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バシリアス ※BL
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咲路と茄遊矢は月が黄色く光るまで、星々が夜空に散りばめられ、βασιλιάςが緑色の光を放って浮遊するまで丘の上にいた。
「今夜は俺の小屋に泊まっていけ」
「いいんですか?」
「いい」
咲路が立ち上がると、茄遊矢も立ち上がる。咲路は何となく尋ねた。
「羅聖のどこが好きなんだ?」
「え!?」
「羅聖から聞いた」
「そ、それは……男らしいところですかね」
「……………………どこが?」
「え、いや。その、最初は多分一目惚れで。……他には、そうだな。俺が寂しいと思った時はいつも一緒にいてくれるんです。あの人なら心も読めちゃうから。優しいところもあるんだなって。いつも無理やりですけど」
「無理やり……」
「でもそれは全て実験の為にやった事です。何かに真剣に打ち込む姿もかっこよく見えたんです」
「俺は?」
「はい?」
「俺のどこがいい?」
「どこって……どう言う」
「俺の事は好きじゃないのか! 俺も一緒にいてやっただろ」
「え。す、好きではありますけど」
「ほんとか!」
「はい」
咲路は無理やり、無理やりじゃないぞ、と考えながら、すぐ傍にある茄遊矢の身体を抱き締める。
「さ、咲路さん!?」
「無理やりじゃない」
「はい?」
茄遊矢が顔を上げると、咲路は口づけを交わした。茄遊矢の目が見開かれる。驚きの声を上げた茄遊矢に気づかずに、咲路は顔を真っ赤にしながら茄遊矢の口の中に舌を入れる。茄遊矢は悲鳴を上げて咲路の身体を押しのけようとするが、力及ばずされるがままになる。
咲路が茄遊矢の唾液を飲み込んだ時だった。
咲路が苦しそうに呻き、茄遊矢を押しのける。彼はヒューッ……ヒューッ……と過呼吸を起こし、地面に膝と手をつき、土を引っ掻き、芝生を握りしめる。
「咲路さん!」
茄遊矢は咲路に駆け寄る。
咲路は苦しんだ後意識を失い、茄遊矢はどうすれば良いか分からず、すぐに羅聖を呼びに走った。咲路の事を担ごうとも考えたが重たくて運べなかったのだ。
駆けつけた羅聖と茄遊矢の処置により、咲路はベッドの上で無事通常の状態に戻った。屋敷の客室のベッドだ――客などめったに来ないのだが――まだ目を覚まさない咲路に、いずれ目を覚ますだろうと羅聖は言う。
「何があった」
「何がって……急に過呼吸を起こし始めて……」
「俺達にはβασιλιάςが浸透している。何か起きても大丈夫だ。咲路と何をしていた」
「え……」
「大体予想は付く。お前とキスをしたんだろう?」
「な、何で知って……!」
「予想だと言っただろう。茄遊矢の遺伝子はβασιλιάςを分解する事が研究で分かった。それを体内に取り込んで異常をきたしたんだ」
「そんな……」
「お前だけが異例だが、いつかお前のような人も現れるだろう。俺も咲路も知らなかったんだ。気にするな」
その時。咲路がゆっくりと目を開き、「じゃあ愛し合えないのか……」なんて呟く。茄遊矢はその言葉に真っ赤になる。
「俺はお前を愛してるんだ」
「兄さん趣味が悪いな。気色悪いと言っていたのに」
「それはお前に嫉妬してただけだ」
「ふぅん」
「何キレてんだよ」
羅聖は咲路の言葉に身体を硬直させる。
「キレてはいない……」
「キレてんだろ」
茄遊矢が二人の会話を理解出来ないでいると、羅聖に睨まれ、頭を叩かれる。
「何すんだ羅聖! 茄遊矢に謝れ!」
「うるせえ。ぼーっとしてるそいつが悪いだろ」
羅聖と別れた後、茄遊矢は咲路に「おやすみなさい」と挨拶をして部屋を出て行こうとした。それを咲路が引き留める。
「一緒に寝ないか」
「え?」
茄遊矢が怯むと、咲路は笑って答える。
「警戒するな。ただ隣で寝てほしいだけなんだ」
「は、はぁ……」
「それからもう敬語はいい。気を張ってると疲れるだろ」
「気を張ってるつもりはありませんけど……」
「いいから敬語を使うな!」
「わ、分かりま………………分か……た、よ」
咲路は口を押さえて、笑いそうになるのを必死に耐えている。茄遊矢はそれにムッとして、咲路のベッドの中に背を向けて潜った。次の瞬間、黙り込む咲路を不思議に思い寝返り寝返りを打って、咲路の顔を覗き込む。想像以上に近くにあった顔は真っ赤に染まっていて、茄遊矢は何だか気恥ずかしくなった。茄遊矢がもう一度寝返りを打とうとすると、咲路の手がそれを邪魔する。抱き締められ、首元に顔を埋められる。咲路は茄遊矢の首根に唇を押し付けながら眠りについた。茄遊矢は火照る身体を冷ますように毛布を捲り上げて眠った。
次の日の朝。羅聖は不機嫌そうにすやすやと一緒のベッドに抱き合って眠る茄遊矢と咲路を見ていた。羅聖は茄遊矢の顔に自分の顔を近づけ、心地よさそうな顔をして眠っている事実に顔を顰めた。
「お前は俺の事を愛してるんじゃなかったのか……」
そう恨めしそうに呟いて、茄遊矢の唇に自分の唇を重ねる。口づけをやめてからも寝顔を眺め殺気立つ。その殺気に反応したのか。目を覚ました茄遊矢は間近にある羅聖の顔を見て「ぎゃあああっ!?」と悲鳴を上げて飛び退いた。羅聖はその反応にも腹を立てる。
「実験してやる。来い」
「あの……朝ご飯は?」
咲路はまだ起きていない、それを言おうとしたら、羅聖に腕を取られる。
「俺が用意した。兄さんの分は作っていない。喧嘩中だからな」
「喧嘩中……」
「何だ」
「な、何でもないです」
羅聖は研究室に連れてくるなり、茄遊矢を台に押し倒し、口づけを交わす。茄遊矢は悲鳴を上げ、抵抗するが。
「何抵抗してんだ。お前は俺を愛してるんだろ」
「な、そんな事言われたって……!」
「黙れ」
いつものようにベルトで台に拘束される事はなく、羅聖の腕だけで拘束された。服を脱がされ、露出した肌に羅聖の舌が這う。……ここまではいつもされていた事だ。
しかし、今回はいつもとは違った。いつも口と口からβασιλιάςを注入するが、今回は別の方法2つで注入すると言うではないか。茄遊矢は乱暴なそれに泣きながら抵抗したが、羅聖の殺気に満ちたその行為は止められなかった。
「今夜は俺の小屋に泊まっていけ」
「いいんですか?」
「いい」
咲路が立ち上がると、茄遊矢も立ち上がる。咲路は何となく尋ねた。
「羅聖のどこが好きなんだ?」
「え!?」
「羅聖から聞いた」
「そ、それは……男らしいところですかね」
「……………………どこが?」
「え、いや。その、最初は多分一目惚れで。……他には、そうだな。俺が寂しいと思った時はいつも一緒にいてくれるんです。あの人なら心も読めちゃうから。優しいところもあるんだなって。いつも無理やりですけど」
「無理やり……」
「でもそれは全て実験の為にやった事です。何かに真剣に打ち込む姿もかっこよく見えたんです」
「俺は?」
「はい?」
「俺のどこがいい?」
「どこって……どう言う」
「俺の事は好きじゃないのか! 俺も一緒にいてやっただろ」
「え。す、好きではありますけど」
「ほんとか!」
「はい」
咲路は無理やり、無理やりじゃないぞ、と考えながら、すぐ傍にある茄遊矢の身体を抱き締める。
「さ、咲路さん!?」
「無理やりじゃない」
「はい?」
茄遊矢が顔を上げると、咲路は口づけを交わした。茄遊矢の目が見開かれる。驚きの声を上げた茄遊矢に気づかずに、咲路は顔を真っ赤にしながら茄遊矢の口の中に舌を入れる。茄遊矢は悲鳴を上げて咲路の身体を押しのけようとするが、力及ばずされるがままになる。
咲路が茄遊矢の唾液を飲み込んだ時だった。
咲路が苦しそうに呻き、茄遊矢を押しのける。彼はヒューッ……ヒューッ……と過呼吸を起こし、地面に膝と手をつき、土を引っ掻き、芝生を握りしめる。
「咲路さん!」
茄遊矢は咲路に駆け寄る。
咲路は苦しんだ後意識を失い、茄遊矢はどうすれば良いか分からず、すぐに羅聖を呼びに走った。咲路の事を担ごうとも考えたが重たくて運べなかったのだ。
駆けつけた羅聖と茄遊矢の処置により、咲路はベッドの上で無事通常の状態に戻った。屋敷の客室のベッドだ――客などめったに来ないのだが――まだ目を覚まさない咲路に、いずれ目を覚ますだろうと羅聖は言う。
「何があった」
「何がって……急に過呼吸を起こし始めて……」
「俺達にはβασιλιάςが浸透している。何か起きても大丈夫だ。咲路と何をしていた」
「え……」
「大体予想は付く。お前とキスをしたんだろう?」
「な、何で知って……!」
「予想だと言っただろう。茄遊矢の遺伝子はβασιλιάςを分解する事が研究で分かった。それを体内に取り込んで異常をきたしたんだ」
「そんな……」
「お前だけが異例だが、いつかお前のような人も現れるだろう。俺も咲路も知らなかったんだ。気にするな」
その時。咲路がゆっくりと目を開き、「じゃあ愛し合えないのか……」なんて呟く。茄遊矢はその言葉に真っ赤になる。
「俺はお前を愛してるんだ」
「兄さん趣味が悪いな。気色悪いと言っていたのに」
「それはお前に嫉妬してただけだ」
「ふぅん」
「何キレてんだよ」
羅聖は咲路の言葉に身体を硬直させる。
「キレてはいない……」
「キレてんだろ」
茄遊矢が二人の会話を理解出来ないでいると、羅聖に睨まれ、頭を叩かれる。
「何すんだ羅聖! 茄遊矢に謝れ!」
「うるせえ。ぼーっとしてるそいつが悪いだろ」
羅聖と別れた後、茄遊矢は咲路に「おやすみなさい」と挨拶をして部屋を出て行こうとした。それを咲路が引き留める。
「一緒に寝ないか」
「え?」
茄遊矢が怯むと、咲路は笑って答える。
「警戒するな。ただ隣で寝てほしいだけなんだ」
「は、はぁ……」
「それからもう敬語はいい。気を張ってると疲れるだろ」
「気を張ってるつもりはありませんけど……」
「いいから敬語を使うな!」
「わ、分かりま………………分か……た、よ」
咲路は口を押さえて、笑いそうになるのを必死に耐えている。茄遊矢はそれにムッとして、咲路のベッドの中に背を向けて潜った。次の瞬間、黙り込む咲路を不思議に思い寝返り寝返りを打って、咲路の顔を覗き込む。想像以上に近くにあった顔は真っ赤に染まっていて、茄遊矢は何だか気恥ずかしくなった。茄遊矢がもう一度寝返りを打とうとすると、咲路の手がそれを邪魔する。抱き締められ、首元に顔を埋められる。咲路は茄遊矢の首根に唇を押し付けながら眠りについた。茄遊矢は火照る身体を冷ますように毛布を捲り上げて眠った。
次の日の朝。羅聖は不機嫌そうにすやすやと一緒のベッドに抱き合って眠る茄遊矢と咲路を見ていた。羅聖は茄遊矢の顔に自分の顔を近づけ、心地よさそうな顔をして眠っている事実に顔を顰めた。
「お前は俺の事を愛してるんじゃなかったのか……」
そう恨めしそうに呟いて、茄遊矢の唇に自分の唇を重ねる。口づけをやめてからも寝顔を眺め殺気立つ。その殺気に反応したのか。目を覚ました茄遊矢は間近にある羅聖の顔を見て「ぎゃあああっ!?」と悲鳴を上げて飛び退いた。羅聖はその反応にも腹を立てる。
「実験してやる。来い」
「あの……朝ご飯は?」
咲路はまだ起きていない、それを言おうとしたら、羅聖に腕を取られる。
「俺が用意した。兄さんの分は作っていない。喧嘩中だからな」
「喧嘩中……」
「何だ」
「な、何でもないです」
羅聖は研究室に連れてくるなり、茄遊矢を台に押し倒し、口づけを交わす。茄遊矢は悲鳴を上げ、抵抗するが。
「何抵抗してんだ。お前は俺を愛してるんだろ」
「な、そんな事言われたって……!」
「黙れ」
いつものようにベルトで台に拘束される事はなく、羅聖の腕だけで拘束された。服を脱がされ、露出した肌に羅聖の舌が這う。……ここまではいつもされていた事だ。
しかし、今回はいつもとは違った。いつも口と口からβασιλιάςを注入するが、今回は別の方法2つで注入すると言うではないか。茄遊矢は乱暴なそれに泣きながら抵抗したが、羅聖の殺気に満ちたその行為は止められなかった。
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