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第2話 あの日の衝撃
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大学帰りに大阪駅を歩いていると大勢の人だかりがあり、歓喜の声がある一人の人物に向けられていた。その人物とは一流芸能人で、おそらく日本人で彼を知らない人はいないだろう。彼はテレビ番組の収録を終え、大阪駅から新大阪駅まで向かい新幹線で東京に帰る途中だった。
僕は芸能人を生で見たことがなく、一目見ようと思い台風の目に向かおうとした。しかし、ただでさえ夜の大阪駅は仕事帰りのサラリーマンや授業終わりの学生でひしめきあっている。このような状況で彼までたどり着くのは至難の技だ。僕は苦労しながら大勢の人波を掻き分け、なんとか彼に近づくことができた。
すごい輝きだ……
僕は一流芸能人のオーラを見せつけられ驚愕した。テレビで見るよりも明らかに顔が小さく肌も美しい。それに目に見えない非常に強烈なオーラを放っており、とても同じ人間だとは思えなかった。そして何よりも羨望のまなざしを受けている彼が羨ましかった。彼は全てを手にすることができ、人生を謳歌しているだろうと感じた。
僕も彼みたいになりたい……
僕は心の中でそう思うとともに、いつしか自分も彼のようになってやると胸の中で宣言した。秋も終わりに近づき、冬になろうとしている大学一年生のあの日の出来事である。
僕は家に着くとランニングをするためにクローゼットの奥に仕舞われたスポーツウェアを取り出した。僕は太っているわけではないが痩せているわけでもない。いわゆる標準体型だ。しかし、彼のようになりたければ痩せる必要がある。
ただひたすらに彼を意識しながら走った。ふと、スマートフォンのランニングアプリを見ると距離が10kmを超えていた。
よくこれほど走れたものだ
自分の熱意に驚くばかりだった。
ランニングから帰る頃には僕はフラフラで玄関の段差を乗り越えることですら億劫に感じた。ドアを開け家に入るとちっぽけな日常に帰ってきたような気がした。僕の家は古い木造建築で所々修繕が必要な箇所がある。そして古い建築基準法に則り造られた家なので大きな地震が来ると倒壊するだろう。
「ただいま」
「あら翔太、お帰り。ランニングするなんて珍しいねえ」
「痩せようかなって思って……」
「モテたいんか?」
「そんなん違うわ。最近ちょっと太ったし、健康のためや」
「あらそうですか。頑張ってね」
母は突然ランニングを始めた僕に驚きつつリビングに戻った。今日の晩御飯は大好物のとんかつだ。いつもならとんかつ三枚と白米を山ほど食べるのだが、今日はとんかつ一枚とご飯一杯しか食べなかった。
「あんたほんまに痩せる気なんか?」
「うん。明日からご飯少なめでええで」
「お兄ちゃん別に、ダイエットせんでもいいのに」
「最近太ったから痩せなあかんねん」
「お兄ちゃん走るんやったら、菜々も一緒に走ろうかなあ」
「菜々は痩せすぎやから走らんでいい。もっと太れ」
「女の子はどこまでも細さを追求するんやで」
「あんまり無理するなよ」
いつもなら家族全員で夕食を食べるのだが、兄の清史と父は仕事で帰りが遅くなるため、今日の晩御飯は母と妹しか居なかった。
ご飯を食べ終わると風呂に入りながら足をマッサージした。僕は元々スポーツマンだったが、大学に入ってからはあまりしておらず、流石に10km以上のランニングは脚にこたえた。湯船から立つことですら困難なほど疲労していた。
風呂を出ると電球の替え時が迫っており、薄暗い光に灯された階段を登り、一番奥にある自分の部屋に入った。僕はインターネットで今日大阪駅で見た彼について調べていた。
一流俳優であるだけでなく、歌手や司会など様々なジャンルをこなす日本を代表する芸能人。評論家や一般人の持つ、彼に対する評価だ。
僕は彼について調べた後インターネットで
芸能人になるには?
芸能人オーディション 開催日
芸能人なりたい
芸能人 条件
など芸能人について検索していた。そして自分が一流芸能人になった姿を想像し、少年のような胸の高ぶりを感じつつ眠りについた。
僕は芸能人を生で見たことがなく、一目見ようと思い台風の目に向かおうとした。しかし、ただでさえ夜の大阪駅は仕事帰りのサラリーマンや授業終わりの学生でひしめきあっている。このような状況で彼までたどり着くのは至難の技だ。僕は苦労しながら大勢の人波を掻き分け、なんとか彼に近づくことができた。
すごい輝きだ……
僕は一流芸能人のオーラを見せつけられ驚愕した。テレビで見るよりも明らかに顔が小さく肌も美しい。それに目に見えない非常に強烈なオーラを放っており、とても同じ人間だとは思えなかった。そして何よりも羨望のまなざしを受けている彼が羨ましかった。彼は全てを手にすることができ、人生を謳歌しているだろうと感じた。
僕も彼みたいになりたい……
僕は心の中でそう思うとともに、いつしか自分も彼のようになってやると胸の中で宣言した。秋も終わりに近づき、冬になろうとしている大学一年生のあの日の出来事である。
僕は家に着くとランニングをするためにクローゼットの奥に仕舞われたスポーツウェアを取り出した。僕は太っているわけではないが痩せているわけでもない。いわゆる標準体型だ。しかし、彼のようになりたければ痩せる必要がある。
ただひたすらに彼を意識しながら走った。ふと、スマートフォンのランニングアプリを見ると距離が10kmを超えていた。
よくこれほど走れたものだ
自分の熱意に驚くばかりだった。
ランニングから帰る頃には僕はフラフラで玄関の段差を乗り越えることですら億劫に感じた。ドアを開け家に入るとちっぽけな日常に帰ってきたような気がした。僕の家は古い木造建築で所々修繕が必要な箇所がある。そして古い建築基準法に則り造られた家なので大きな地震が来ると倒壊するだろう。
「ただいま」
「あら翔太、お帰り。ランニングするなんて珍しいねえ」
「痩せようかなって思って……」
「モテたいんか?」
「そんなん違うわ。最近ちょっと太ったし、健康のためや」
「あらそうですか。頑張ってね」
母は突然ランニングを始めた僕に驚きつつリビングに戻った。今日の晩御飯は大好物のとんかつだ。いつもならとんかつ三枚と白米を山ほど食べるのだが、今日はとんかつ一枚とご飯一杯しか食べなかった。
「あんたほんまに痩せる気なんか?」
「うん。明日からご飯少なめでええで」
「お兄ちゃん別に、ダイエットせんでもいいのに」
「最近太ったから痩せなあかんねん」
「お兄ちゃん走るんやったら、菜々も一緒に走ろうかなあ」
「菜々は痩せすぎやから走らんでいい。もっと太れ」
「女の子はどこまでも細さを追求するんやで」
「あんまり無理するなよ」
いつもなら家族全員で夕食を食べるのだが、兄の清史と父は仕事で帰りが遅くなるため、今日の晩御飯は母と妹しか居なかった。
ご飯を食べ終わると風呂に入りながら足をマッサージした。僕は元々スポーツマンだったが、大学に入ってからはあまりしておらず、流石に10km以上のランニングは脚にこたえた。湯船から立つことですら困難なほど疲労していた。
風呂を出ると電球の替え時が迫っており、薄暗い光に灯された階段を登り、一番奥にある自分の部屋に入った。僕はインターネットで今日大阪駅で見た彼について調べていた。
一流俳優であるだけでなく、歌手や司会など様々なジャンルをこなす日本を代表する芸能人。評論家や一般人の持つ、彼に対する評価だ。
僕は彼について調べた後インターネットで
芸能人になるには?
芸能人オーディション 開催日
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など芸能人について検索していた。そして自分が一流芸能人になった姿を想像し、少年のような胸の高ぶりを感じつつ眠りについた。
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