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3・失礼距離感

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「何ですか?マナーのなってない人だ」
私はそう言いました。実際その通りですから。
「固い固いなぁ一人寂しそうにしてるように見えたからマナー違反までして接点作ったてのによぉ」
「そういうのは女の人に言ったら良いんじゃないんですか。男に言う事じゃない」
「いやぁアンタはそこらの露出狂レイヤーより魅力を感じたんだよ」
それこそ女の人にでも言いなさいと喉元まで出かかりましたが言いませんでした。言ってもどうせ聞きやしませんから。それはこの時の出会いから終わりまでその通りでした。
「終わったら暇かい?飯でも行かねぇかい」
「行きません。知らない人にはついて行ってはいけないんです」
「アハハッ!ユーモアセンスもあるじゃあねぇかぁ!」
こんなんで笑うのか、随分笑いの沸点の低いなんて思いました。
「じゃあな!他の所行ってまた来るわ!それまで帰るんじゃねぇぞ!」
そう一言残して私の返事も聞かずに彼は足早に消えて行きました。その後私がどうしたって?
そりゃあ帰りましたよ、待たずにね。私は善人でもお人好しでもじゃございません。
あんな得体の知れない男の事なんて待つわけがないじゃないですか。
夏コミが終了して帰り支度を済ませ、国際展示場駅に向かう途中でした。
「オイ!オイオイオイオイ!俺だよ!オイ!そこの~名前なんだっけ!?」
何だっけも何も名乗った覚えなんてありません。
「待っててくれって言ったじゃねぇの!つれねぇなぁ!」
よくこの人混みの中見つけられましたねって聞きましたら
「俺ぁ視力2よ!唯一の自慢よぉ!さぁ打ち上げ行こうぜ!」
「行きませんよ。名乗りすらしないで馴れ馴れしい。何ですかあんた」
「おぉそりゃあ済まねぇ。俺は前上一人ってんだ!まえがみひとびとな!そういうアンタは?」
「・・・・後祭市太郎。あんまり名乗りたくねぇんだ、古臭い名前だから」
私は自分の名前が嫌いでした。
この平成も終わるって時に市太郎なんて。何を思ってこの名前を付けたかは親にはもう聞けませんが。何か意味があるにせよ好きじゃございませんでした。
「ごさいいちたろうねぇ。じゃゴサイチで良いかい?」
「良いわけないでしょう。あんたは本当に失礼な人だね」
「まぁまぁ良いじゃねぇの。さ、飲もうぜ、ゴサイチ」
「・・・今私が突き飛ばせばあんたはミンチだよ」
「意外に過激だねぇ。怖い怖い(笑)」
そんな感じの出会いでございまして。
こんな不毛で私に対して失礼な会話をしながらこの前上一人に流され飲みに行く事になってしまった訳なんです。
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