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014『入学式・1』
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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
014『入学式・1』
こんなに可愛いんだよ、元気出してがんばれo(>ω<)o!
証明写真のメグリがこぶしを握って励ましてくれる。
魔法じゃないんだ、アプリだよ。
白黒の証明写真にアプリを使って色を付け、もう一つのアプリで動かしてみた。メッセージを打ち込むと写真に見合った人工音声で喋ってくれる。
「へえ、なんだか魔法みたいね」
引退魔法少女のお祖母ちゃんも珍しそうにのぞき込んでいたよ。
有料アプリなんだけど、5人分は無料の体験版。
月も改まって4月1日の今日は入学式。
クラスも発表されるし、本格的な高校生活が始まる。
靴下までおニューの制服。
おニュー独特の匂い。袖口や首筋に触れるブラウスの襟の微妙な硬さ。
歩くたびに胸元から新品の香り。ローファーも新品で足を下ろすたびにコツコツと音がする。
髪は悩んだ末にポニーテール。
ゴムを三重にした上に紺のリボンシュシュ……うん、キリっと清楚で好印象!
で、勢いをつけて家を出たんだけど、戻り橋を渡って昭和に足を踏み込んだとたん緊張してきた。
そこで、歩きながらスマホを出して自分に励ましてもらってるというわけさ。
宮之森で降りて改札を出る。乗ってる間は気づかなかったけど、同じ制服着た子たちがゾロゾロ歩いてる。
保護者同伴の子と、わたし同様一人で来てる子と半々。
入学式だから保護者も来るんだけど、新入生はいったん教室に入る。開式までは時間があるし、親が付いてると恥ずかしいし、だから一人。特に男子はほとんど一人。
あ、十円足りない男子!
あいつも宮之森だったの!?
新入生には見えないんだけど……あんまり見ないようにしよう。
自然に顔をそむけたところに売店。
前に並んだ新聞の見出しは『日航機を乗っ取り』『金浦空港に着陸』の大見出し。
通勤時間のピークは過ぎてるんだろうけど、けっこうな人たちが新聞を買っていく。
思い出すと、電車の中で新聞を見ている人も多かった。やっぱ、ハイジャックのインパクトは大きい。
商店街に入ると、電機屋さんの前、テレビは金浦空港を映してるけど、昨日ほど見ている人は居ない。
膠着状態ってやつなんだろうけど、解決遅くない? 二十一世紀なら特殊部隊とかがダダって突撃して犯人撃ち殺しておしまいだと思う。
学校に着くと昇降口。
入り口のガラスにクラス編成の紙が張ってあって、そこで、クラスを確認。
…………あった、5組だ。
時司巡の頭に30とあるから、出席番号は30らしい。
中学では23だったから、ちょっと後ろの印象…………ああ、48番まであるのか。昔の学校って、ちょっと多い。
「下足箱はクラスごとになってます、出席番号と名前を確認して上履きに履き替え、直ぐに教室に行ってくださーい」
女の先生が、良く通る声で注意してる。
声がいいってだけで、ちょっと嬉しい。オッサンの先生もいるけど黙って突っ立てる。
「トキツカサさーーん!」
え?
振り返ると唯一見覚えのある女の子。
「あ、宮田さん!」
「嬉しい、おんなじクラスなんですね!」
「あ、そうなんだ! わたしって、自分の名前しか見てなかったから(^_^;)」
「いいえ、宮田なんて目立たない苗字ですから」
「いやいや(^_^;)」
なにがいやいやなんだか、二人アハハと笑って北館二階の教室に向かった。
教室の前にはすでに先生が居た。
中年のオッサン、藤田先生だというのはクラス表で分かってたけど、ちょっととっつきにくそう。
セサミストリートだったっけ、眉毛のつながったキャラがいたけど、あの感じ。
席は、窓から二列目。宮田さんは三列目で、ちょうどわたしの横。
ちょっぴり嬉しくって宮田さんにピースサイン。
?…………という顔をして、すぐにグーを出す。
え、ジャンケンだと思ってる?
「名前を呼んで確認します。返事しなさい」
簡単に言って、出席番号一番から名前を読み上げる藤田先生。
あれ、五番目の席だけが空席……先生は、その空席を不審にも思わずに六番目を呼んで、あっという間に点呼を終わる。
「では、時間なので廊下に、男女別二列に並びなさい。教室には荷物を残さないように」
なんか無言で先生の指示に従って廊下に並ぶ。
無駄口をきくものも居なくって、なんだか緊張。
やがて、前の方……どうやら隣の四組が動き出したのに続いて式場に向かう。
ペッタンペッタン……
上履きがサンダルなので、大勢が揃って歩くとおもしろい。
アハハ( ´艸`)
つい笑ってしまう。
とたんに先生が振り返って睨まれる。
なんか緊張してきた(;'∀')
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校一年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
宮田博子 1年5組 クラスメート
須之内写真館 証明写真を撮ってもらった、優しいおねえさんのいる写真館
014『入学式・1』
こんなに可愛いんだよ、元気出してがんばれo(>ω<)o!
証明写真のメグリがこぶしを握って励ましてくれる。
魔法じゃないんだ、アプリだよ。
白黒の証明写真にアプリを使って色を付け、もう一つのアプリで動かしてみた。メッセージを打ち込むと写真に見合った人工音声で喋ってくれる。
「へえ、なんだか魔法みたいね」
引退魔法少女のお祖母ちゃんも珍しそうにのぞき込んでいたよ。
有料アプリなんだけど、5人分は無料の体験版。
月も改まって4月1日の今日は入学式。
クラスも発表されるし、本格的な高校生活が始まる。
靴下までおニューの制服。
おニュー独特の匂い。袖口や首筋に触れるブラウスの襟の微妙な硬さ。
歩くたびに胸元から新品の香り。ローファーも新品で足を下ろすたびにコツコツと音がする。
髪は悩んだ末にポニーテール。
ゴムを三重にした上に紺のリボンシュシュ……うん、キリっと清楚で好印象!
で、勢いをつけて家を出たんだけど、戻り橋を渡って昭和に足を踏み込んだとたん緊張してきた。
そこで、歩きながらスマホを出して自分に励ましてもらってるというわけさ。
宮之森で降りて改札を出る。乗ってる間は気づかなかったけど、同じ制服着た子たちがゾロゾロ歩いてる。
保護者同伴の子と、わたし同様一人で来てる子と半々。
入学式だから保護者も来るんだけど、新入生はいったん教室に入る。開式までは時間があるし、親が付いてると恥ずかしいし、だから一人。特に男子はほとんど一人。
あ、十円足りない男子!
あいつも宮之森だったの!?
新入生には見えないんだけど……あんまり見ないようにしよう。
自然に顔をそむけたところに売店。
前に並んだ新聞の見出しは『日航機を乗っ取り』『金浦空港に着陸』の大見出し。
通勤時間のピークは過ぎてるんだろうけど、けっこうな人たちが新聞を買っていく。
思い出すと、電車の中で新聞を見ている人も多かった。やっぱ、ハイジャックのインパクトは大きい。
商店街に入ると、電機屋さんの前、テレビは金浦空港を映してるけど、昨日ほど見ている人は居ない。
膠着状態ってやつなんだろうけど、解決遅くない? 二十一世紀なら特殊部隊とかがダダって突撃して犯人撃ち殺しておしまいだと思う。
学校に着くと昇降口。
入り口のガラスにクラス編成の紙が張ってあって、そこで、クラスを確認。
…………あった、5組だ。
時司巡の頭に30とあるから、出席番号は30らしい。
中学では23だったから、ちょっと後ろの印象…………ああ、48番まであるのか。昔の学校って、ちょっと多い。
「下足箱はクラスごとになってます、出席番号と名前を確認して上履きに履き替え、直ぐに教室に行ってくださーい」
女の先生が、良く通る声で注意してる。
声がいいってだけで、ちょっと嬉しい。オッサンの先生もいるけど黙って突っ立てる。
「トキツカサさーーん!」
え?
振り返ると唯一見覚えのある女の子。
「あ、宮田さん!」
「嬉しい、おんなじクラスなんですね!」
「あ、そうなんだ! わたしって、自分の名前しか見てなかったから(^_^;)」
「いいえ、宮田なんて目立たない苗字ですから」
「いやいや(^_^;)」
なにがいやいやなんだか、二人アハハと笑って北館二階の教室に向かった。
教室の前にはすでに先生が居た。
中年のオッサン、藤田先生だというのはクラス表で分かってたけど、ちょっととっつきにくそう。
セサミストリートだったっけ、眉毛のつながったキャラがいたけど、あの感じ。
席は、窓から二列目。宮田さんは三列目で、ちょうどわたしの横。
ちょっぴり嬉しくって宮田さんにピースサイン。
?…………という顔をして、すぐにグーを出す。
え、ジャンケンだと思ってる?
「名前を呼んで確認します。返事しなさい」
簡単に言って、出席番号一番から名前を読み上げる藤田先生。
あれ、五番目の席だけが空席……先生は、その空席を不審にも思わずに六番目を呼んで、あっという間に点呼を終わる。
「では、時間なので廊下に、男女別二列に並びなさい。教室には荷物を残さないように」
なんか無言で先生の指示に従って廊下に並ぶ。
無駄口をきくものも居なくって、なんだか緊張。
やがて、前の方……どうやら隣の四組が動き出したのに続いて式場に向かう。
ペッタンペッタン……
上履きがサンダルなので、大勢が揃って歩くとおもしろい。
アハハ( ´艸`)
つい笑ってしまう。
とたんに先生が振り返って睨まれる。
なんか緊張してきた(;'∀')
☆彡 主な登場人物
時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校一年生
時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
滝川 志忠屋のマスター
ペコさん 志忠屋のバイト
宮田博子 1年5組 クラスメート
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