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第一章
2話 ④シリアょん
しおりを挟む通知オフにするのやめようかな。
翌朝、そう言えば通知見てなかったと通知を確認したらこれである。
《おめでとうございます! ジュレア・ダイズとの親密度が10%になりました!》
《おめでとうございます! ジュレア・ダイズとの好感度が20%になりました!》
《おめでとうございます! コゴ・バリタカとの親密度が10%になりました!》
《おめでとうございます! コゴ・バリタカとの親密度が20%になりました!》
《おめでとうございます! コゴ・バリタカとの好感度が10%になりました!》
あいつら少し話しただけでこんだけ上がるってことは、毎回話す度にいつか100%になるんじゃ……親密度はまだいいとして好感度100%になったらどうなるんだ……?
「お、おはようリリアくん。早く準備しないと遅刻するよ」
「お前は早いな」
そう言えば昨日も朝早くから荷ほどきしてたって言ってたっけ。ついでに言うともう昨日の時点で荷ほどきは終わっている。俺の分まで。何持ってきたっけって見てみたら、数枚の写真がはっつけられたスカスカのアルバム一冊と、小等部中等部の頃使っていた教材だけだった。後はこの世界のヴォンヴァート(過去の俺)が大事にしているクマのぬいぐるみ……。恥っずかしい!! これをサイフェンに見られたとか恥っずかしい!
昨日の晩はそのぬいぐるみを窓から投げ捨てようとして止められたっけ。
その件を盾にサイフェンには、昨日の晩からリリアと呼ばれている。なぜそう呼びたいんだと尋ねたら「仲良しっぽいから」と言われてしまった。呼ばれたら不機嫌になるのにどこが仲良しなんだどこが。
着替えを済ませてサイフェンとともに食堂へ行くと、「あ」と言う声がした。無視無視。
「リリアちゅあんどうして無視――ぶへっ♡♡♡」
ぶへっ♡♡♡?
殴ったのにどうして嬉しそうなんだ?
「リリアって呼ぶな」
コゴの後ろにはジュレアがおり、席に着きながら「ししょ~!」と手を振ってくる。
「リリアくん、あっちの席空いてるよ!」
そう言ったサイフェンとコゴの視線がバチッと合う。
「あっれぇ? どうしてサイフェンくんがリリアちゃんのことリリアって呼んでるのかなぁ?」
「そんなの決まってるじゃないか。仲良しだからだよ? ね!」
「え……おう」
笑顔の圧がすごかった気がしたが気のせいか?
「ずるい! 俺のことは殴るのに……!♡♡♡」
だからなんで嬉しそうなんだ?
「クソ師匠! こっちの席空いてるぜ! 俺の隣! 飯も準備しといたから来いよ!」
なんで師匠にクソ付けてんだコイツは……相変わらず口が悪い。
「まあ席が用意されてるのは良いか」
「え⁉︎ リリアくん⁉︎」
ああ、そう言えばこいつらの分の席ないじゃんここ。
「あー……サイフェンくん、君は他のクラスメイトとも仲良くなった方がいい」
「えええ⁉︎」
「そしてコッコーお前はサイフェンと食ってやれ。以上」
「えええ~……じゃあ叩いて」
「は?」
「うん。叩いて」
「変態か?」
「そんなわけないじゃ~ん、リ・リ・ア・ちゃん♡ ――おぐえッ♡」
ぶっ叩いてやれば、コッコーはサイフェンと肩を組み去っていった。サイフェンが珍しくいっやそう~な顔をしていたのが印象的だった。
「ってあれ? アイちゃんじゃん!」
ジュレアの隣の席に着こうとすれば、一部始終を見ていたらしいアインがそこにいた。その隣には静かに飯を食っているザイドがいる。前は壁だから誰もいない。
は~……朝からご飯もぐもぐしてるアイちゃん見れるとか、癒される~……。
「師匠! ほら口開けろ!」
「は?」
いつの間にか箸を取られており、左横から俺の飯を掬ったらしい箸が迫ってくる。
「あの……何してんの?」
「見れば分かんだろ、口開けろ」
「ああ、お前俺の下僕になったんだっけ?」
「下僕じゃねえ弟子だ!」
「下僕だろどう見ても……」
昨日の夜ご飯で分かったことなんだが……吸血鬼だから食えねえんだよな、飯……。それを知らないジュレアは睨み付けながらも差し出してくる。ジュレアは自分の分を食べ終えているらしい、早起きだなと思ったらコイツまさかこれのためにスタンバイしてたのか? ジュレアが口を開ける度にご飯を入れようとしてくるのでアインと話せない。残念だ……。
だが眺めることだけはやめない。ぎこちなくなってはいるが、そんなアインも可愛い。
アインの向こう側にいるザイドは不機嫌そうな顔で、その顔がちらつく度ゲロ出しそうになったけど我慢だ。
アインをどうにかしてザイドから奪えないだろうか。
って俺どんだけアインのこと気に入ってるんだ……。前世で言う推しになりつつあるのか? って言うかなんか左側から黒いオーラ出てない? 俺何かした?
仕方なく視線をジュレアに戻すと、眉間に皺を寄せて目を吊り上げていて、なんかいたたまれない。
「あ~……お腹空いてないからやる……」
「ありがとう師匠! 残さず食べるから安心しろよな!」
「アイちゃん一緒に学校行こうぜ」
必死に俺の残したご飯を口にかき込んでいたジュレアはむせた。
「えっと、俺ザイドと一緒に行くから……ごめんな」
「じゃあウザイドくんも一緒に行くか」
ギロッと無言で睨み付けられる。
「なんでテメエと一緒に行かなきゃなんねえんだよ」
「しょうがねえじゃん、アイちゃんがお前と一緒に行くって言ってんだからよ」
「諦めればいいだろ」
「いやだ俺も癒されてえ」
「諦めろ」
「ぜってぇやだ」
バチバチと火花を飛ばしていると、間にいたアインが困った顔を浮かべてもぐもぐしていた。かわいい~。
「俺のアインを変な目で見るな」
「あん?」
俺の……だと? こいつはっきり俺のって言ったな?
俺の(幼なじみの)アインってちゃんと言えよ。って言うかアインちょっと嬉しそうじゃね? むかつくなおい。むかつくわー……。
「師匠は俺と行けばいいだろうが!」
もう食い終わったらしい、邪魔が入る。後ろの襟首を掴んで引っ張ってくる。死ぬ、死ぬ。肘で腹を殴りつければ、後ろの席に吹っ飛ばされ、文句を言われている。ジュレアは戻しそうになっていた。
「そんなにザイドが好きなのかよ?」
「もちろん大好きだ!」
「俺のことは?」
「え……」
「俺のことはどのくらい好きなんだ?」
もう好き以外の答えを言わせんとばかりに笑顔に圧を掛けていれば、「ぐえ」とまた後ろ襟首を引っ掴まれる。
またジュレアかと睨み付けようと振り返ると……。
「さ、サイフェン?」
人でも殺しそうな顔でアインを睨み付けながら、「行こうか、リリアくん」なんて言う。
「お、お前どうした、いつものうじうじした……ほんわかした顔は?」
「リリアちゃん、俺も一緒に行くから」
お前までどうした。なんでそんなにアインを睨むんだ。やめたげて。
「師匠と行くのは俺だ! お前ら引っ込んでろ!」
「いや俺はアイちゃんとウザイドくんと一緒に行くから」
「「「しリアょん!」」」
なんて?
「諦めろって言ってんだろ!」
ザイドが席を立ち、襟首を掴もうとしてきたので避けようと思ったが、後ろの襟首をサイフェンが掴んでいることを忘れていた。避けたらサイフェンの手を振り払うことになっちまう。我慢しよう。
ザイドは顔を近づけてきてすごんでくる。
「おい、それ以上顔を近づけるんじゃねえ」
これは俺が言ったのではない。では誰か。
ものすごく険しい顔をしたサイフェンくんである。
「…………」
ザイドもアインもこれには驚いている様子だ。
「…………サイフェンくん?」
他二人も殺さんばかりにザイドを睨み付けていて一触即発の予感……。
「わ、分かったよ。お前らと一緒に行けばいいんだろ……」
「リリアくん!」
サイフェンはザイドをアイちゃんの方へ押しのけると、俺の頭を掴み、むぎゅっと胸に抱き寄せてきた。何が起こってるんだ~?
「嬉しいのは分かったから離れろ」
ばっさりと言い渡すと、「ご、ごめんね!」とサイフェンは距離を取る。
「じゃあね、教室で会おうねアイちゃん」
手を振ってそう言うと、ほっとしたのか食べ終えていたらしいアイちゃんは箸をおぼんの上に置いた。
「モテモテだなヴォンヴァートくん……」
アインが何か呟いたがよく聞こえなかった。
それにしてもここまでこいつらの態度が激変するなんて……やっぱりせんやに詳しく聞こう。
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