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第四章 縛りと役目

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 目が覚めると、俺は見慣れた部屋で、余裕がなさそうなゼンとゼルに抱かれていた。


「凛くん……凛くんは俺等のや。俺等の猫や」


「凛、凛……好き。愛しとる。俺等だけを見て」


 ごめんね。俺が不安にさせたから……


「ンッ、はぁ……ぜん……ぜる……愛してる。好きなだけ抱いていいよ……ごめんね。ありがとう」


 俺が二人のフェロモンを出すと、二人は俺を強く抱きしめて、少し不安が和らいでいるような気がした。


「凛くん、好き……大好き。俺の匂い」


「凛……いい匂い。呼んで。凛、鈴で呼んで」


 ゼン、ゼル……大好きだよ。


「凛くん、舌出して」


 俺が言われた通りに舌を出すと、ゼンが俺の印を視て喜んでいる。


「俺等のは、枷やない。ちゃんと番や。俺等の番や。好きすぎて、どうしようもない」


「凛の魂触れるんも、俺等だけや。凛が好き……狂ってもいい」


『愛しとる』


 その後も、何度も何度も中へ注がれ、俺が吸収しきれない分を、スイセンが吸収してくれていて、二人にバレないように手伝ってくれた。


 多分……吸収出来なくて少しでも漏れたら、俺が二人を拒絶したと思う筈だ。今は頭も回ってないし、バレたらやばそうだ……スイセン、ごめん。もう少し頑張って。


 二人が疲れて眠ったのは朝方で、俺は暇なうちにスマホを確認すると、お兄ちゃんと陣と母さんから連絡が来ていて、三人ともレオさんに怒っていた。そして陣の方は、俺と同じ選択をしたらしく、その代わりにお兄ちゃんは、陣の発情期を無理矢理おこさせて、陣を孕ませたらしい。


 陣……なんで発情期、そんなに早く終わるんだ。というか、陣は俺に愚痴りたいだけだろ。


「凛くん……何しとん」


「ゼン、起こしちゃった??」


 ゼンの低い声が聞こえて、俺は隠し事をしてるわけではないので、普通に振る舞うと、ゼンの態度が普通に戻った。


「ええよ。それより、身体大丈夫か?? 熱は下がっとるけど、腰痛いやろ??」


「痛いけど、ゼンとゼルが面倒見てくれるでしょ?? それより聞きたいんだけど……俺の発情期って長すぎるの??」


 俺の質問に、想像していなかったのか、ゼンは固まった後に突然笑いだした。


「ブハッ……凛くん、どうしたんや。発情期なんか、気になる事でもあったん??」


「いや……陣の発情期が、一日も経たずに終わってるから……俺がおかしいのかなって」


 スマホを見せながら言うと、ゼンは俺にきた連絡を全部読んで、事情を把握したらしい。


「これ、無理矢理ひきおこしたんやろ?? 確かに猫の発情期は長いし、凛くんの発情期は重い方なんやろうけど、犬の発情期を無理矢理ひっぱりだしたんやったら、半日くらいで終わるんやない?? 俺は凛くんの発情期しか知らんけどな」


「ゼンとゼルは……俺の発情期、面倒じゃない??」


『面倒どころか楽しみや』


 ゼルも起きたのかゼンとハモると、俺に抱きついてきて、キスをしてくる。


「ゼル、おはよう。起こしてごめん」


「ええよ。凛の方が大変やったやろ?? スイセンにも無理させたようやしな」


「俺等に気を使ってくれたやろ?? 確かに、少しでも漏れてきとったら、俺は凛くんに何したか分からんな。拒絶やと思うしな」


「気づいてたんだ……多分、今日はスイセン起きてこないと思う。ずっと手伝ってくれてたから」


 俺がお腹を撫でると、ゼンとゼルも俺のお腹を撫でてきて、この家に居た時を思い出した。


「そういえば、なんでここ……しかも荷物運んだはずなのに、殆ど変わってないんだけど」


「うっ……凛くんに内緒で、買っといたんや」


「運んだやつは、また買って置いといてある」


 二人は俺に隠していた事で、少しまずいといった様子だが、俺はここに思い出があるので、正直嬉しかった。


「また来れて嬉しい。ありがとう……合宿中はこっち来るの??」


「合宿やなくなるかもしれんけど、こっち来るんは俺等だけやないし、愁もこっちに泊まっとる」


「凛もストレスにならんし、スイセンも実体化できるやろ?? それに、俺等が凛を抱けるしな」


 全部本当なんだろうけど、最後のやつが主な理由って感じだな。まあ、俺は二人に抱いてもらわないと、生きていけないらしいし……お義父さんも、わざわざ東京にしてくれたのかな。


 その後、俺達は少しゆっくりしてから準備をし、体育館へ行くと、リュカさんに連れられた洸が俺達をみつけて、尻尾をブンブン振って喜んでいた。


「凛!! ゼン兄さん、ゼル兄さん」


「洸、生きとったんかいな。リュカに迷惑かけとらんよな??」


「ちゅーか、俺を兄呼びするんは直らんのか!! 肉体的には、むっちゃキツいんやけど」


 ゼルの俺を抱える腕を見ると、鳥肌が立っていて、少し笑いそうになるのを我慢し、先にリュカさんに迷惑をかけた事を謝ると、洸が明らかにションボリしていて、少し可愛く思える。そしてリュカさんが、洸を置いて何処かへ行ってしまったため、俺は洸を呼ぶと嬉しそうに近寄ってきた。


「洸、おいで。痛かったでしょ……後悔してない?? 俺、あの時熱のせいで、どうして枷なんか思いついたのか分からないんだ。ただ、上手くいったみたいで良かったよ」


 俺が頭を撫でてやると、洸は気持ちよさそうにしていて、満足そうにしている。


「痛かったけど、凛とキスできて嬉しかった。兄さん達が許してくれたら、次はちゃんとキスしたい」


 いや、あれはキスじゃなくて舐めただけじゃない?? もうゼンとゼルは、キスまでは許してる筈だけど……末っ子感が凄くて我儘そうなのに、ちゃんと考えてるんだな。


「キスまでは許す言うたけど、頻繁にするんは許さん。毎回凛くんに許可とってからや」


「凛が嫌がったら絶対するなや。それと俺等のどっちかが見とる時や。その都度、上書きせなアカンからな」


「分かった……凛、してもいい??」


 んー、どうしようか。回数制限した方がいいだろうな。スイセンの食事と同じで、一日三回までとかにするか??


「いいけど、一日三回まで。ゼン、ゼル、どう思う??」


「凛くん……ブフッ……それスイセンの食事と、同じ感覚で考えたやろ。洸はかなり我慢させられるかもな」


「凛らしいけどな……流石にそれは……ブハッ、洸が可哀想に思えてくるわ。洸は凛の事、好きになってもうたやろ??」


「うん……好き。凛が好きだし、多分一目惚れだし……優しくてあったかい。凛の嫌がる事はしたくないけど、本当は抱きたいし、世話したいし、可愛がりたいし……」


 うわ……ここまでゼンとゼルに似てるのか。まさか俺の事、好きだとは思わなかった。昨日までは、ただ俺を孕ませる事しか、考えてなさそうだったのに……枷が影響してるのか??


「なんかごめん。けど三回なのは決定」


「分かった……もっと増やしてもらえるように、ちゃんと気持ちよくする。凛、好きだよ」


 洸が恐る恐る俺の頬を触り、キスをしてくると、ゆっくりと舌が入ってきて、俺の気持ちいいところを探ってくる。


「洸、凛はもっと激しめにせな、気持ちよくならんで。するならちゃんと気持ちよくしてやりや」


「特に舌やな。ちゃんと絡まさんと、凛くんは満足せんよ」


 なんで教えてるんだ!! そんな事言ったら……ッ


「ンんッ……はぁ、んッ」


 案の定、洸の動きが変わって、軽く目を開けると、興奮した時のゼンとゼルの目に似ていた。


「凛、可愛い……ご馳走様」


 洸がある程度で終わると、俺を抱えるゼルが深くキスをしてきて、やっぱりゼルは凄く気持ち良かった。 


「ゼンも……チュウして」


「かわええな。このトロッとしながら、求めてくるんが一番好きなんや。番を求めとる感じがたまらん」


 そう言ってゼンが俺の舌に、自分の舌を絡めてくる。


 うぅ……わざと教えたな!! 


 それでも俺は抵抗しようとは思えず、少しの間ゼンとゼルの餌食になった。
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