The Outer Myth(アウターミス) ~外円神話~

とちのとき

文字の大きさ
24 / 83
第一部 目覚めの少女と嘆きの神

18話 絆と縁3

しおりを挟む
 休憩中、先ほどの模擬戦で、自分たちと戦闘経験者との差を、散々思い知った生徒たちは、驚きや反省を述べていた。
 イナホ達第三班も似たような話をしているが、悠は集団とは一人距離を置き、明らかに不満そうな雰囲気で腕組みをして立っていた。その姿をちらっと見た百花は、憎らしそうな笑みを浮かべた。
 「ちょっといい気味。アイツが教官に投げられるとこ、もう一回見たいなぁ」
 悠の作戦に挑発的だった香南芽も話に乗ってくる。
 「ふふ、確かに。でも悔しいけど、うちらの連携や能力がもう少しあれば、あの作戦、結構いい線行ってたかもね。しかし、ももっちの蹴り・・・」
 「ももっち?ああ、アタシね!?うん、まさか、あんなに綺麗に入るとは思わなかったよ。二人にはあとで謝らなきゃ・・・。そー言えば、香南芽は隣のクラスだからお初だけど、イナホ達とは同じクラスなのに、まだあんまり喋ったことなかったよね」
 中の下らしい平凡な結果を出してしまった事を、少し気に病んでいたイナホは、笑顔を作って百花の方を向いた。
 「そうだったね。ツグミちゃんと斐瀬里ちゃんは、一年の時も同じクラスだったんだ。まだみんな知ってる顔同士で集まっちゃうよね。そうだ、百花ちゃん、さっきはありがとう」
 「ん?ああ、あの隊長さんの事ね。アタシ、昔からああいうの黙ってられなくてさ!だからお礼とか、別にいいって」

 イナホの隣で、先程からチラチラと何かを観察するようにしている斐瀬里の事を、香南芽は気に留める。
 「ひせりん、さっきからどうしたの?」
 「ひせりん!?わ、私のことだよね?いや、その、今日は豊受さんと八幡さんは、いつものスキンシップしないのかなぁって」
 イナホとツグミは、何のことだか分からず、首を傾げた。すると百花が、
 「二人って一緒に住んでるって聞いたけど、そーなの?ひせりん?」
 「ああ、もうその呼び方、定着したんだね・・・。お二人は遠い親戚らしいですよ。八幡さんの諸事情で居候してるとか。(ま、まさか、家ではもっとスゴイことを!?だから最近、学校ではあえてクールに・・・?)はわわぁぁぁ!」
 斐瀬里の妄想を誰も知る由もなく、その反応に香南芽が驚く。
 「ど、どうしたっ!?ひせりんっ!」

 そこに慶介と司もやって来る。
 「なんだか楽しそうだね」
 そう笑顔の慶介の横で、司は無言で立っている。百花は二人に気づくと、速攻で深々と頭を下げた。
 「さっきは申し訳ありませんでしたっ!特に、会心の一撃をお見舞いしてしまった司くん」
 司は気恥ずかしそうに、苦笑いしながら、
 「べ、別にいいって。防具のおかげで怪我とかも無かったし」
 慶介は自分の大きなお腹を叩きながら、
 「僕のお腹クッションも役に立っただろう?」
 「あはは・・・。確かにね」
 百花はため息混じりに、
 「それなら良かった、ほんとゴメン・・・」

 少し離れたところから、その様子を見ていた斐瀬里。
 「(おっとり大柄男子と照れ屋さん美少年・・・・。これもアリなのでは!?)ふぁっ!」
 「さっきからどうした!?ひせりんっ!」
 香南芽の斐瀬里を気に掛ける声と同時に、チャイムが休憩終了を告げ、今度は佐江崎教官が副教官を伴い、演習所に戻ってきた。
 佐江崎教官は後ろに手を組みながら、次の実習内容を述べる。
 「さて、知識や経験が無いとどうなるか、まして丸腰ではどのような結果になるか、先ほどの模擬戦で分かってもらえたかと思う。次は近衛隊通常兵装の、取り扱い訓練を行う。訓練用ではあるが、取り扱いを間違えれば、命に関わる。気を引き締めろ。己の身と、大切なものを守る力である、武器の扱いだ。その身に叩き込め。では、これから一斑二班は、ここで副教官から剣術訓練だ。三班四班はあっちで、私と射撃訓練だ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

処理中です...