上 下
12 / 361
第一章 出会い

12

しおりを挟む


 昨日は疲れた。あの後お風呂あがりの俺を撮ったり、リュカさんという日本とロシアのハーフ……いや今はもうダブルって言うんだっけ。その物静かなイケメンなお兄さんに、髪を乾かされるところとか、強面イケメンのごうさんや、気分屋の祐希ゆきさんに挟まれて、お人形のごとく弄られているところなど、いろいろ撮られてしまった。


「なあ、凛くん」


「何陣、くん付けとか気持ちわ……な、なんでゼルさんがここに!?」


 俺は今教室にいる筈で、部活以外でバレー部と会った事はなかった。なのに、なんでここにいるんだ!!


「えー、別に来たらアカン理由ないやん。それよりコレ……クソ兄貴から送られてきてんねんけど。凛くんの家に出入りしてるって事やんな?? コレ今送られてきたんやで??」


 ゼルさんがコレと言って見せてきたのは、昨日俺の両頬の純潔を無くした写真だった。


「んなー!! な、なんで俺の……しかも風呂上がりとパジャマ……もうヤダ。恥ずかしい」


「凛の事虐めてんですか??」


「虐めちゃうよ。ちゅーか、静流にも誰にも見せんでおくから、コレ俺が持っててもええ?? クソ兄貴に凛くんの許可取れ言われてん」


「ダメって言ったら??」


「そんなん見せるしかないやろ。静流がコレ見たら大変やろなあ」


 あいつチャラ男なのに、なんかヤンデレ気質もあるんだよ。ちょっとあいつ怖いんだから。


「わ、分かりました。でも絶対に見せないで下さい!!」


「大丈夫や!! 俺と兄貴は共有しても、他の奴にはホイホイ共有せんよ」


 兄弟間での共有もやめてほしいけどな。


「用はそれだけやから、また放課後な~」


 俺の頭をポンポンしていくと、ゼルさんは満足そうに鼻歌を歌って帰って行った。


「なぁ、肝心の陣は俺の写真効果ってあるのか??」


 元はと言えば、陣と父さんのせいだ。俺の写真ブームなんてこなくていいものの。


「そういえば、ずっと調子が良い気がするな。そして俺だけじゃなくて、謎なのが周りも調子が上がってるんだよ」


「えー、なにそれ。陣に引き摺られてるだけじゃないの」


 俺は机に突っ伏しす形で、前の席にいる陣を見上げた。


「いや、あいつらも何故か凛の写真見てるんだよなあ。チラチラとだけど。流石に俺が勝手に飾ってるとは言え、ガッツリ人のもん見づらいっしょ」


「でも、チラチラの方がなんか嫌じゃないか? というか陣も飾るのやめろよ~」


「仕方ないだろ、ポケットなんてないし、調子悪い時にすぐに見れるのはベンチなんだから。それにみんな調子良くならいいって先生の許可貰ってるし」


 はぁ、絶対コイツ誰ってなってるよなあ。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

剣客逓信 ―明治剣戟郵便録―

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:57

グッバイマイラブ ~そばにいるよ~

BL / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:37

今日も武器屋は閑古鳥

BL / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:87

【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,185pt お気に入り:4,042

Bグループの少年

青春 / 連載中 24h.ポイント:4,771pt お気に入り:8,327

呪われた騎士は記憶喪失の乙女に愛を捧げる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:170pt お気に入り:943

喰わず嫌いのオルマドライド

SF / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

琥珀に眠る記憶

BL / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:510

処理中です...