転生したら、ステータスの上限がなくなったので脳筋プレイしてみた

Mr.Six

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エルフの森編

第42話 気配の消し方

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 ソウタは気配を消すのに苦労していた。どうしても相手を仕留める際に気配をだしてしまい、ラピッグを捕獲することができない。

「くそ! またダメだ、これで10匹だぞ」

「ソウタさんは仕留める瞬間に殺気ダダ漏れっすからね。僕でも逃げますよ」

 仕留める瞬間に殺気がダダ漏れ? 意味が分からない、ソウタは頭をクシャクシャと掻きむしりながら考えた。

「ハウルはもう問題なさそうですけど?」

「え、嘘?」

 ハウルは1匹のラピッグを狙っていた。恐るおそる、ゆっくりと近づき、相手に警戒されないまま、得意の牙でラピッグの喉元をかみ砕いた。まさに一瞬、ラピッグは地面に倒れ、血を流す。

「なんでハウルにできて、俺にできないんだろう?」

「ソウタさんはどちらかというと理屈で説明するより、感覚で掴んだ方が良さそうですね」

 アエルがソウタに助言をする。

「感覚? どういうこと?」

「一度フィルの前に立ってみてはいかがですか?」

 そういって、アエルはフィルをソウタの前に立たせた。いきなり立たされたフィルは状況を理解できず、周りをキョロキョロしながら若干パニックになっている。

「俺がフィルの前に?」

「また僕実験かよ……」

 状況を理解したフィルは、そういいながらも協力してくれた。ソウタはフィルの前に立ち、じっと見つめると、フィルの目から次第に生気が失われていく。まただ、一体なにをするつもりだろうか? そう思ってハッと気が付くと、フィルのナイフはソウタの首元に近づいていた。

「ソウタさん、今俺が何するかわからなかったでしょ?」

「今の……って、あ、もしかして」

 ソウタはフィルの動きを間近で見て、何かを掴んだようだ。東へ向かいながら、ソウタは周りを見渡し、ラピッグを探している。

「ソウタ、何かをしようとしてるな?」

 神さまがソウタの動向に気づき尋ねると、ソウタは何かを思いついてるのかニヤニヤしながら語った。

「あぁ、次はなんだかいけそうな気がするんだよな……あ、いた!」

 ソウタは足を止めて、右を向いている。目の先にはラピッグが2匹で仲良く草を食べている。

「2匹か、多分難しいですよ?」

「いや、大丈夫だよ」

 そういったソウタはいつもとは違っていた。気配を絶ち、目からは次第に殺気が消えていく。

「凄い、その調子です」

 アエルはソウタの成長を静かに褒める。ソウタは気配を消したまま、ゆっくりと近づいた。

(そうです、『消す』という動きは相手に悟られないこと……極限まで思考を減らし、得物を狙う肉食動物のように、相手に警戒させないことです!)

 アエルがそう思うのもわずかな時間、ソウタは射程範囲まで動くとそこからは一瞬で間合いを詰める。ラピッグに気付かれることなく背後をとると、目にも止まらぬ速さでラピッグ2匹を仕留めた。

「おぉ!」

 ソウタの鮮やかな動きにフィルは思わず興奮し、アエルは微笑みながら軽く拍手を送った。

「よし! やったぞ!」

「すげーっすソウタさん! 今のは完璧な動きっすー!」

 フィルは、はしゃぎながらソウタに駆け寄った。ソウタは嬉しさのあまりフィルとハイタッチを交わし、ラピッグを2匹をひょいと担いだ。

「さすがソウタね」

 シーナは満面の笑みを浮かべてソウタにグッドサインを送った。その日の夜はアエルがご馳走を振舞った。ラピッグ2匹という大収穫、角煮やステーキ、串焼きやサラダなどが簡易的な食卓に並べられていく。アエルは料理上手だったのだ。

「すっげ~! 今日は豪華じゃん!」

「ソウタさんのおかげで2匹も手に入りましたからね、今日は振舞っちゃいましたね」

「アエルって絶対いいお嫁さんになるよね?」

「え、そうですか? そんなことないですよ~」

 アエルはまんざらでもない表情を浮かべながら、フィルの背中を勢いよく殴った。口に食べ物を運ぼうとしていたフィルはいきなりの衝撃で口に含んでいた食べ物をぶっと吹き出す。

「げほっ、げほっ、おいアエル!  いきなり殴ってくるなよ、全部でちゃったじゃんか!」

「しかし、後2週間か……たどり着けるだろうか?」

 神さまが気にしているのは東の洞穴に辿り着けるかどうかだ、距離としてはまだ半分も満たない、通常のペースでいけばおそらく1ヵ月で辿り着くことはできないだろう。しかしアエルとフィルは不安になっていなかった。

「大丈夫ですよ、ソウタ達さんの成長はかなり早いですからね、後はペースを上げていけばギリギリ間に合いますよ!」

「はは、それでギリギリかよ……」

「まぁ、正直僕らは辿り着こうがつかないか、どっちでもいいっすからね」

「そうだよね。2人はサラザールさんに頼まれただけだもん、私たちが頑張らないとね」

 シーナの言葉を聞いて、ソウタはさらに明日以降気を引き締めないといけないと感じたのであった。
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