異世界でも馬とともに

ひろうま

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第2章 神獣の解放

24-神獣の間違った使い方

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「では、失礼して……あのー、なぜ封印が解けたの?」
「えっ?キミが解いてくれたんだよね。」
「いや、僕は見てただけだけど。」
「そうなの?まあ、いいや。とにかく、封印解いたのは確かだから、責任取ってね。」
「責任って……。」
「ボクをキミのお嫁さんにしてっていうことだよ。」
そう言うと、フェニックスは飛んで来て、僕に身体を押し付けて来た。
「ぐぇ!苦しい!せめて、小さくなって!」
「あ、ごめんごめん。」
フェニックスは、僕と同じくらいの大きさになった。
「いきなりお嫁さんって……先ずは友達からということで……。」
「えーっ。」
なんか文句言いたそうだけどスルーしよう。神々しいとか感じたことも、なかったことにしたい。
今更だけど、名前言ってなかったな。
「僕の名前はユウマ。こっちが僕の妻たち。」
「ルナよ。よろしくね。」
『アタシはステラ。よろしく。』
ステラは言葉が通じないので、念話で話し掛けたみたいだ。僕にも聞こえるようにしたんだな。
「キミたち、ユウマの奥さん?良いなー。」
『アタシはユウマの従魔でもあるの。とりあえず、あなたも従魔になったらどう?』
『えっ?どうやったらなれるの?』
その後は、二人で念話で話してるみたいだった。何を話しているか、想像が着くけどね!
「わかった。じゃあ、ユウマ行くよ!」
「はいはい。」
仕方なく目を瞑ると、唇に固いものが……痛っ!やっぱり、嘴は無理が有るんじゃあ?
≪従魔契約が成立しました。≫
≪条件を満たしたため、獣神の加護の効果が解放されました。≫
ん?また、違うアナウンスがあったな。
ステータスを確認してみよう。

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名前:ユウマ
種族:ハイ・ヒューマン
性別:♂
年齢:35歳
HP:1,200/1,200
MP:-
能力値:▼
スキル:閲覧、MP消費防御、翻訳、念話(遠隔可)、MP共有(馬または馬系魔物限定)、スキル共有、魅了耐性
加護:調停者の加護、獣神の加護、馬女神の加護、神竜の加護、不死鳥の加護
妻:ルナ、ステラ、クレア
従魔:クレア(ユニコーン)、ステラ(バイコーン)、セルリア(ブルードラゴン)、エルミナ(フォールン・ペガサス)、???(フェニックス)
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【念話(遠隔可)】(アクティブ)
念話の上位スキル。一度念話を交わした対象と遠隔で念話が可能。

【スキル共有】(パッシブ、アクティブ)
契約主と従魔でパッシブスキルを共有する。また、お互いのアクティブスキルが、一日一回に限り使用可能となる。ただし、種族固有のスキルなど、使用できないものもある。

【不死鳥の加護】
・鳥系の魔物から好意を寄せられやすくなる。
・念話スキルが使用可能となる。
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念話が進化してる。これは、獣神の加護と不死鳥の加護が重なったからだろうか?というか、試したことなかったけど、普通の念話だと遠隔では無理だったんだな。
あと、スキル共有って凄い。おそらく、これが解放された獣神の加護の効果なのだろう。

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【獣神の加護】
加護による効果は、次の通り。
・ある程度以上知能のある動物や魔物(特に異性)から好意を寄せられやすくなる。
・翻訳スキルを得る。
・スキル共有スキルを得る。(解放の条件:5体以上の相手と主従契約を結ぶ)
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やはり、そうだった。
パッシブで共有されたのは、魅了耐性のみだ。これは、エルミナが持っている魅了のパッシブ部分ということだろう。
これは、皆のスキルも確認しておかないといけないな。

「ところで、いつまでくっついてるの?」
「ずっと。だって、ボクに魔力が注がれて気持ち良いんだもん。」
「あら?その鳥が言ってることがわかるわ。」
そうか。僕には違いがわからないが、皆に翻訳スキルが共有されたんだな。
「もっと小さくなって、肩にとまるとかできないの?」
「なるほど。それは良いね。」
フェニックスは、烏位の大きさになつて、僕の肩にとまった。
いい加減、名前着けないとな……。
「名前は、フェニ子で良い?」
「なにその『考える気ありません』みたいな名前。」
「これは、これで可愛いと思うけど……やっぱり、駄目だよね。ちょっと、待ってね。」
「可愛くないし……。」
できれば、色に絡めて……。
「ヴァミリオはどうかな?」
「それなら良いよ!」
「じゃあ、決まりね。」
「それで、いつお嫁にもらってくれるの?」
「なぜそうなる!って言うか、フェニックスって、子供作らないんじゃないの?」
「えっ?ユウマ、ボクとの子供が欲しいの?」
「だから、なぜそうなるの?」
「困ったな……。ボクまだ子供要らないし。」
「……。」
この鳥、全く人の話聞かないんだが……。そういえば、セルリアも人の話聞かなかったな。
神獣って、みんなこうなのか?

~~~
皆が待っている場所に戻り、ヴァミリオに皆を紹介した。
「で、これがフェニックスのヴァミリオ。皆、よろしくね。」
「よろしく!ドラゴンちゃんも、お久しぶり!」
「う、うむ。」
セルリアの反応が悪いな。
でも、原因は何となくわかった。セルリアは、ヴァミリオのことが苦手らしい。封印された所に行きたがらなかったのも頷ける。
属性の相性も悪いが、性格的にも合わなそうだもんな。
「とりあえず、今日は家に戻って、明日エルミナとヴァミリオの従魔登録しにギルドに行こうか。」

家に戻って、従魔となっている皆のステータスを確認した。

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名前:クレア
種族:ユニコーン
性別:♀
年齢:221歳
HP:5,200/5,200
MP:55,000/55,000
能力値:▼
スキル:光魔法、回復魔法、念話、MP消費防御、翻訳、魅了耐性
加護:神竜の加護
夫:ユウマ
契約主:ユウマ
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名前:ステラ
種族:バイコーン
性別:♀
年齢:217歳
HP:4,500/4,500
MP:46,000/46,000
能力値:▼
スキル:闇魔法、空間魔法、念話、MP消費防御、翻訳、魅了耐性
加護:神竜の加護
夫:ユウマ
契約主:ユウマ
================

================
名前:セルリア
種族:ブルードラゴン
性別:♀
年齢:1,999歳
HP 3,000,000/3,000,000
MP 1,820,000/3,500,000
能力値:▼
スキル:水魔法、氷魔法、ブレス(氷)、飛行、小型化、念話、MP消費防御、翻訳、魅了耐性
加護:獣神の加護
契約主:ユウマ
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================
名前:エルミナ
種族:フォールン・ペガサス
年齢:5歳
性別:♀
HP:2,000/2,000
MP:15,000/15,000
能力値:▼
スキル:浮遊、魅了、MP消費防御、翻訳
契約主:ユウマ
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名前:ヴァミリオ
種族:フェニックス
年齢:―
性別:♀
HP ―
MP 165,000/3,000,000
能力値:▼
スキル:炎魔法、蘇生、飛行、小型化、念話、MP消費防御、翻訳、魅了耐性
加護:獣神の加護
契約主:ユウマ
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僕のパッシブスキルが、皆に付いている。そのせいで、皆がチート化している気がする。
あと、エルミナから僕に共有された魅了耐性も、更に皆に共有されている。
パッシブスキルが多い従魔が増えたら、凄いことになりそうだ。

~~~
クレアとお風呂に入ろうとしたら、ヴァミリオが着いて来ようとした。
が、お湯に入ると聞いて、慌ててルナに飛び移った。
「ヴァミリオは、やっぱり水が駄目なの?」
「うん。水に濡れてもダメージは無いけど、根本的に受け付けないみたい。」
「あ、そうだ。ヴァミリオ、熱風みたいなのできる?攻撃じゃなくて、温かい程度で。」
「できるよ。温度調節も可能だし。」
「じゃあ、僕たちがお風呂から上がったら、やってみてくれない?」
「わかった。任せて!」

「クレア、改めてお疲れ様。」
お風呂に一緒に浸かりながら、僕はクレアに話し掛けた。
「ありがとう。でも、母が変なこと言ってごめんね。」
「いや。あれは僕のせいでもあるから。」
「そうね。マスター、エルミナに魅了掛けてもらったじゃない?」
「うん。変な感じだったね。」
「マスターは、常に周りに魅了を掛け続けている感じなんだと思うわ。」
「そうなの?」
「厳密には違うと思うけど、似たようなものだから、その辺は自覚した方が良いと思うわ。」
「そうだね。そうするよ。」

お風呂から上がり、ヴァミリオに熱風(というより温風)をお願いした。
ヴァミリオは、僕と同じ位の大きさになって、羽ばたいた。
「どう?」
「ちょうど良いよ。さすがヴァミリオ!」
「へへっ。」
どうやら、炎魔法で熱を起こして、翼で扇いでいるようだ。微妙だが、風魔法のスキルは無いから仕方ないな。
でも、効果はバッチリで、おかげでステラもすぐに乾いた。
初めて、ヴァミリオが役に立ったな。頭を撫でると、嬉しそうにしている。
でも、神獣にこんなことさせるのは、絶対間違ってるよね。

クレアと一緒に寝ようとすると、ヴァミリオも一緒に寝たいと言い出した。
「最初の日だし、今日だけは良いんじゃない。魔力回復も必要でしょうから。」
「クレアが良いんなら良いけど……。ヴァミリオ、クレアが良いと言っているから一緒に寝ても良いけど、大人しくしてね。」
「わかった。」
僕とクレアがベッドに入ると、ヴァミリオが僕と同じ位のまま、クレアとは反対側に入って来た。
挟まれて、暑いんだけど……。
ヴァミリオは、意外にもすぐ寝始めた。
「まだ、体力も魔力も回復していないからかな。」
「そうね。」
「クレア、ヴァミリオのことをどう思う。セルリアやステラは少し苦手にしてるみたいだけど。」
「ヴァミリオって、明るく振る舞っているけど、寂しいんじゃないかしら。」
「えっ?」
「だって、寿命ないんでしょ。私はまだ200年ちょっとだけど、それでも多くの別れを経験したわ。ヴァミリオは何年生きているかわからないけど、気が遠くなる程長い年数よね。これまで、どれだけ別れを経験しているのか……。」
「そうか……。長く生きるということは、良いことばかりじゃないよね。」
人は不老不死を求めたりするが、もしそれを手に入れる人がいたら、その人は幸せになるだろうか。
僕も上位種で長寿命らしいから、他人事ではないと思う。
「せっかく仲間になったんだから、仲良くしなくちゃね。まあ、そのうち馴染むわよ。」
「そうだね。考えても仕方ないか。じゃあ、おやすみ、クレア。」
「おやすみなさい。」
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