はない。
やっと落ち着き女は深く深呼吸した。そして、カラフルな椅子にドカッと腰掛け猫のように体を伸ばした。
「はぁやっと逃げ切ったぁ」
座ったままストレッチをした。ちょっと距離を置いて俺はそのさまを見ていた。途端、視線に気づいたのか、女が顔を向けてきた。怪訝と俺の全身をまじまじ見つめる。まるで、別世界の住人を見ているような眼差し。
「私、こんな真っ昼間からコスプレしている人初めてみたよ。あ、私千春ね。おじさんは?」
よく聞いてみると、ちょっと高い声。でも、どこか棘のある口調。俺はそっぽを向いて答えた。
「武士は軽く名を名乗らぬ。ところで、聞きたいことがある」
「断る」
千春が俺の声真似をして応えた。俺はムッとして千春を睨んだ。千春はその視線さえ気にも留めず淡々と喋る。
「だって素性も知らないおじさんの聞きたいことなんて絶対ろくでもないし聞きたくなぁい」
俺はびっくりして千春の顔色を窺った。よほど、びっくりしたのか、千春がクスクスと笑った。
俺はムッとして目を細めて千春を睨んだ。その視線に気づき、千春は笑みをとめた。
「えぇ!? おじさん、江戸時代の人なの!?」
素性を語ったら、千春は口をパクパクさせた。さっきより態度がそわそわしている。
「し、しかも階段から落ちたって!?」
「そうだ」
自慢話でもないのに俺はふんぞり返った。千春はまだ口を金魚みたいにパクパクさせている。
「おじさん、それはタイムスリップだよ!!」
千春がすごい勢いで立ち上がった。
「た、タイムスリップ?」
はて、また聞きなれない言葉だ。首を傾げてると千春はコホンと一つ咳込んだ。
「ここは平成。戦争もテロもない平穏な時代。おじさんは未来にやってきたんだよ!」
み、未来にやってきただと、話しの筋が見えない。頭が真っ白になり呆然としていると千春はバッグからなにやら分厚い本を取り出した。
「見て。この年表の緑色が江戸時代でここからずうと奥にかかれてある黄色の年表がこの平成時代なの」
文字は分からないけど確かに緑の枠には江戸、と書かれている。それから右にずっと進むと平成と書かれていた。こんな年表見せられても未来に来たとは思いつかない。
でも、今広がる景色や場所はとても奇妙で不思議な場所だ。信じられないがここは信じなきゃ話しが合わない。
「あの軍装男は?」
「あれは警察官、ま、市民のヒーロー的な?」
「その男が言っていた保険証とやらは」
「あぁ、昔でいうと……身を潔白するもの?」
千春は頭を撚って言う。
瞬間、千春はなにか良いことを考えニヤリと笑った。
「その汚らしい服装だから目をつけられるんだよ! あたしと一緒にキューブに行こう!」
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