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第五章 もう一つの世界

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 ゼルは、洸が暴れなくなったことで、ベッドに上がって俺の後ろから中に入ってくると、俺の上半身を起こすように抱きしめてきて、ゼンも前から俺の身体を支えてくれる。


「アッ、あッ……ンッ……んんぅ」


「凛くん、気持ちよさそうに喘いどるのは、むちゃくちゃ可愛いんやけど、そろそろ洸のこと呼んでやり」


「可哀想な事になっとるしな。俺等が悪いんやろうけど」


 それにしたって、もうちょっと動きを抑えてくれないと、激しくて喋りづらい。


「こう……洸、こっちにきて……ひうッ……あッ、まって……」


「凛……なんで呼ぶの。呼ばないで。俺期待しちゃうから、呼ばないで」


「洸……おいで……大丈夫だから」


 洸は俺に呼ばれて、まだ呼吸が乱れている状態で近くにくると、俺と目が合った途端に、吸い込まれるようにベッドに上がってくる。


「はあ……凛、可愛い。兄さんに抱かれる凛は、いつも綺麗だけど、今日は凄く可愛い」


「こう……チュウして……んアッ、はぁ……チュウして、おねがい」


「自分を求めてくる凛くんは可愛いやろ。凛くんのお願いに、ちゃんと応えるんやで」


「例え出なくなってもや。こっからは覚悟しぃや。冗談抜きでな……」


 ゼンとゼルは苦笑いで洸に『頑張れ』と言うと、あとはいつも通り俺を抱き始めて、フェロモンを要求してきた。


ーーーーーーーーーー


(side洸)


 凛が……凛が俺のベッドに……いつもは綺麗だって思うのに、今日は可愛く見える。可愛くて可愛くて仕方ない。兄さん達の表情は気になったけど、何も言われないって事は、本当にキスしてもいいって事だよね??


「こう……はやく、おねがい……」


「凛、可愛い……」


 俺は興奮のあまり、凛の唇に噛み付くようにキスをして、目を開けてみると、凛がトロンとした目で、気持ちよさそうにこっちを見ていた。兄さん達に抱かれているせいで、喘ぎ声もいつも以上に可愛く、両手で逃げれないように頭を押さえると、凛の息がどんどん荒くなっていく。


 可愛い。可愛い。可愛い。兄さん達が、優しく抱けない気持ちがやっと分かった。酷くしたい。もっと乱れてほしい。もっと俺を感じてほしい……凛の望みに応えたい。


「凛くん……いつもより締めつけてきよる」


「凛、もっと……もっとフェロモンちょうだい」


 兄さん達に応えるように、フェロモンを出したのだろうが、それと一緒に月の匂いもしてきて、咄嗟に唇を離して、匂いを嗅がないようにしたが、凛はわざと匂いを出しているのか、どんどん匂いが強くなる。


「ぜん、ぜる……もっと、もっとちょうだい。こう……ちょうだい。俺のくち……ちょうだい」


 えっ、ちょうだいってナニを……凛が兄さん達におねだりするのは……アレだよね。でも俺は……俺はキスまでしか……それに口って大丈夫なの??


「こう……なんで……ゼン、ゼル……はあ、はあ……洸が……」


「凛くん、泣かんで。洸、はよしろ」


「凛の望みに応えろ。俺等は凛を共有する」


 共有……いいの?? だって、俺は……番じゃない。


「洸……きて」


 その瞬間、凛に引っ張られるようにして、可愛く開いた口に突っ込むと、中は熱くなっていて気持ちよく、凛の牙が少し当たる度にゾクっとして、頭を押さえてからは腰が止まらなくなり、何度か達してしまった。


 凛、可愛い。俺の飲ん……あれ……嘘!! 俺、やっちゃった……


「凛、ごめん!! 俺、中に……ちょ、離して」


「フェロモンも匂いもなくなっとるし、もうちょい頑張れや。あと少しで、凛も落ち着く筈や」


「洸、まだ大丈夫やろ?? 凛くんは足りんかったら、満たされるまで終わらんで」


 俺は頑張って凛の口から離すと、凛の様子を見ながら、兄さん達がまた動き始めて、凛はゼン兄さんにペタンと力無く寄りかかるが、ゼン兄さんが構わず凛にキスをすると、ゼル兄さんも凛を抱き寄せてキスをする。そして次は俺だと言わんばかりに、熱をもった綺麗なオッドアイが、俺を見つめてくる。


 あぁ、綺麗だ。俺も……俺もいいの?? ずっと見てるだけだったのに。凛……やっぱり俺は、凛が好きだ。この中に俺も入りたかった。兄さん達から奪うんじゃなく、一緒に凛を愛したかったんだ。


「凛、好きだよ。愛してる……ずっと、ずっと愛してる」


「洸……俺も好きだよ。可愛い俺の狼」


 そう言った凛は、笑って俺に手を伸ばしてくる。俺を求めるように、熱を持った瞳は綺麗だが、やはり凛は可愛くて、キスをすると俺の枷が少し変わった気がした。


 あぁ……満たされる。凛の好きが、恋愛感情ではないのは分かってる。それでも好きだと言われたら、それだけで嬉しいし、俺を求めてくれるのも可愛くて仕方ない。大切な俺の月……もう隠してしまいたい。この家に、ずっと閉じ込めたい。それでも凛はすぐに逃げちゃうんでしょ?? だから呼んで。俺が必要な時は俺を呼んで。そしたら凛を隠してあげる。どんなに目立つ月でも、俺なら凛を隠してやれる。


「洸……ちょうだい」


「いいよ。俺の月……ちゃんと隠してあげる」







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