賢者様が大好きだからお役に立ちたい〜俺の探査スキルが割と便利だった〜

柴花李

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第二十一話 クラッスラふたたび

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 気付けばあっという間にふた月という時間が流れていた。
 日々が充実していると、これほど時間の流れが早くなるのかと驚き感心しつつ、オリンドはまだ日が昇る前だというのに人でごった返すクラッスラの巨大な扉を見上げた。
 やはり勇者たちが挑むという情報が事前に出ていては、ダンジョンに挑む挑まないに関わらず見物しようという者が押し寄せたようだ。季節はもう冬に差し掛かっているというのに、よくもまあこれだけ物好きが居たものだ。周辺に集まった人々は言うに及ばず、下部に設けられた通用扉の前に居並ぶ冒険者の数も平素の三倍ほどといったところだろうか。彼ら彼女らは勇者一行を見るや憧れの眼差しを集中させ、そしてオリンドを見つけるなりその眼差しを様々に変化させた。やはり敵意の比率が多く、中には僅かながら殺意の篭る視線まである。掠められたアレグなど表面上は見せていないがすでに臨戦体制だ。
 調査の決まった段階で準備され訓練し予行演習も行っていたであろう着膨れたギルド員たちが、結界魔法を応用した列整理や誘導と抑制を行ってくれていなければどうなっていたことか。
 そんな剣呑な空気を誰よりも感じ取ってはいるものの、オリンドは真新しい鎧に身を包み腰にはしっかりと剣を帯びた自分を新鮮に感じて、さらに左腕にはイドリックが昔使っていたという小盾を装備していることに興奮が抑えきれず、輝かせた目を扉に向けてそわそわしていた。
 とても二ヶ月もの間を拠点にほぼ引き篭もっていたとは思えない姿だ。人見知りが酷くなっていやしないかと心配していたが、杞憂だったようだとイドリックは小さく吹き出した。
「楽しそうだな、オリンド」
 そう言うイドリックこそ楽しそうだ。
「うん。すごく、楽しみだ」
 クラッスラの扉を初めて見上げたときに感じた恐れは薄くなり、代わりに早く探検したいという好奇心に急かされて上気する頬を隠さず頷くと、彼は気合いを入れるように肩の辺りを数度叩いてくれた。
 すると和気藹々とする二人に触発されたのかアレグも嬉しそうに肩を組んできた。
「やる気満々だなオリンド!よっし、いっちょ二十階層くらいまでバッサバッサ斬ってくか!」
「無理それは無理ほんと無理。十一から先は中級階層だって俺でも知ってる。そんなの無理だからまだ俺実戦経験無いから。当初の予定通り補助無し目標七階層で勘弁してください先生」
「えっ…。ちょっと、リンちゃんがすごい長台詞をどもらずに言えるようになってるんだけど。いつの間に?」
 待ってどういうこと?
 肩組みの仲間入りをしようと手を浮かせていたウェンシェスランが腕を空に彷徨わせたまま狼狽える。
「割と最初の頃からではなかったですか?」
「あんたに対しては当然そうだったけど!…えーっ、リンちゃん何で!?そんなにアルちゃんとは話しやすいのっ?」
 オリンドがあまり吃音を起こさずに話せるのは心を開いた相手や話しやすい相手だと気付いていたウェンシェスランは、ちょっぴり妬いた感情のまま詰め寄った。半歩後退られても気にしない。
「や、話しやすいのもある…けど、つっこ、突っ込まないと鍛錬やってこれなかったから」
「…ああー…」
 納得しかない。
 ウェンシェスランばかりかエウフェリオまでもがオリンドの肩に手を置き、自身の額にも手を当てて頭を振った。
「なんだよそれ、俺そんなにボケてねえよ!」
「そうですね。貴方のそれは天然ですから自覚は無いでしょうね…。さておき、少し探査を試してみますか?オリンド」
 無駄話に花を咲かせつつもしきりにクラッスラの扉と地面に視線を投げかける様子に、探査スキルを試してみたくて仕方ないのだと見て取ったエウフェリオはくすくす笑いながらオリンドを促した。
「っ、うん!…え、っと、どのくらいまでいい?」
「その前に隠遁魔法をかけますから、少し待ってくださいね」
 まだ調整しきれていないとはいえ、以前とは比べ物にならない飛躍を遂げているだろう探査の結果を受けて、オリンドを含め誰もがその情報を口にせずにはいられなくなるはず。調査の内容をギルドに持ち帰る前に漏らすわけにもいかないし、そうでなくとも今この数の冒険者を前にダンジョンの新情報を披露するようなことをしてしまえば、いくら導入されたギルド員たちが押し留めようとしても決壊するだろうことは目に見えている。
「…はい。お待たせしました。探査は、…そうですね、まずは魔力量の二割くらいで様子を見ましょう」
「わ、わかった。二割…二割」
 これまでの二ヶ月に渡るエウフェリオたちとの勉強と訓練、それに同調による体感で魔力の使用量の測り方も覚えたオリンドは、二割を目標に地中へ向けて放った。
 以前は魔力を流すたび皮膚の下を異物が転がるような不快感に苛まれたが、今は身体中を絹のような心地で通り抜けていく。そのまま土の中にも風の吹き抜けるごとく通っていって驚愕した。
 うわっ、なんだこれ地面が無いみたいだ…。
 驚きはそのまま楽しさにすり替わり、夢中になったオリンドは地中に集中した。幾重にも重なる洞窟の天井や壁がまるで質量を持たない水の膜のようだ。そこに顔から飛び込んでいく感覚とでも言えば良いだろうか。目まぐるしく次々と頭の中に浮かび上がる内部の光景があまりにも荘厳で知らず涙が溢れた。
「すごい…すごい。いっぺんに、色んな町を丘から見てるみたい、だ」
 まだほとんど魔力を使わないうちから何層も見ることができたオリンドは興奮してエウフェリオを振り仰いだ。すると思考も吹っ飛ぶ柔らかで優しくて風雅な笑顔に迎えられて頭が真っ白になる。次に袖で目元を拭われてようやく自分が涙を溢していたことに気付いた。
「すごいのは貴方なんですよ」
 髪を漉くように撫でてくれる手が夢のように気持ちいい。
 ギルド員の押さえる人垣から物凄い悲鳴が上がっているが、とにかく探査の結果とエウフェリオの笑みと手に興奮しきりのオリンドの耳には入ってこなかった。
「え、えっと、ええと、に、二割、使ったらたぶん、覚えきれないくらい見える、から、あのっ」
 ふんすふんすと鼻息も荒い姿に苦笑したイドリックが横から冊子状になったクラッスラの地図とペンにインク壺を差し出すと、受け取るなりすぐにしゃがみ込んで印を書き付け始めた。同時に探査も再開したのだろう、迷うことなく動く手元は何を書き出しているものか、地図の頁を数枚飛ばしている。
「…ええと、それで十五階層の隠し部屋に繋がってて…あれ、んー、十五階層十五階層…」 
 勉強会の合間に数字だけでも読み書きできるようになりたいと、寝る間も惜しみたかったがそれは全員から叱られたので諦めて、食後の空き時間など蝋板に毎日欠かさず書き綴って覚えられたことが嬉しく、頁が読める楽しさからつい地図を捲る手が行きすぎたり戻りすぎたりしてしまう。それすらオリンドには愉快だが、口にした階層の深さにイドリックはギョッとした。
「おいおい。いきなり十五階層か」
「うん。あ、あった。ここに出て…えっと、ここの転送陣は十二階層に戻るやつ…で、こっちはもう見付かってるから…こっちに隠されてるのが三十階層に行くやつで…えーと、三十…三十」
「ちょっ、転送陣の探査ってなによ。陣の解析まで同時にやってんの?普通は数時間かかるわよ?ていうか三十階層!?」
 待って本当に待って。
 魔法陣の解析といえば通常は書かれた文字や文様の解析の他に、発動しない程度に少量の魔力を注ぎ続けてどこから流れ込みどの方向へ流れ出しどのように広がっていくかなど、繊細かつ詳細な分析が必要とされるものであるのに、と、ウェンシェスランも度肝を抜かれる。
「や、解析してない。繋がってる先を見てる。…三十階層。これだ。ここはどっかに行く転送陣は全部見付かってるから次、…三十一階層と三十二階層の間に隠し部屋…うわあ、どここれすごい飛ぶ。なんだこれ見えにくい…あ、わわ。…あっ、六十?うわ、六十階層に飛ばされてる」
「…六十階層…ですか?」
 実のところ回路調整を行なっていたエウフェリオには以前のニ、三倍どころではなく探査範囲が広がっただろうという予測はついていた。が、前回どの程度の魔力を注いでいたかは不明だが、二割の使用で五、六倍とは何事かと耳を疑った。
「そう。ええと、六十階層…六十ぅう…と、ここ。すごい奥の…魔石の晶洞に出る」
「魔石の晶洞!?マジ!?」
「うん。…なんだろ魔物が大量に生き埋めにでもなったのかな…すごいことになってる。魔力が乱反射しすぎて見えにくいけど、だいぶ大きい。…えっ、こんなとこにどうやって転送陣付けたんだろ…。落とし穴の罠も設置されてるから中に入ったんだよなあ。なんだっけ、魔力酔いだっけ?こんな魔素の濃いとこで作業したら確実に酔っちゃいそうなのに。俺なら気が狂うんじゃないか…?それで落とし穴にも転送陣が仕掛けられてて…七十七階層の隠し部屋、けどまたすぐ転送陣か。で、これが八十三階層の通路に出る。と。あー、一回戻って三十五階層のこっちからだと別のルート、…おっ、行ける。これがこっち出て、五十二階層の階段下…で、五十七階層の…えーと、あっ、七十三階層で一旦通路に出るのか。ああ、これは見付かってるけど転送元がわかんなかったんだな…。それで七十八階層の隠し通路は壁自体が転送陣になって…うわ、なんだそれ。壁から…八十階層に飛ばされるのか。…ううん、ここまでだな。…あっ、ええと、転送陣が見付からなくて先に進めないって言ってたから、そればっか探しちゃったけど…」
 良かった?と、二割の魔力を使い終わって顔を上げたオリンドの目の前には至近距離に満面の笑みを湛えるアレグの顔があった。
「おうわあ!?」
 飛び退ったオリンドの手と膝から落とされたインク壺やら地図やらはイドリックとエウフェリオが見事に受け止める。
「なあ、オリンド。今ので二割?んじゃあもっと行けるんだよな?なんかもうすごすぎて腰が抜けるとかいう次元は超えちゃってさ。俺もう今すぐ、オリンドが見つけられるもんなら最深部まで行ってみたい」
「っえ、ええっ!?」
「っあ~。思った。言うと思ったわ。ちょっとアルちゃん。いくら何でもいきなり最深部は駄目よ!だいたい、調査もだけど物資の調達にも来てるってこと忘れないでちょうだい」
「いいじゃん!イドとフェリが居たら七十九階層まで余裕だろ?それに聞いてた限りじゃ今んとこ何層も飛ばす転送陣はみんな隠されてるじゃん!ボス部屋と別じゃん!てことは探し出せりゃ見てくるだけなら行けちゃうかもだろ?帰りはギルド直通転送巻物あるしさあ!」
 俺はもう辛抱堪らんの!!エウフェリオの受け止めた地図をばしばしと叩いて言うアレグにイドリックは眉を寄せる。探し出すっておまえどうせ周辺の影響も考えず勇者の力で破壊して暴くつもりだろ。
「というかだな、隠し部屋に転送陣てことは通路が見られないだろうが」
 見てくると言ったって狭い空間の内側ばかりになるかもしれないのだと指摘した。
「構わん!!最深層だけでも必ず見る!!」
 売り言葉に買い言葉といったふうでアレグは跳ね除けた。
 こうなったら梃子でも動かない。よく知っている三人は盛大な溜息を吐いて折れる。
「わかった。先にカロンに報告しろ。それから、ここから先のオリンドの探査結果によっちゃ首根っこへし折ってでも断念させるからな?」
「おう!…断念?」
「おまえも今言っただろ『今のところ』隠された転送陣とボス部屋は別だ、って」
「ああー。なる。同じ部屋になってんならアウトな。りょーかい」
 手の平を顔の横あたりに掲げたアレグは、それから肩掛け鞄を漁って水晶玉を取り出した。グラプトベリア冒険者ギルドにもあった例の通信装置だ。起動させてすぐにカロジェロから反応があったらしく、頬を紅潮させたアレグが勢い込んで話し出す。
「おう!俺俺!俺だって、アレグ!そう、今クラッスラの前に居んの。そんでいけそうなら最深部調査しようぜって話になっ……ちげえよこれからだけど、たぶん探査できる。なんか魔力の二割で八十何階層とか言ってて…うるせーなもう!マジだっつの!…そう、地上から!…マジマジ。俺嘘吐かない。そう。あろうことか。…いや調査ってもオリンドにサーチしてもらって見てくるだけだから。今んとこボスは無視できそう。…そうそう、バーッと行ってザーッと見てシュッて帰るから。…わかってる帰るまで情報はもらさない。…うん、命第一。無理しない。…おう。…はーい。はい。はい。…うーっす」
 通信を切って水晶玉を鞄にしまい直したアレグは親指を突き出してみせた。
「オッケー!オリンドじゃ何かわからん魔物も居るだろうから見られるだけ見て来いって。地図描くのはオリンド頼むな!」
「うあっ!うん、わかった!」
「はあ。もう。そうしましたら、オリンド、二手に分かれることになりそうですし、手間をかけますが新階層の分は用意してきた紙に新たに描き起こしてください。通路と周辺の魔物に罠、転送陣くらいでいいですよ。調達物などは私たちが使う地図に記入を、もちろん余力があればの話です」
「うん。無理は禁物、というか、だめ絶対」
「そう。よくできました。…リック、私とシェスカはサポートに入りますから、その間にさっきオリンドが書き込んだ転送陣と罠と魔物の印をアルの地図に書き写してやってもらえますか?」
 前もって準備をしてきたオリンドの独自地図記号のエウフェリオによる規則と解説付き一覧表を鞄から取り出して、今しがた書き込まれた地図とまとめてイドリックに差し出す。
「おう。任せとけ」
「お願いします。さて、オリンド。この先の探査には気を付けてください。深層にはどれほどの魔物が居るかわかりません。向こうの魔力に中てられないように」
「う、うん。ええと、回復魔法の応用で、対魔素防壁?」
「そうよお!よくできました!念の為に魔素の酔い止めもかけといたげる。あと精神強化もね。それから、手を繋いで。あたしの防壁だから滅多なことじゃ破られないとは思うけど、ヤバそうだったらヤバいと思う前に同調すんのよ」
「うん。同調して、防壁の強化をしてもらう…。わかった、絶対に忘れないようにする」
 強く頷いたオリンドは差し出されたウェンシェスランの手を握った。途端に周囲から再度の悲鳴が上がる。
 そう言えば冒険者たちが群がっているのだったと思い出して見渡すと、いつの間にか包囲に近い状態になっていた。結界まで使用しているのにギルド員たちが押され始めていたのだ。
「……ちょっと、これは、ウザくね?」
 おっとウェンシェスラン様がお怒りだ。軽い頭痛を起こしたような顔でエウフェリオは周囲をひと通り確認して今にも崩れそうな一角を支えるギルド員に向けて手を翳した。すると盛り返すように人垣が押し戻される。
「ナイス強化よフェリちゃん。てか、あんたが結界張った方が早くない?」
「それではギルドの面子が立たないでしょうが。それよりもオリンド。八割くらいまで出してしまって構いませんよ。思い切り探査しちゃいましょう」
「えっ、いいの!?」
「もちろん。お願いします」
「っ、うあ、お、俺、がんばる!」
 頼られるなど、お願いされるなど初めてだ。顔を赤らめて目に涙を溜めて、それはそれは嬉しそうな顔をしたオリンドは足を肩幅に開き腕を軽く広げて地中へ向けると、全身に魔力を巡らせて練り上げた。あっという間に身体中が淡く光り出し、髪の先まで及ぶと輝きを増した。
 瞬間、黒山の人だかりが僅かに強くどよめき、そして魅入られたように押し黙る。
 それはそうだろう、これほどの練度でもって輝きを放てる者などこれまで賢者エウフェリオを置いて他に居なかった。
「す…っごい。これなら、なぞるだけで描ける…!か、紙、と、ペン」
 先程よりも魔力を練ったおかげかより鮮明に見えるダンジョン内の光景に高揚してオリンドは催促した。繋ぐ手と空いた手でウェンシェスランが差し出す大量の植物紙へ頭に浮かぶ映像を重ね合わせると、エウフェリオからインク壺とペンを受け取って光を放ったまま描き殴り始める。
 一枚書き上げるたびエウフェリオが手に取り風と火の魔法で素早くインクを乾かした。線の一本一本は拙くかなり簡素化されてはいるが、とてもわかりやすい地図だ。
 途中で追加項目が出てきたとイドリックから数回地図を返却してもらい、書き加えたりなど忙しなく働いた手がようやく止まったのは、そこらの店々がみな開き切る頃だった。ただし、いつもなら、だ。おそらく今日はほとんどの店舗が開店休業か臨時休業だろう。
「…っ、はぁ…。できた…」
 植物紙に描き終え、ギルド版の地図にもいくつか追加で書き込んだオリンドは三時間近く放ちっぱなしだった光をようやく収める。
 その手に握られた冊子は、心無し輝いているようにも見えた。
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