23 / 68
第二十二話 階層調査
しおりを挟む
「お疲れ様ですオリンド。……新しい階層が、三十枚近く…」
描き上がった地図の枚数を確認したエウフェリオが愕然と呟く。
「え、と、七十九階層の残り半分と合わせて、二十九枚と半分。あんまり細かいところは省略したけど、罠と、転送陣と、転送陣が隠されてる部屋とか通路、あと、それから魔物が密集してるところと、ボス部屋は全部書いた。通路確認しながらのルート取れるかも」
オリンドは枚数を訂正したが、エウフェリオの言いたいことはそれではない。
「二十九枚半!っひゃー。えっ、てことは七十九、八十…百八階層まで見えたってことか!?こっから!?」
「途轍もないなおい」
「…ねえこれ絶対にキルタンサスの魔法学校に論文なり提出するべきよ」
「そうですね…しかし、あそこは多数の魔法を使えることに重きを置く教授が多いですから…。いや、一人…二人ほど一点集中型が居ましたか。検討しましょう」
「しかしギルドの当ては外れたな。確か百階層が最深部って目論見だったろ」
「だよなあ。なあなあ、オリンド。百八ってことは途中で魔力が届かなくなった?」
大概のダンジョンは切りのいい階数になっている。そのためギルドは百だろうと踏んでいたし、百八と聞いたアレグはまだ先があるのだろうと踏んだ。
「いや、そこが最深部。なんだけど、あんまり遠いからかな、なんでか先が見えなくてどこ行くかわからない転送陣が…えっと、ものすごく…すご…すごい、こわ、怖い何かの、下に…陣っ…、うわああ!怖かった!今っ頃、震え来た…っ!」
「大丈夫ですかオリンド!?」
「だっ、だいじょぶ!怖かった、だけっ。は、八十、から先は、探査、き、気付くやつばっか、だったけど、なん、なんというか、向こうが俺のこと、歯牙にもかけない、感じで。なにもされてない…っ」
ぶはあ。
エウフェリオに背を撫でられたオリンドは、大きく息を吐き出し緊張の糸を切ってゆるゆると尻餅をついた。
「うああ、五十階層から生きた心地しなかった…。上級行くやつは、あんなの相手にしてるのか…怖かった…っ」
悲しいことに五十階層までは中級なのだがオリンドの体感では三十そこそこの階層で身の毛も弥立っているのだから仕方ない。
「あっはっは。慣れ慣れ。大丈夫、そのうちイドの盾とかフェリの結界の中ならガッツンガッツン来られても平気になるから」
「無理ぃいいぃい!」
真っ青になったオリンドは、へたりこんだまま人目も憚らずにアレグの太腿をべちべちと叩いた。
「ふふ、安心してくださいオリンド。リックの防御や私の結界を破るような魔物が相手なら恐怖を感じる前に即死です」
「安心できるか!!」
四人の声がぴったり重なった。オリンドの息もこの二ヶ月で共に過ごした時間の濃密さを思わせる合い方だ。
それぞれがちょっとだけ教え教えられた日々を振り返って感じ入る。
「ふふふっ。…ところでアル、オリンドの記号の意味は覚えていますか?」
「んえ?…あー、…おう。…一応」
「…仕方ないですね。一旦一覧を預けますけど、絶対に失くさないでくださいよ?オリンドが泣きますからね?この記号が理解できなければ隠し扉など開けることも不可能です」
これは確実に忘れていると判断したエウフェリオは、イドリックから返却された地図と記号一覧とを差し出し釘も刺した。
「うおっ、おう!わかった、絶対に失くさん!ありがとうな、助かる!」
「とりあえず、ざっと転送陣の意味だけ今おさらいしますよ。この楕円が転送陣の印です。そしてこの円に向かう矢印が転送元の意味、円から出ている矢印が転送先の意味です。それぞれ書き込まれた数字が転送元や転送先の階ですから、きちんとルートを考えてから飛んでくださいね」
「おお。…オリンド、数字書けるようになったんだなあ…」
「がんばりましたもの。可愛らしく読みやすい字ですよね」
「そだな」
読みやすいのは賛同するけれど可愛いかどうかは理解不能だが同意せねば話は進むまい。アレグはにっこりと頷いた。もうとにかく一刻も早くクラッスラに入りたい。
「それから本当に見てくるだけにしてください。シェスカがついていかないんですから回復も蘇生もできませんよ」
「わーかってるって!俺も命は大事よ」
本当にわかっているのかこの坊ちゃんは。強かな頭痛を覚えたエウフェリオはこめかみを揉みほぐす。
「っし、んじゃあ行ってくる!」
「待ちなさい待ちなさい!隠遁魔法のかかったままでしょうが!」
「っとと、やべ、門通れねえじゃん」
「まったく。…はい、よろしいですよ」
「おう!そんじゃ今度こそ行ってくる!おまえらはオリンドが大丈夫そうなら七十九階層まで調査確認頼むな!」
「七っ…、ええっ!?」
走り去り際にとんでもない発言を置いていかれてオリンドは目を剥いた。後ろから三人分の盛大な溜め息が聞こえる。
「ちょっともう~!リンちゃん頑張った直後でしょうがあ!」
「全くだ。ちっとは人の身になれよ」
「本当に人使いの荒い…」
三者三様に嘆けば冒険者たちから笑声が沸き起こった。
なるほどこれがグラプトベリア名物、勇者の無茶振りかあ。
きらきらした目を向けてくるオリンドにエウフェリオは困ったように笑んだ。
「いえいえオリンド。これからは貴方もあれを食らうんですよ?…というか体は大丈夫ですか?魔力切れは起こしていませんか?」
「え?うん。大丈夫。魔力はあと三割くらい残ってる」
「そうですか。ではまさに今から食らいに行きましょうね。主戦力無しで上級階層ですよ。私たちが居ますし、安全なルートを通りますから七十九階層だって安心してくださっていいですけれども」
「うへぅあ!」
途端に真っ青になって膝から崩れ落ちるオリンドに、周囲から揶揄い混じりの笑い声がかけられた。
どんな能力を有しているかは不明でも、先ほどの発光を見せられたのだから納得する者が大半だろう。未だ訝しがる者も居るだろうが、アレグが戻れば彼の探査スキルの類稀な優秀さと冒険に対する必須さが証明されるはずだ。
そんなことを考えながら、エウフェリオはなんだか擽ったそうにしているオリンドを助け起こすと、念の為にとそのまま同調して魔力の残量を確認する。
「ん。言う通り三割残ってますね」
本当に百八枚の壁をぶち抜いて探査しておきながら三割も残っているなど、アレグの言では無いがもう驚くだとかいう次元を超えている。もはや考えることを放棄して、これなら調達についてきてもらう分には支障あるまいと頷いた。
「よし。なら行くか。…とは言っても、最後尾はどこだこりゃ」
「それよね。まさかここに居る全員がダンジョン入りはしやしないでしょうけど」
「大半は話の種の見物で来ているでしょうからね。…この寒空の下よくもこの時間まで音のない光景を見続けられたものですが…」
呆れて周囲を見渡せばいつの間にやら簡易な露店と炊き出し場がチラホラと見えた。確かに娯楽と言えばこんなイベント事くらいのものだろうが、よくやる。と、項垂れる心地だ。
「ああほら、意外と早そうですよ。今アルが通用門を潜ってます」
「えっ、今?…あ、ほんとだ」
伸び上がって通用門を見ると、まさに通り抜けようとするアレグの背中があった。あんなに意気込んで行ったのに、やっぱり並んで順番待ちしないといけないんだな。と、ちょっと楽しく思ったオリンドは、エウフェリオたちがギルド員の誘導を受けて最後尾へ並びに行く後に続いた。
「そうそう、リンちゃん。調達する物以外にも、気になる物があったら掘り出していいからね。遠慮なくフェリちゃんの袖をつんつん引っ張るのよ」
ダンジョン入り手続きの順番が来るのを待つ間、ウェンシェスランがこっそりと耳打ちしてきた。必然、オリンドも小声で聞き返す。
「袖をつんつん?」
「そう。つんつん。こんな感じで、ね?」
実際に袖を少し引っ張る真似をしてみせたウェンシェスランに頷くと至極満足そうな笑みが返ってきた。きっと勇者一行の間で通っている合図なのだろうと考えたオリンドは、冒険者でごった返し幸か不幸か魔物もほとんど討伐されてしまっているダンジョンに肩透かしを食らいつつも、さっそく十四階層で気になっていた魔導書らしきものを掘りたいとエウフェリオの袖を上目遣いの中腰でつんつんと引いて、見事に彼の腰を砕かせた。
「~~っ!シェスカ!貴方でしょう!?オリンドにこんなこと教え込んだのは!?」
「しーっ!声が大きいわよフェリちゃん。リンちゃんを敵視する馬鹿野郎が出てきちゃうでしょうが。自分の人気を考えなさいよ」
「どの口が言ってんですか!?」
「あ、あの、ご、ごめん、俺…」
「あんたは悪くねえよオリンド」
悪いのはこの恋愛脳とムッツリだ。バッサリ切り捨てたイドリックのおかげで口論はそれ以上発展することはなく収まる。
「気にしなくていいから、好きに欲しい物を掘り出してきていいんだぞ」
「う、うん。わかった」
頷いたオリンドは重なり合う岩が剥き出しになった壁際に歩み寄り、人の頭ほどの岩をひとつ取り外すと数歩後ろへ飛び離れた。どこからか錠前の外れるような音が数度したかと思うと岩の一部が支えを失ったように崩れ落ちる。
もうもうと土埃や光り苔が舞い、周囲の冒険者から驚愕の声が上がった。
「っええ…なんて無造作に隠し部屋があんのよ…」
岩の落ちた向こう側には部屋というには小ぢんまりした洞が現れ、中にはしっかりとした造りの木箱が置かれていた。箱を開けてみると蝋引き紙で包まれた分厚い書籍が二冊入っている。
「内容はわからないけど、たぶん魔導書だと思う」
包み紙を解いて渡されたエウフェリオは、ざっと表紙に目を走らせて、それから両手で持ち額の前に掲げて小声で唸る。
「…なんてことでしょう…どちらも古代魔法ですよこれ…」
「うっそでしょ!?なんで!?こんなとこに!?」
古代魔法とは今は失われた魔法の総称で、記された書籍の発見数は世界でも少なく、このクラッスラでも過去に七十五階層で一冊出たきりという希少さだ。軽く見積もっても一冊に大金貨百枚は付くだろう。街の人間ならおよそ半年分の稼ぎといったところか。それが何故こんな初級階層にあるというのか。
「えっと…、地図に書き込んでる時に思ったんだけど…」
「はい。思ったことや気付いたことは何でも共有してください」
すぐさま地図を手渡され、いそいそと広げる。自分の意見を聞いてもらえることが嬉しくて仕方ない。エウフェリオが再度隠遁魔法をかけるというので、合図を待ってから口を開いた。
「ええと、色々と嫌らしいダンジョンだなと思って」
「と、言いますと?」
「構造の複雑さだとか、まも、魔物の強さだとかは階層順になってるんだけど、罠とか隠し部屋とか通路になってくると、バラバラで、今の洞みたいに、ふ、普通のダンジョンなら『こんなところにあるわけ無い』っていう、怪しくもなんともない場所にぽこぽこ設置されてる。それで、そういうとこに限ってすごく、魔力とか、魔素の高い物が、隠されてる」
とりあえず適当に開いた中級階層の頁に追記された記号や図を示しながら説明すると、三人は少しの間見入ってから深く頷いた。
「これは、確かに…。不自然な行き止まりや多重構造じみた場所…、こんな調べたくなる場所の手前に、こう無秩序に配置されていては思わず素通りしてしまいますね」
「全くだ。底意地の悪い。それにこうして並べて見ると転送陣の行き先階層のバラ付きも酷いな。こんなもんオリンドの探査無しで飛びたか無いぞ」
「今まで見つかってた陣はわかりやすい所にあったのね。…ああー、苦労する陣ほど規則性が無いじゃないのよ、こんなのままよで飛びたくないわあ。…ほんっと助かるう!リンちゃん様様よ」
「ふへっ、あ、ありがとうっ…!」
おお。と、エウフェリオをはじめ、イドリックもウェンシェスランも目を丸くして微笑んだ。褒め言葉を卑下せず真っ直ぐ受け取れるようになったオリンドに、この二ヶ月で随分と打ち解け、自信もつけてくれたと胸の内が温かくなる。
「こちらこそだ。その調子で気のせいでも些細なことでも、なんでも伝えてくれな」
「さ、些細なことでも、いいの…?」
「ええ。とても大事なことです。階層が進むほど、ちょっとした違和感や油断が命取りになったりしますから」
「お腹空いてきたー。とか、なんか悪い予感がするー。とか、そんなことでも全部言ってちょうだいな」
柔らかな言葉にオリンドこそ胸の内を温めて、鼻を少し啜り上げた。ソロではもちろん、バティスタたちとの冒険ではついぞ得られなかった安心感と高揚、仲間が居てくれる、という思いに鼓動が高鳴る。
「わ、わかった。そうする!」
元気のいい返事に調子を上げた一同は、隠遁魔法を解除すると、目的の物資を調達するため次々と階層を踏破していった。
行く先々で通路をほとんど埋め尽くして待ち構えるファンもとい冒険者や、後をついて回るストーカー、否、冒険者の数も階層を重ねるごとに徐々に数を減らし、二十五階層を超える頃には落ち着き出した。
「ふお…。随分と人が減った…」
土や岩が剥き出しだった通路から徐々にレンガの壁や石畳に置き換わり出した景色にも目を取られながら、オリンドが辺りを見回す。周囲を照らし出す光苔は天井に密集し、上層階よりも強い光を放っていた。もっとも、壁に設置された灯り魔法を付与されたランプが無ければ光源としてはやや不足しているが。
「ええ。そろそろ中級の真ん中に近い階層でしょう?この辺りまで来られるとなるとベテランばかりですから、みなさん落ち着いているんですよ」
「まあ、中には猪突猛進も居るがな」
「いやあ、まだまだ野蛮人ばかりでしょ」
「そうですかねえ…。この辺りから先に行ける知り合いは節度のある人が多いと思うのですけれど」
「そりゃあんたと交流持とうってタイプだからでしょうよ」
「ふうん…。そうなのか」
頷きながらオリンドはそっと項の辺りを片手で覆った。彼らの言う通りなら周囲の冒険者たちは、落ち着いてきつつも好戦的な者は多いということだ。むしろ冒険を生業にしているのだから血の気が多いのも当然のことだろう。
それならダンジョンに入る前から刺さってきていた視線がまだチラホラとあるのも仕方が無いのかもしれない。なにしろ勇者が居ないとはいえ憧れの一行がダンジョンを闊歩しているのだから。
なんとなく覚えのあるような感覚に首の後ろをむずむずとさせながら、エウフェリオたちに護られ進んだオリンドは、しかし三十階層に入った頃にふと後ろを気にした。
気にするまいと思いつつ無意識に探ってしまっていた気配が強まった気がしたからだ。なんだか嫌だな。と、そう思った瞬間に頭をよぎったのはバティスタとダルマチェロの顔だった。一瞬ぎくりと身を固めたオリンドは両の指先を絡め、少し歩調を早めて先頭を歩くエウフェリオと続くウェンシェスランの間にそっと滑り込む。
そうだ、なんで忘れていた。どこかで感じた感覚のはずだ。昔嫌というほど浴びた視線。バッツやマーシーが俺を殴ったり蹴ったりするときに向けてきた視線と気配。エウフェリオたちに教えてもらった今ならわかる。バッツたちのアレは怒りとかじゃなくて、悪意、だ。すると今向けられているこれも悪意。これは、きっとこっそり報告しなけりゃいけないやつだ。どうしよう。
背筋に冷や汗を吹き出させてオリンドは前を行くエウフェリオの服を摘んだ。
「っ…ど、どうしました?…オリンド?」
今度は普通に摘まれたが先ほどの愛らしい仕草を彷彿としてしまい、足が絡れかける。しかし青くなった顔を見て取ったエウフェリオは自然な動作で地図を広げると、周囲からオリンドの表情を隠した。
「う…ん。えっと…えっと、…あっ、そ、そこ。そこの壁に隠されてる、通路、調査していい?」
「!…はい。良いですよ。ではまた隠遁魔法をかけますから、少し待ってくださいね」
考え抜いて調査という言葉を使えば期待通りの反応を返してくれたエウフェリオに膝が抜けそうなほど安堵する。
「どうぞ。かけ終わりましたよ」
ゆっくりとした仕草と言葉がかけられ緊張の解れたオリンドは、目の前の壁を見渡し、一見無秩序に四つのレンガを押し込んだ。
重い岩の転げ落ちたような音が遠くで響き、壁が腕一本分ほど奥へ滑り込む。拍子で天井の光苔がいくらか剥がれ落ちる中、軋む音を立てて横方向へ引き込まれていった。
「うわおう。すんごい仕掛けね」
「どんな絡繰だよ、こりゃあ」
背後でも流石に騒めく冒険者たちを尻目に、開いた壁を見渡しながら四人は隠し通路へ一歩踏み込み、奥を確認するふりで立ち止まる。
「それで、どうしました?オリンド」
「うん。な、なんか、嫌な気配のパーティが後をつけてきてる」
「なんですって?」
聞くやウェンシェスランはもう一歩通路に踏み込み、他の冒険者たちから表情が見えないようにして濁音の伴いそうな微笑みを披露した。オリンドが思わず半歩後退る。
「ふふ。では奥でちょっとお話をしましょうか」
その肩をわざと両手でしっかり掴んだエウフェリオは、悪戯な笑みを浮かべて隠し通路側へ誘導した。声の届かない周囲の冒険者には怖がる新参者を戯れで押し込んだように映ったのだろう、隠しきれない笑い声が起こった。
「は、話…って?」
「なんだ、オリンドの言うやつらを、見物客に知られないよう追い払う方法でもあるのか?」
「ええ。考えがあります」
自身も通路の壁に隠れたところで微笑んだ賢者の魔王じみた表情に、思わずイドリックも後退るところだった。
描き上がった地図の枚数を確認したエウフェリオが愕然と呟く。
「え、と、七十九階層の残り半分と合わせて、二十九枚と半分。あんまり細かいところは省略したけど、罠と、転送陣と、転送陣が隠されてる部屋とか通路、あと、それから魔物が密集してるところと、ボス部屋は全部書いた。通路確認しながらのルート取れるかも」
オリンドは枚数を訂正したが、エウフェリオの言いたいことはそれではない。
「二十九枚半!っひゃー。えっ、てことは七十九、八十…百八階層まで見えたってことか!?こっから!?」
「途轍もないなおい」
「…ねえこれ絶対にキルタンサスの魔法学校に論文なり提出するべきよ」
「そうですね…しかし、あそこは多数の魔法を使えることに重きを置く教授が多いですから…。いや、一人…二人ほど一点集中型が居ましたか。検討しましょう」
「しかしギルドの当ては外れたな。確か百階層が最深部って目論見だったろ」
「だよなあ。なあなあ、オリンド。百八ってことは途中で魔力が届かなくなった?」
大概のダンジョンは切りのいい階数になっている。そのためギルドは百だろうと踏んでいたし、百八と聞いたアレグはまだ先があるのだろうと踏んだ。
「いや、そこが最深部。なんだけど、あんまり遠いからかな、なんでか先が見えなくてどこ行くかわからない転送陣が…えっと、ものすごく…すご…すごい、こわ、怖い何かの、下に…陣っ…、うわああ!怖かった!今っ頃、震え来た…っ!」
「大丈夫ですかオリンド!?」
「だっ、だいじょぶ!怖かった、だけっ。は、八十、から先は、探査、き、気付くやつばっか、だったけど、なん、なんというか、向こうが俺のこと、歯牙にもかけない、感じで。なにもされてない…っ」
ぶはあ。
エウフェリオに背を撫でられたオリンドは、大きく息を吐き出し緊張の糸を切ってゆるゆると尻餅をついた。
「うああ、五十階層から生きた心地しなかった…。上級行くやつは、あんなの相手にしてるのか…怖かった…っ」
悲しいことに五十階層までは中級なのだがオリンドの体感では三十そこそこの階層で身の毛も弥立っているのだから仕方ない。
「あっはっは。慣れ慣れ。大丈夫、そのうちイドの盾とかフェリの結界の中ならガッツンガッツン来られても平気になるから」
「無理ぃいいぃい!」
真っ青になったオリンドは、へたりこんだまま人目も憚らずにアレグの太腿をべちべちと叩いた。
「ふふ、安心してくださいオリンド。リックの防御や私の結界を破るような魔物が相手なら恐怖を感じる前に即死です」
「安心できるか!!」
四人の声がぴったり重なった。オリンドの息もこの二ヶ月で共に過ごした時間の濃密さを思わせる合い方だ。
それぞれがちょっとだけ教え教えられた日々を振り返って感じ入る。
「ふふふっ。…ところでアル、オリンドの記号の意味は覚えていますか?」
「んえ?…あー、…おう。…一応」
「…仕方ないですね。一旦一覧を預けますけど、絶対に失くさないでくださいよ?オリンドが泣きますからね?この記号が理解できなければ隠し扉など開けることも不可能です」
これは確実に忘れていると判断したエウフェリオは、イドリックから返却された地図と記号一覧とを差し出し釘も刺した。
「うおっ、おう!わかった、絶対に失くさん!ありがとうな、助かる!」
「とりあえず、ざっと転送陣の意味だけ今おさらいしますよ。この楕円が転送陣の印です。そしてこの円に向かう矢印が転送元の意味、円から出ている矢印が転送先の意味です。それぞれ書き込まれた数字が転送元や転送先の階ですから、きちんとルートを考えてから飛んでくださいね」
「おお。…オリンド、数字書けるようになったんだなあ…」
「がんばりましたもの。可愛らしく読みやすい字ですよね」
「そだな」
読みやすいのは賛同するけれど可愛いかどうかは理解不能だが同意せねば話は進むまい。アレグはにっこりと頷いた。もうとにかく一刻も早くクラッスラに入りたい。
「それから本当に見てくるだけにしてください。シェスカがついていかないんですから回復も蘇生もできませんよ」
「わーかってるって!俺も命は大事よ」
本当にわかっているのかこの坊ちゃんは。強かな頭痛を覚えたエウフェリオはこめかみを揉みほぐす。
「っし、んじゃあ行ってくる!」
「待ちなさい待ちなさい!隠遁魔法のかかったままでしょうが!」
「っとと、やべ、門通れねえじゃん」
「まったく。…はい、よろしいですよ」
「おう!そんじゃ今度こそ行ってくる!おまえらはオリンドが大丈夫そうなら七十九階層まで調査確認頼むな!」
「七っ…、ええっ!?」
走り去り際にとんでもない発言を置いていかれてオリンドは目を剥いた。後ろから三人分の盛大な溜め息が聞こえる。
「ちょっともう~!リンちゃん頑張った直後でしょうがあ!」
「全くだ。ちっとは人の身になれよ」
「本当に人使いの荒い…」
三者三様に嘆けば冒険者たちから笑声が沸き起こった。
なるほどこれがグラプトベリア名物、勇者の無茶振りかあ。
きらきらした目を向けてくるオリンドにエウフェリオは困ったように笑んだ。
「いえいえオリンド。これからは貴方もあれを食らうんですよ?…というか体は大丈夫ですか?魔力切れは起こしていませんか?」
「え?うん。大丈夫。魔力はあと三割くらい残ってる」
「そうですか。ではまさに今から食らいに行きましょうね。主戦力無しで上級階層ですよ。私たちが居ますし、安全なルートを通りますから七十九階層だって安心してくださっていいですけれども」
「うへぅあ!」
途端に真っ青になって膝から崩れ落ちるオリンドに、周囲から揶揄い混じりの笑い声がかけられた。
どんな能力を有しているかは不明でも、先ほどの発光を見せられたのだから納得する者が大半だろう。未だ訝しがる者も居るだろうが、アレグが戻れば彼の探査スキルの類稀な優秀さと冒険に対する必須さが証明されるはずだ。
そんなことを考えながら、エウフェリオはなんだか擽ったそうにしているオリンドを助け起こすと、念の為にとそのまま同調して魔力の残量を確認する。
「ん。言う通り三割残ってますね」
本当に百八枚の壁をぶち抜いて探査しておきながら三割も残っているなど、アレグの言では無いがもう驚くだとかいう次元を超えている。もはや考えることを放棄して、これなら調達についてきてもらう分には支障あるまいと頷いた。
「よし。なら行くか。…とは言っても、最後尾はどこだこりゃ」
「それよね。まさかここに居る全員がダンジョン入りはしやしないでしょうけど」
「大半は話の種の見物で来ているでしょうからね。…この寒空の下よくもこの時間まで音のない光景を見続けられたものですが…」
呆れて周囲を見渡せばいつの間にやら簡易な露店と炊き出し場がチラホラと見えた。確かに娯楽と言えばこんなイベント事くらいのものだろうが、よくやる。と、項垂れる心地だ。
「ああほら、意外と早そうですよ。今アルが通用門を潜ってます」
「えっ、今?…あ、ほんとだ」
伸び上がって通用門を見ると、まさに通り抜けようとするアレグの背中があった。あんなに意気込んで行ったのに、やっぱり並んで順番待ちしないといけないんだな。と、ちょっと楽しく思ったオリンドは、エウフェリオたちがギルド員の誘導を受けて最後尾へ並びに行く後に続いた。
「そうそう、リンちゃん。調達する物以外にも、気になる物があったら掘り出していいからね。遠慮なくフェリちゃんの袖をつんつん引っ張るのよ」
ダンジョン入り手続きの順番が来るのを待つ間、ウェンシェスランがこっそりと耳打ちしてきた。必然、オリンドも小声で聞き返す。
「袖をつんつん?」
「そう。つんつん。こんな感じで、ね?」
実際に袖を少し引っ張る真似をしてみせたウェンシェスランに頷くと至極満足そうな笑みが返ってきた。きっと勇者一行の間で通っている合図なのだろうと考えたオリンドは、冒険者でごった返し幸か不幸か魔物もほとんど討伐されてしまっているダンジョンに肩透かしを食らいつつも、さっそく十四階層で気になっていた魔導書らしきものを掘りたいとエウフェリオの袖を上目遣いの中腰でつんつんと引いて、見事に彼の腰を砕かせた。
「~~っ!シェスカ!貴方でしょう!?オリンドにこんなこと教え込んだのは!?」
「しーっ!声が大きいわよフェリちゃん。リンちゃんを敵視する馬鹿野郎が出てきちゃうでしょうが。自分の人気を考えなさいよ」
「どの口が言ってんですか!?」
「あ、あの、ご、ごめん、俺…」
「あんたは悪くねえよオリンド」
悪いのはこの恋愛脳とムッツリだ。バッサリ切り捨てたイドリックのおかげで口論はそれ以上発展することはなく収まる。
「気にしなくていいから、好きに欲しい物を掘り出してきていいんだぞ」
「う、うん。わかった」
頷いたオリンドは重なり合う岩が剥き出しになった壁際に歩み寄り、人の頭ほどの岩をひとつ取り外すと数歩後ろへ飛び離れた。どこからか錠前の外れるような音が数度したかと思うと岩の一部が支えを失ったように崩れ落ちる。
もうもうと土埃や光り苔が舞い、周囲の冒険者から驚愕の声が上がった。
「っええ…なんて無造作に隠し部屋があんのよ…」
岩の落ちた向こう側には部屋というには小ぢんまりした洞が現れ、中にはしっかりとした造りの木箱が置かれていた。箱を開けてみると蝋引き紙で包まれた分厚い書籍が二冊入っている。
「内容はわからないけど、たぶん魔導書だと思う」
包み紙を解いて渡されたエウフェリオは、ざっと表紙に目を走らせて、それから両手で持ち額の前に掲げて小声で唸る。
「…なんてことでしょう…どちらも古代魔法ですよこれ…」
「うっそでしょ!?なんで!?こんなとこに!?」
古代魔法とは今は失われた魔法の総称で、記された書籍の発見数は世界でも少なく、このクラッスラでも過去に七十五階層で一冊出たきりという希少さだ。軽く見積もっても一冊に大金貨百枚は付くだろう。街の人間ならおよそ半年分の稼ぎといったところか。それが何故こんな初級階層にあるというのか。
「えっと…、地図に書き込んでる時に思ったんだけど…」
「はい。思ったことや気付いたことは何でも共有してください」
すぐさま地図を手渡され、いそいそと広げる。自分の意見を聞いてもらえることが嬉しくて仕方ない。エウフェリオが再度隠遁魔法をかけるというので、合図を待ってから口を開いた。
「ええと、色々と嫌らしいダンジョンだなと思って」
「と、言いますと?」
「構造の複雑さだとか、まも、魔物の強さだとかは階層順になってるんだけど、罠とか隠し部屋とか通路になってくると、バラバラで、今の洞みたいに、ふ、普通のダンジョンなら『こんなところにあるわけ無い』っていう、怪しくもなんともない場所にぽこぽこ設置されてる。それで、そういうとこに限ってすごく、魔力とか、魔素の高い物が、隠されてる」
とりあえず適当に開いた中級階層の頁に追記された記号や図を示しながら説明すると、三人は少しの間見入ってから深く頷いた。
「これは、確かに…。不自然な行き止まりや多重構造じみた場所…、こんな調べたくなる場所の手前に、こう無秩序に配置されていては思わず素通りしてしまいますね」
「全くだ。底意地の悪い。それにこうして並べて見ると転送陣の行き先階層のバラ付きも酷いな。こんなもんオリンドの探査無しで飛びたか無いぞ」
「今まで見つかってた陣はわかりやすい所にあったのね。…ああー、苦労する陣ほど規則性が無いじゃないのよ、こんなのままよで飛びたくないわあ。…ほんっと助かるう!リンちゃん様様よ」
「ふへっ、あ、ありがとうっ…!」
おお。と、エウフェリオをはじめ、イドリックもウェンシェスランも目を丸くして微笑んだ。褒め言葉を卑下せず真っ直ぐ受け取れるようになったオリンドに、この二ヶ月で随分と打ち解け、自信もつけてくれたと胸の内が温かくなる。
「こちらこそだ。その調子で気のせいでも些細なことでも、なんでも伝えてくれな」
「さ、些細なことでも、いいの…?」
「ええ。とても大事なことです。階層が進むほど、ちょっとした違和感や油断が命取りになったりしますから」
「お腹空いてきたー。とか、なんか悪い予感がするー。とか、そんなことでも全部言ってちょうだいな」
柔らかな言葉にオリンドこそ胸の内を温めて、鼻を少し啜り上げた。ソロではもちろん、バティスタたちとの冒険ではついぞ得られなかった安心感と高揚、仲間が居てくれる、という思いに鼓動が高鳴る。
「わ、わかった。そうする!」
元気のいい返事に調子を上げた一同は、隠遁魔法を解除すると、目的の物資を調達するため次々と階層を踏破していった。
行く先々で通路をほとんど埋め尽くして待ち構えるファンもとい冒険者や、後をついて回るストーカー、否、冒険者の数も階層を重ねるごとに徐々に数を減らし、二十五階層を超える頃には落ち着き出した。
「ふお…。随分と人が減った…」
土や岩が剥き出しだった通路から徐々にレンガの壁や石畳に置き換わり出した景色にも目を取られながら、オリンドが辺りを見回す。周囲を照らし出す光苔は天井に密集し、上層階よりも強い光を放っていた。もっとも、壁に設置された灯り魔法を付与されたランプが無ければ光源としてはやや不足しているが。
「ええ。そろそろ中級の真ん中に近い階層でしょう?この辺りまで来られるとなるとベテランばかりですから、みなさん落ち着いているんですよ」
「まあ、中には猪突猛進も居るがな」
「いやあ、まだまだ野蛮人ばかりでしょ」
「そうですかねえ…。この辺りから先に行ける知り合いは節度のある人が多いと思うのですけれど」
「そりゃあんたと交流持とうってタイプだからでしょうよ」
「ふうん…。そうなのか」
頷きながらオリンドはそっと項の辺りを片手で覆った。彼らの言う通りなら周囲の冒険者たちは、落ち着いてきつつも好戦的な者は多いということだ。むしろ冒険を生業にしているのだから血の気が多いのも当然のことだろう。
それならダンジョンに入る前から刺さってきていた視線がまだチラホラとあるのも仕方が無いのかもしれない。なにしろ勇者が居ないとはいえ憧れの一行がダンジョンを闊歩しているのだから。
なんとなく覚えのあるような感覚に首の後ろをむずむずとさせながら、エウフェリオたちに護られ進んだオリンドは、しかし三十階層に入った頃にふと後ろを気にした。
気にするまいと思いつつ無意識に探ってしまっていた気配が強まった気がしたからだ。なんだか嫌だな。と、そう思った瞬間に頭をよぎったのはバティスタとダルマチェロの顔だった。一瞬ぎくりと身を固めたオリンドは両の指先を絡め、少し歩調を早めて先頭を歩くエウフェリオと続くウェンシェスランの間にそっと滑り込む。
そうだ、なんで忘れていた。どこかで感じた感覚のはずだ。昔嫌というほど浴びた視線。バッツやマーシーが俺を殴ったり蹴ったりするときに向けてきた視線と気配。エウフェリオたちに教えてもらった今ならわかる。バッツたちのアレは怒りとかじゃなくて、悪意、だ。すると今向けられているこれも悪意。これは、きっとこっそり報告しなけりゃいけないやつだ。どうしよう。
背筋に冷や汗を吹き出させてオリンドは前を行くエウフェリオの服を摘んだ。
「っ…ど、どうしました?…オリンド?」
今度は普通に摘まれたが先ほどの愛らしい仕草を彷彿としてしまい、足が絡れかける。しかし青くなった顔を見て取ったエウフェリオは自然な動作で地図を広げると、周囲からオリンドの表情を隠した。
「う…ん。えっと…えっと、…あっ、そ、そこ。そこの壁に隠されてる、通路、調査していい?」
「!…はい。良いですよ。ではまた隠遁魔法をかけますから、少し待ってくださいね」
考え抜いて調査という言葉を使えば期待通りの反応を返してくれたエウフェリオに膝が抜けそうなほど安堵する。
「どうぞ。かけ終わりましたよ」
ゆっくりとした仕草と言葉がかけられ緊張の解れたオリンドは、目の前の壁を見渡し、一見無秩序に四つのレンガを押し込んだ。
重い岩の転げ落ちたような音が遠くで響き、壁が腕一本分ほど奥へ滑り込む。拍子で天井の光苔がいくらか剥がれ落ちる中、軋む音を立てて横方向へ引き込まれていった。
「うわおう。すんごい仕掛けね」
「どんな絡繰だよ、こりゃあ」
背後でも流石に騒めく冒険者たちを尻目に、開いた壁を見渡しながら四人は隠し通路へ一歩踏み込み、奥を確認するふりで立ち止まる。
「それで、どうしました?オリンド」
「うん。な、なんか、嫌な気配のパーティが後をつけてきてる」
「なんですって?」
聞くやウェンシェスランはもう一歩通路に踏み込み、他の冒険者たちから表情が見えないようにして濁音の伴いそうな微笑みを披露した。オリンドが思わず半歩後退る。
「ふふ。では奥でちょっとお話をしましょうか」
その肩をわざと両手でしっかり掴んだエウフェリオは、悪戯な笑みを浮かべて隠し通路側へ誘導した。声の届かない周囲の冒険者には怖がる新参者を戯れで押し込んだように映ったのだろう、隠しきれない笑い声が起こった。
「は、話…って?」
「なんだ、オリンドの言うやつらを、見物客に知られないよう追い払う方法でもあるのか?」
「ええ。考えがあります」
自身も通路の壁に隠れたところで微笑んだ賢者の魔王じみた表情に、思わずイドリックも後退るところだった。
568
お気に入りに追加
1,539
あなたにおすすめの小説
信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……
鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。
そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。
これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。
「俺はずっと、ミルのことが好きだった」
そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。
お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ!
※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています
勘弁してください、僕はあなたの婚約者ではありません
りまり
BL
公爵家の5人いる兄弟の末っ子に生まれた私は、優秀で見目麗しい兄弟がいるので自由だった。
自由とは名ばかりの放置子だ。
兄弟たちのように見目が良ければいいがこれまた普通以下で高位貴族とは思えないような容姿だったためさらに放置に繋がったのだが……両親は兎も角兄弟たちは口が悪いだけでなんだかんだとかまってくれる。
色々あったが学園に通うようになるとやった覚えのないことで悪役呼ばわりされ孤立してしまった。
それでも勉強できるからと学園に通っていたが、上級生の卒業パーティーでいきなり断罪され婚約破棄されてしまい挙句に学園を退学させられるが、後から知ったのだけど僕には弟がいたんだってそれも僕そっくりな、その子は両親からも兄弟からもかわいがられ甘やかされて育ったので色々な所でやらかしたので顔がそっくりな僕にすべての罪をきせ追放したって、優しいと思っていた兄たちが笑いながら言っていたっけ、国外追放なので二度と合わない僕に最後の追い打ちをかけて去っていった。
隣国でも噂を聞いたと言っていわれのないことで暴行を受けるが頑張って生き抜く話です
巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中
妹を溺愛したい旦那様は婚約者の私に出ていってほしそうなので、本当に出ていってあげます
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族令嬢であったアリアに幸せにすると声をかけ、婚約関係を結んだグレゴリー第一王子。しかしその後、グレゴリーはアリアの妹との関係を深めていく…。ある日、彼はアリアに出ていってほしいと独り言をつぶやいてしまう。それを耳にしたアリアは、その言葉の通りに家出することを決意するのだった…。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる