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書籍化記念

柾人が嫉妬をした夜は7

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 もう三十代に入ったが、愛しい恋人に煽られればそこはいとも簡単に硬くなりすぐにでも心地よい場所へと挿れてしまいたくなる。

 これではもう文句など言えなくなる。この五年でしっかりと手綱を握られてしまったと実感し、笑いと愛おしさが込み上げてくる。

「随分と私の扱いが上手くなってしまったね」

 唇が離れたのを機にクレームにもならないことを零せば、また笑われた。

「当たり前です。だって、この五年ずっと柾人さんだけを見てきましたから。これで上手にならなかったらおかしいでしょう」

「確かにそうだ」

 ずっと傍で見ていたのは他でもない彼だ。

 社長という重責を背負うことになった柾人を支えるためだけに、咲子の元で修行をし、和紗が掲げた資格よりも多くを携えて入社したのだ。柾人すらその数に舌を巻いたくらいだ。大学の勉強と並行して頑張ってきた姿を見てきたが、すべては自分と一緒に居るためだと知れば、彼への想いが深まるのは必然だ。

 そして入社して三年目となる今も、柾人の仕事を少しでも軽くしようと奮闘してくれている。

 この販路も、朔弥の提案だ。

 営業部から上がってくる不満をどう解決するかをずっと考え、まずは社長が道筋を着けた方が良いのではと進言し、本日のプレゼンをセッティングしてくれたのもすべて朔弥だ。グループ外の仕事を獲得したとなれば、営業部に発破を掛けやすくなることを見込んで。

 優秀すぎるほど優秀な彼に、出会った頃と違う顔を見せてしまうのは仕方ないだろう。

 相手先が気に入らないなど、昔の朔弥には決して零しはしなかっただろう。

 自分が無意識に朔弥に対して甘えた姿を見せるようになった事実に気づき、内心苦笑して細い身体を抱き上げた。彼も当たり前のように柾人の首に腕を回してされるがままになる。

 躊躇うことなく、二つあるダブルベッドの一つに下ろした。

 ホテルの名前が刺繍してあるパジャマのボタンを一つ一つゆっくりと外しても、かつてのような恥じらいはない。むしろじっと柾人を見つめ、蠱惑的な笑みをその口に浮かべる。

 そう変えたのは他でもない柾人だ。

 ボタンをすべて外し、白い肌を外気に晒す。柾人が弄りすぎて色が薄くなった胸の飾りがプクリと膨らみ、口付けを求めているようだ。躊躇うことなく舌で転がせば、すぐに朔弥から愛らしい声が零れ落ちた。

「あ……んんっ」

「身体も、私を誘うのが上手だ」

 カプリと甘噛みすれば細い身体は柾人の下で跳ねる。近頃抱いていなかったからキスマークも噛み跡も残っていない。それが悔しくて愛撫が執拗になる。

「ん……ぁ! あまり激しいのはダメです……明日帰れなくなります」

「それは朔弥次第だ。君が感じなければすぐに終わる」
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