44 / 101
エルフの森編
第43話 森の佳境
しおりを挟む
ソウタ達の動きはエルフのそれに徐々に変わりつつある。足跡を付けないよう移動し、隠れて食料を調達し、わずかな痕跡から東の洞穴に行く道筋を導いていく。ソウタ達は佳境を迎えていた。
「なぁアエル、後どのくらいだ?」
移動しながらソウタはアエルに尋ねた。
「そうですね、このペースならもう少しスピード上げないとたどり着けません」
「そうか、まだダメか……」
ソウタは酷く落胆した。ソウタが食料を確保できるようになってさらに1週間が経過しており、移動するペースも徐々に早くなってきているにも関わらず、それでも広大なハントの森を攻略するには至っていない。
「フィル! どうやったら、もっと早くたどり着けるんだ?」
「いやっ、これが結構限界っすよ! あとできるとしたら”判断”をさらに早くするしか方法は……」
「判断か……、いや、待てよ?」
ソウタは何かを思いついたように突然立ち止まった。
「どうしたのソウタ?」
「全員俺の所に集まってくれ!」
そう呼びかけると、シーナたちはソウタの周りに集まった。するとソウタは突然全員を背中に抱えると、猛スピードで走り出した。
「きゃぁあぁぁぁぁー!」
「揺れる! 揺れるっす!」
「まるでタイヤのついてない車に乗ってるみたいー! おえっ」
ソウタの能力であれば、4人と1匹を抱えるなど造作もなく、力ずくで突き進んでいく。ペースも今までとは比べ物にならないくらい早く、このままなら1週間とかからないだろう。
「そうだよ、最初からこうすればよかったんだよ!」
ソウタはニヤニヤしながら走り続けた。しかし、ソウタは突然ただならぬ殺気を感じた。それは森全体から漂っている。
「ソウタさん! 止まってください……これ以上は危険です」
ソウタは立ち止まり、シーナたちを降ろした。全員が警戒をし始める。
「アエル、この殺気はもしかしてモンスターか?」
「はい、ハンタートレントの縄張りに入ったようです、気をつけてくださいね、ハンタートレントはこの森でソウタさん達を襲ったモンスターですから」
「だいぶ囲まれてますよ!? どうすんっすか?」
「決まってる! 返り討ちだ!」
ハンタートレントは周囲に溶け込む擬態魔法で目視することができない。しかし、気配を消すことができるソウタにとって気配を探ることは容易だった。
「すぐそこにいるな、おそらく10……いや15体以上か」
「あぶない! ソウタ!」
ソウタの背後には襲い掛かろうとするハンタートレントの姿があった。巨大な蔓をソウタめがけて振り下ろし、地面から大きな土煙が舞い上がった。
「ソウタ!」
「大丈夫だよ!」
ソウタは上空に飛んで攻撃を回避し、右拳に力を込めた。
「力を抑えつつ……こうだ!」
右拳を振りおろし、ハンタートレントは真っ二つに引き裂かれた。今までのソウタの力任せの攻撃とは違い、周りに被害を出さず、ハンタートレントの身を倒した。
「よし、上手くいったぞ! あとは……」
ソウタが着地すると同時にハンタートレントはソウタに攻撃を仕掛けていた。ソウタはわずかな気配を感じて、横に回避して体制を立て直す。ハンタートレントは続けて攻撃をするが、ソウタはそれよりも早く動いて攻撃をかわし続ける。
「凄い……全部の攻撃をかわしてる、ハンタートレントの攻撃は手数が多すぎてかわすのは極めて困難なはずなのに」
「それに加えてあの一撃、一発でも与えたらノックダウンの攻撃力を秘めてるんだぜ? 末恐ろしいなソウタさんは」
アエルとフィルはハンタートレントと対峙しながら、ソウタの強さに感心していた。ソウタは攻撃をかわして一瞬の隙を見逃さず、ハンタートレントに一撃を加えた。ソウタは短時間で2体のハンタートレントを撃破し、順調にハンタートレントを倒していく。あまりの強さに次第にハンタートレントは後ずさりをし始め、攻撃の頻度が明らかに減ってきている。
「あれ? 攻撃をしてこなくなってきてるな」
「モンスターと言えど、意思はありますからね」
ソウタ達が攻撃をやめると、ハンタートレントも攻撃をやめ、次第に離れていった。
「まさか、ハンタートレントが攻撃をやめるとはね」
アエルは武器を懐にしまってハンタートレントが攻撃をやめたことに驚いていた。
「忘れてたわ、ソウタがバカ強いこと……」
「ねぇ、シーナ、それ褒めてる?」
「ここで休むのはよくないっすね、ハンタートレントの縄張りなら、危険な事には代わりねぇっすから」
「そうだな、もう少し進んでから今日はもう休むとするか……」
ソウタ達はもう少し進んでから休むことにした。
サラザールの決めた猶予まで残り6日……
「なぁアエル、後どのくらいだ?」
移動しながらソウタはアエルに尋ねた。
「そうですね、このペースならもう少しスピード上げないとたどり着けません」
「そうか、まだダメか……」
ソウタは酷く落胆した。ソウタが食料を確保できるようになってさらに1週間が経過しており、移動するペースも徐々に早くなってきているにも関わらず、それでも広大なハントの森を攻略するには至っていない。
「フィル! どうやったら、もっと早くたどり着けるんだ?」
「いやっ、これが結構限界っすよ! あとできるとしたら”判断”をさらに早くするしか方法は……」
「判断か……、いや、待てよ?」
ソウタは何かを思いついたように突然立ち止まった。
「どうしたのソウタ?」
「全員俺の所に集まってくれ!」
そう呼びかけると、シーナたちはソウタの周りに集まった。するとソウタは突然全員を背中に抱えると、猛スピードで走り出した。
「きゃぁあぁぁぁぁー!」
「揺れる! 揺れるっす!」
「まるでタイヤのついてない車に乗ってるみたいー! おえっ」
ソウタの能力であれば、4人と1匹を抱えるなど造作もなく、力ずくで突き進んでいく。ペースも今までとは比べ物にならないくらい早く、このままなら1週間とかからないだろう。
「そうだよ、最初からこうすればよかったんだよ!」
ソウタはニヤニヤしながら走り続けた。しかし、ソウタは突然ただならぬ殺気を感じた。それは森全体から漂っている。
「ソウタさん! 止まってください……これ以上は危険です」
ソウタは立ち止まり、シーナたちを降ろした。全員が警戒をし始める。
「アエル、この殺気はもしかしてモンスターか?」
「はい、ハンタートレントの縄張りに入ったようです、気をつけてくださいね、ハンタートレントはこの森でソウタさん達を襲ったモンスターですから」
「だいぶ囲まれてますよ!? どうすんっすか?」
「決まってる! 返り討ちだ!」
ハンタートレントは周囲に溶け込む擬態魔法で目視することができない。しかし、気配を消すことができるソウタにとって気配を探ることは容易だった。
「すぐそこにいるな、おそらく10……いや15体以上か」
「あぶない! ソウタ!」
ソウタの背後には襲い掛かろうとするハンタートレントの姿があった。巨大な蔓をソウタめがけて振り下ろし、地面から大きな土煙が舞い上がった。
「ソウタ!」
「大丈夫だよ!」
ソウタは上空に飛んで攻撃を回避し、右拳に力を込めた。
「力を抑えつつ……こうだ!」
右拳を振りおろし、ハンタートレントは真っ二つに引き裂かれた。今までのソウタの力任せの攻撃とは違い、周りに被害を出さず、ハンタートレントの身を倒した。
「よし、上手くいったぞ! あとは……」
ソウタが着地すると同時にハンタートレントはソウタに攻撃を仕掛けていた。ソウタはわずかな気配を感じて、横に回避して体制を立て直す。ハンタートレントは続けて攻撃をするが、ソウタはそれよりも早く動いて攻撃をかわし続ける。
「凄い……全部の攻撃をかわしてる、ハンタートレントの攻撃は手数が多すぎてかわすのは極めて困難なはずなのに」
「それに加えてあの一撃、一発でも与えたらノックダウンの攻撃力を秘めてるんだぜ? 末恐ろしいなソウタさんは」
アエルとフィルはハンタートレントと対峙しながら、ソウタの強さに感心していた。ソウタは攻撃をかわして一瞬の隙を見逃さず、ハンタートレントに一撃を加えた。ソウタは短時間で2体のハンタートレントを撃破し、順調にハンタートレントを倒していく。あまりの強さに次第にハンタートレントは後ずさりをし始め、攻撃の頻度が明らかに減ってきている。
「あれ? 攻撃をしてこなくなってきてるな」
「モンスターと言えど、意思はありますからね」
ソウタ達が攻撃をやめると、ハンタートレントも攻撃をやめ、次第に離れていった。
「まさか、ハンタートレントが攻撃をやめるとはね」
アエルは武器を懐にしまってハンタートレントが攻撃をやめたことに驚いていた。
「忘れてたわ、ソウタがバカ強いこと……」
「ねぇ、シーナ、それ褒めてる?」
「ここで休むのはよくないっすね、ハンタートレントの縄張りなら、危険な事には代わりねぇっすから」
「そうだな、もう少し進んでから今日はもう休むとするか……」
ソウタ達はもう少し進んでから休むことにした。
サラザールの決めた猶予まで残り6日……
1
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる