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082『パンが無ければお菓子を食べればいいのに』
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せやさかい
082『パンが無ければお菓子を食べればいいのに』
パンが無ければお菓子を食べればいいのに。
社会科の授業で先生が言うた。六時間目で、みんなテンションが低かったんで、先生が話を脱線させたんや。
パリの話から、フランス革命の時のマリーアントワネットの話になった。
ルイ16世は知らんかったけど、マリーアントワネットは知ってる。マンガにもなってるし、宝塚でもやってた。
家族に食べさせる食糧にも事欠いたパリのオカミサンたちが宮殿にデモをかけて、バルコニーに立った王妃のマリーアントワネットが言うた言葉が、これ。
あんまり脳天気な言葉に、クラスのみんなが笑った。
アホやあ! ナイスボケ! とか面白がるものもおった。
ああ、有名な話だよね。
トワイニング紅茶を淹れながら頼子さんが話を広げる。
「オーストリアから嫁いだ王妃だから、フランスに馴染めなかったこともあるんだろうけど、ちょっと軽率なところもあったって言われてるわ」
「マリーアントワネットって、フランス人じゃなかったんですか?」
留美ちゃんの目ぇが光る。留美ちゃんは、こういう裏話的なことが大好き。あたしも初耳の話題、社会の先生もアントワネットの出身国までは言うてへんかった。
「ヨーロッパの王室は国際結婚とか多かったのよ。マリーアントワネットの実家はハプスブルグ家で、いろんな国の王室と姻戚関係だったのよ」
「ひょっとして、先輩のヤマセンブルグにも!?」
「うん、十二代前にハプスブルグからお嫁さんが来てる」
ハハーー!
思わず最敬礼。
「よしてよ、見てくれはこんなだけど(喋れへんかったら、まんまフランス人形)、その分、中身の八割は日本人だからね」
「「はいはい」」
「王室って、どこも大変なのよ。ダイアナ妃もホームビデオとかじゃ、ずいぶん愚痴をこぼしてたみたいだし」
「ダイアナ妃がですか? パパラッチに追われて事故ったんですよね……」
自前のノートを広げる留美ちゃん。
おお、ノートにはビッシリと書き込みが! いや、頭が下がるわ、この子の勉強ぶり。
「チャールズ皇太子とかにね『このごろ福祉事業にがんばってるね』って褒められるの。『当り前よ、王室に居たら、それくらいしかやる事無いんだもの!』って、ツボにハマって喜んでた」
「あー、分かります。放課後の学校で校長先生がツケッパの電気消して回ってるみたいな。『いやあ、校長先生がんばってらっしゃる』『いやあ、校長は、これくらいしかやる事無くって』的な?」
なんか、二人の会話はレベルが高い。
その夜、あたしの枕もとにダミアが寄ってきよった。
どないしたん、ダミア?
「昼間の話なんだけど」
昼間あ?
「ほら、部活で盛り上がってたでしょ」
ああ、マリーアントワネットとか?
「とかじゃなくって、マリーアントワネット王妃」
ああ、それが?
「王妃は言ってないから『パンが無ければお菓子を食べればいい』なんて」
え、そなの?
「ほんとに、言ってないから。それ、憶えといて」
それだけ言うと、ダミアはベッドから下りてしもた。
あ、今夜はいっしょに寝ないの?
「一人で寝たい気持ちなの……」
なんか、めっちゃ寂しなってきた……て、ダミア、あんた喋った?
082『パンが無ければお菓子を食べればいいのに』
パンが無ければお菓子を食べればいいのに。
社会科の授業で先生が言うた。六時間目で、みんなテンションが低かったんで、先生が話を脱線させたんや。
パリの話から、フランス革命の時のマリーアントワネットの話になった。
ルイ16世は知らんかったけど、マリーアントワネットは知ってる。マンガにもなってるし、宝塚でもやってた。
家族に食べさせる食糧にも事欠いたパリのオカミサンたちが宮殿にデモをかけて、バルコニーに立った王妃のマリーアントワネットが言うた言葉が、これ。
あんまり脳天気な言葉に、クラスのみんなが笑った。
アホやあ! ナイスボケ! とか面白がるものもおった。
ああ、有名な話だよね。
トワイニング紅茶を淹れながら頼子さんが話を広げる。
「オーストリアから嫁いだ王妃だから、フランスに馴染めなかったこともあるんだろうけど、ちょっと軽率なところもあったって言われてるわ」
「マリーアントワネットって、フランス人じゃなかったんですか?」
留美ちゃんの目ぇが光る。留美ちゃんは、こういう裏話的なことが大好き。あたしも初耳の話題、社会の先生もアントワネットの出身国までは言うてへんかった。
「ヨーロッパの王室は国際結婚とか多かったのよ。マリーアントワネットの実家はハプスブルグ家で、いろんな国の王室と姻戚関係だったのよ」
「ひょっとして、先輩のヤマセンブルグにも!?」
「うん、十二代前にハプスブルグからお嫁さんが来てる」
ハハーー!
思わず最敬礼。
「よしてよ、見てくれはこんなだけど(喋れへんかったら、まんまフランス人形)、その分、中身の八割は日本人だからね」
「「はいはい」」
「王室って、どこも大変なのよ。ダイアナ妃もホームビデオとかじゃ、ずいぶん愚痴をこぼしてたみたいだし」
「ダイアナ妃がですか? パパラッチに追われて事故ったんですよね……」
自前のノートを広げる留美ちゃん。
おお、ノートにはビッシリと書き込みが! いや、頭が下がるわ、この子の勉強ぶり。
「チャールズ皇太子とかにね『このごろ福祉事業にがんばってるね』って褒められるの。『当り前よ、王室に居たら、それくらいしかやる事無いんだもの!』って、ツボにハマって喜んでた」
「あー、分かります。放課後の学校で校長先生がツケッパの電気消して回ってるみたいな。『いやあ、校長先生がんばってらっしゃる』『いやあ、校長は、これくらいしかやる事無くって』的な?」
なんか、二人の会話はレベルが高い。
その夜、あたしの枕もとにダミアが寄ってきよった。
どないしたん、ダミア?
「昼間の話なんだけど」
昼間あ?
「ほら、部活で盛り上がってたでしょ」
ああ、マリーアントワネットとか?
「とかじゃなくって、マリーアントワネット王妃」
ああ、それが?
「王妃は言ってないから『パンが無ければお菓子を食べればいい』なんて」
え、そなの?
「ほんとに、言ってないから。それ、憶えといて」
それだけ言うと、ダミアはベッドから下りてしもた。
あ、今夜はいっしょに寝ないの?
「一人で寝たい気持ちなの……」
なんか、めっちゃ寂しなってきた……て、ダミア、あんた喋った?
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