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宇宙召喚編

第6話 勝負を挑まれた

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 これは西暦9980年の未来のお話。
 この時代に召喚されたマイは、同じようにこの時代に召喚された仲間達に、初めて出会った。
 しかし、その仲間達は、マイを歓迎してはいなかった。

 歓迎されていない事を肌で感じ、立ちつくすマイ。
 そんなマイに、ジョーが声をかける。
「マイ、挨拶を」
「それ、必要ですか?」
 ジョーの言葉をさえぎるように、ユアが口をはさむ。
「何を言う、これから一緒に戦う仲間だぞ。」
 ジョーはそう言うのだが、ユアの言い分も、ジョーには分かってる感じが、マイには感じとれた。
「いつまで戦えるんだか。」
 ユアははきすてるようにそう言った。
「アイのパートナーは、これまで4人。みんなすぐに戦死しています。」
 ユアの発言を補足するように、サポートAIのユウが続ける。
「うち3人は、訓練中に事故死です。チームに合流すらしていません。」
「あなたもかわいそうね、アイがパートナーじゃなければ、死ぬ事もなかったのにね。」
 ユアのその言葉に、マイもカチンとくる。
「おまえなあ、アイのせいじゃないだろ、それ!」
「本当にそう思ってるの?」
「お、おまえ、」
 ユアの反論に、マイの言葉がつまる。
「脱出用ポッド。」
「?」
 反論出来ないマイに対して、ユアがたたみかける。
「脱出用ポッドがあるのに、なんで戦死するんだろうね?」
「!」
 ユアのその言葉に、マイはハッとする。
 脱出用転送装置のおかげで、死なない戦争が可能になったのでは、なかったのか?
 マイはアイへと視線を向ける。
 アイはその視線に耐えられず、下を向く。

 ごめんなさい。
 そんなアイの感情が、ひたいのチップを通じてマイに伝わってくる。
 そして、知られたくなかったという感情も。

 アイ、おまえは4人も殺したのか?
 違う。
 マイにはなぜか、確信めいたものがあった。
 死んだのは、僕達のせいだ。
「アイ、ごめん。」
「なぜ謝るのですか?」
「なんでだろ?」
 なんとなく口から出た言葉に、マイも戸惑う。
「でもこんな思い、もうアイにはさせないから。僕は、死なない!」

「はあ?何言っちゃってんの?」
 マイとアイとの会話に、ユアが口をはさむ。
「おまえが死ぬ事は、確定してんの。」
「僕は死なないよ。」
 マイの、なにかふっきれたようなその感じに、ユアはいらだつ。
「あんた、最高にムカつくわね。いいわ。だったら、私が殺してあげる。」
 その物騒な物言いに、ジョーが口をはさむ。
「おいおい、何言ってんだ。仲間なんだから、仲良くしようぜ。」
 そして、この部屋にいる他の召喚者達も、口をはさむ。
「まあまあ、ジョーさん落ち着いて。」
「好きにやらせてやればいいじゃん。」
「これで死ぬようじゃ、この先足手まといでしかないしな。」
 他の召喚者達は、ユアの発言に賛同する。

「勝負よ、ぽんこつアイのパートナーさん。」
 ユアはマイを指さして勝負を申し込む。
「ぽんこつって、僕が勝ったらその言葉、取り消せよ。」
 マイもその勝負を受けて立つ。
「勝負は当然、実戦に即したトライフォースで行うわよ。」
「トライフォース?何だそれ。」
 マイにとっては初めて聞く単語だ。
「あらあら、嫌ですわ。こんな基礎中の基礎も知らないなんて。
 やっぱりすぐ死ぬんだから、教えてもらってないのですね。」
 そう言ってユアはクスクスと笑う。
「トライフォース。ひとりで三体の戦闘機を操縦するフォーメーションです。この三体でのトライフォースは、全ての戦術の基本になります。」
 ユアのサポートAIであるユウが、説明する。
「そうなんだ。アイ、インストールお願い。」
 マイはアイにそう言う。
 ひたいのチップを通じて、情報がマイの脳内に流れこんでくる。

「すっげー、これがトライフォースか。」
 三身一体のその陣形は、応用力が高く、様々な状況にも対応可能。
 操るひとの能力で、無限の可能性を発揮する。
「な、なにこいつ。」
 初めて知るトライフォースにはしゃぐマイを見て、ユアは不審がる。
「分かってるの、三体も同時に操縦する難しさが。」
「ま、仮にも召喚者なんだ。これくらいはこなしてくれないとね。」
 部屋の奥に座る別の召喚者が、そう口をはさむ。
「私達も見てるから、派手に殺してくれよ。」
 別の召喚者達は、そう言って部屋を出て行った。

 勝負の場所と時間が決められ、ふたりもその部屋を後にした。
 残されたメカニックマンのジョーが、途方にくれる。
 演習場のセッティング、トライフォース用の三体の機体の整備をふたり分。
 これをやるのはジョーひとりだ。
「ま、俺も天才だからなんとかなるけど。」
 ジョーの足元には、膝上くらいの高さのマシーンが数台、現れた。
 これらとジョーの意識はシンクロしている。これもトライフォースの応用だ。
 このトライフォースを意識して、ジョーはつぶやく。
「がんばれよ、マイ。おまえの魂の可能性は、誰にも負けねえよ。
 最初に召喚されたのがマイだったら、アイもあんな思いしなくてすんだかもな。」
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