26 / 26
第二章 ロウと一緒(現在)
二十六、お背中流しましょう
しおりを挟む
ロウが呪いにかかってるなんて……。つくづくこの世界は異世界なんだなと思った。
「呪い……なんか怖いね」
「うん。だからそれを解きたいって思ってるんだ」
「ちなみにその呪いってどんなの?」
「本来の力が大きく削がれる呪いなんだ」
「力が……」
力って腕力だけのことじゃないよね? きっと魔力とか足の速さとか、そういうのも本来よりも弱まってるってことなんだろうな。ロウ、大変じゃん……。
そう言えばロウの髪の毛や体のあちこちが、まだ血や土埃で汚れている。お風呂で体を洗ってあげたほうがいいかもしれない。
「ねえ、ロウ。一緒にお風呂に入るよ」
「えっ!? やっ、それはっ」
なんだかロウがすごく狼狽えている。恥ずかしがるロウが不思議で思わず首を傾げてしまった。
恥ずかしいのかな? こんなに幼い子と一緒にお風呂に入っても、私は別に恥ずかしくないんだけど。私なんて七才までお父さんと一緒にお風呂に入ってたのに。背中とかも汚れていそうだし、洗ったほうがいい。
「何遠慮してるの。いいから入ろう」
「駄目、恥ずかしいからっ」
「大丈夫。お母さんに洗ってもらってると思えばいいよ」
「ええっ!? ちょ、ちょっと!?」
悪あがきするロウを強引に洗面所へ連れていき、全身の衣服を剥いで包帯を外した。ロウは体の中心を両手で隠して真っ赤になっている。……ロウの尊厳を守るためにそこだけは自分で洗ってもらうことにしよう。
私も全部脱いで一緒に浴室に入った。ロウは思いっきり顔を背けている。浴槽にお湯を張りながらロウの体にシャワーをかける。
「ちゃんと足元を見ないと危ないよ。ほら、こっちを向いて」
「うう……」
タオルに石鹸を付けてよく泡立ててロウの体を擦る。やっぱり結構汚れているみたいだ。
ときどきお湯で泡を流しながら血の塊を取り除いていく。傷はもう残っていない。ちゃんと治ったようだ。
「バンザイして」
「いいっ。僕もう自分で洗えるからっ」
「そう? まあ背中はもう洗ったからいっか。それじゃ私は自分の体を洗うね」
「う、うん」
本当に恥ずかしいみたいで、ロウが真っ赤になって背中を向けてしまった。六才の男の子ってそんなだっけ? まだ余裕でお母さんとお風呂に入っていそうだけど。
最後に二人で浴槽に浸かっている間もロウは真っ赤になってずっと俯いていた。そんなロウを見て、ちょっと可哀想なことをしたかなと反省した。
お風呂からあがったあと、ロウの体をタオルで拭いてあげた。本来の色を取り戻したロウの鈍色の髪は艶々としてとても綺麗だ。風邪をひかないようにちゃんと拭かないと。
そしてロウに私のピンクのパジャマの上のシャツを着せることにした。ロウの小さな体では、私のシャツの裾が膝小僧の下の長さにまでなった。
(ロウの服も買いにいかないといけないな)
ロウの服は凄く汚れていた。汚れた服を洗濯籠に突っ込んだあとに、ロウを寝室へ連れていく。ベッドに横になったロウに布団を掛けながら話しかける。
「さあ、まだ体力は回復してないんだから、今日くらいはちゃんと横になってて。夕食はここに持ってくるから」
「僕もう結構元気なんだけどな……」
「体力が落ちてるときに無理をして風邪でも引いたら大変だよ。ゆっくり休みな」
「うん、分かった……ありがとう、ウメ」
横たわるロウの傍に座りながら考え込んでしまう。病気も怪我も軽んじたら絶対に駄目だ。どんなに元気に見えたってお母さんみたいに……。
頭によぎった懐かしい笑顔を振り払うように首を左右に振る。危ない危ない、うっかり弱気になってしまった。そんな私を見たロウが突然話しかけてきた。
「ねえ、ウメはこの国の生まれじゃないんだよね?」
「あ、うん」
「ウメはどこの国の人なの?」
別に隠すようなことでもないし、一緒に暮らすなら異世界の知識をいっぱい見せることになる。どうせ誤魔化しきれないだろうな。
うーん、何から話そうか……。
「うんと、私はね……」
私はベッドに横になったロウに向かって話し始めた。
=================
■お知らせ■
次回よりしばらくの間(おそらく年内)不定期更新とさせていただきます。
いつも楽しみご覧いただいている読者様、お待たせして申しわけありません。
「呪い……なんか怖いね」
「うん。だからそれを解きたいって思ってるんだ」
「ちなみにその呪いってどんなの?」
「本来の力が大きく削がれる呪いなんだ」
「力が……」
力って腕力だけのことじゃないよね? きっと魔力とか足の速さとか、そういうのも本来よりも弱まってるってことなんだろうな。ロウ、大変じゃん……。
そう言えばロウの髪の毛や体のあちこちが、まだ血や土埃で汚れている。お風呂で体を洗ってあげたほうがいいかもしれない。
「ねえ、ロウ。一緒にお風呂に入るよ」
「えっ!? やっ、それはっ」
なんだかロウがすごく狼狽えている。恥ずかしがるロウが不思議で思わず首を傾げてしまった。
恥ずかしいのかな? こんなに幼い子と一緒にお風呂に入っても、私は別に恥ずかしくないんだけど。私なんて七才までお父さんと一緒にお風呂に入ってたのに。背中とかも汚れていそうだし、洗ったほうがいい。
「何遠慮してるの。いいから入ろう」
「駄目、恥ずかしいからっ」
「大丈夫。お母さんに洗ってもらってると思えばいいよ」
「ええっ!? ちょ、ちょっと!?」
悪あがきするロウを強引に洗面所へ連れていき、全身の衣服を剥いで包帯を外した。ロウは体の中心を両手で隠して真っ赤になっている。……ロウの尊厳を守るためにそこだけは自分で洗ってもらうことにしよう。
私も全部脱いで一緒に浴室に入った。ロウは思いっきり顔を背けている。浴槽にお湯を張りながらロウの体にシャワーをかける。
「ちゃんと足元を見ないと危ないよ。ほら、こっちを向いて」
「うう……」
タオルに石鹸を付けてよく泡立ててロウの体を擦る。やっぱり結構汚れているみたいだ。
ときどきお湯で泡を流しながら血の塊を取り除いていく。傷はもう残っていない。ちゃんと治ったようだ。
「バンザイして」
「いいっ。僕もう自分で洗えるからっ」
「そう? まあ背中はもう洗ったからいっか。それじゃ私は自分の体を洗うね」
「う、うん」
本当に恥ずかしいみたいで、ロウが真っ赤になって背中を向けてしまった。六才の男の子ってそんなだっけ? まだ余裕でお母さんとお風呂に入っていそうだけど。
最後に二人で浴槽に浸かっている間もロウは真っ赤になってずっと俯いていた。そんなロウを見て、ちょっと可哀想なことをしたかなと反省した。
お風呂からあがったあと、ロウの体をタオルで拭いてあげた。本来の色を取り戻したロウの鈍色の髪は艶々としてとても綺麗だ。風邪をひかないようにちゃんと拭かないと。
そしてロウに私のピンクのパジャマの上のシャツを着せることにした。ロウの小さな体では、私のシャツの裾が膝小僧の下の長さにまでなった。
(ロウの服も買いにいかないといけないな)
ロウの服は凄く汚れていた。汚れた服を洗濯籠に突っ込んだあとに、ロウを寝室へ連れていく。ベッドに横になったロウに布団を掛けながら話しかける。
「さあ、まだ体力は回復してないんだから、今日くらいはちゃんと横になってて。夕食はここに持ってくるから」
「僕もう結構元気なんだけどな……」
「体力が落ちてるときに無理をして風邪でも引いたら大変だよ。ゆっくり休みな」
「うん、分かった……ありがとう、ウメ」
横たわるロウの傍に座りながら考え込んでしまう。病気も怪我も軽んじたら絶対に駄目だ。どんなに元気に見えたってお母さんみたいに……。
頭によぎった懐かしい笑顔を振り払うように首を左右に振る。危ない危ない、うっかり弱気になってしまった。そんな私を見たロウが突然話しかけてきた。
「ねえ、ウメはこの国の生まれじゃないんだよね?」
「あ、うん」
「ウメはどこの国の人なの?」
別に隠すようなことでもないし、一緒に暮らすなら異世界の知識をいっぱい見せることになる。どうせ誤魔化しきれないだろうな。
うーん、何から話そうか……。
「うんと、私はね……」
私はベッドに横になったロウに向かって話し始めた。
=================
■お知らせ■
次回よりしばらくの間(おそらく年内)不定期更新とさせていただきます。
いつも楽しみご覧いただいている読者様、お待たせして申しわけありません。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(6件)
あなたにおすすめの小説
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
感想ありがとうございます!
面白いと言っていただけて嬉しいです(´∇`)
カレーパン、美味しいですよね!
お待たせしてしまって申しわけありません。
時期を見て続きを再開しますので、今しばらくお待ちくださいませm(__)m
感想ありがとうございます!
ロウくんは大人びてますよね。
これは理由があるのですが追々明かされます。
ムーさんとの顔合わせ、楽しみですね。
可愛い×可愛い=最強です(´∇`)
感想ありがとうございます!
ムーさん、可愛いですよね。
ホットケーキミックスに混ぜてもできると思います、カボチャのパンケーキ。
すこーしだけ牛乳を足して堅さを調整してみてください。
魔法の冷蔵庫ほしいですね(´∇`)