異世界でも馬とともに

ひろうま

文字の大きさ
上 下
29 / 94
第2章 神獣の解放

24-神獣の間違った使い方

しおりを挟む
「では、失礼して……あのー、なぜ封印が解けたの?」
「えっ?キミが解いてくれたんだよね。」
「いや、僕は見てただけだけど。」
「そうなの?まあ、いいや。とにかく、封印解いたのは確かだから、責任取ってね。」
「責任って……。」
「ボクをキミのお嫁さんにしてっていうことだよ。」
そう言うと、フェニックスは飛んで来て、僕に身体を押し付けて来た。
「ぐぇ!苦しい!せめて、小さくなって!」
「あ、ごめんごめん。」
フェニックスは、僕と同じくらいの大きさになった。
「いきなりお嫁さんって……先ずは友達からということで……。」
「えーっ。」
なんか文句言いたそうだけどスルーしよう。神々しいとか感じたことも、なかったことにしたい。
今更だけど、名前言ってなかったな。
「僕の名前はユウマ。こっちが僕の妻たち。」
「ルナよ。よろしくね。」
『アタシはステラ。よろしく。』
ステラは言葉が通じないので、念話で話し掛けたみたいだ。僕にも聞こえるようにしたんだな。
「キミたち、ユウマの奥さん?良いなー。」
『アタシはユウマの従魔でもあるの。とりあえず、あなたも従魔になったらどう?』
『えっ?どうやったらなれるの?』
その後は、二人で念話で話してるみたいだった。何を話しているか、想像が着くけどね!
「わかった。じゃあ、ユウマ行くよ!」
「はいはい。」
仕方なく目を瞑ると、唇に固いものが……痛っ!やっぱり、嘴は無理が有るんじゃあ?
≪従魔契約が成立しました。≫
≪条件を満たしたため、獣神の加護の効果が解放されました。≫
ん?また、違うアナウンスがあったな。
ステータスを確認してみよう。

================
名前:ユウマ
種族:ハイ・ヒューマン
性別:♂
年齢:35歳
HP:1,200/1,200
MP:-
能力値:▼
スキル:閲覧、MP消費防御、翻訳、念話(遠隔可)、MP共有(馬または馬系魔物限定)、スキル共有、魅了耐性
加護:調停者の加護、獣神の加護、馬女神の加護、神竜の加護、不死鳥の加護
妻:ルナ、ステラ、クレア
従魔:クレア(ユニコーン)、ステラ(バイコーン)、セルリア(ブルードラゴン)、エルミナ(フォールン・ペガサス)、???(フェニックス)
================

================
【念話(遠隔可)】(アクティブ)
念話の上位スキル。一度念話を交わした対象と遠隔で念話が可能。

【スキル共有】(パッシブ、アクティブ)
契約主と従魔でパッシブスキルを共有する。また、お互いのアクティブスキルが、一日一回に限り使用可能となる。ただし、種族固有のスキルなど、使用できないものもある。

【不死鳥の加護】
・鳥系の魔物から好意を寄せられやすくなる。
・念話スキルが使用可能となる。
================

念話が進化してる。これは、獣神の加護と不死鳥の加護が重なったからだろうか?というか、試したことなかったけど、普通の念話だと遠隔では無理だったんだな。
あと、スキル共有って凄い。おそらく、これが解放された獣神の加護の効果なのだろう。

================
【獣神の加護】
加護による効果は、次の通り。
・ある程度以上知能のある動物や魔物(特に異性)から好意を寄せられやすくなる。
・翻訳スキルを得る。
・スキル共有スキルを得る。(解放の条件:5体以上の相手と主従契約を結ぶ)
================

やはり、そうだった。
パッシブで共有されたのは、魅了耐性のみだ。これは、エルミナが持っている魅了のパッシブ部分ということだろう。
これは、皆のスキルも確認しておかないといけないな。

「ところで、いつまでくっついてるの?」
「ずっと。だって、ボクに魔力が注がれて気持ち良いんだもん。」
「あら?その鳥が言ってることがわかるわ。」
そうか。僕には違いがわからないが、皆に翻訳スキルが共有されたんだな。
「もっと小さくなって、肩にとまるとかできないの?」
「なるほど。それは良いね。」
フェニックスは、烏位の大きさになつて、僕の肩にとまった。
いい加減、名前着けないとな……。
「名前は、フェニ子で良い?」
「なにその『考える気ありません』みたいな名前。」
「これは、これで可愛いと思うけど……やっぱり、駄目だよね。ちょっと、待ってね。」
「可愛くないし……。」
できれば、色に絡めて……。
「ヴァミリオはどうかな?」
「それなら良いよ!」
「じゃあ、決まりね。」
「それで、いつお嫁にもらってくれるの?」
「なぜそうなる!って言うか、フェニックスって、子供作らないんじゃないの?」
「えっ?ユウマ、ボクとの子供が欲しいの?」
「だから、なぜそうなるの?」
「困ったな……。ボクまだ子供要らないし。」
「……。」
この鳥、全く人の話聞かないんだが……。そういえば、セルリアも人の話聞かなかったな。
神獣って、みんなこうなのか?

~~~
皆が待っている場所に戻り、ヴァミリオに皆を紹介した。
「で、これがフェニックスのヴァミリオ。皆、よろしくね。」
「よろしく!ドラゴンちゃんも、お久しぶり!」
「う、うむ。」
セルリアの反応が悪いな。
でも、原因は何となくわかった。セルリアは、ヴァミリオのことが苦手らしい。封印された所に行きたがらなかったのも頷ける。
属性の相性も悪いが、性格的にも合わなそうだもんな。
「とりあえず、今日は家に戻って、明日エルミナとヴァミリオの従魔登録しにギルドに行こうか。」

家に戻って、従魔となっている皆のステータスを確認した。

================
名前:クレア
種族:ユニコーン
性別:♀
年齢:221歳
HP:5,200/5,200
MP:55,000/55,000
能力値:▼
スキル:光魔法、回復魔法、念話、MP消費防御、翻訳、魅了耐性
加護:神竜の加護
夫:ユウマ
契約主:ユウマ
================

================
名前:ステラ
種族:バイコーン
性別:♀
年齢:217歳
HP:4,500/4,500
MP:46,000/46,000
能力値:▼
スキル:闇魔法、空間魔法、念話、MP消費防御、翻訳、魅了耐性
加護:神竜の加護
夫:ユウマ
契約主:ユウマ
================

================
名前:セルリア
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
HP 3,000,000/3,000,000
MP 1,820,000/3,500,000
能力値:▼
スキル:水魔法、氷魔法、ブレス(氷)、飛行、小型化、念話、MP消費防御、翻訳、魅了耐性
加護:獣神の加護
契約主:ユウマ
================

================
名前:エルミナ
種族:フォールン・ペガサス
年齢:5歳
性別:♀
HP:2,000/2,000
MP:15,000/15,000
能力値:▼
スキル:浮遊、魅了、MP消費防御、翻訳
契約主:ユウマ
================

================
名前:ヴァミリオ
種族:フェニックス
年齢:―
性別:♀
HP ―
MP 165,000/3,000,000
能力値:▼
スキル:炎魔法、蘇生、飛行、小型化、念話、MP消費防御、翻訳、魅了耐性
加護:獣神の加護
契約主:ユウマ
================

僕のパッシブスキルが、皆に付いている。そのせいで、皆がチート化している気がする。
あと、エルミナから僕に共有された魅了耐性も、更に皆に共有されている。
パッシブスキルが多い従魔が増えたら、凄いことになりそうだ。

~~~
クレアとお風呂に入ろうとしたら、ヴァミリオが着いて来ようとした。
が、お湯に入ると聞いて、慌ててルナに飛び移った。
「ヴァミリオは、やっぱり水が駄目なの?」
「うん。水に濡れてもダメージは無いけど、根本的に受け付けないみたい。」
「あ、そうだ。ヴァミリオ、熱風みたいなのできる?攻撃じゃなくて、温かい程度で。」
「できるよ。温度調節も可能だし。」
「じゃあ、僕たちがお風呂から上がったら、やってみてくれない?」
「わかった。任せて!」

「クレア、改めてお疲れ様。」
お風呂に一緒に浸かりながら、僕はクレアに話し掛けた。
「ありがとう。でも、母が変なこと言ってごめんね。」
「いや。あれは僕のせいでもあるから。」
「そうね。マスター、エルミナに魅了掛けてもらったじゃない?」
「うん。変な感じだったね。」
「マスターは、常に周りに魅了を掛け続けている感じなんだと思うわ。」
「そうなの?」
「厳密には違うと思うけど、似たようなものだから、その辺は自覚した方が良いと思うわ。」
「そうだね。そうするよ。」

お風呂から上がり、ヴァミリオに熱風(というより温風)をお願いした。
ヴァミリオは、僕と同じ位の大きさになって、羽ばたいた。
「どう?」
「ちょうど良いよ。さすがヴァミリオ!」
「へへっ。」
どうやら、炎魔法で熱を起こして、翼で扇いでいるようだ。微妙だが、風魔法のスキルは無いから仕方ないな。
でも、効果はバッチリで、おかげでステラもすぐに乾いた。
初めて、ヴァミリオが役に立ったな。頭を撫でると、嬉しそうにしている。
でも、神獣にこんなことさせるのは、絶対間違ってるよね。

クレアと一緒に寝ようとすると、ヴァミリオも一緒に寝たいと言い出した。
「最初の日だし、今日だけは良いんじゃない。魔力回復も必要でしょうから。」
「クレアが良いんなら良いけど……。ヴァミリオ、クレアが良いと言っているから一緒に寝ても良いけど、大人しくしてね。」
「わかった。」
僕とクレアがベッドに入ると、ヴァミリオが僕と同じ位のまま、クレアとは反対側に入って来た。
挟まれて、暑いんだけど……。
ヴァミリオは、意外にもすぐ寝始めた。
「まだ、体力も魔力も回復していないからかな。」
「そうね。」
「クレア、ヴァミリオのことをどう思う。セルリアやステラは少し苦手にしてるみたいだけど。」
「ヴァミリオって、明るく振る舞っているけど、寂しいんじゃないかしら。」
「えっ?」
「だって、寿命ないんでしょ。私はまだ200年ちょっとだけど、それでも多くの別れを経験したわ。ヴァミリオは何年生きているかわからないけど、気が遠くなる程長い年数よね。これまで、どれだけ別れを経験しているのか……。」
「そうか……。長く生きるということは、良いことばかりじゃないよね。」
人は不老不死を求めたりするが、もしそれを手に入れる人がいたら、その人は幸せになるだろうか。
僕も上位種で長寿命らしいから、他人事ではないと思う。
「せっかく仲間になったんだから、仲良くしなくちゃね。まあ、そのうち馴染むわよ。」
「そうだね。考えても仕方ないか。じゃあ、おやすみ、クレア。」
「おやすみなさい。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

異世界から来た馬

ひろうま
ファンタジー
ユウマの子であるアイリスは優秀な乗り手を求めて、家出を繰り返していた。 ある日、勇者送還の場に遭遇したアイリスは、それに乗じて現在日本に転移し、そこで一人の青年と出会う。 ※本作品は、「異世界でも馬とともに」の続編になります。 ※本作品は、某サイトで公開していた作品の転載となります(一部、言い回しの修正や加筆あり)。

追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい

桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています

異世界もふもふ召喚士〜俺はポンコツらしいので白虎と幼狐、イケおじ達と共にスローライフがしたいです〜

大福金
ファンタジー
タトゥーアーティストの仕事をしている乱道(らんどう)二十五歳はある日、仕事終わりに突如異世界に召喚されてしまう。 乱道が召喚されし国【エスメラルダ帝国】は聖印に支配された国だった。 「はぁ? 俺が救世主? この模様が聖印だって? イヤイヤイヤイヤ!? これ全てタトゥーですけど!?」 「「「「「えーーーーっ!?」」」」」 タトゥー(偽物)だと分かると、手のひらを返した様に乱道を「役立たず」「ポンコツ」と馬鹿にする帝国の者達。 乱道と一緒に召喚された男は、三体もの召喚獣を召喚した。 皆がその男に夢中で、乱道のことなど偽物だとほったらかし、終いには帝国で最下級とされる下民の紋を入れられる。 最悪の状況の中、乱道を救ったのは右ふくらはぎに描かれた白虎の琥珀。 その容姿はまるで可愛いぬいぐるみ。 『らんどーちゃま、ワレに任せるでち』 二足歩行でテチテチ肉球を鳴らせて歩き、キュルンと瞳を輝かせあざとく乱道を見つめる琥珀。 その姿を見た乱道は…… 「オレの琥珀はこんな姿じゃねえ!」 っと絶叫するのだった。 そんな乱道が可愛いもふもふの琥珀や可愛い幼狐と共に伝説の大召喚師と言われるまでのお話。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

美しいツノ

あずき
恋愛
ツノを持った人外に普通の女の子が愛されるお話です。 ※このお話は、他サイトからの移動作品となります。 初心者の為、小説が読みづらい可能性がございますが温かい目で見ていただけると嬉しいです。

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。 転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。 それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。 これから零はどうなってしまうのか........。 お気に入り・感想等よろしくお願いします!!

狐が好きすぎた俺の異世界狐人生活

穂高稲穂
ファンタジー
狐を愛して愛して止まない俺の名は古荷 朝斗(コガ アサト)17歳。 俺の深過ぎる狐愛に祈りが届いたのか俺は異世界転生して念願の狐人になる。 幸せ真っ只中、俺はこの世界の現実を知り、世界の共通認識をぶっ壊そうと頑張ってみたりする。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...