上 下
115 / 361
第二章 新しい生活

70☆

しおりを挟む


「ん……りん……凛、起きて」


 ゼル?? あ……俺寝て……ッ!!


 起きて少し動こうとすると、腰から全身に痛みが広がる。


「凛くん、今お昼なんやけど、ご飯食べれそうか??」


「ゼンが作ったの??」


「そうやで。俺がちゃんと作った。お粥とオムライス、どっちがええ??」


「お粥がいい……俺起き上がれない」


 お風呂にも入れられたのか、身体はスッキリしていて、シーツが綺麗で気持ちがいい。そこから起き上がるのに、痛みを我慢してまで起きようとは思えないし、まず力が全く入らなかった。


「俺があっちまで運んだるし、兄貴が食べさせてくれるやろ」


「そうそう、俺が食べさせたるよ。流石にご飯は食べんと、身体壊してまうやろ??」


 現在進行形で、俺の身体は壊れていってるんだけど……というか二人とも絶対寝てないよな。なんか俺の身体、異常な程敏感になってるんだけど。それに……まだ元気そう。これが自業自得ってやつなのか。誘ったのは俺だし。


「じゃあ、お願い。お腹は空いてるみたいなんだ」


「ゼル、ソファに連れてったげてや。俺は夕飯の分も作ったやつ冷蔵庫入れてくるわ」


 ゼン、夕ご飯の分も作ったんだ……あれ?? 俺いつまで……まさか00時ぴったりまで?? それとも明日の朝??……考えるのはやめよう。流石にそこまで絶倫じゃない……と思いたい。


 その後は、ゼンにお粥を食べさせてもらったが、俺が口を開く度に、ゼンとゼルがキスしてこようとしては、直前で我慢していて、本当にまだまだ元気なんだなと思った。


「凛くん、美味かった??」


「うん、美味しかったし、食べやすかったよ」


「……なら次は俺等の番やな。凛くんの事まだ食べ足りんから、食べさせてな」


 そう言ってゼンは俺にキスをして、ベッドに連れて行かれると、敏感になりすぎた場所に突っ込まれる。


「ンあッ!!……え、うそ……ンッ……ゼン、ぜん……俺のからだ……おかしい」


 ゼンは俺の頬に手を当てて、不敵な笑みを浮かべながら腰を揺らす。


「おかしくなんかないで。凛くんの身体が、俺等を欲してるだけや」


「凛、そんな気持ちええの?? 淫乱になってもうて……でも俺等だけしかアカンで」


「や……ちがッ……アッ……ふた……ふたりだけ……ぜんとぜる……だけ、だから……ッ」


「ええ子やなあ凛くん。ちゃんと身体も、俺等の事覚えたんか??」


「兄貴、横んなってや。俺も凛の中入りたい」


 ゼルの言葉に、ゼンが軽く舌打ちをした後、覆い被さったまま横に倒れ、後ろからゼルが容赦なく入ってくる。


「ッ!!……はぁ……はぁ……ンッ」


「あーあ、もう噛むとこないやんか。兄貴噛みすぎや」


 俺がゼンに口を塞がれていると、ゼルは噛むところがないと言いながらも、噛んでは舐めてくる。


「はぁ……やっぱ凛くんは起きとる方がええな。キスしても応えてくれるし、目が合うんも最高や」


「起きとるのに、感じすぎてクタッとなっとるんもええんよな。可愛い。凛、好きやで」


「凛くん、愛しとる。俺等の全部、受け入れて」


「ッ!!……ばか……だなあ……ンッ」


 全部受け入れてるから。どんな事考えてても、どんな事をされても、みんなが二人を怖いと言おうが、俺は二人から離れたりしない。 


「凛くんにバカって言われるんは、なんや愛があってええな」


「凛、覚えといてや。俺等を止められるんは凛だけやし、俺等をここまで狂わせられるんも凛だけや」


 その後、俺の意識が朦朧としながらも、夜ご飯まで続き、二人はまだ余裕そうだったが、俺が明日一日で回復出来るか怪しくなってきた為、寝るまでずっとマッサージしてもらって、気持ちよく眠りについた。


ーーーーーーーーーーー


(sideゼンとゼル)


 ゼンは寝てしまった凛の身体を、マッサージしながら身体中の噛み痕に薬を塗る。ゼルは首の前後4箇所の噛み痕を、消毒だけして凛の頭を撫でてやる。


「明日凛くんがこの噛み痕見たら、どんな反応するんやろ」


「まあ、謝ったりしたら、また謝るなって言われるやろうな。凛なら仕方ないで終わると思うで」


「そうやろな。凛くんは……俺等の事勘づいとるよなあ。ハッキリは分かっとらんやろうけど……俺等って普通は関わったらアカンような人種やんか」


(兄貴……一応自覚しとったんか。俺はそっちの方が驚きやわ)


「お前失礼な事思っとるやろ。俺は凛くんに対してだけや。ちゅーかお前も同類やろが」


 ゼンもゼルも、真顔で何を考えているのか分からない怖さがあるが、凛を見る時だけは愛しそうにする。


「兄貴と一緒にせんでや。俺は兄貴ほどぶっ飛んどらんわ」


(こいつアホやろ。ゼルはどう見ても同じくらいか、俺以上やろが。まあ、俺等は自覚しとるからまだええ方やけどな)


「お前……凛くん居らんくなったら、どないするん??」


「ハッ……そんなん許す訳ないやんか。どうしても離れるんやったら……」


「ほらな、俺と同じやんか。生きとらんと意味ないから、どっか海外にでも連れてって、なんて思っとるやろ??」


「いや、海外に連れてくんは合っとるけど……生死は考えとらんから。やっぱ兄貴の方が怖いやんか」


「嫌やなあ……生きとらんと意味ない言うたやんか。それだけは絶対や。それに凛くんを怖がらせる訳ないやん。ちゃんと大事に凛くんが幸せになれるようするだけやで。まあ、凛くんが……俺等から離れるなんか考えたないけどな」


「それは俺も考えたないっちゅうか、寧ろそうならんようにしとるんやし」


 この二人の会話は、凛は勿論聞いておらず、スヤスヤと心地良さそうに寝ているのを、ゼンとゼルは眺めながら眠りについた。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:57

グッバイマイラブ ~そばにいるよ~

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:37

今日も武器屋は閑古鳥

BL / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:87

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,001pt お気に入り:4,042

Bグループの少年

青春 / 連載中 24h.ポイント:4,828pt お気に入り:8,327

呪われた騎士は記憶喪失の乙女に愛を捧げる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:205pt お気に入り:943

喰わず嫌いのオルマドライド

SF / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

琥珀に眠る記憶

BL / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:510

処理中です...