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第七話「狙われた翼 後編」
第一章「惜別」・①
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◆第一章「惜別」
<ギュロロロロロロオオオオオッッ‼>
一際大きな咆哮が、口内に糸引く唾液を飛沫に変えて飛び散らせた。
慈愛に満ちた二色の眼差しは赤一色に染まり、その双眸にはもはや何も映してはいない。
「アレは・・・本当にティータなのか・・・?」
彼女が球体から飛び出して変身したところを見ていたにも関わらず、脳が必死に理解を拒んでいた。
あの異形が、聡明で優しい彼女の本性だとは認めたくなかった。
・・・それほどまでに、今のティータの姿は禍々しく・・・怖ろしい。
<クキキキ・・・ッ! クカカカカカ・・・ッ!>
対するザムルアトラは、残った三本の脚で不自由そうに回頭してティータの方を向くと、再び身体中の光球から紫の光を放ち始めた。
───またあの光線を撃つつもりだ!
「ティータ! 気をつけ──」
<ギュロロロロロロロロロオオオオッッ‼>
思わず口にしようとした注意が、叫び声に遮られる。
ティータは左腕の鎌を振り上げると、回り込む素振りすら見せず、真正面からザムルアトラへと急降下した。
『・・・どうやら、既に躱そうとする理性もないみたいだね』
あえて口にしなかった感想を、シルフィが呟いた。
余計に気が滅入るのを感じながらも、固唾を呑んでティータの様子を見守る。
<キキキキキキキキイイイィィィィィィ───ッッッッ‼>
耳障りな金属音が引き伸ばされると、クロに放ったのと同じ──
ザムルアトラの体高とほぼ同じ幅を持つ巨大なヴァイオレットの熱光線が、真っ直ぐに「獲物」を襲う。
「ティータッ‼」
駄目だ! 直撃する・・・!
目を背ける暇も与えられずに、ティータが焼き尽くされようとした、まさにその時───
<ロロロロロロロロオオッッッ‼>
叫びと共に振り下ろされた真っ赤な刃を持つ鎌が、光線を縦に両断したのである。
「なっ・・・⁉」
隣で静かに状況を見ていたカノンが、思わず驚愕したのがわかった。
「光線を・・・斬った・・・・・・?」
『・・・あの力は・・・・・・』
光の奔流が左右へと散っていき、ティータは止まる事なくそのまま突進していく。
奥の手をいとも簡単に真っ二つにされたザムルアトラは、一本だけになった前脚で地面を蹴りながら後脚のブースターを起動し、慌てて背中側へ飛んだ・・・が、しかし。
<ギュロロロロロロッ‼>
再び乱暴な弧を描いた紅の軌跡が、左腕の尖端を薙いで、削ぎ落とした。
<・・・・・・‼ クキキキキキィ・・・ッ‼>
既に、右腕はまるごと断ち斬られている。
攻撃の手段を次々に封じられ、鋼鉄の体の隙間から、悔しげに聞こえる駆動音が漏れた。
───もはや、どちらが狩られる側かは明白だった。
<カカカカカカカッッ‼>
飛び退きながら、ザムルアトラは体中から砲身を作り出して、無数の鉄球を放つ。
JAGDの戦艦を穴だらけにしたあの技だ。鎌では対処の難しい、「線」ではなく「面」の攻撃。
<ギュロロロロロ───ッ‼>
しかし、これは迂闊な選択だったようだ。
ティータの両眼が一層紅く光ると、鉄球の雨も同じ光に包まれる。
そして次の瞬間・・・紅色の礫が反転し、ザムルアトラへと殺到した。
<キキキキキィィ‼ クキイイィィイイィィイイイイッッ‼>
攻撃をそのまま返され、ザムルアトラの体が無数の鉄球に貫かれる。
ティータの光の影響なのか、鉄球を元通り吸収する事は出来なかったようだ。
「・・・・・・圧倒的だ・・・」
意図せずして、そんな言葉が漏れた。
穴の空いたチーズのように体を削られ、先の欠けた鋏を杖にして姿勢を保つザムルアトラの姿は、憎むべき敵のはずなのに・・・どこか痛々しくもある。
<ギュロロロロロロロロロオオオオッッ‼>
間髪入れず、ティータが叫びの尾を引きながら突進していく。
「力」以外の全てをかなぐり捨てた暴力の化身が、今まさに最後の一撃を食らわせようとしていた。
<クカカカ・・・クカカカカカカァッッ‼>
迫りくる死神の鎌を前にして、ザムルアトラの内部から一際大きな駆動音が漏れる。
すると──その鋼の体の各所が、まるで中の空気を抜かれた風船のように、べこべこと音を立てながらへこみ始めた。
・・・ティータからその正体が「機械生命体」であると聞かされているとはいえ、昆虫然としたシルエットが不自然に歪んでいく様は、違和感を通り越して恐怖すら覚える光景だ。
何か仕掛けてくるのか・・・? 思わず身を乗り出しそうになった、次の瞬間───
<キイイイイィィィィィイイイイイカカカカカカカッッ‼>
幾重もの鋼線が擦れ合う、耳障りな金属音が鳴り響き───
ザムルアトラの残った左腕が、鞭のようにしなりながら伸びたのである。
「なっ⁉」
さらに、尖端を欠いた鋏が刺又のように大きく開く。
地面すれすれを通過しながら襲いかかった左腕は、突進してくるティータの胴体を掠め取った。
『・・・成程。金属を取り込んだのとは逆に、自分に残った「体」を左腕に集中させて、体積を分配した・・・ってわけか』
シルフィが、眉をしかめながら呟く。
ティータは拘束から逃れようと空中で体を振り乱すが、ザムルアトラの動きの方が一手早い。
ザムルアトラがへこんだ体を投げ出すようにして大きく腕を振ると、ティータの巨体は弧を描いて──山の頂上に叩き付けられた。
「あぁっ⁉」
思わず声が漏れた直後・・・
この機を逃すはずもなく、ザムルアトラは伸ばしていた左腕を収縮させて自分の体に戻し、次は後脚に体積を集中、肥大化させる。
<キィィ・・・カカカカカッ‼>
またもや不気味な駆動音を響かせると、後脚を軸に体を仰け反らせ、上半身を空に向かって一直線に伸ばす──
すると次の瞬間、爆音を伴い後脚の底から白煙が吹き出て、鋼鉄の体が宙に浮き始めた。
縦に長いシルエットや浮き上がり方は、スペースシャトルを彷彿とさせる。
「アイツ・・・! 逃げるつもりかよッ‼」
カノンが追いかけるようにして身を乗り出して、球体の壁に阻まれる。
「クソッ! ・・・オイ‼ アタシを───」
振り返り、言いかけて・・・一際大きな音がした。
再び視線を向けると、既に追いかけるには遠いところまで噴煙が伸びているのが見えて、カノンは舌打ちする。
追い払えたと言うべきか、取り逃がしたと言うべきか・・・空を睨みつけたままのカノンに声をかけようとしたところで、ティータの呻くような声が聴こえた。
<・・・ギュロロロ・・・? ギュロロロロロロロオオオ・・・ッ‼>
山頂で仰向けになって倒れていた状態から、自前の超能力でふわりと浮き上がる。
そして、滞空したまま周囲を睨め付けるように見回し・・・
「獲物」に逃げられた事を悟ったのか、再び涎を撒き散らしながら大声で吼えた。
「ティータ! もういいんだ! もう終わったんだよ・・・!」
禍々しい姿になっていても、元の彼女の意識が残っていると・・・僕の声が聞こえていると信じて、ティータへ呼びかける。
すると、ピクリ、と機敏な動きで白磁の頭がこちらを向いた。
「・・・! 気づいてくれたん───」
<ギュロロロロロロロッッッ‼>
────あの瞳は、違う。
こちらへ向かってくる真っ赤な両瞳に宿るのは、ただただ純粋な殺意。
振り向くと、僕らのいる球体の後方に・・・白煙を立てながら伏したままのクロが、いた。
<ギュロロロロロロオオオオオッッ‼>
一際大きな咆哮が、口内に糸引く唾液を飛沫に変えて飛び散らせた。
慈愛に満ちた二色の眼差しは赤一色に染まり、その双眸にはもはや何も映してはいない。
「アレは・・・本当にティータなのか・・・?」
彼女が球体から飛び出して変身したところを見ていたにも関わらず、脳が必死に理解を拒んでいた。
あの異形が、聡明で優しい彼女の本性だとは認めたくなかった。
・・・それほどまでに、今のティータの姿は禍々しく・・・怖ろしい。
<クキキキ・・・ッ! クカカカカカ・・・ッ!>
対するザムルアトラは、残った三本の脚で不自由そうに回頭してティータの方を向くと、再び身体中の光球から紫の光を放ち始めた。
───またあの光線を撃つつもりだ!
「ティータ! 気をつけ──」
<ギュロロロロロロロロロオオオオッッ‼>
思わず口にしようとした注意が、叫び声に遮られる。
ティータは左腕の鎌を振り上げると、回り込む素振りすら見せず、真正面からザムルアトラへと急降下した。
『・・・どうやら、既に躱そうとする理性もないみたいだね』
あえて口にしなかった感想を、シルフィが呟いた。
余計に気が滅入るのを感じながらも、固唾を呑んでティータの様子を見守る。
<キキキキキキキキイイイィィィィィィ───ッッッッ‼>
耳障りな金属音が引き伸ばされると、クロに放ったのと同じ──
ザムルアトラの体高とほぼ同じ幅を持つ巨大なヴァイオレットの熱光線が、真っ直ぐに「獲物」を襲う。
「ティータッ‼」
駄目だ! 直撃する・・・!
目を背ける暇も与えられずに、ティータが焼き尽くされようとした、まさにその時───
<ロロロロロロロロオオッッッ‼>
叫びと共に振り下ろされた真っ赤な刃を持つ鎌が、光線を縦に両断したのである。
「なっ・・・⁉」
隣で静かに状況を見ていたカノンが、思わず驚愕したのがわかった。
「光線を・・・斬った・・・・・・?」
『・・・あの力は・・・・・・』
光の奔流が左右へと散っていき、ティータは止まる事なくそのまま突進していく。
奥の手をいとも簡単に真っ二つにされたザムルアトラは、一本だけになった前脚で地面を蹴りながら後脚のブースターを起動し、慌てて背中側へ飛んだ・・・が、しかし。
<ギュロロロロロロッ‼>
再び乱暴な弧を描いた紅の軌跡が、左腕の尖端を薙いで、削ぎ落とした。
<・・・・・・‼ クキキキキキィ・・・ッ‼>
既に、右腕はまるごと断ち斬られている。
攻撃の手段を次々に封じられ、鋼鉄の体の隙間から、悔しげに聞こえる駆動音が漏れた。
───もはや、どちらが狩られる側かは明白だった。
<カカカカカカカッッ‼>
飛び退きながら、ザムルアトラは体中から砲身を作り出して、無数の鉄球を放つ。
JAGDの戦艦を穴だらけにしたあの技だ。鎌では対処の難しい、「線」ではなく「面」の攻撃。
<ギュロロロロロ───ッ‼>
しかし、これは迂闊な選択だったようだ。
ティータの両眼が一層紅く光ると、鉄球の雨も同じ光に包まれる。
そして次の瞬間・・・紅色の礫が反転し、ザムルアトラへと殺到した。
<キキキキキィィ‼ クキイイィィイイィィイイイイッッ‼>
攻撃をそのまま返され、ザムルアトラの体が無数の鉄球に貫かれる。
ティータの光の影響なのか、鉄球を元通り吸収する事は出来なかったようだ。
「・・・・・・圧倒的だ・・・」
意図せずして、そんな言葉が漏れた。
穴の空いたチーズのように体を削られ、先の欠けた鋏を杖にして姿勢を保つザムルアトラの姿は、憎むべき敵のはずなのに・・・どこか痛々しくもある。
<ギュロロロロロロロロロオオオオッッ‼>
間髪入れず、ティータが叫びの尾を引きながら突進していく。
「力」以外の全てをかなぐり捨てた暴力の化身が、今まさに最後の一撃を食らわせようとしていた。
<クカカカ・・・クカカカカカカァッッ‼>
迫りくる死神の鎌を前にして、ザムルアトラの内部から一際大きな駆動音が漏れる。
すると──その鋼の体の各所が、まるで中の空気を抜かれた風船のように、べこべこと音を立てながらへこみ始めた。
・・・ティータからその正体が「機械生命体」であると聞かされているとはいえ、昆虫然としたシルエットが不自然に歪んでいく様は、違和感を通り越して恐怖すら覚える光景だ。
何か仕掛けてくるのか・・・? 思わず身を乗り出しそうになった、次の瞬間───
<キイイイイィィィィィイイイイイカカカカカカカッッ‼>
幾重もの鋼線が擦れ合う、耳障りな金属音が鳴り響き───
ザムルアトラの残った左腕が、鞭のようにしなりながら伸びたのである。
「なっ⁉」
さらに、尖端を欠いた鋏が刺又のように大きく開く。
地面すれすれを通過しながら襲いかかった左腕は、突進してくるティータの胴体を掠め取った。
『・・・成程。金属を取り込んだのとは逆に、自分に残った「体」を左腕に集中させて、体積を分配した・・・ってわけか』
シルフィが、眉をしかめながら呟く。
ティータは拘束から逃れようと空中で体を振り乱すが、ザムルアトラの動きの方が一手早い。
ザムルアトラがへこんだ体を投げ出すようにして大きく腕を振ると、ティータの巨体は弧を描いて──山の頂上に叩き付けられた。
「あぁっ⁉」
思わず声が漏れた直後・・・
この機を逃すはずもなく、ザムルアトラは伸ばしていた左腕を収縮させて自分の体に戻し、次は後脚に体積を集中、肥大化させる。
<キィィ・・・カカカカカッ‼>
またもや不気味な駆動音を響かせると、後脚を軸に体を仰け反らせ、上半身を空に向かって一直線に伸ばす──
すると次の瞬間、爆音を伴い後脚の底から白煙が吹き出て、鋼鉄の体が宙に浮き始めた。
縦に長いシルエットや浮き上がり方は、スペースシャトルを彷彿とさせる。
「アイツ・・・! 逃げるつもりかよッ‼」
カノンが追いかけるようにして身を乗り出して、球体の壁に阻まれる。
「クソッ! ・・・オイ‼ アタシを───」
振り返り、言いかけて・・・一際大きな音がした。
再び視線を向けると、既に追いかけるには遠いところまで噴煙が伸びているのが見えて、カノンは舌打ちする。
追い払えたと言うべきか、取り逃がしたと言うべきか・・・空を睨みつけたままのカノンに声をかけようとしたところで、ティータの呻くような声が聴こえた。
<・・・ギュロロロ・・・? ギュロロロロロロロオオオ・・・ッ‼>
山頂で仰向けになって倒れていた状態から、自前の超能力でふわりと浮き上がる。
そして、滞空したまま周囲を睨め付けるように見回し・・・
「獲物」に逃げられた事を悟ったのか、再び涎を撒き散らしながら大声で吼えた。
「ティータ! もういいんだ! もう終わったんだよ・・・!」
禍々しい姿になっていても、元の彼女の意識が残っていると・・・僕の声が聞こえていると信じて、ティータへ呼びかける。
すると、ピクリ、と機敏な動きで白磁の頭がこちらを向いた。
「・・・! 気づいてくれたん───」
<ギュロロロロロロロッッッ‼>
────あの瞳は、違う。
こちらへ向かってくる真っ赤な両瞳に宿るのは、ただただ純粋な殺意。
振り向くと、僕らのいる球体の後方に・・・白煙を立てながら伏したままのクロが、いた。
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