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4・二人酒

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「ゴサイチはいつもどこで飲んでんだぁ?」
「酒は飲まないんで」
「何でぇ下戸かい?」
「嗜まないってことです」
私はあんまり酒何であっても飲まないんです。
美味しいと思った事がないって話なんですが、これ以上言う酒好きに怒られてしまいますね。
彼は酒好きでした。この話をすると案の定文句を言われてしまいました。
「一人で飲むからじゃねぇかな。まっ俺は一人でも楽しむけどな(笑)」
本当によく喋る。と思いましたよ。レイヤーじゃなくて芸人でもなればと思うくらいに。
その後適当な居酒屋に入り、生ビール大を片手にどんな馬鹿話するかと思ってたら自分のレイヤー論を話し始めました。
「レイヤーってのは良いよなぁ!いやヤラシイ意味じゃないぜ。そりゃあ露出の多いのとか最近多いけどよぉ。別に否定はしやしねぇ!喜ぶ奴もいるしやってるのだって嫌々やってる奴ばっかりじゃねぇ。そういう性癖だって立派なんもんよ、今の世の中に合わないだけでよ。人間関係が歪になるかもしれねぇが俺は隠す事じゃないと思うね!」
「自分から話す事でもないだろ」
冷んやりとした瓶ビールを透明のコップに注ぎながら私は答えます。
「そりゃあな!俺が言いてぇのは後ろめたさの話よ!自信を持てと!だってそうだろテメェの好きな事やって言って何が悪いよ!俺は隠さねぇ!見ろ!俺の立派な姿を!」
「あんたは少しは隠しなよ。うるさい」
「ひでぇなぁ友達に向かって」
「誰が友達だって?」
「同じ趣味、打ち上げしたら友達だろ?」
「そんな簡単に友達になれたらイジメや何やらはこの世にねぇよ」
「ゴサイチ友達作るの下手だろ」
「・・・ほっとけ」
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