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エピローグ
心の悪魔は真夜中に呟く…
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数日後、彼の妻を喪主に彼の葬儀が行われた。過労による突然死だった。過労死認定を受ければ、お金がもらえるそうだが、妻はしないつもりでいた。主人との糸が断ち切れないような気がしたからだ。
彼の葬儀が終り49日も過ぎた。突然に亡くなると故人の遺品整理が大変だったが、それもやっと一段落ついた。
妻は、3駅先の人など誰も通らない、住宅街からはずれた小さな十字路の角にある小さな美容院にいた。この美容院を見つけたのは全くの偶然だった。
妻は3か月前の女子会の帰りに3駅寝過ごしてしまいこの駅に着いた。折り返しの電車まで30分ほど時間が空いたので、知らない駅の探検気分で少し歩いた。住宅街だがこの時間だと誰も歩いていない。コンビニもない。
いくつかちいさな角を曲がると、十字路の角に小さな古い美容院を見つけた。夜9時を過ぎているのにまだ店内の灯りが点いている。惹かれるようにその美容院に入った。それがこの美容院との出会いだった。店は髪がボサボサの50代くらいの細身の女性が一人で経営しているようだった。
この店へ来るのはその日以来3回目だ。髪型を変えたのはこの店へ来るようになってからだ。
今、時刻は夜中の2時を回っている。こんな時間に美容院が営業していることが不思議だ。
妻は椅子に座り、正面の鏡越しに後ろに立っている経営者に話しかけた。
「主人が死んだわ」
「ほら、あなたが望んだ通りになったでしょう…」
「ええ、飲んで寝過ごさなかったら、このお店とも出会わなかったでしょうから、運命を感じるわ…」
妻は嬉しそうに言いさらに続けた。
「主人が私の浮気に気づきはじめて困っていたから、助かったわ。離婚するにもこちらの不貞では慰謝料も請求されかねないし…」
「このお店は誰にでも見つけられる訳ではないのよ。人生で一度だけ消したいモノを消してくれる店。その強い思いがなければ、この店は見つけられない。そしてあなたはこの店を見つけ、望みを実行した。呪い殺すという方法で…あなたはもう、こちら側の人間になりつつあるのよ」
「ええ、わかっているわ」
「でもこの先、どうして食べていくのかしら?」
その質問に妻は妖艶な笑みを浮かべた…
「私、美容師の資格持っているのよ。このお店の支店を出させて頂こうかしら…」
そう言う、鏡に映る妻の口は大きく釣り上がり、目は狐目になり瞳孔は赤く大きく見開いていた。
「楽しみにしてるわね…」
妻は後ろを振り返えると、経営者と目を合わせ、普段と同じ顔に戻りニコリとほほ笑んだ。
エピローグ 完
彼の葬儀が終り49日も過ぎた。突然に亡くなると故人の遺品整理が大変だったが、それもやっと一段落ついた。
妻は、3駅先の人など誰も通らない、住宅街からはずれた小さな十字路の角にある小さな美容院にいた。この美容院を見つけたのは全くの偶然だった。
妻は3か月前の女子会の帰りに3駅寝過ごしてしまいこの駅に着いた。折り返しの電車まで30分ほど時間が空いたので、知らない駅の探検気分で少し歩いた。住宅街だがこの時間だと誰も歩いていない。コンビニもない。
いくつかちいさな角を曲がると、十字路の角に小さな古い美容院を見つけた。夜9時を過ぎているのにまだ店内の灯りが点いている。惹かれるようにその美容院に入った。それがこの美容院との出会いだった。店は髪がボサボサの50代くらいの細身の女性が一人で経営しているようだった。
この店へ来るのはその日以来3回目だ。髪型を変えたのはこの店へ来るようになってからだ。
今、時刻は夜中の2時を回っている。こんな時間に美容院が営業していることが不思議だ。
妻は椅子に座り、正面の鏡越しに後ろに立っている経営者に話しかけた。
「主人が死んだわ」
「ほら、あなたが望んだ通りになったでしょう…」
「ええ、飲んで寝過ごさなかったら、このお店とも出会わなかったでしょうから、運命を感じるわ…」
妻は嬉しそうに言いさらに続けた。
「主人が私の浮気に気づきはじめて困っていたから、助かったわ。離婚するにもこちらの不貞では慰謝料も請求されかねないし…」
「このお店は誰にでも見つけられる訳ではないのよ。人生で一度だけ消したいモノを消してくれる店。その強い思いがなければ、この店は見つけられない。そしてあなたはこの店を見つけ、望みを実行した。呪い殺すという方法で…あなたはもう、こちら側の人間になりつつあるのよ」
「ええ、わかっているわ」
「でもこの先、どうして食べていくのかしら?」
その質問に妻は妖艶な笑みを浮かべた…
「私、美容師の資格持っているのよ。このお店の支店を出させて頂こうかしら…」
そう言う、鏡に映る妻の口は大きく釣り上がり、目は狐目になり瞳孔は赤く大きく見開いていた。
「楽しみにしてるわね…」
妻は後ろを振り返えると、経営者と目を合わせ、普段と同じ顔に戻りニコリとほほ笑んだ。
エピローグ 完
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