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第一章 異世界に来ました(一年前)
十四、野菜たっぷりホワイトシチュー
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私は未だ欠伸が止まらないムーさんに晩ご飯のリクエストを聞いてみた。
「さて、晩ご飯何食べたい?」
するとムーさんは「うーん、うーん」と何度か首を捻ったあとに、ぱぁっと笑って答えた。
「ボク、朝食べたパンケーキ?みたいのがいい~。ボクのお野菜がい~っぱい入ってるの食べた~い」
「野菜たっぷり、ね……」
取りあえず主食がないのでパンを作る。例のごとく冷蔵庫からドライイーストを取り出した。出てきてよかったドライイースト。酵母のパンも美味しいけど、酵母は作るのも管理するのも大変なのだ。
小麦粉に水と塩とバター、そしてドライイーストを混ぜて捏ねる。台の上でこーねこーね折り曲げて伸ばしてまた折り曲げて……。十分に捏ね上がったところで一次発酵をする。
その間にメインディッシュの準備だ。野菜のいっぱい入った料理……。
「シチューを作ってみよう。魔法の畑は旬の野菜しか採れないってことだったけど、人参と玉ねぎは採れるかな」
私は畑に行ってみることにした。
「人参と、玉ねぎと、ジャガイモ……。よし、全部ある。よかったぁ。あ、ブロッコリーとカボチャも入れよう」
ムーさんグッジョブだ。人参、ジャガイモ、玉ねぎ。この三種類はわたし的三種の神器なのだ。年中使いたいのであるだけ収穫することにした。折角魔法のストッカーがあるのだから、一年分確保しておきたい。
調理場に戻ってストッカーに大量の神器を収納したあと、使う分だけを水で洗う。野菜を切ったあと、ベーコンを厚めに切って角切りにする。
火にかけたフライパンに有塩バターをたっぷり入れて溶かす。そこに玉ねぎを入れてさらに炒める。そしてベーコンを投入する。
「玉ねぎを炒めるときの匂いってお腹が空くんだよね。あー、白ワイン入れたかったな」
やっぱりいろいろと足りない。白ワインは欲しかった。炒めた玉ねぎとベーコンに、塩と胡椒と小麦粉を加えてさらに炒める。ドロドロが好きなので小麦粉は多めに入れておこう。均一に満遍なく小麦粉を混ぜるように少しずつ水を足す。とろみをつけるためだ。
「本当はコンソメスープがいいんだけど、ないものは仕方ない……」
均一に混ざったらジャガイモと人参とカボチャを加えて火が通るまで煮る。火が通ったら牛乳を加える。このときに味をみて調える。あとは弱火でコトコトと煮込むだけだ。
「ブロッコリーは別で茹でて最後に入れたほうがいいかな。すぐ煮えちゃうから」
それか少しあとで投入するかだ。ブロッコリーと人参とカボチャで赤緑黄。三色揃って見た目も綺麗だ。
――よし、野菜たっぷりあっつあつシチューの完成だ。
「あ、パンがまだだった……」
そろそろ一次発酵が終わったころだ。仕方がないのでシチューを魔法のストッカーに鍋ごと入れた。この魔法の木製の棚は熱々のものを熱々のまま保持できる。時間が経たないのだから当然といえば当然だ。
一次発酵したパン生地をガス抜きして分割して丸めてしばらく休ませる。休ませた生地を成形する。表面のグルテンの膜でくるむように優しく丸めるのがコツだ。長い楕円形に丸めてコッペパンにすることにした。成形したものをオーブンの天板に並べて二次発酵させる。発酵が終わったらあとは焼くだけだ。
「ここのオーブンは薪オーブンなんだよね。上手く温度調整できるかな……」
しばらく様子を見てからオーブンからパンを取り出した。少し焼きすぎてしまった。薪オーブン、難しい……。元の世界にあった電気オーブンと違って、扉が耐熱ガラスじゃないから中が見えないんだよね。
少し焦げたパンを食べる分だけバスケットに入れてテーブルに置いた。残りは魔法のストッカーだ。あとはシチューを皿に盛り付けてテーブルに運んだ。
「ムーさん、野菜たっぷりあつあつシチューできたよ!」
「わぁ、待ってましたぁ。お腹ペコペコだぁ」
「ごめんね、パン作りからだったから結構時間かかっちゃったね」
時間は九時を回ってしまっている。遅い晩ご飯になってしまったけど、コッペパンを大量に作ってたから仕方がない。
テーブルについてムーさんと向かい合わせに座った。
「さあ、召し上がれ」
「いただきま~す」
「熱いから気をつけてね」
私はスプーンで掬ってシチューを口に運んだ。流石にムーさんもスプーンを使って食べるようだ。
「はふはふ。ボクのお野菜おいひぃ~」
「……」
「どうしたのぉ?」
「味が足らない……」
「え~っ? 美味しいよ~?」
確かに野菜とベーコンの旨味は出ている。けどそれだけじゃ全く旨味が足りない。まあ予想はしてたけど……。一食分しか作らなくてよかった。
「やっぱりコンソメスープは必須だ……」
「こんそ、なに?」
「明日はコンソメスープの材料も買うことにする!」
「ふぅ~ん。美味しいけどな~」
――コンソメスープの材料、揃うかな……。そもそもこの世界にコンソメスープってあるのかな……。
私は激しく不安になった。
「さて、晩ご飯何食べたい?」
するとムーさんは「うーん、うーん」と何度か首を捻ったあとに、ぱぁっと笑って答えた。
「ボク、朝食べたパンケーキ?みたいのがいい~。ボクのお野菜がい~っぱい入ってるの食べた~い」
「野菜たっぷり、ね……」
取りあえず主食がないのでパンを作る。例のごとく冷蔵庫からドライイーストを取り出した。出てきてよかったドライイースト。酵母のパンも美味しいけど、酵母は作るのも管理するのも大変なのだ。
小麦粉に水と塩とバター、そしてドライイーストを混ぜて捏ねる。台の上でこーねこーね折り曲げて伸ばしてまた折り曲げて……。十分に捏ね上がったところで一次発酵をする。
その間にメインディッシュの準備だ。野菜のいっぱい入った料理……。
「シチューを作ってみよう。魔法の畑は旬の野菜しか採れないってことだったけど、人参と玉ねぎは採れるかな」
私は畑に行ってみることにした。
「人参と、玉ねぎと、ジャガイモ……。よし、全部ある。よかったぁ。あ、ブロッコリーとカボチャも入れよう」
ムーさんグッジョブだ。人参、ジャガイモ、玉ねぎ。この三種類はわたし的三種の神器なのだ。年中使いたいのであるだけ収穫することにした。折角魔法のストッカーがあるのだから、一年分確保しておきたい。
調理場に戻ってストッカーに大量の神器を収納したあと、使う分だけを水で洗う。野菜を切ったあと、ベーコンを厚めに切って角切りにする。
火にかけたフライパンに有塩バターをたっぷり入れて溶かす。そこに玉ねぎを入れてさらに炒める。そしてベーコンを投入する。
「玉ねぎを炒めるときの匂いってお腹が空くんだよね。あー、白ワイン入れたかったな」
やっぱりいろいろと足りない。白ワインは欲しかった。炒めた玉ねぎとベーコンに、塩と胡椒と小麦粉を加えてさらに炒める。ドロドロが好きなので小麦粉は多めに入れておこう。均一に満遍なく小麦粉を混ぜるように少しずつ水を足す。とろみをつけるためだ。
「本当はコンソメスープがいいんだけど、ないものは仕方ない……」
均一に混ざったらジャガイモと人参とカボチャを加えて火が通るまで煮る。火が通ったら牛乳を加える。このときに味をみて調える。あとは弱火でコトコトと煮込むだけだ。
「ブロッコリーは別で茹でて最後に入れたほうがいいかな。すぐ煮えちゃうから」
それか少しあとで投入するかだ。ブロッコリーと人参とカボチャで赤緑黄。三色揃って見た目も綺麗だ。
――よし、野菜たっぷりあっつあつシチューの完成だ。
「あ、パンがまだだった……」
そろそろ一次発酵が終わったころだ。仕方がないのでシチューを魔法のストッカーに鍋ごと入れた。この魔法の木製の棚は熱々のものを熱々のまま保持できる。時間が経たないのだから当然といえば当然だ。
一次発酵したパン生地をガス抜きして分割して丸めてしばらく休ませる。休ませた生地を成形する。表面のグルテンの膜でくるむように優しく丸めるのがコツだ。長い楕円形に丸めてコッペパンにすることにした。成形したものをオーブンの天板に並べて二次発酵させる。発酵が終わったらあとは焼くだけだ。
「ここのオーブンは薪オーブンなんだよね。上手く温度調整できるかな……」
しばらく様子を見てからオーブンからパンを取り出した。少し焼きすぎてしまった。薪オーブン、難しい……。元の世界にあった電気オーブンと違って、扉が耐熱ガラスじゃないから中が見えないんだよね。
少し焦げたパンを食べる分だけバスケットに入れてテーブルに置いた。残りは魔法のストッカーだ。あとはシチューを皿に盛り付けてテーブルに運んだ。
「ムーさん、野菜たっぷりあつあつシチューできたよ!」
「わぁ、待ってましたぁ。お腹ペコペコだぁ」
「ごめんね、パン作りからだったから結構時間かかっちゃったね」
時間は九時を回ってしまっている。遅い晩ご飯になってしまったけど、コッペパンを大量に作ってたから仕方がない。
テーブルについてムーさんと向かい合わせに座った。
「さあ、召し上がれ」
「いただきま~す」
「熱いから気をつけてね」
私はスプーンで掬ってシチューを口に運んだ。流石にムーさんもスプーンを使って食べるようだ。
「はふはふ。ボクのお野菜おいひぃ~」
「……」
「どうしたのぉ?」
「味が足らない……」
「え~っ? 美味しいよ~?」
確かに野菜とベーコンの旨味は出ている。けどそれだけじゃ全く旨味が足りない。まあ予想はしてたけど……。一食分しか作らなくてよかった。
「やっぱりコンソメスープは必須だ……」
「こんそ、なに?」
「明日はコンソメスープの材料も買うことにする!」
「ふぅ~ん。美味しいけどな~」
――コンソメスープの材料、揃うかな……。そもそもこの世界にコンソメスープってあるのかな……。
私は激しく不安になった。
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