異世界から来た馬

ひろうま

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第4章 深まる絆

第24話 エネルギースポット

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◆Side アイリス◆
その後、もう1度発情周期が回って来たが、残念ながらシメイの宿直タイミングと合わなかった。
それでも、前回より落ち着いていられたし、運動にも前回ほどあまり影響を与えなかったと思う。
もしかすると、シメイと関係を持ったからかも知れない。

なお、シメイは子供ができないか心配していたが、どうやらできていないようだ。
向こうでは、自分のステータスを閲覧して妊娠しているか簡単にわかったのだが、こっちではそれができない。
しかし、発情も来ているし、身体の状態も特に変化がない。
子供ができたら強い運動もさせてもらえないらしいし、何よりここの人達に迷惑が掛かってしまう。
そういう意味では良かったのだが、一方でちょっと残念な気持ちもあった。
これまで、子供が欲しなんて思ったことはなかった。
もちろん、自分がまだ、子供だったというのもあるのだろう。
まさか自分がこんな気持ちになる時が来るとは、思ってもみなかった。

◆Side 紫明◆
ゴールデンウィークは、乗馬クラブの稼ぎ時だ。
長期休暇の中では気候も良く、乗馬する人には良い季節だからだ。
ただ、旅行等別の行楽にも良いため、無茶苦茶人が多いという程ではない。
そのため、ゴールデンウィーク中でも、休みはもらえる。
僕はその休みを利用して、友人の箕島と会った。

「お久しぶり。今日は、申し訳ないね。」
「別に特にやる事もないし、問題ないよ。それより、ちゃんと話を聞かせてくれるかな。」
「実は……。」
僕は彼に全てを話した。
どこまで話して良いか迷ったのだが、彼を信頼して協力を依頼するからには、そうした方が良いと思ったからだ。

「凄いね……。」
僕の話を聞いて、彼は凄く嬉しそうだった。
「僕の話を信じるの?」
「ん?嘘だったのか?」
「いや。アイリスから聞いた話だし、本当という証拠はないけど、僕は本当だと思っている。実際、アイリスとはちゃんと会話できてるしね。」
「そうか……。で、聞きたいのは、魔力が高い場所の心当たりだと……。」
「うん。」
「まず考えられるのは、勇者の召還に使用された場所だけど、それはわからないんだよね?」
「そうだね。アイリスも知らなかったし。」
「魔力もエネルギーと考えると、いわゆるエネルギースポットかな?」
「パワースポットとか言われるヤツ?」
「そうそう。ただ、ああいう場所って、神社とか多いよね。」
「そうだね……。」
僕はそう返したが、実際にはそういうことについて全く知識がなかった。
「『神』と『魔』って、対極のイメージがあるよね。」
「確かに。神社で破魔矢とか売ってるしね。」
「お、破魔矢なんて正にそれを現してるな。さすが、紫明!」
「ど、どうも……。」
何となく思い付いただけで、何がさすがなのかわからないけど……。
「魔力と関係あるかどうかわからないけど、神社がないエネルギースポットでここから近いのは、○○高原かな?」
「えっ?あそこって、そういう所なの?」
知らなかった。
「そんなに有名ではないけどね。マニアの間では話題になってるみたいだよ。」
何のマニアか気になるけど、今はどうでも良いか。
それより……。
「今度、その高原で競技会があるんだよね。」
確か、まだその競技会のエントリーは締め切ってなかったはずだ。
僕は、ちょっと胸がドキドキするのを感じた。
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