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第一章 出会い
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しおりを挟む昨日は疲れた。あの後お風呂あがりの俺を撮ったり、リュカさんという日本とロシアのハーフ……いや今はもうダブルって言うんだっけ。その物静かなイケメンなお兄さんに、髪を乾かされるところとか、強面イケメンの剛さんや、気分屋の祐希さんに挟まれて、お人形のごとく弄られているところなど、いろいろ撮られてしまった。
「なあ、凛くん」
「何陣、くん付けとか気持ちわ……な、なんでゼルさんがここに!?」
俺は今教室にいる筈で、部活以外でバレー部と会った事はなかった。なのに、なんでここにいるんだ!!
「えー、別に来たらアカン理由ないやん。それよりコレ……クソ兄貴から送られてきてんねんけど。凛くんの家に出入りしてるって事やんな?? コレ今送られてきたんやで??」
ゼルさんがコレと言って見せてきたのは、昨日俺の両頬の純潔を無くした写真だった。
「んなー!! な、なんで俺の……しかも風呂上がりとパジャマ……もうヤダ。恥ずかしい」
「凛の事虐めてんですか??」
「虐めちゃうよ。ちゅーか、静流にも誰にも見せんでおくから、コレ俺が持っててもええ?? クソ兄貴に凛くんの許可取れ言われてん」
「ダメって言ったら??」
「そんなん見せるしかないやろ。静流がコレ見たら大変やろなあ」
あいつチャラ男なのに、なんかヤンデレ気質もあるんだよ。ちょっとあいつ怖いんだから。
「わ、分かりました。でも絶対に見せないで下さい!!」
「大丈夫や!! 俺と兄貴は共有しても、他の奴にはホイホイ共有せんよ」
兄弟間での共有もやめてほしいけどな。
「用はそれだけやから、また放課後な~」
俺の頭をポンポンしていくと、ゼルさんは満足そうに鼻歌を歌って帰って行った。
「なぁ、肝心の陣は俺の写真効果ってあるのか??」
元はと言えば、陣と父さんのせいだ。俺の写真ブームなんてこなくていいものの。
「そういえば、ずっと調子が良い気がするな。そして俺だけじゃなくて、謎なのが周りも調子が上がってるんだよ」
「えー、なにそれ。陣に引き摺られてるだけじゃないの」
俺は机に突っ伏しす形で、前の席にいる陣を見上げた。
「いや、あいつらも何故か凛の写真見てるんだよなあ。チラチラとだけど。流石に俺が勝手に飾ってるとは言え、ガッツリ人のもん見づらいっしょ」
「でも、チラチラの方がなんか嫌じゃないか? というか陣も飾るのやめろよ~」
「仕方ないだろ、ポケットなんてないし、調子悪い時にすぐに見れるのはベンチなんだから。それにみんな調子良くならいいって先生の許可貰ってるし」
はぁ、絶対コイツ誰ってなってるよなあ。
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