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第四話 魔法や剣技を教えてもらえるらしい
その五
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お騒がせの父娘を見送った後、フィスは安堵のため息を吐く――と、マリアから……
「そうそう、フィスちゃん。もう一人お客さんがいるの」
「……えっ?」
すると、奥からこれまた女性らしきシルエットの人物が立ち上がりフィスの方に歩いて来る。
白い軍服に金色のサーベルを携帯していた。フィスはそれが騎士団のモノだとすぐに気付く。
女性はフィスの前に立つと敬礼のポーズを取る。
「き、騎士団第一隊、ジェシカ・ファン・ランパードであります! 今日からフィスさんの警護に当たります。よ、よろしくお願いいたします!」
ああ、そう言えば……フィスはエドワースの言っていたことを思い出す。確か有能な部下を送るとか……
緊張してカミカミだった自己紹介には、とても有能さは感じ取れなかったが……それに建前は警護でなく、監視のはずだが……
年は二十代前半で金髪をボブカットにしてあり、大きめのメガネを掛けている。首から上は騎士というより司書官のほうが似合いそうだ。
「えーと、ジェシカさん? よろしくお願いいたします」
お互い挨拶をしたところで、少し間が空く。
意を決したのか、ジェシカが口を開いた。
「ところでフィスさん……騎士団長とはどういう関係ですか?」
「えっ⁉」
フィスはドキッ! とする――まさか、自分の事に気づいているのでは? そう、考えて焦ってしまう。
「私は――騎士団長にはもっと釣り合う人がいると思うの」
「…………はい?」
いったい何の話? と、フィスは面食らう。
「確かにあなたは可愛いけど、やっぱり若すぎると思うの!」
急に力説するジェシカ――
(はーん……そういうこと。エドワースも罪な人ね)
ニグレアにエドワースファンの女性が沢山いるのは有名な話だ。
おそらく、この警護がエドワース直々の指示だということで、ジェシカはフィスに嫉妬しているのだろう――フィスはそう理解した。
しかし――
「騎士団長にはグレッグ・フェンダーソン第二隊隊長こそ、お似合いだと私は思うの!」
「……………………はい?」
「あの美しい髭のフェンダーソン隊長と騎士団長が一緒に居るだけで私、もうたまらなくなるの!」
フィスはジェシカの言っている事に付いていけなくなる……
「えーと……フェンダーソン隊長って男性ですよね?」
フィスがたずねると、ジェシカが「そうよ、当たり前でしょ!」と応えるので、フィスの思考は停止した――
ジェシカは何かに火が付いたようで、持っていた手提げからノートを取り出す。
「これ私が描いたの! どう? ゾクゾクするでしょ⁉」
そこにはエドワースと思われるイケメン男性と口ひげで筋肉隆々の男性が裸で絡んでいる――
フィスには刺激が強過ぎた。その場に霊媒師がいたら、フィスの口から魂が脱け出しているのが見えたはずだ……
『なるほど……今度は腐のお方ね』
二人のやり取りを見ていたハーミットが、また性懲りもなく口を挟んできた。
『それではお嬢さんに本物のビー・エルというのを教えてあげましょう』
ハーミットはノートと書くものを借りるよう、エルに言う。
有名BLイラストをディープラーニングで解析し、ジェシカの描いた絵をBLイラスト風に描き直す。
「おーーーーっ‼」
返されたノートを見て、悶絶するのでは――という勢いで興奮するジェシカ。
「それで、エドワースを攻めにするとこの絵になる……だそうです」
そう言って、ページを捲る。
ジェシカは鼻血を吹き出し卒倒する直前でギリギリ正気を取り戻した。
「エルさん‼ あなたと友達……いえ、師匠と呼ばせてもらいます!」
はあ……といつものように気の抜けた返事をするエルであった。
後日のことだが……ジェシカはハーミットが作った――描いたのはエルだが――BL誌を両手に抱えニグレアに帰ることになる。そのイラストは模写され、ニグレアに住む貴族のご婦人方に絶大な人気が出たとか出ないとか……
「そうそう、フィスちゃん。もう一人お客さんがいるの」
「……えっ?」
すると、奥からこれまた女性らしきシルエットの人物が立ち上がりフィスの方に歩いて来る。
白い軍服に金色のサーベルを携帯していた。フィスはそれが騎士団のモノだとすぐに気付く。
女性はフィスの前に立つと敬礼のポーズを取る。
「き、騎士団第一隊、ジェシカ・ファン・ランパードであります! 今日からフィスさんの警護に当たります。よ、よろしくお願いいたします!」
ああ、そう言えば……フィスはエドワースの言っていたことを思い出す。確か有能な部下を送るとか……
緊張してカミカミだった自己紹介には、とても有能さは感じ取れなかったが……それに建前は警護でなく、監視のはずだが……
年は二十代前半で金髪をボブカットにしてあり、大きめのメガネを掛けている。首から上は騎士というより司書官のほうが似合いそうだ。
「えーと、ジェシカさん? よろしくお願いいたします」
お互い挨拶をしたところで、少し間が空く。
意を決したのか、ジェシカが口を開いた。
「ところでフィスさん……騎士団長とはどういう関係ですか?」
「えっ⁉」
フィスはドキッ! とする――まさか、自分の事に気づいているのでは? そう、考えて焦ってしまう。
「私は――騎士団長にはもっと釣り合う人がいると思うの」
「…………はい?」
いったい何の話? と、フィスは面食らう。
「確かにあなたは可愛いけど、やっぱり若すぎると思うの!」
急に力説するジェシカ――
(はーん……そういうこと。エドワースも罪な人ね)
ニグレアにエドワースファンの女性が沢山いるのは有名な話だ。
おそらく、この警護がエドワース直々の指示だということで、ジェシカはフィスに嫉妬しているのだろう――フィスはそう理解した。
しかし――
「騎士団長にはグレッグ・フェンダーソン第二隊隊長こそ、お似合いだと私は思うの!」
「……………………はい?」
「あの美しい髭のフェンダーソン隊長と騎士団長が一緒に居るだけで私、もうたまらなくなるの!」
フィスはジェシカの言っている事に付いていけなくなる……
「えーと……フェンダーソン隊長って男性ですよね?」
フィスがたずねると、ジェシカが「そうよ、当たり前でしょ!」と応えるので、フィスの思考は停止した――
ジェシカは何かに火が付いたようで、持っていた手提げからノートを取り出す。
「これ私が描いたの! どう? ゾクゾクするでしょ⁉」
そこにはエドワースと思われるイケメン男性と口ひげで筋肉隆々の男性が裸で絡んでいる――
フィスには刺激が強過ぎた。その場に霊媒師がいたら、フィスの口から魂が脱け出しているのが見えたはずだ……
『なるほど……今度は腐のお方ね』
二人のやり取りを見ていたハーミットが、また性懲りもなく口を挟んできた。
『それではお嬢さんに本物のビー・エルというのを教えてあげましょう』
ハーミットはノートと書くものを借りるよう、エルに言う。
有名BLイラストをディープラーニングで解析し、ジェシカの描いた絵をBLイラスト風に描き直す。
「おーーーーっ‼」
返されたノートを見て、悶絶するのでは――という勢いで興奮するジェシカ。
「それで、エドワースを攻めにするとこの絵になる……だそうです」
そう言って、ページを捲る。
ジェシカは鼻血を吹き出し卒倒する直前でギリギリ正気を取り戻した。
「エルさん‼ あなたと友達……いえ、師匠と呼ばせてもらいます!」
はあ……といつものように気の抜けた返事をするエルであった。
後日のことだが……ジェシカはハーミットが作った――描いたのはエルだが――BL誌を両手に抱えニグレアに帰ることになる。そのイラストは模写され、ニグレアに住む貴族のご婦人方に絶大な人気が出たとか出ないとか……
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