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バシリアス ※BL
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次の日。
咲路の作った朝ごはんは茄遊矢にとって見た事も食べた事もないような料理ばかりだった。ウサギの丸焼きに、丸ごとフルーツに、ヤギの搾りたてミルク。
なぜ搾りたてか分かったかと言うと彼が屋敷の窓のすぐ外でヤギの乳を搾っていたからである。茄遊矢が目を見開きながらそれを見ていたら、「何見てる、野性的だとでも言いたいのか!」と怒鳴ってきて、茄遊矢は素直に「見た事がなかったから」と答えた。咲路はそんな茄遊矢にもヤギの乳を搾らせてくれた。
茄遊矢は新鮮なご飯は初めてだと咲路を褒め称え、咲路は照れながらもコホンと咳を吐き、「いいから食べろ」と言った。
「いただきます」
「いただきます……」
「あの、羅聖さんは?」
「羅聖は実験中。昨日取った君の体液で実験すると朝早く起きて自分の分を作って食べていた」
「いつの間に取ったんだ……」
茄遊矢はナイフを手に取っていたが、それを机に置いて、咲路がするようにウサギの肉にかじりついた。熱々の肉汁が出てきて茄遊矢は「あち、あち」と言いながら食べる。その様を見て咲路が爆笑する。嘲笑も含まれるそれに茄遊矢はむっとしたが、咲路は腹を抱えてひいひい言ったままだ。
「う、うまいか?」
「はい。おいしいです。こんなにあったかいご飯は初めてです」
「そんなに外の世界の飯はおいしくないのか?」
「俺にはおいしかったですよ」
「…………そうか」
不思議そうに見つめてくる咲路に思わず笑いかけたら、ぷいっと顔を背けられてしまう。まだ警戒心は解けないようだった。咲路はバクバクと早食いして「ご馳走様でした」と手を合わせてから席を立ち、羅聖の残した皿も一緒に洗ってさっさと出て行った。
誰かのいる食卓も素敵だったのにな、と茄遊矢が思い、寂しくご飯を食べていると、エレベーターのチンと言う到着の知らせが鳴り、扉が開いて羅聖がやって来た。
「いた……」
「え?」
「それ食い終わったら資料室の整理を頼む。ちゃんと番号はふってあるから……」
茄遊矢は羅聖が要件を言ったら帰ると思っていたのだが、彼は茄遊矢の向かいの席に座って茄遊矢の食べる様子をじっくりと眺め出した。
「あ、あの……」
「黙って食え」
何なんだこの人は。そんなに見られていて食えるか。
茄遊矢はあんまり口を開きたくなくなり、丸かじりしていた筈のウサギ肉をナイフで小さく切って食べた。
「……どうだ、兄さんの料理。ほとんど丸ごとだろ」
羅聖はそう言いつつも、優しく微笑む。
「新鮮でおいしいです」
「そりゃあんな腐りかけのもんばっか食べてたらな」
「あはは。外ではそれが普通なんですよ」
「帰りたいか?」
「え……」
「外に帰りたいか?」
「帰っていいんですか!」
茄遊矢が嬉しそうに問いかける。
「ダメに決まってんだろ」
このやろおおお……!!
威圧的に笑った羅聖は、茄遊矢がご飯を食べ終わると皿を洗い終わるのを待ち、地下の資料室へ案内した。
資料は多くはなく、むしろ少ないくらいだった。バシリアスについて知れるかもしれないと中を覗いてみると、ご飯の献立が乗っている。
「何だコレ……」
献立以外にはそのレシピが載っており、彼の研究の成果らしき紙の資料は数枚だけしかなかった。
「本当にあの人は研究者なのか……?」
資料が少ない分、片づけはスムーズに終わった。
時間はあると思い、数枚の紙の資料の内容を確認するが、難しい言葉ばかりで内容はいまいち分からなかった。ただ、その中に、支配、王、βασιλιάς、バシリアスと書かれているのを発見した。
「βασιλιάς……」
「ギリシャ語読めるのか?」
「うぎゃあああああああ!?」
突然掛けられた声に、茄遊矢は驚いて飛び跳ねる。
「あ、なんだ。カタカナの方を見たのか」
なんて驚いた本人を無視して続ける主人。羅聖は茄遊矢から資料を奪って、「懐かしいな。こんなのあったのか」なんて言っている。この人は皿を洗わない事と言い結構なずぼらだ。
「気になるのか? βασιλιάςの事」
「…………はい。教えてくれますか」
「誰が教えるか」
この野郎……。
思わず上げかけた拳を振るうのを我慢して震わせていると、羅聖はそれを見て笑った。
「冗談だ。教えてやる。ついて来い」
スッと見せられないんですか、スッと……。
茄遊矢は文句を言いたいのを我慢して彼の後について行った。到着したのは、地下の複数ある部屋の一つだ。扉を開かれた瞬間、眩い光が茄遊矢の目を襲った。茄遊矢は思わず翳した腕を下げて、恐る恐るその光の正体を確かめる。
6本のガラスのタンク入っていたのは色のついた光る液体だった。黄、緑、赤、青、無色、白の順番に並んでいる。
「こ、これは……」
その一つ、緑に近づいて茄遊矢は驚く。
「βασιλιάς……お前達の言うリョクリュウシと言う物質だ」
「粒子と言うよりは液体なんですね……」
「本当はもっと細かい。リョクリュウシは粒子と言う意味も持った名前は正しいな。βασιλιάςは軽いから、少しばかりくっついても空気中に浮く」
それがあのホタルの光のように見える原因か……。
「どうして町に溢れ出してしまったんですか?」
「当時作った俺が制御できなかったβασιλιάςを使って壁を強化したからだ。当時のβασιλιάςが使われている。今ならコントロールは可能だがあえてそうしている。兄さんが昔大勢の人を助けないのかと言ってきたからな」
「へぇ……」
咲路さんは人間嫌いだけど、優しい人なんだ……。
「じゃあ、他の色の粒子は何なんですか?」
「βασιλιάςもそうだが、ギリシャ語からカタカナで名前を付けている。本当はしっかりした発音だがいちいち発音とか気にしていたら面倒だから俺用にな」
「は、はぁ……」
そもそもどんな発音かも分からないんだけど……。
「これらの物質は資料には記していない。コントロールはできるが実用性がなくてな。一つ目、黄色は複製が可能だ。どんな物質でも作れる事から、錬金術師……Αλχημιστήςと名付けた」
羅聖は緑を飛ばし、赤色のタンクの前に立つ。
「二つ目は、再生。歌に反応し最も操りやすい事から、奏者、操者……Χειριστήςと名付けた」
青色のタンクの前にやってくる。
「四つ目、万物を分解する事が出来る、最も扱いにくい物質だ。破壊、死。魔王……Διάβολοςと名付けた」
白色と無色のタンクの真ん中にやって来て指さす。
「五つ目、吸収。何でも吸収する物質だ。吸収、呑み込む、食事……Γεύμαと名付けた。六つ目、ΔιάβολοςとΓεύμα以外の物質に滅びをもたらす物質。滅び、争い、祝宴……Γιορτήと名付けた」
最後に、緑色のタンクの前に立つ。
「七つ目。すべての物質を操る事の出来る物質だ。ΑλχημιστήςとΧειριστήςとΔιάβολοςを決めた比率で合わせたものだ。これら物質の全てにコントロールできるようイダと言う力を持たせている。それを操る事が出来るのがこの緑色の粒子だ。全ての物質の支配する、支配、王……βασιλιάς」
もう何が何だか分からないんですけど……。
「それぞれ力の含有率が違う。これらすべてを同じようにコントロールしようとすると、力の差が生まれるだろう」
茄遊矢がぼうっとしていると、羅聖に頭を撫でられた。
「難しかったか?」
「はい……壮大過ぎて」
「疲れたなら少し散歩して来い。壁の内側は初めてだろ?」
「はい」
咲路の作った朝ごはんは茄遊矢にとって見た事も食べた事もないような料理ばかりだった。ウサギの丸焼きに、丸ごとフルーツに、ヤギの搾りたてミルク。
なぜ搾りたてか分かったかと言うと彼が屋敷の窓のすぐ外でヤギの乳を搾っていたからである。茄遊矢が目を見開きながらそれを見ていたら、「何見てる、野性的だとでも言いたいのか!」と怒鳴ってきて、茄遊矢は素直に「見た事がなかったから」と答えた。咲路はそんな茄遊矢にもヤギの乳を搾らせてくれた。
茄遊矢は新鮮なご飯は初めてだと咲路を褒め称え、咲路は照れながらもコホンと咳を吐き、「いいから食べろ」と言った。
「いただきます」
「いただきます……」
「あの、羅聖さんは?」
「羅聖は実験中。昨日取った君の体液で実験すると朝早く起きて自分の分を作って食べていた」
「いつの間に取ったんだ……」
茄遊矢はナイフを手に取っていたが、それを机に置いて、咲路がするようにウサギの肉にかじりついた。熱々の肉汁が出てきて茄遊矢は「あち、あち」と言いながら食べる。その様を見て咲路が爆笑する。嘲笑も含まれるそれに茄遊矢はむっとしたが、咲路は腹を抱えてひいひい言ったままだ。
「う、うまいか?」
「はい。おいしいです。こんなにあったかいご飯は初めてです」
「そんなに外の世界の飯はおいしくないのか?」
「俺にはおいしかったですよ」
「…………そうか」
不思議そうに見つめてくる咲路に思わず笑いかけたら、ぷいっと顔を背けられてしまう。まだ警戒心は解けないようだった。咲路はバクバクと早食いして「ご馳走様でした」と手を合わせてから席を立ち、羅聖の残した皿も一緒に洗ってさっさと出て行った。
誰かのいる食卓も素敵だったのにな、と茄遊矢が思い、寂しくご飯を食べていると、エレベーターのチンと言う到着の知らせが鳴り、扉が開いて羅聖がやって来た。
「いた……」
「え?」
「それ食い終わったら資料室の整理を頼む。ちゃんと番号はふってあるから……」
茄遊矢は羅聖が要件を言ったら帰ると思っていたのだが、彼は茄遊矢の向かいの席に座って茄遊矢の食べる様子をじっくりと眺め出した。
「あ、あの……」
「黙って食え」
何なんだこの人は。そんなに見られていて食えるか。
茄遊矢はあんまり口を開きたくなくなり、丸かじりしていた筈のウサギ肉をナイフで小さく切って食べた。
「……どうだ、兄さんの料理。ほとんど丸ごとだろ」
羅聖はそう言いつつも、優しく微笑む。
「新鮮でおいしいです」
「そりゃあんな腐りかけのもんばっか食べてたらな」
「あはは。外ではそれが普通なんですよ」
「帰りたいか?」
「え……」
「外に帰りたいか?」
「帰っていいんですか!」
茄遊矢が嬉しそうに問いかける。
「ダメに決まってんだろ」
このやろおおお……!!
威圧的に笑った羅聖は、茄遊矢がご飯を食べ終わると皿を洗い終わるのを待ち、地下の資料室へ案内した。
資料は多くはなく、むしろ少ないくらいだった。バシリアスについて知れるかもしれないと中を覗いてみると、ご飯の献立が乗っている。
「何だコレ……」
献立以外にはそのレシピが載っており、彼の研究の成果らしき紙の資料は数枚だけしかなかった。
「本当にあの人は研究者なのか……?」
資料が少ない分、片づけはスムーズに終わった。
時間はあると思い、数枚の紙の資料の内容を確認するが、難しい言葉ばかりで内容はいまいち分からなかった。ただ、その中に、支配、王、βασιλιάς、バシリアスと書かれているのを発見した。
「βασιλιάς……」
「ギリシャ語読めるのか?」
「うぎゃあああああああ!?」
突然掛けられた声に、茄遊矢は驚いて飛び跳ねる。
「あ、なんだ。カタカナの方を見たのか」
なんて驚いた本人を無視して続ける主人。羅聖は茄遊矢から資料を奪って、「懐かしいな。こんなのあったのか」なんて言っている。この人は皿を洗わない事と言い結構なずぼらだ。
「気になるのか? βασιλιάςの事」
「…………はい。教えてくれますか」
「誰が教えるか」
この野郎……。
思わず上げかけた拳を振るうのを我慢して震わせていると、羅聖はそれを見て笑った。
「冗談だ。教えてやる。ついて来い」
スッと見せられないんですか、スッと……。
茄遊矢は文句を言いたいのを我慢して彼の後について行った。到着したのは、地下の複数ある部屋の一つだ。扉を開かれた瞬間、眩い光が茄遊矢の目を襲った。茄遊矢は思わず翳した腕を下げて、恐る恐るその光の正体を確かめる。
6本のガラスのタンク入っていたのは色のついた光る液体だった。黄、緑、赤、青、無色、白の順番に並んでいる。
「こ、これは……」
その一つ、緑に近づいて茄遊矢は驚く。
「βασιλιάς……お前達の言うリョクリュウシと言う物質だ」
「粒子と言うよりは液体なんですね……」
「本当はもっと細かい。リョクリュウシは粒子と言う意味も持った名前は正しいな。βασιλιάςは軽いから、少しばかりくっついても空気中に浮く」
それがあのホタルの光のように見える原因か……。
「どうして町に溢れ出してしまったんですか?」
「当時作った俺が制御できなかったβασιλιάςを使って壁を強化したからだ。当時のβασιλιάςが使われている。今ならコントロールは可能だがあえてそうしている。兄さんが昔大勢の人を助けないのかと言ってきたからな」
「へぇ……」
咲路さんは人間嫌いだけど、優しい人なんだ……。
「じゃあ、他の色の粒子は何なんですか?」
「βασιλιάςもそうだが、ギリシャ語からカタカナで名前を付けている。本当はしっかりした発音だがいちいち発音とか気にしていたら面倒だから俺用にな」
「は、はぁ……」
そもそもどんな発音かも分からないんだけど……。
「これらの物質は資料には記していない。コントロールはできるが実用性がなくてな。一つ目、黄色は複製が可能だ。どんな物質でも作れる事から、錬金術師……Αλχημιστήςと名付けた」
羅聖は緑を飛ばし、赤色のタンクの前に立つ。
「二つ目は、再生。歌に反応し最も操りやすい事から、奏者、操者……Χειριστήςと名付けた」
青色のタンクの前にやってくる。
「四つ目、万物を分解する事が出来る、最も扱いにくい物質だ。破壊、死。魔王……Διάβολοςと名付けた」
白色と無色のタンクの真ん中にやって来て指さす。
「五つ目、吸収。何でも吸収する物質だ。吸収、呑み込む、食事……Γεύμαと名付けた。六つ目、ΔιάβολοςとΓεύμα以外の物質に滅びをもたらす物質。滅び、争い、祝宴……Γιορτήと名付けた」
最後に、緑色のタンクの前に立つ。
「七つ目。すべての物質を操る事の出来る物質だ。ΑλχημιστήςとΧειριστήςとΔιάβολοςを決めた比率で合わせたものだ。これら物質の全てにコントロールできるようイダと言う力を持たせている。それを操る事が出来るのがこの緑色の粒子だ。全ての物質の支配する、支配、王……βασιλιάς」
もう何が何だか分からないんですけど……。
「それぞれ力の含有率が違う。これらすべてを同じようにコントロールしようとすると、力の差が生まれるだろう」
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