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天空の城編
第16話 ガルディア王国へ帰還
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ガルディア王国に到着したソウタ達は、
都市の入り口で数人の兵士と出くわした。
兵士たちはソウタやソフィアに視線を送っていた。
確かソウタという男は国から追放されたはず、
なのに、
ソフィアと一緒にいるのはどういうことだ?
それにモンスターのワーウルフや、
天使の女を連れているとは何かあったのではないか、
兵士たちのざわめきが増す中、
一人の兵士がソウタに詰め寄ってきた。
彼の顔には不信感と怒りが交じり合った表情が浮かび、
手に持っている剣の刃がソウタに向けられた。
「おい、貴様は王国を追放されたはずだぞ! なぜ戻ってきたのだ!」
やはりか、
こうなるだろうなとは思っていたけど、
「それに、その女は天使だな? ソフィア殿もおられるようだが……一体何をしに来たのだ」
「これには事情があって……」
ソウタが説明をしようとすると、
ソフィアが話に割って入ってきた。
「おいおい、こんなところでレディ2人をずっと立たせて長話するつもりかい? とにかく事情は城で説明するから、そこをどいてくれるかい?」
ソフィアの威厳のある物腰に、
兵士たちはオドオドし始める。
兵士たちの間でも、
『百戦の魔女』の名は知れているのだろう。
ソフィアがいるだけで兵士が子供に見えてしまう程に縮こまっている。
「いや、しかし、ソフィア殿の頼みでも、この男を通すわけには……」
ソフィアの目が鋭くなる。
キッと睨むと、
辺りの温度が急に下がったような雰囲気をその場にいた全員が感じ取った。
「いいのかい? ここには凶暴なワーウルフがいるんだが……、私の言うことしか聞かないからどうなるかわからないよ?」
ん?
ワーウルフ?
ハウルの事か?
ハウルはすぐにソフィアの意図を汲み取り、
兵士たちに向かって喉を鳴らして威嚇をした。
「ガルルルゥ」
目をぎらつかせ、
口からは涎を垂らして、
まさに襲おうとしている演技は、
兵士たちを脅すには十分だった。
ハウルはワーウルフという凶暴なモンスターということをソウタは思い出し、
思わず苦笑いをしてしまう。
「で、では城へどうぞ、おい、王にソフィア殿が城に向かうことをお伝えしろ!」
「は、はい!」
1人の兵士が駆け足で先に城に向かった。
「ねぇ、ハウルって俺の仲間なはずだよね? ワーウルフって誰にも懐かないんじゃなかったっけ?」
「そのはずなんだけど、ハウルはもう誰にでも尻尾振ってるじゃん」
「あの、さ、ソフィアさんってそんなに凄い人なの?」
シーナはソウタの耳元にボソッと呟いた。
ふわっと香る女の子の匂いがソウタの嗅覚を刺激し、
思わずソウタの顔はやかんが急に沸騰したように赤くなった。
「え! あ、うん! なんか『百戦の魔女』って別名があるみたいで……この前なんか俺もソフィアさんの魔力見てびっくりしたよ。この人何時間でも魔法を扱うからさ、思わず魔力無限なんじゃね? って思ったぐらいだもん」
「そんな凄い人なんだ! じゃあソフィアさんに頼んだらよかったかも?」
ソウタとシーナがヒソヒソと会話していると、
ソフィアが話しかけてきた。
「何を2人で話してるんだい? ほら、シーナはハウルの背中に乗りな」
すでにソフィアはハウルの背中に乗っている。
「もう、ハウルって仲間というより、忠犬になってるし……」
「言ってやるな、本人が誰よりも辛いんだから」
「クゥゥン……」
ハウルの目には薄っすらと涙が滲んでいた―――
―――ソウタ達が城につくと、
大量の兵士がソウタ達に視線を送っていた。
それもそのはず、
何せ、
国を追放した男が、
モンスターのワーウルフ、
魔法使いのソフィア、
そして天使の女を連れているのだ。
国を追放した仕返しでもしに来たのだろうか?
天使と手を組んで国を攻めてくるのか?
様々な憶測が飛び交い、
兵士たちはヒソヒソと小声で話始める。
ソウタは周りの視線に不快感を覚えていた。
別にここに来たくて来たわけではない、
シーナという女の子を助けるため、
仕方なく来たのだから、
変な目で見られるのは何か嫌な気持ちになる。
「別に普通にしていたらいいさ、何かあれば私が言ってやる」
ハウルの背中に跨り、
ソフィアは堂々と言い放った。
ソウタの心中を察してくれたのだろう、
少し気持ちが楽になったソウタは、
表情が緩くなり、
王室の扉を力強く開けた。
ギギィ
王室の扉を開けると、
自分を追放したクレスト王が、
玉座に座り、
傍には剣を交えた兵士が剣を腰に携え、
こちらに鋭い眼光で睨んでいた。
「よく来たなソフィア、そしてソウタよ」
クレスト王はワーウルフやソフィアに臆することなく、
堂々としていた。
流石は人の上に立つ者か。
「用があるのは私じゃない、このお嬢さんだよ、名をシーナ。見てわかると思うが天使の女の子だ」
ソフィアの簡単な紹介の後、
シーナは一歩前に出て、
クレスト王の前で片膝をついた。
「お初にお目にかかりますガルディア王国国王、クレスト・リヴ・ガルディア様。私の名はシーナ……と申します。何の報せもなく突然来たことをお許しください」
「うむ、よかろう。表をあげよ」
クレスト王の言葉でシーナは頭を上げると、
事の経緯を説明した。
こうしている今でも天使は竜人族に襲撃をされているかもしれない。
事は一刻を争う状況の中、
シーナは凄く冷静だった。
内心では焦っているだろうに、
それを表面に出さないとは精神的に凄く成長しているのだろう。
ソウタは思わず感心してしまう。
「そうか、それで我がガルディア軍の力を借りたいということか……」
シーナの説明が終わると、
クレスト王は髭を触りながら、
顔をしかめる。
「はい、国を救っていただいた暁にはそれ相応の対価を……」
シーナが交渉の話をしようとすると、
クレスト王が言葉を遮るように口を開いた。
それは思いもしない言葉だった……。
都市の入り口で数人の兵士と出くわした。
兵士たちはソウタやソフィアに視線を送っていた。
確かソウタという男は国から追放されたはず、
なのに、
ソフィアと一緒にいるのはどういうことだ?
それにモンスターのワーウルフや、
天使の女を連れているとは何かあったのではないか、
兵士たちのざわめきが増す中、
一人の兵士がソウタに詰め寄ってきた。
彼の顔には不信感と怒りが交じり合った表情が浮かび、
手に持っている剣の刃がソウタに向けられた。
「おい、貴様は王国を追放されたはずだぞ! なぜ戻ってきたのだ!」
やはりか、
こうなるだろうなとは思っていたけど、
「それに、その女は天使だな? ソフィア殿もおられるようだが……一体何をしに来たのだ」
「これには事情があって……」
ソウタが説明をしようとすると、
ソフィアが話に割って入ってきた。
「おいおい、こんなところでレディ2人をずっと立たせて長話するつもりかい? とにかく事情は城で説明するから、そこをどいてくれるかい?」
ソフィアの威厳のある物腰に、
兵士たちはオドオドし始める。
兵士たちの間でも、
『百戦の魔女』の名は知れているのだろう。
ソフィアがいるだけで兵士が子供に見えてしまう程に縮こまっている。
「いや、しかし、ソフィア殿の頼みでも、この男を通すわけには……」
ソフィアの目が鋭くなる。
キッと睨むと、
辺りの温度が急に下がったような雰囲気をその場にいた全員が感じ取った。
「いいのかい? ここには凶暴なワーウルフがいるんだが……、私の言うことしか聞かないからどうなるかわからないよ?」
ん?
ワーウルフ?
ハウルの事か?
ハウルはすぐにソフィアの意図を汲み取り、
兵士たちに向かって喉を鳴らして威嚇をした。
「ガルルルゥ」
目をぎらつかせ、
口からは涎を垂らして、
まさに襲おうとしている演技は、
兵士たちを脅すには十分だった。
ハウルはワーウルフという凶暴なモンスターということをソウタは思い出し、
思わず苦笑いをしてしまう。
「で、では城へどうぞ、おい、王にソフィア殿が城に向かうことをお伝えしろ!」
「は、はい!」
1人の兵士が駆け足で先に城に向かった。
「ねぇ、ハウルって俺の仲間なはずだよね? ワーウルフって誰にも懐かないんじゃなかったっけ?」
「そのはずなんだけど、ハウルはもう誰にでも尻尾振ってるじゃん」
「あの、さ、ソフィアさんってそんなに凄い人なの?」
シーナはソウタの耳元にボソッと呟いた。
ふわっと香る女の子の匂いがソウタの嗅覚を刺激し、
思わずソウタの顔はやかんが急に沸騰したように赤くなった。
「え! あ、うん! なんか『百戦の魔女』って別名があるみたいで……この前なんか俺もソフィアさんの魔力見てびっくりしたよ。この人何時間でも魔法を扱うからさ、思わず魔力無限なんじゃね? って思ったぐらいだもん」
「そんな凄い人なんだ! じゃあソフィアさんに頼んだらよかったかも?」
ソウタとシーナがヒソヒソと会話していると、
ソフィアが話しかけてきた。
「何を2人で話してるんだい? ほら、シーナはハウルの背中に乗りな」
すでにソフィアはハウルの背中に乗っている。
「もう、ハウルって仲間というより、忠犬になってるし……」
「言ってやるな、本人が誰よりも辛いんだから」
「クゥゥン……」
ハウルの目には薄っすらと涙が滲んでいた―――
―――ソウタ達が城につくと、
大量の兵士がソウタ達に視線を送っていた。
それもそのはず、
何せ、
国を追放した男が、
モンスターのワーウルフ、
魔法使いのソフィア、
そして天使の女を連れているのだ。
国を追放した仕返しでもしに来たのだろうか?
天使と手を組んで国を攻めてくるのか?
様々な憶測が飛び交い、
兵士たちはヒソヒソと小声で話始める。
ソウタは周りの視線に不快感を覚えていた。
別にここに来たくて来たわけではない、
シーナという女の子を助けるため、
仕方なく来たのだから、
変な目で見られるのは何か嫌な気持ちになる。
「別に普通にしていたらいいさ、何かあれば私が言ってやる」
ハウルの背中に跨り、
ソフィアは堂々と言い放った。
ソウタの心中を察してくれたのだろう、
少し気持ちが楽になったソウタは、
表情が緩くなり、
王室の扉を力強く開けた。
ギギィ
王室の扉を開けると、
自分を追放したクレスト王が、
玉座に座り、
傍には剣を交えた兵士が剣を腰に携え、
こちらに鋭い眼光で睨んでいた。
「よく来たなソフィア、そしてソウタよ」
クレスト王はワーウルフやソフィアに臆することなく、
堂々としていた。
流石は人の上に立つ者か。
「用があるのは私じゃない、このお嬢さんだよ、名をシーナ。見てわかると思うが天使の女の子だ」
ソフィアの簡単な紹介の後、
シーナは一歩前に出て、
クレスト王の前で片膝をついた。
「お初にお目にかかりますガルディア王国国王、クレスト・リヴ・ガルディア様。私の名はシーナ……と申します。何の報せもなく突然来たことをお許しください」
「うむ、よかろう。表をあげよ」
クレスト王の言葉でシーナは頭を上げると、
事の経緯を説明した。
こうしている今でも天使は竜人族に襲撃をされているかもしれない。
事は一刻を争う状況の中、
シーナは凄く冷静だった。
内心では焦っているだろうに、
それを表面に出さないとは精神的に凄く成長しているのだろう。
ソウタは思わず感心してしまう。
「そうか、それで我がガルディア軍の力を借りたいということか……」
シーナの説明が終わると、
クレスト王は髭を触りながら、
顔をしかめる。
「はい、国を救っていただいた暁にはそれ相応の対価を……」
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それは思いもしない言葉だった……。
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