28 / 94
第2章 神獣の解放
23-フェニックス
しおりを挟む
「マスター。そろそろ離れた方が良いわよ。」
「えっ?」
お義母さんを見ると、目がトローンとしている。さっきまでの威厳はどこへ行ったのだろうか。
「ブヒヒーン♪」
お義母さんが、突然仰向けになって転がり始めた。しかも、翻訳が効かない声出してるし。
「お義母さん、どうしました?」
「お母さん、はしたないわよ!」
マタタビに酔った猫みたいになってるんだが。
もしかして、加護の効果のせいか?
「ユウマ~♪娘をもらっていくなら、私と次の子供を作らない?」
「お母さん、何バカなこと言ってるの!」
あ、クレアのキックが炸裂した。
「何するのよ、痛いわね!」
「お母さんがバカなこというからでしょ!」
痛いと言ってるが、ダメージは無さそうだな。でも、正気には戻ったようだ。
その後も、お義母さんからの子作りのお誘いが続いたが、丁重にお断りした。
まあ、本気ではないだろう。発情されたら、クレアの時みたいに、意識無くなってしまうだろうし。
「あ、そうだ。お義母さん、神獣について何かご存じないですか?」
「神獣?フェニックスなら、向こうの山の方に封印されたみたいだけど。」
お義母さんが向いた方を見ると、山が連なっている所が有った。あそこのことだろうか。今度は、朱雀ならぬフェニックスか……。
「お義母さん、その時のことをご存じなんですか?」
「詳しくは知らないけどね。この娘が生まれる前、異世界から大量の侵略者が来たらしく、こっちで最前線で戦ったのが、勇者とフェニックスらしい。私はここを守るのに必死で見てないんだが、それを見ていた魔物が言ってたよ。」
「そんなことが……。」
「フェニックスがなぜ勇者に協力したのかも、なぜ封印されたのかも知らないけどね。」
「ありがとうございました。」
「じゃあ、お母さん、行くわね。」
「ああ、いつでも遊びにおいで。ユウマも……。」
「ありがとうございます。」
「いつでも子作りしに来て。」
「遠慮します。」
~~~
クレアのお母さんの所を後にして、テレポートポイントに向かう途中、セルリアがクレアに話し掛けた。
「お前の母は強いな。そのうち、お手合わせ願うか。」
「母も喜ぶと思うわ。」
戦闘狂同士気が合いそうだな。というか、もしかしてセルリアはそんなことを考えながら、クレアとお母さんの戦いを見ていたのだろうか?
「師匠、これまでありがとうございました。」
「別にどうということはない。あまり、役に立たなかったしな。」
「うっ!私がまだまだ実力不足ということです。師匠、良かったら、これからもご指導ください。」
「ダメだ。それと師匠とかいう呼び方も、丁寧な口調もやめろ。」
「そんな!」
「そんなに痛め付けられたかったら、痛め付けてやる……仲間としてな。」
「し……セルリア、ありがとう。」
クレア、良かったな。しかし、クレア変な趣味に目覚めたのかな?
「違うと思うわよ。」
「えっ?」
久しぶりに、僕の心の声にルナがツッコんだ。
「恐らく、お義母さんは、最初からクレアを認めるつもりだったんだろうね。」
「えっ?どういうこと?」
「お義母さんは、クレアに止めをさすと言いつつ、壁だか結界だかを解除して僕がクレアを助けるように誘導した。そして、僕を罵ることで、クレアの本当の気持ちを引き出そうとしたんだと思う。」
「……。」
「それに、あの最後の魔法は強力だったけど、お母さんがいくら油断してたとしても、避けられないとは思えない。しかも、回復魔法を使えば反撃できただろうに、それもしなかった。」
「確かにそうね。あのときは、感情的になってて気付かなかったけど、お母さんがあの程度でやられる訳はないわよね。」
「でも、晴れて独り立ちを認めてもらえたし、良かったね。」
「そうね、マスターとも結婚できたしね。そうだ!早速、今夜どうかしら?」
「い、いや、今夜は魔力回復に専念した方が良いと思うよ。」
ちなみに、馬女神の加護の説明を改めて見たら、これまで閲覧不可だった3つ目の効果が見えるようになっていた。
================
【馬女神の加護】
馬または馬系魔物に対する加護による効果と、それ以外に対するそれとで異なり、それぞれ次の通り。
①馬または馬系魔物に対する効果
・馬または馬系魔物から敬われやすくなる。
・他種族を含め、他者から好意を寄せられやすくなる。
・(解放の条件を満たしていないため閲覧不可)
②それ以外に対する効果
・馬または馬系魔獣に好意を寄せられやすくなる。
・馬または馬系魔獣との間に子供ができやすくなる。
・MP共有(馬または馬系魔物限定)スキルを得る。(解放の条件:3体以上の馬または馬系魔物と結婚する)
================
~~~
テレポートポイントまで戻って来たところで、ふと気になったことがあり、エルミナに聞いてみた。
「エルミナが飼われてたのって、どっちの方?」
「あっちの方です。」
エルミナが顔を向けたのは、北西の方だった。あっちには、近付かないようにしよう。
「あ、そうだ。クレア、キュアは使える。」
「少し魔力回復したし、大丈夫だけど、どうしたの?」
「エルミナに魅了掛けてもらって、こういうスキルにMP防御が効くか試しておこうかと思って。僕の様子がおかしかったら、キュアを掛けてくれる?」
「また危険なことを……でも、面白そうね。わかったわ。」
「面白そうって……ちゃんとキュア掛けてよね。」
「はいはい。」
クレアのいい加減な返事にちょっと不安になるが、大丈夫だと信じよう。
「エルミナ、お願いできる?」
「使ったことないですが、やってみます。」
エルミナが魅了使ったようだけど、何も起きない。ステータスを確認してみよう。
================
名前:ユウマ
種族:ハイ・ヒューマン
性別:♂
年齢:35歳
状態異常:魅了
HP:1,200/1,200
MP:-
能力値:▼
スキル:▼
加護:▼
================
「マスター、どう?」
「魅了状態になってるみたいだけど、特に変化が感じられないかな?」
「既にエルミナに魅了されてるから、効果がわからないんじゃない?」
クレア、上手いこと言うな。
「そうかもね。あ、しまった。」
スキルのせいにして、あんなことやこんなことをするチャンスだったのでは?
「どうしたの?」
「い、いや、何でもない。」
「あなた、今変なこと考えたでしょ。」
「ソンナコトナイヨ。」
「私のスキルが未熟なんでしょうか?」
「エルミナ……。」
あれ?ちょっと頭がボーッとして来た。
体が勝手に動いて、エルミナを抱き締める。
「えっ、ユウマさん?」
「あなた?」
「これは、演技じゃなさそうね。」
「クレア、キュア掛けてあげてよ。」
「もう少し、様子を見ましょう。」
意識は有るけど、体が言うことを聞かない感じだな。このままでは、本当にあんなことやこんなことをしてしまう。
通常は、敵対している相手に使うのだから、相手が腑抜けになった状態で攻撃すれば良いわけだ。
「クレアさん、お願いします。」
「エルミナも満更でもなさそうだけど……まあ、仕方ないわね『キュア』。」
「あ、ありがとう、クレア。あれ?魅了解いてもらったのに、まだエルミナがすごく魅力的に見えるんだけど……。」
「もう!」
「うゎ!」
ルナが蹴りを入れてきた。ダメージは受けないけど……。
「ユウマさん、大丈夫ですか?」
「問題ないよ。エルミナ、変なことしてごめんね。」
「いえ、私は平気です。できれば、魅了されてない状態でやって欲しいですけど。」
「やっぱり、満更でもなかったんだ。」
「それにしても、なぜ急に効果が現れたんだろう。」
「今のタイミングだと、エルミナが話し掛けたのがきっかけみたいな気がするわね。」
クレアが見ていた感想を伝えてくれた。
「なるほど、そうかも知れない。とにかく、状態異常系のスキルは僕にも効果あることがわかったね。エルミナに敵意がないからかも知れないけど、注意するに越したことはないね。」
~~~
「ということで、フェニックスが封印されてる所に行ってみようか。ルナ、お願いするね。」
「どういうことでかはわからないけど、どうぞ。」
そう言ってルナが座ってくれた。『お願いする』と言っただけなのに、さすがルナは察しが良いな!
エルミナに神獣の話をしておこうかと思ったら、ちょうどステラがしてくれているところだった。ステラ、やっぱり気が利くな。
「えーっと、皆はどうする?ステラは、申し訳ないけど、テレポートお願いするから来てもらわないといけないけど。」
「私は残るわ。ちょっと疲れてるし。」
「確かに、クレアは疲れてるよね。じゃあ、エルミナと一緒に待っててね。」
「わかったわ。」
「我も待っておこう。」
「え?セルリアが残ってくれたら安心だけど、どうしたの?」
「ベ、別に何でもないぞ。」
なぜか、セルリアの様子が変だな。まあ、気にすることもないか。
ルナに乗せてもらい、クレアのお母さんが言ってた山の方に向かった。
「思い出した。この山の中腹だね。」
「例の記憶ってやつ?」
「うん。」
山道は長いこと人が通ってないため、かなり草が繁っていた。僕が乗ってるとルナが大変だろうから、降りて歩くことにした。
「ユウマ、アタシに乗って。こういう所は、力のあるアタシの方が進みやすいわ。
「そう?ありがとう。助かるよ。」
お言葉に甘え、ステラに乗せてもらってしばらく行くと、開けた場所に出た。
「ここだね。」
セルリアの時と同じように、中央にドーム状のものが有った。
ステラから降りて、中に入ってみた。
中には、繭のようなものが有った。セルリアの時より少し小さく、高さ3m強くらいだろうか。
透けて見える姿は神々しさを感じさせ、僕は言葉を失った。
「セルリアの時と、反応が随分違うわね。」
ルナ、空気読んでよね!まあ、事実ではあるけど……。
目の前の存在は、どちらかと言うと、近付きがたい雰囲気が有る。
どうせほとんど見えないけど、一応ステータス見ておくか。
================
種族:フェニックス
性別:―
年齢:―
状態異常:封印
HP:―
MP:―/―
能力値:(封印されているため、閲覧できません。)
スキル:(封印されているため、閲覧できません。)
================
================
【フェニックス】
神獣の一体。炎属性。
生命力の上限がなく、寿命はない。
基本ダメージを与えることはできないため、倒すにはMPを0にして気絶させるしかない。
神獣の中で、世代交代をしていない唯一の存在。
================
ほとんど見えないのは、予想通りだった。
しかし、生命力の上限がないとは、なんというチート。絶対敵対しちゃ駄目な相手だな。
そう思って見ていたら、フェニックスを目が合った。さっきまで、目は閉じていたと思うんだけど……。
セルリアの時も封印が解けた理由はわからないし、今回もヒントはない。
「あれ?」
なんか、フェニックスが徐々に輝いて来て、それと共に繭が薄らいでいっている。
戸惑ってると、フェニックスが目を開けたので、今度は本当に目が合った。
『キミが封印を解いてくれたの?』
「え?」
今の、フェニックスの念話なのか?話し方に違和感有るな。
「あなたが話し掛けたのですか?」
「そう、ボクが話し掛けたの。なんだ、言葉通じるんだ……って言うか、その丁寧な言葉やめてよ。」
ボクって言ったぞ。オスなのか?
================
種族:フェニックス
年齢:―
性別:♀
HP ―
MP 20,000/3,000,000
能力値:
力:A
体力:S
知力:SS
精神力:SS
素早さ:S
スキル:炎魔法、蘇生、飛行、小型化、念話
加護:獣神の加護
================
メスじゃん!まさかの、ボクっ娘?
見た目の神々しさとギャップが有り過ぎるんだが……。
「えっ?」
お義母さんを見ると、目がトローンとしている。さっきまでの威厳はどこへ行ったのだろうか。
「ブヒヒーン♪」
お義母さんが、突然仰向けになって転がり始めた。しかも、翻訳が効かない声出してるし。
「お義母さん、どうしました?」
「お母さん、はしたないわよ!」
マタタビに酔った猫みたいになってるんだが。
もしかして、加護の効果のせいか?
「ユウマ~♪娘をもらっていくなら、私と次の子供を作らない?」
「お母さん、何バカなこと言ってるの!」
あ、クレアのキックが炸裂した。
「何するのよ、痛いわね!」
「お母さんがバカなこというからでしょ!」
痛いと言ってるが、ダメージは無さそうだな。でも、正気には戻ったようだ。
その後も、お義母さんからの子作りのお誘いが続いたが、丁重にお断りした。
まあ、本気ではないだろう。発情されたら、クレアの時みたいに、意識無くなってしまうだろうし。
「あ、そうだ。お義母さん、神獣について何かご存じないですか?」
「神獣?フェニックスなら、向こうの山の方に封印されたみたいだけど。」
お義母さんが向いた方を見ると、山が連なっている所が有った。あそこのことだろうか。今度は、朱雀ならぬフェニックスか……。
「お義母さん、その時のことをご存じなんですか?」
「詳しくは知らないけどね。この娘が生まれる前、異世界から大量の侵略者が来たらしく、こっちで最前線で戦ったのが、勇者とフェニックスらしい。私はここを守るのに必死で見てないんだが、それを見ていた魔物が言ってたよ。」
「そんなことが……。」
「フェニックスがなぜ勇者に協力したのかも、なぜ封印されたのかも知らないけどね。」
「ありがとうございました。」
「じゃあ、お母さん、行くわね。」
「ああ、いつでも遊びにおいで。ユウマも……。」
「ありがとうございます。」
「いつでも子作りしに来て。」
「遠慮します。」
~~~
クレアのお母さんの所を後にして、テレポートポイントに向かう途中、セルリアがクレアに話し掛けた。
「お前の母は強いな。そのうち、お手合わせ願うか。」
「母も喜ぶと思うわ。」
戦闘狂同士気が合いそうだな。というか、もしかしてセルリアはそんなことを考えながら、クレアとお母さんの戦いを見ていたのだろうか?
「師匠、これまでありがとうございました。」
「別にどうということはない。あまり、役に立たなかったしな。」
「うっ!私がまだまだ実力不足ということです。師匠、良かったら、これからもご指導ください。」
「ダメだ。それと師匠とかいう呼び方も、丁寧な口調もやめろ。」
「そんな!」
「そんなに痛め付けられたかったら、痛め付けてやる……仲間としてな。」
「し……セルリア、ありがとう。」
クレア、良かったな。しかし、クレア変な趣味に目覚めたのかな?
「違うと思うわよ。」
「えっ?」
久しぶりに、僕の心の声にルナがツッコんだ。
「恐らく、お義母さんは、最初からクレアを認めるつもりだったんだろうね。」
「えっ?どういうこと?」
「お義母さんは、クレアに止めをさすと言いつつ、壁だか結界だかを解除して僕がクレアを助けるように誘導した。そして、僕を罵ることで、クレアの本当の気持ちを引き出そうとしたんだと思う。」
「……。」
「それに、あの最後の魔法は強力だったけど、お母さんがいくら油断してたとしても、避けられないとは思えない。しかも、回復魔法を使えば反撃できただろうに、それもしなかった。」
「確かにそうね。あのときは、感情的になってて気付かなかったけど、お母さんがあの程度でやられる訳はないわよね。」
「でも、晴れて独り立ちを認めてもらえたし、良かったね。」
「そうね、マスターとも結婚できたしね。そうだ!早速、今夜どうかしら?」
「い、いや、今夜は魔力回復に専念した方が良いと思うよ。」
ちなみに、馬女神の加護の説明を改めて見たら、これまで閲覧不可だった3つ目の効果が見えるようになっていた。
================
【馬女神の加護】
馬または馬系魔物に対する加護による効果と、それ以外に対するそれとで異なり、それぞれ次の通り。
①馬または馬系魔物に対する効果
・馬または馬系魔物から敬われやすくなる。
・他種族を含め、他者から好意を寄せられやすくなる。
・(解放の条件を満たしていないため閲覧不可)
②それ以外に対する効果
・馬または馬系魔獣に好意を寄せられやすくなる。
・馬または馬系魔獣との間に子供ができやすくなる。
・MP共有(馬または馬系魔物限定)スキルを得る。(解放の条件:3体以上の馬または馬系魔物と結婚する)
================
~~~
テレポートポイントまで戻って来たところで、ふと気になったことがあり、エルミナに聞いてみた。
「エルミナが飼われてたのって、どっちの方?」
「あっちの方です。」
エルミナが顔を向けたのは、北西の方だった。あっちには、近付かないようにしよう。
「あ、そうだ。クレア、キュアは使える。」
「少し魔力回復したし、大丈夫だけど、どうしたの?」
「エルミナに魅了掛けてもらって、こういうスキルにMP防御が効くか試しておこうかと思って。僕の様子がおかしかったら、キュアを掛けてくれる?」
「また危険なことを……でも、面白そうね。わかったわ。」
「面白そうって……ちゃんとキュア掛けてよね。」
「はいはい。」
クレアのいい加減な返事にちょっと不安になるが、大丈夫だと信じよう。
「エルミナ、お願いできる?」
「使ったことないですが、やってみます。」
エルミナが魅了使ったようだけど、何も起きない。ステータスを確認してみよう。
================
名前:ユウマ
種族:ハイ・ヒューマン
性別:♂
年齢:35歳
状態異常:魅了
HP:1,200/1,200
MP:-
能力値:▼
スキル:▼
加護:▼
================
「マスター、どう?」
「魅了状態になってるみたいだけど、特に変化が感じられないかな?」
「既にエルミナに魅了されてるから、効果がわからないんじゃない?」
クレア、上手いこと言うな。
「そうかもね。あ、しまった。」
スキルのせいにして、あんなことやこんなことをするチャンスだったのでは?
「どうしたの?」
「い、いや、何でもない。」
「あなた、今変なこと考えたでしょ。」
「ソンナコトナイヨ。」
「私のスキルが未熟なんでしょうか?」
「エルミナ……。」
あれ?ちょっと頭がボーッとして来た。
体が勝手に動いて、エルミナを抱き締める。
「えっ、ユウマさん?」
「あなた?」
「これは、演技じゃなさそうね。」
「クレア、キュア掛けてあげてよ。」
「もう少し、様子を見ましょう。」
意識は有るけど、体が言うことを聞かない感じだな。このままでは、本当にあんなことやこんなことをしてしまう。
通常は、敵対している相手に使うのだから、相手が腑抜けになった状態で攻撃すれば良いわけだ。
「クレアさん、お願いします。」
「エルミナも満更でもなさそうだけど……まあ、仕方ないわね『キュア』。」
「あ、ありがとう、クレア。あれ?魅了解いてもらったのに、まだエルミナがすごく魅力的に見えるんだけど……。」
「もう!」
「うゎ!」
ルナが蹴りを入れてきた。ダメージは受けないけど……。
「ユウマさん、大丈夫ですか?」
「問題ないよ。エルミナ、変なことしてごめんね。」
「いえ、私は平気です。できれば、魅了されてない状態でやって欲しいですけど。」
「やっぱり、満更でもなかったんだ。」
「それにしても、なぜ急に効果が現れたんだろう。」
「今のタイミングだと、エルミナが話し掛けたのがきっかけみたいな気がするわね。」
クレアが見ていた感想を伝えてくれた。
「なるほど、そうかも知れない。とにかく、状態異常系のスキルは僕にも効果あることがわかったね。エルミナに敵意がないからかも知れないけど、注意するに越したことはないね。」
~~~
「ということで、フェニックスが封印されてる所に行ってみようか。ルナ、お願いするね。」
「どういうことでかはわからないけど、どうぞ。」
そう言ってルナが座ってくれた。『お願いする』と言っただけなのに、さすがルナは察しが良いな!
エルミナに神獣の話をしておこうかと思ったら、ちょうどステラがしてくれているところだった。ステラ、やっぱり気が利くな。
「えーっと、皆はどうする?ステラは、申し訳ないけど、テレポートお願いするから来てもらわないといけないけど。」
「私は残るわ。ちょっと疲れてるし。」
「確かに、クレアは疲れてるよね。じゃあ、エルミナと一緒に待っててね。」
「わかったわ。」
「我も待っておこう。」
「え?セルリアが残ってくれたら安心だけど、どうしたの?」
「ベ、別に何でもないぞ。」
なぜか、セルリアの様子が変だな。まあ、気にすることもないか。
ルナに乗せてもらい、クレアのお母さんが言ってた山の方に向かった。
「思い出した。この山の中腹だね。」
「例の記憶ってやつ?」
「うん。」
山道は長いこと人が通ってないため、かなり草が繁っていた。僕が乗ってるとルナが大変だろうから、降りて歩くことにした。
「ユウマ、アタシに乗って。こういう所は、力のあるアタシの方が進みやすいわ。
「そう?ありがとう。助かるよ。」
お言葉に甘え、ステラに乗せてもらってしばらく行くと、開けた場所に出た。
「ここだね。」
セルリアの時と同じように、中央にドーム状のものが有った。
ステラから降りて、中に入ってみた。
中には、繭のようなものが有った。セルリアの時より少し小さく、高さ3m強くらいだろうか。
透けて見える姿は神々しさを感じさせ、僕は言葉を失った。
「セルリアの時と、反応が随分違うわね。」
ルナ、空気読んでよね!まあ、事実ではあるけど……。
目の前の存在は、どちらかと言うと、近付きがたい雰囲気が有る。
どうせほとんど見えないけど、一応ステータス見ておくか。
================
種族:フェニックス
性別:―
年齢:―
状態異常:封印
HP:―
MP:―/―
能力値:(封印されているため、閲覧できません。)
スキル:(封印されているため、閲覧できません。)
================
================
【フェニックス】
神獣の一体。炎属性。
生命力の上限がなく、寿命はない。
基本ダメージを与えることはできないため、倒すにはMPを0にして気絶させるしかない。
神獣の中で、世代交代をしていない唯一の存在。
================
ほとんど見えないのは、予想通りだった。
しかし、生命力の上限がないとは、なんというチート。絶対敵対しちゃ駄目な相手だな。
そう思って見ていたら、フェニックスを目が合った。さっきまで、目は閉じていたと思うんだけど……。
セルリアの時も封印が解けた理由はわからないし、今回もヒントはない。
「あれ?」
なんか、フェニックスが徐々に輝いて来て、それと共に繭が薄らいでいっている。
戸惑ってると、フェニックスが目を開けたので、今度は本当に目が合った。
『キミが封印を解いてくれたの?』
「え?」
今の、フェニックスの念話なのか?話し方に違和感有るな。
「あなたが話し掛けたのですか?」
「そう、ボクが話し掛けたの。なんだ、言葉通じるんだ……って言うか、その丁寧な言葉やめてよ。」
ボクって言ったぞ。オスなのか?
================
種族:フェニックス
年齢:―
性別:♀
HP ―
MP 20,000/3,000,000
能力値:
力:A
体力:S
知力:SS
精神力:SS
素早さ:S
スキル:炎魔法、蘇生、飛行、小型化、念話
加護:獣神の加護
================
メスじゃん!まさかの、ボクっ娘?
見た目の神々しさとギャップが有り過ぎるんだが……。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
異世界から来た馬
ひろうま
ファンタジー
ユウマの子であるアイリスは優秀な乗り手を求めて、家出を繰り返していた。
ある日、勇者送還の場に遭遇したアイリスは、それに乗じて現在日本に転移し、そこで一人の青年と出会う。
※本作品は、「異世界でも馬とともに」の続編になります。
※本作品は、某サイトで公開していた作品の転載となります(一部、言い回しの修正や加筆あり)。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい
桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています
美しいツノ
あずき
恋愛
ツノを持った人外に普通の女の子が愛されるお話です。
※このお話は、他サイトからの移動作品となります。
初心者の為、小説が読みづらい可能性がございますが温かい目で見ていただけると嬉しいです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる