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第二章

#06 ドルチェと愛玩動物

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    ドルチェ(dolce)は、イタリア語で甘い、甘美な、優しい、柔らかいの意味だ。
 また英語の「スイーツ」や日本語「甘味」と同じく、甘いもの全般をさしデザートの意味もある。
   複数形はドルチ(dolci)、これは楽しいことにイタリアの女性の褒め言葉になる。

 今日は僕のドルチェな「疑似恋愛」の話。
 僕の場合、所長関係の人脈を通じて、何人かの人間と仕事を離れた甘い関係を結ぶ事があるけれど、お互いの正体が見えているだけに何処までが本気なのか演技なのかが判然としない状況、つまり疑似恋愛に陥る事が多い。

 ・・・あっと、その話を書く前に、TバックとGストリングの差と、Gストリング着用の際のボディケアについてを少し書いておく。
(下着の入手先は新森欄にあるワケアリ総合アダルトショップ・ホルムアルデヒドだ。)
   これについては僕も最初は詳しくなかった。この好奇心の発動は例によって僕に取り憑いた千代さんのものだ。
 と同時に、Gストリングはこの話に登場する藤巻さんの大好きな(というより愛玩動物に着せて楽しむグッズって感じでだけど)下着でもある。

 Tバックはお尻の割れ目からお尻の穴まで隠れる。
 Gストリングはお尻の穴がやっと隠れる程度で姿勢によってはしわも見えてしまう。
 食い込み感はGストリングのほうがきつい。
 開放感はGストリングだし、他の人の反応もGストリングが注目度が高い。
 それにGは前の布も小さいので陰嚢後部や穴は丸見えになる。

 Tは時間たつとお尻が慣れてきてTであることを忘れてしまう時があるけれど、Gの鋭い食い込み感は時間が経っても消えない。
 そのきつさがM系モードの時にはピッタリなんだけどお尻の穴にはよくないかも。

    一時期このGストリングで色々試してみようと、普通のもの以外にポーチ型のヒモ無しGストリングを買って、後ろのヒモの代わりにラバーチューブできつく食い込ませて超Gで千代さんと楽しんでいたら、かなりヤバイことになった。
    さらに無理してエネマグラもやったらそれが悪化した記憶もある。
    さすがにその時には千代さんも反省していたようだ。

 その他(千代さんも研究熱心だなぁ)黒のGストリング水着も試してみた。
 バックがどんな感じなのか気にしてたのだが、実際はそれよりもフロントが問題だった...「マイクロ」というだけあってかなり小さいのだ。
  水着として隠すべきものは一応隠れるが、普通の状態では(一般の人)、毛はかなりの部分を剃らないとはみ出てしまう。

 僕自身の感覚だと、Gストを着用する場合、少なくとも局部(お尻の穴の周りを含み)の完全剃毛が基本ではないかと思っている。
  確かに凸凹していて見えにくい部分ではあるけれど、慌てずにゆっくり処理すれば済む。
 ムダ毛処理がどうしても嫌なら、(超)極小水着は、諦めた方がいい。
   これは千代さん関係なく僕の感覚で、千代さんなどは逆に敢えてムダ毛を見せるようにしたいという”向き”もあるような気がする。
    そこも母さんが千代さんを嫌う原因の一つなんだろう。

 千代さんは嫌がったけど、脱毛クリームも使ってみた。
    意外と簡単にツルツルになる。
 お尻の穴は全部付けると刺激が強いので慎重に穴の周りに塗り、数分じっとしてからシャワーで洗い流せばそれで終わり。
    鏡を見て苦労しながら剃刀をあてるより安全で(特に穴周りは)楽だ。


……………………

 藤巻さんの自宅に招かれての豪華な食事中、二人は一度もキスをしなかった。
    藤巻さんは食事を楽しむ一人だ。
 二人の服装は上はお揃いの色違いのサマーセーター、下はレギンスとスリムジーンズというパンツルック、まるで歳の近い姉妹のようだった。
    僕がオフの彼女のスタイルに寄せたのだ。

 そして話す内容もわざとお互いの個人的な事を避けているかのように、僕は探偵家業での如何にも新人らしい失敗談で藤巻さんを笑わせ、藤巻さんも彼女しか知らない業界での噂話で僕を喜ばせた。
『私?私は(感動を分けて貰えしまた)とか言う奴らは大嫌いなの。お前ら感情乞食か?っての』等の毒舌も楽しい。

 元は探偵だった藤巻さんが笑い転げながら何度か僕の太腿を叩いたくらいで、二人ともまるで次のラウンドに備えてエネルギーを温存しているかのようだった。

「とっても美味しかったです。」
「口に合ったみたいで良かったわ。シェフ付きの出張ディナーもいいものでしょ?。それにキャバルネも美味しかったわね。さあデザートにアイスクリームクリームは如何?デザートはさっき食べたばかりなんて言わないでね。ヴァニラか抹茶しかないけど。ここから先は買い置きだけど、良いのを揃えてあるよ。」
「どっちも好きです」
「じゃあ、半分ずつにしましょう」


 部屋を移動して、藤巻さんはどの部屋にもあるという冷蔵庫のフリーザーからアイスクリームクリームの丸い箱を二つ取り出し、ガラスの器に取り分ける。
 僕がリビングのコーヒーテーブルにガラスの器を二つ並べていると、トレイにワイングラスとワインボトルを載せて藤巻さんが入ってきた。

「次はシャルドネにしましょう」
「いいですね」
「じゃあ、座って」
 僕が先程と同じソファーに腰を降ろすと、藤巻さんはトレイをテーブルに置きしばらく僕を見つめていたが、「隣に座らせてね」と言うと、すぐ右側に腰を降ろした。

 新森欄でも、貫禄のある藤巻さんのレズ女王振りは有名だ。
 僕は特別な仕事設定がない限り、完全なMはやらないし、「男嫌い」でもある藤巻さんの触手が僕に伸びたのは不思議だった。

 藤巻さんはワイングラスをそれぞれの前に置くと、シャルドネのボトルを僕に渡した。
「これも開けてくれる?」
「もちろん」
 トレイの上のワイン・オープナーを取ると僕は真剣な眼差しでコルクにオープナーを突き刺さす。
 自慢じゃないが、今までこの作業を何度失敗してきた事か、僕の素は只の高校生にしか過ぎない。

「あなたのその顔好きよ」
「からかわないで下さいよ、麗華さん」
「本当よ」
 そう言われて僕が顔を上げると、藤巻さんは唇を近づけて来て、そして軽く僕の唇に合わせた。

「これで分かった?」
「ええ、分かりました、麗華さん」
 少し息を切らしながら僕は藤巻さんを見つめた。
「分かったらコルクを抜いて」
「はい、麗華さん」
 僕は再び真剣な顔になってオープナーを回し始める。

 藤巻さんはヴァニラのアイスクリームクリームを一匙すくうと、僕を見つめながら真っ赤な唇を開き、真っ白のアイスクリームクリームを口の中に入れ唇を閉じてしばらくスプーンを咥えている。

 そしてスプーンを抜くと真っ赤な唇を少し開き、ピンクの舌を出し唇の端に付いた白いアイスクリームクリームを舐めた。
    映画の一シーンの模倣なのに凄く様になっている。
「抜けました」
 僕は笑みを一杯に浮かべた顔を上げた。こっちはもう完全に藤巻さんに飲まれていて初な坊やにしか過ぎない。

「ありがとう、ヒア」
 藤巻さんがワイングラスに目をやると、僕は藤巻さんのグラスに、そして次に自分の前に置かれたグラスにシャルドネを注いだ。

「二人の今夜に、もう一度乾杯」
「はい」
 二人は軽くグラスを合わせると一口、シャルドネを啜り、グラスをテーブルに戻したままじっと見詰め合った。
   本当は蛇に睨まれた蛙だった。

    僕がゴクンとシャルドネを飲み込み藤巻さんは尚も僕を見つめている。
   そしてゆっくりと顔を近づけ、僕がそれに応えるように目を瞑って唇を半開きにすると閉じた唇を重ねて来た。
 そして僕の頭を抱くように後に倒すと唇を開いて口の中に溜めていたシャルドネを流し込んで来た。
 僕の喉がゴクンゴクンと鳴り、知らない内に両手が藤巻さんの背中を抱きしめていた。

   息が続かなくて「ムゥ」と僕が呻くと、藤巻さんがゆっくりと唇を離す。
「ハァー」と熱い息を吐きながら僕はゆっくりと目を開いた。

「こんな素敵なシャルドネは初めてです。」
「私もこんなことしたの初めてよ。不思議なの、あなたといると大胆になれるのよ、本当に男の子なの?男性相手にこんな事してるなんて、いつもの私じゃないみたい。」
「そんなぁ、でも、とっても素敵です、麗華さん」
 僕はそう言った後、ふとアイスクリームクリームを盛ったガラスの器に目をやった。
   "お代わり"が欲しかっのだ。

「じゃあ次はアイスクリームね」
「・・・」
 僕は何も言わずに藤巻さんを見つめた。
 藤巻さんは目で頷くと、手を伸ばしてスプーンに山盛りにヴァニラのアイスクリームクリームを載せ、大きく唇を開いて口の中に入れると、真っ赤な唇を閉じ僕を見つめながらスプーンを抜いた。

「アァ、麗華さん」
 僕は喘ぎながら頭を後に倒してソファーの背に載せ、目を瞑り唇を軽く開いた。女のコの真似は得意だ。
 藤巻さんはスプーンをガラスの器に戻し、目を閉じた僕に顔を近づけて来てゆっくりと唇を合わせた。

「ァア」
 僕が喘いだのを合図に藤巻さんが唇を開くと、唾液と混ざり合った溶けたアイスクリームクリームが流れ込む。
 僕の喉がゴクンと鳴り、再び僕の両手が藤巻さんの背中に回る。

「、、。」
 僕が喘ぐと、藤巻さんはアイスクリームクリームの絡まった冷たい舌を僕の熱い口の中に挿入してくる。

「ンムゥ」
 藤巻さんの背中に回っていた僕の左手が、彼女のサマーセーターの中に潜り込む。藤巻さんの右手も僕のサマーセーターをたくし上げてウエストの辺りを撫でさする。
 冷たかった藤巻さんの舌も、僕の熱い舌と抱擁を繰り返す間に熱を帯びてきて、いつしか二人は互いに相手の熱い舌を、そしてアイスクリームクリームが混じった甘い唾液を飲みあっていた。

「ふぅー」
 熱い息を吐きながら藤巻さんがやっと唇を離した。
「僕もアイスクリームみたいに溶けちゃいそう」
 放心した目つきで僕は喘ぐ。

「もっと蕩けさせてあげるわ。今度はシャルドネがいい?それとももう一度ヴァニラのアイスクリーム?抹茶もあるわよ?」
  「ァア、シャルドネで酔わせて下さい」
 藤巻さんは一旦立ち上がるとコーヒーテーブルを横にずらせ僕の足元に立ち、シャルドネのグラスを手にとって残りを全て口に含んだ。

 そしてグラスを置くと、僕の揃えた太腿を跨ぐようにソファーの上に膝立ちになり、そのまま身体を倒して半開きで待ち構えている僕の唇に重ねたのだ。

「ァア」
 僕が喘ぎ、藤巻さんの唇が開く。
 そして、僕の喉がゴクンゴクンゴクンと何度も鳴る間に、藤巻さんの両手はグリーンのサマーセーターをまくり上げ、先ほどから熱く火照っている乳房を掴んだ。

「んん」
 僕が呻きながら背中を反らして応えると、藤巻さんはさらにサマーセーターをたくし上げ、唇を離すとサマーセーターを一気に頭から抜いてしまう。

「アァ」
 小さく喘いだ僕が両手で乳房を覆い、じっと藤巻さんを見詰める。
「やっぱりブラはしてなかったのね、若いから形に自信があるんだぁ。」
 藤巻さんが落ち着いた様子で宣告するように言うと、僕は生意気にも黙って頷き返した。

「下半身はどうかしら?」
 藤巻さんはそう言うとソファーから降りて絨毯に正座し、僕の穿いているメタリックシルバーのレギンズの上端に両手をかけた。

「ァアア」
 喘ぎながら僕が左右にゆっくりと首を振りるが、藤巻さんは気にする風も無く、ずるずるとレギンズをずらし始める。
「まさかノーパンじゃないでしょうね?」
「ァア、違います」
 さらにレギンズをずらすと腰骨の辺りに巻きつくメタリックシルバーの紐が露わになった。

「マーベラスってやつね、レギンスとお揃いのメタリックのGストリング。」
「ァア」
 藤巻さんがさらにレギンズをずらそうとするので、脱がせやすいように僕は腰を浮かせ、さらに軽く太腿を開いた。

 すると藤巻さんは一気に足首までレギンズをずらし、それをそのまま足先から抜き取ってしまった。

「ァアア」
 銀色のハイヒールサンダルとメタリックシルバーのGストリングだけの姿になった僕は、再び太腿をピタリと閉じ、両手で乳房を覆ったまま上気した顔で藤巻さんを見つめた。

    もうただでは終われなかった…。



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