未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

文字の大きさ
188 / 215
地球へ

第188話 それらしい雰囲気をかもしだそう

しおりを挟む
 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 人類が宇宙へと勢力圏を延ばしたこの時代でも、人類の争いは絶えなかった。
 物質の瞬間移動の技術はあったが、生命の瞬間移動の技術は無かった。
 しかし、アバター体に魂を入れる事で、生命の瞬間移動が可能となった。
 これが脱出用システムに応用され、誰も死なない戦争が可能となる。
 したら、大きな戦争は激減してしまった。
 逆にちょっとした小競り合いな、戦争とも言えない争い事は激増する。
 死なない戦争と言う言葉は、どこかゲーム感覚を助長させていた。
 そんな戦争に革命をもたらした、この技術の発想。
 それは、はるか古代の古文書に書かれた内容が、ヒントになった。



「ちょっと、それはどう言う事なの。」
 マインは問いつめる。
 前回アイが言った、なんか時は来た様な発言。
 それは、何を意味するのだろうか。

「ああ、マインとマイ。
 おまえ達ふたりしかこの区画にいないのも、そう言う事なのだろうな。」
 ミサはマインに答えると言うより、前回のアイの台詞に同調する。
「何よそれ。私たちふたりに、何をさせたいの。」
 とマインは震える。
 ミサとマインがシリアス展開に突入する横で、マイは未だに前回のノリを引きずっている。

 マイは、ミサに尋ねる。
「それよりも、ミサ。」
「なんだ。」
「僕の変調って、どゆ事?」
「は?」
 ミサは思わずばかツラをさらす。
 ミサは前回、マイの変調と言った。
 しかし当の本人に、その自覚はなかった。
「おまえ、自覚は無いのか、あれだけ派手にやっといて。」
 とミサはマイに聞き返す。
「派手?」
 と言ってマイは首をかしげる。

 そんなマイを見て、ミサは早まった事をしたのかと、少し不安になる。
「マイン、おまえはどうなんだ。」
「い、言いたくないわ。」
 ミサは質問の矛先をマインに向ける。
 マインは顔をそむけて、明確には答えなかった。

 マインが前回言われた事は、何者かからの精神干渉。
 それに心当たりはあった。
 繰り返し見せられた、マイが男だという悪夢が、それだろう。
 それをマインは、口にしたくはなかった。

 マインの態度から、マインには当てはまると、ミサは判断する。
 しかし、マイに当てはまらないのは、何故だろう?

「ん、うん。」
 ここでアイが、軽く咳払い。
「マイには、自覚がないのでしょう。」
「自覚がない?あれだけ派手にやっておいて?」
 アイに説明されても、ミサには受け入れられなかった。
 そんなミサの疑念を払拭するため、アイはマイに尋ねる。

「マイ、先ほどのリムの教え子達との戦闘。
 マイは最後に、何か呼び出そうとしてたのを、覚えてますか。」
「え、呼び出す?
 僕、そんな事してたの?」
 アイの質問に、マイは答えられなかった。
「そう。なら、あの戦闘が最後、どうなったのかは、覚えてる?」
 アイは質問を変える。
「それが、よく覚えてないんだ。」
 マイはしょげる。
「なんか、すごい哀しい気持ちになって、そこからは、よく覚えてない。」

「それは大変だったわね、マイ。」
 アイの慰めの言葉に、マイはうなずく。
「あの時も、同じ物を呼び出したんだけど、覚えてない?」
「あの時?」
 アイのその言葉に、マイは顔をあげる。
「ブルードラゴンに、止めを刺した時よ。」
「僕、ミズキを殺してない!」
 アイの言葉に、マイは即座に反論。

 北部戦線の超高次元空間での、神武七龍神のブルードラゴンとの戦闘。
 ブルードラゴンが少女に化身した姿の名が、ミズキである。

「そうね、殺してはなかったわね。」
 アイは自分の発言を訂正する。
「あ、でも。」
 マイは何かを思い出す。
「こう、何かを呼んだような。」
 マイは左手を左目辺りに持っていき、目をつぶり、右手を上にかかげる。
 その一瞬、マイの身体から青白い光りがかすかに漏れる。
 その光りをアイ、マイン、ミサ、アイツウ。
 この場に居る全員が目撃する。

「あれ、なんだったんだろうね。」
 マイは今とったポーズを崩す。
「え、どうしたの、みんな。」
 マイが目を開けると、この場に居る全員が、驚いた表情でマイを見ていた。

「ふふ。」
 アイは目を閉じてうつむく。
「は。」
 アイの声が耳に入り。ミサは我にかえる。
「なるほど、そう言う事か。
 こりゃあ、タチが悪いぜ。」
 ミサの表情はゆがむ。
「ちょ、どう言う事よ。ちゃんと説明しなさいよ。」
 マインには、意味が分からない。
 こちらは説明してほしいのに、なんか自分達だけで納得している。
 普通に説明してほしい所だ。

「ああ、悪い。
 要するに、私たちはフライングしちまったって事だ。」
 ミサはマインの気持ちに気づき、説明する。
 しかし、この説明では分かりづらかった。
「どう言う事?
 まだその時ではなかった、って事?」
「まあ、そう言う事だな。」
 マインの思った事は、間違いではなかった。
「でも、条件は満たした。」
 とアイは口をはさむ。

「いやいや、満たしてないだろ。」
 とミサは反論する。
「この区画にいるのが、マイとマインだけ。
 今しか機会はない。」
「く、そう言う事か。」
 アイの発言に、ミサも理解する。
「この機をのがしたら、もうチャンスは無いのか。
 タチが悪いにも、程があるぜ。」

「ねえ、私たちにも説明してくれない。
 自分達だけで理解してないでさ。」
 ひとり納得するミサに、マインは問う。
 マインはマイの隣りに移動していた。

「これから、あなた達を、ある場所に案内します。」
 ミサの代わりに、アイが答える。
 ミサは怒りの感情がわきあがり、うまく言葉にする事が出来なかった。
「アイツウ、ナコ、後は頼みます。」
 アイは、アイツウ、ナコの引き篭もるテントに視線を送りながら、言葉をかける。

「ですが、よろしいのですか、ジョーの許可なしに区画外に移動して。」
 ここでの規則を、アイツウは述べる。
「大丈夫ですよ。これが私たちの使命ですから。」
「そうですか。」
 アイに使命と言われても、アイツウにはよく分からない。
 アイツウはアイのコピー体として作られたが、アイツウにはその様な使命など、存在しない。

 そんな不安げなアイツウに、アイは付け足す。
「もし、ジョーがこの部屋に来たら、伝えて下さい。
 アイとミサは、使命をはたします、と。」
「もし、この部屋に来なかったら?」
 とアイツウは聞き返す。
「その時は、報告は無縁です。」
 アイは笑顔で答える。
「分かりましたわ。」
 と答えるアイツウの表情がくもる。
「ここから先は、あなた方だけの領域なのですね。
 なんか、悔しいです。」
 アイツウは今の気持ちを吐露する。

「いいえ、後を託せるのが、あなた達で、本当によかった。」
 アイはそう言って、アイツウをはげます。
「あなた達、ね。」
 テントの中に引き篭もるナコがつぶやくが、このつぶやきは誰も拾えない。

「それでは、マイ、マイン、覚悟はよろしいかしら。」
 アイはマイとマインに視線を送り、ふたりに尋ねる。
 マイとマインはお互いを見合わせ、うなずく。
「なんだか分からないけど、僕は平気。」
「その様な覚悟、この時代に召喚された時から、とうに出来ている。」

「それでは、参りましょう。」
 アイを先頭に、マイとマインが部屋を出る。
「ち、私はそんなに、乗り気じゃないんだけどな。」
 ミサもぼやきながら、部屋を出る。

 残されたアイツウの横に、テントから出てきたナコが立つ。
「あなた達で本当によかった、か。」
 ナコはアイの言った言葉をつぶやく。
「あれ、本気で言ったのかね。」
 ナコの問いに、アイツウは答えない。
「アイツウ、あなたはイレギュラーな存在、本来ここには居ない。」
 アイツウは聞き流す。
「ここに居るのが、私とユウ、ミイでも、そう言ってくれたのかしら。」
 アイツウは聞き流す。
「もしかしたら、誰も居なかったのかもしれない。
 その日とやらには。」
 ナコの疑問に、答える者は居ない。

「そんなの、信じるしかないじゃないですか。
 アイの事を。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪
SF
主人公の飯富晴信(16)はしがない高校生。 ある朝目覚めると、そこは見たことのない工場の中だった。 この工場は宇宙船を作るための設備であり、材料さえあれば巨大な宇宙船を造ることもできた。 未知の世界を開拓しながら、主人公は現地の生物達とも交流。 そして時には、戦乱にも巻き込まれ……。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転移魔方陣をネットオークションで買って行ってみたら、日本に帰れなくなった件。

蛇崩 通
ファンタジー
 ネットオークションに、異世界転移魔方陣が出品されていた。  三千円で。  二枚入り。  手製のガイドブック『異世界の歩き方』付き。  ガイドブックには、異世界会話集も収録。  出品商品の説明文には、「魔力が充分にあれば、異世界に行けます」とあった。  おもしろそうなので、買ってみた。  使ってみた。  帰れなくなった。日本に。  魔力切れのようだ。  しかたがないので、異世界で魔法の勉強をすることにした。  それなのに……  気がついたら、魔王軍と戦うことに。  はたして、日本に無事戻れるのか?  <第1章の主な内容>  王立魔法学園南校で授業を受けていたら、クラスまるごと徴兵されてしまった。  魔王軍が、王都まで迫ったからだ。  同じクラスは、女生徒ばかり。  毒薔薇姫、毒蛇姫、サソリ姫など、毒はあるけど魔法はからっきしの美少女ばかり。  ベテラン騎士も兵士たちも、あっという間にアース・ドラゴンに喰われてしまった。  しかたがない。ぼくが戦うか。  <第2章の主な内容>  救援要請が来た。南城壁を守る氷姫から。彼女は、王立魔法学園北校が誇る三大魔法剣姫の一人。氷結魔法剣を持つ魔法姫騎士だ。  さっそく救援に行くと、氷姫たち守備隊は、アース・ドラゴンの大軍に包囲され、絶体絶命の窮地だった。  どう救出する?  <第3章の主な内容>  南城壁第十六砦の屋上では、三大魔法剣姫が、そろい踏みをしていた。氷結魔法剣の使い手、氷姫。火炎魔法剣の炎姫。それに、雷鳴魔法剣の雷姫だ。  そこへ、魔王の娘にして、王都侵攻魔王軍の総司令官、炎龍王女がやって来た。三名の女魔族を率いて。交渉のためだ。だが、炎龍王女の要求内容は、常軌を逸していた。  交渉は、すぐに決裂。三大魔法剣姫と魔王の娘との激しいバトルが勃発する。  驚異的な再生能力を誇る女魔族たちに、三大魔法剣姫は苦戦するが……  <第4章の主な内容>  リリーシア王女が、魔王軍に拉致された。  明日の夜明けまでに王女を奪還しなければ、王都平民区の十万人の命が失われる。  なぜなら、兵力の減少に苦しむ王国騎士団は、王都外壁の放棄と、内壁への撤退を主張していた。それを拒否し、外壁での徹底抗戦を主張していたのが、臨時副司令官のリリーシア王女だったからだ。  三大魔法剣姫とトッキロたちは、王女を救出するため、深夜、魔王軍の野営陣地に侵入するが……

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

処理中です...