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宇宙召喚編

第7話 トライフォースの可能性

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 これは西暦9980年の未来に召喚された、戦士達の物語。
 新しく仲間に加わったマイであったが、その実力をパートナーAIであるアイの性能とともに疑われる。
 本当に生きのびられるのか、実戦さながらの真剣勝負が行われる。


 宇宙戦闘機のガレージ。
 今回の決戦には、宇宙戦闘機が三機使用される。
 マイが実際に乗り込むメイン機の後ろには、同型の機体が二機控えていた。
「アイ、シミュレーションしたいから、情報のインストールお願い。」
 決戦の時間の前に、マイは少しでも三機一体の陣形、トライフォースに慣れておきたかった。
 知識としては分かった。
 でも、実際の動きも体験したかったのだ。
「アイ?」
 アイからの応答がなかった。
 マイは左手のブレスレットに視線を落とす。
 戦闘中、サポートAIのアイは、ここから通信する。
 何も反応はない。
 マイは今度はひたいのチップに意識を集中して、アイに呼びかける。

「なんですか、マイ。まだ時間はあるでしょ?」
 なんかその声はちょっと怒ってそうな感じだ。
「あのね、ちょっとトライフォースの練習をしたいんだけど。」
「あら、ひとりでイメージトレーニングでもしてると思ったのに。」
 これまでのマイの行動パターンから、アイはそう予想して、自身は決戦にそなえてメンテナンス中だった。
 マイのひたいのチップを通じて、アイはマイの感情を感じる事が出来る。
 この勝負にかけるマイの意気込みが、いつもの訓練とは違うのが分かる。
「私もメンテナンス中だから、大まかな情報しか送れないけれど、これでやってみて。」
 マイの脳内に、トライフォース用のシミュレーションイメージが流れ込んでくる。

 マイは目をつむると、コックピットのイメージが浮かぶ。
 イメージの中で、戦闘機を発進。他の二機も操作する。
 それぞれの機体に自分の分身がいて、各々が操作するイメージだ。
 それぞれに意識を均等に集中しないと、操作出来ない感じだ。
 でもマイは気づく。
 これは、一機づつ三機を動かすのではない。三機を一度に動かすのだ。
 それは、三角形のイメージだ。
 三機を頂点とする三角形をイメージし、その三角形の形を色々変化させて動かす。
「と、言う事は」
 三角形をイメージしたマイは、三角形に連動して三角錐を思い浮かべる。
「これでも行けるんじゃないか?」
 イメージの三角錐を動かすのは、コツさえつかめれば、難しくはなかった。
「これが行けるなら、頂点増やしても行けるよな?」
 イメージの三角錐が、ひとりふたつ、みっつと増えていく。
 よっつ目以降は一気に増加する!
 マイはたまらず目を見開く。

「なあ、アイ。これって、三機じゃないと駄目なんか?」
 マイは今のイメージで感じた事を、アイに尋ねる。
「どういう意味ですか?今の私はメンテナンス中で、あなたとのイメージは共有していません。」
 普段なら、イメージは共有される。マイの感じとった事に対する質問の答えは、マイがその質問を口にする前に、その解答は用意されている。
 だけど今は、そのイメージの説明をしなければならない。
 とはいっても、アイはマイのパートナーAI。なんとなくだが、マイの言いたい事はわかる気がしていた。
「三機別々じゃなくて、三角形のイメージなんだろ?だったら、三角錐でもいけるんじゃないか?
 つまり、四機でも可能なんじゃないか?」
「その通りです。」
 アイは、マイがその答えにたどり着いた事を、うれしく思った。
「三角形をイメージ出来るなら、四機でも五機でもいけます。」
「やっぱり。でも、機体は三機しかないんだよね。」
 新しい可能性を見つけたのに、それが実現不可能なのが、マイには残念だった。
「いいえ、イメージを形にする機能が搭載されています。」
「マジで?」
「マジです。」
 アイはメンテナンスを終えた。そしてその機能について、マイとイメージを同調させる。
「トライフォースのイメージが増幅されると、質量を持ったフォログラフの投影が可能となります。」
 アイが説明すると、マイの脳裏に、コックピットの一部にその増幅を確認するメーターと投影用のスイッチの存在を、イメージ出来た。
「最初の三機のどれかから、フォログラフの投影が出来ますが、フォログラフからのフォログラフ投影は出来ません。
 フォログラフは、最初の三機それぞれから99機まで投影可能です。」
「すげー、そんなに操れんのか。」
 マイはその機体数に驚く。全部で300機。三角形100個分!
「いいえ、実戦では四機での三角錐運用、その三角錐の面を底辺とした三角錐、八機までの運用がせいぜいです。」
「そ、それだけか。」
 とは言っても、三角錐から頂点をひとつ増やすだけでも、難しそうだ。
 と言うことは、
「なんという無駄なスペック。」
「付けられるだけ付けてみようって事で、付けてみました。」
 付けた後で、無意味だって気づいたパターンらしい。

 ああ、よくある事だと、マイは思った。
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