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53話
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だからこそ感謝の気持ちを込めて精一杯サービスさせてもらうことにしたのだった。
料理が出てくるまでの間、私達は他愛もない話をしていたのだが、
その内容というのが実に下らないものばかりであった。
例えば、昨日見た魔法の話だったり、好きな音楽について語ったりなどである。
だが、不思議と話題は尽きず、いつまでも話していたいとさえ思えたほどだ。
それくらい楽しかったということであるのだろうと思う。
そうしているうちに料理が出てきたので食べることにする事にしたのだが、
これがまた絶品だったのである。
特にこのお店の看板メニューだというオムライスが非常に美味しかったのだ。
一口食べただけで虜になってしまいそうな味だった。
あまりの美味しさに夢中になって食べていると、
あっという間に平らげてしまったほどだった。
そんな私を見て、彼は微笑んでいたようだったが、
その視線すらも心地よかったのである。
「ごちそうさまでした、美味しかったです!」
私は満面の笑みでお礼を言った。
そうすると彼も嬉しそうな表情を浮かべながらこう言ったのだ。
「気に入ってくれたようで何よりだよ」
その言葉に胸がキュンとなった気がしたが、
気のせいだと思うことにして気持ちを切り替えた。
それからしばらく談笑した後、会計を済ませて店を出ることになったのだが、
その時になって初めて気づいたことがあったのである。
それは支払いのことである。
私が財布を取り出すよりも早く彼が支払ってしまったため、
何も言えずに終わってしまったのだった。
悔しいけどカッコいいと思ってしまったのは内緒の話である。
その後は街を散策することにしたのだが、
途中で気になるお店を見つけたので入ってみることにしたのだ。
そこはアクセサリーショップだったらしく、
様々な種類の商品が置かれていた。
どれも可愛くて目移りしてしまうほどだったが、
そんな中でも特に気になったものがあったため手に取ってみたところ、
なんとそれが彼の目に留まってしまったのだ。
そしてそのまま購入することになったのだが、
その際に店員さんからこんな言葉をかけられたのである。
「彼へのプレゼントですか?」
と聞かれた時には顔から火が出るかと思ったほどだ。
「そ、そんなんじゃありません!
ただ、ちょっと気になっただけで……」
慌てて否定する私だったが、彼はニヤニヤしながらこう言った。
「へえ、そうなんだ? じゃあ僕が買ってあげるよ」
そう言って私の手から商品を取り上げるとカウンターに向かって行ってしまったのだ。
(ああ……もう最悪だよ)
恥ずかしさのあまり死にたくなったが、
同時に嬉しさもあったため複雑な心境だった。
その後も色々と見て回ったのだが、
結局何も買わずに店を出ることになったのだった。
その後は街を散策していた時に見つけたお店に入ってみることにした。
そこはアンティークショップのようで、
古びた家具や小物が所狭しと並べられていた。
店内は薄暗くて不気味な雰囲気だったのだが、
不思議と居心地が良く感じられたため、つい長居してしまったのである。
そして気づいた時にはすっかり日も暮れてしまっていたので帰ることにしたのだが、
帰り際に店主らしき人物に話しかけられたのである。
なんでもこの店には不思議な噂があるらしく、
何でも願いを叶えてくれるというものらしいのだそうだ。
料理が出てくるまでの間、私達は他愛もない話をしていたのだが、
その内容というのが実に下らないものばかりであった。
例えば、昨日見た魔法の話だったり、好きな音楽について語ったりなどである。
だが、不思議と話題は尽きず、いつまでも話していたいとさえ思えたほどだ。
それくらい楽しかったということであるのだろうと思う。
そうしているうちに料理が出てきたので食べることにする事にしたのだが、
これがまた絶品だったのである。
特にこのお店の看板メニューだというオムライスが非常に美味しかったのだ。
一口食べただけで虜になってしまいそうな味だった。
あまりの美味しさに夢中になって食べていると、
あっという間に平らげてしまったほどだった。
そんな私を見て、彼は微笑んでいたようだったが、
その視線すらも心地よかったのである。
「ごちそうさまでした、美味しかったです!」
私は満面の笑みでお礼を言った。
そうすると彼も嬉しそうな表情を浮かべながらこう言ったのだ。
「気に入ってくれたようで何よりだよ」
その言葉に胸がキュンとなった気がしたが、
気のせいだと思うことにして気持ちを切り替えた。
それからしばらく談笑した後、会計を済ませて店を出ることになったのだが、
その時になって初めて気づいたことがあったのである。
それは支払いのことである。
私が財布を取り出すよりも早く彼が支払ってしまったため、
何も言えずに終わってしまったのだった。
悔しいけどカッコいいと思ってしまったのは内緒の話である。
その後は街を散策することにしたのだが、
途中で気になるお店を見つけたので入ってみることにしたのだ。
そこはアクセサリーショップだったらしく、
様々な種類の商品が置かれていた。
どれも可愛くて目移りしてしまうほどだったが、
そんな中でも特に気になったものがあったため手に取ってみたところ、
なんとそれが彼の目に留まってしまったのだ。
そしてそのまま購入することになったのだが、
その際に店員さんからこんな言葉をかけられたのである。
「彼へのプレゼントですか?」
と聞かれた時には顔から火が出るかと思ったほどだ。
「そ、そんなんじゃありません!
ただ、ちょっと気になっただけで……」
慌てて否定する私だったが、彼はニヤニヤしながらこう言った。
「へえ、そうなんだ? じゃあ僕が買ってあげるよ」
そう言って私の手から商品を取り上げるとカウンターに向かって行ってしまったのだ。
(ああ……もう最悪だよ)
恥ずかしさのあまり死にたくなったが、
同時に嬉しさもあったため複雑な心境だった。
その後も色々と見て回ったのだが、
結局何も買わずに店を出ることになったのだった。
その後は街を散策していた時に見つけたお店に入ってみることにした。
そこはアンティークショップのようで、
古びた家具や小物が所狭しと並べられていた。
店内は薄暗くて不気味な雰囲気だったのだが、
不思議と居心地が良く感じられたため、つい長居してしまったのである。
そして気づいた時にはすっかり日も暮れてしまっていたので帰ることにしたのだが、
帰り際に店主らしき人物に話しかけられたのである。
なんでもこの店には不思議な噂があるらしく、
何でも願いを叶えてくれるというものらしいのだそうだ。
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