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第十四章:風太6歳 美晴4歳
天才の背中
しおりを挟むそれから数週間の後。美晴は、未だに5年前の世界にいた。
元の世界へ帰ろうにも、その方法が分からない。仕方なく、6歳の風太の身体の中で、感覚を共有した居候生活が続いている。美晴は、6歳の少年の目線でその世界を観察し、6歳の少年としての日常を送った。
「みはるおねえちゃん、このかんじよんで」
(この漢字は……『体勢』です)
「へー。じゃあ、このかんじは? よみかたおしえて」
(これは『退場』……。わ、わたしは漢和辞典じゃありませんっ!)
この精神同居生活にも慣れ、風太は「みはるおねえちゃん」を使いこなしていた。本を読む時は漢字を読んでもらい、スーパーでお菓子を買う時は計算をしてもらい、小学校の巨大図書室で迷子になった時はナビゲートをしてもらい、やることがなくてヒマな時はしりとりの相手になってもらったりした。スマートフォン以上に、「みはるおねえちゃん」は身近な存在になった。
(風太くん、何の本を読んでるの?)
「これ? バスケのほんだよ。『じょうたつするための10のほうそく』、だってさ」
(ふふっ、勉強熱心ですね。幼い頃から本を読む習慣をつけるのは、すばらしいことだと思います。ちなみに、わたしのオススメの本はですね、あの本とこの本とその本と……)
「うわっ、うるさい! きゅうにペラペラしゃべるなっ!」
(す、すみませんっ……! 風太くんが珍しく読書をしてるので、なんだか嬉しくなって、つい)
「あのな、おれはバスケがうまくなりたいから、このほんをよんでるの! どくしょがすきになったわけじゃない! かんちがいするなよ、みはるおねえちゃん」
(うぅ……。そ、そこまで言わなくても……)
「ほら、このかんじ! よみかたおしえて! このページにかいてあること、ぜんぶおぼえたいんだっ!」
(それは『得点』……。でも、どうして急に、バスケットについて本で勉強しようと?)
「えっ? そりゃあ、はやくらいたにいちゃんよりもうまくなりたいからな。それと……」
(それと?)
「まあ、その、なんというか……」
風太の胸が、トクンと鳴った。
その感覚は美晴も共有しているため、隠し通すことはできない。
(リブラちゃんに教えるため?)
「うっ……! な、なんでわかったんだよ」
(あなたのおねえちゃんだから、ですっ)
「うそつけっ! でも、そのとおりだよ……。リブラはさ、おしえればおしえるほど、うまくなっていくんだ。だから、あいつにバスケおしえるのがたのしくって」
(確かに、リブラちゃんの成長スピードはすごいですね。今ではもう、クラブの1年生のなかでは、風太くんの次に上手いくらいです)
「だろ? シュートもどんどんはいるようになってきたよな。リブラは『ふうたくんのまねをしてるだけ。すごいのはふうたくん』だって、いってるけど」
(もちろん風太くんもすごいですよ。リブラちゃんのコーチとして、もっと自信を持っていいと思います)
「そうかな。て、てれるなぁ……。みはるおねえちゃんは、いつもやさしいね」
風太は顔を赤くし、頭をポリポリとかいた。
(わたしなんかの優しさで、あなたを癒せるのなら……)
このまま、風太がネガティブな考えに陥らず、自分自身の良いところを見つけられれば……と、美晴は願っていた。バスケットボール=雷太という図式から、バスケットボール=リブラという図式に変われば、バスケットに対する複雑な思いも打ち消せるのではないか、と。
*
「しっかりかまえて……えいっ」
スパッ。
リブラが投げたボールは、綺麗にゴールリングを通過した。クラブに入ってから数週間が経ち、リブラと風太には、徐々に練習の成果が現れ始めていた。
「わたし、うまくなった? ふうたくんからみて、どう?」
「うまくなってるよ、リブラ。そのちょうしだ」
「そう? ふふ、うれしい」
「でも、おれだってまけてない」
風太はダムダムと軽やかにドリブルをして、その流れでシュートを放った。バックボードに当たり、風太が投げたボールもリングを通過した。
「へへん。どうだ」
「ふうたくん、すごい。ふうたくんも、せいちょうしてる」
「もうせんぱいにもまけないぜ。いっしょにれんしゅうしてきてよかったな。リブラ」
「うんっ。ふうたくんとれんしゅうするの、たのしい」
「おれも、リブラとれんしゅうするのは、たのしいよ」
「ふふ。わたしにとって、ふうたくんは、たいせつなおともだち」
「お、おう……! おれとリブラは、せんゆう、だな」
風太は視線をそらしながら、照れ隠しでそんなセリフを言った。
リブラがあまりにも気持ちをストレートに伝えてくるため、カッコつけ男子の風太は、恥ずかしくなっていつも目をそらしてしまうのだった。それでもリブラは、風太の反応を見てニコニコと微笑んでいた。
「と、とにかくだ! リブラ!」
「なに? ふうたくん」
「まだ、まんぞくしちゃダメだ。だいじなのは、しあいでそのうごきができるかってこと」
「うん。わかった」
「らいしゅう、おれたちのチームのせんばつせんがあるらしい。コーチがいってた」
「せんばつせん?」
「1、2ねんせいのチームと、3ねんせいのチームで、しあいをするんだ。そこでかつやくすれば、ていがくねんチームのレギュラーとして、たいかいにでられる」
「レギュラー? たいかい? それは、すごいの?」
「すごいよ。ちくたいかいをかちぬけば、ぜんこくたいかいにでられる。にほんじゅうのチームとたたかうんだ。おれのおにいちゃんだって、そのたいかいでかつやくしてる」
「うーん。わたし、あんまりわからない。それが、ほんとうにすごいのかどうか」
「きょうみないのか? かわってるなぁ、リブラは。とにかく、おれたちふたりでレギュラーになって、ぜんこくたいかいにでよう! そして、ゆうしょうだ! そうすればきっと、らいたにいちゃんだって……」
「よくわからないけど、ふうたくんといっしょなら、わたし、がんばる」
「うん! いっしょにがんばろうぜ! リブラ!」
風太は右手をグーの形にして、リブラの前に突き出した。二人で拳をコツンとぶつけて、気合いを入れるのだ。
しかし、リブラはそのノリをよく分かっていないのか、しばらく考えた後、右手をチョキの形にして、風太のコブシの下にそっと置いた。
「かたつむり……?」
「ちがうよ! おまえもグーにして、コツンってぶつけるんだ! しらないのか!?」
「いたそうだから、いや」
「いたくないって! ……まあ、いいや。がんばるぞ、リブラ」
「ふふ」
グータッチはうまくできなかったが、リブラが嬉しそうだったので、風太もそれでよしとすることにした。
リブラと二人で全国大会に出て、雷太以上の立派な成績を残すという、小学1年生にしてはとても大きな理想。それが現実になれば、みんなから自分を認めてもらえると、風太は信じていた。『天才の兄を持つ凡才の弟』ではなく、二瀬風太という人間を見てもらえると、信じきっていた。
この時までは──。
*
そして、事態は急転した。
それは一週間後。クラブでの選抜戦の日。
「……!」
リブラは、選抜戦でも実力を如何なく発揮し、年上の3年生チーム相手に、大いに活躍した。風太から教えてもらったシュートの仕方、ドリブルやパスの仕方などをしっかり意識し、フェイクやパスカットなどの大胆な動きも、試合の流れの中で自然に行えるまでになっていた。
チームの子たちは口々に「リブラちゃん、すごーい」「うまくなったね。リブラちゃん」と褒め、コーチさえも「リブラちゃん、すごく動きが良かったわよ。短期間でここまで成長するなんて、まさに天才ね」と称え、リブラにレギュラーメンバー用のユニフォームを渡した。
「なんで……」
そして風太は、散々な結果に終わった。
承認欲求による焦りからか、試合中のプレーは雑になってしまい、シュートもパスもドリブルも、練習の成果を発揮できなかった。また、「あの二瀬雷太の弟」ということで、3年生たちは対抗意識を強く燃やし、ディフェンスに二人で付くなどの徹底的なマークをした。他にも様々な要因が重なり、結果として風太の前に現れたのは、「レギュラーメンバーには選ばれない」という現実だった。
チームの子たちは「リブラちゃんのほうがうまいよね」「おにいちゃんはてんさいだけど、ふうたくんはふつうのこだったね」と陰で囁き、コーチは「あまり落ち込まないで、レギュラーに選ばれた子たちを応援してあげてね」と、風太の心には響かないような慰めの言葉をかけた。
「ウソだ……」
そして、試合後。
いつもなら、風太とリブラが二人きりで練習をしている時間だ。リブラはいつものように、風太の元へとやってきた。
「ふうたくん。きょうも、いろいろおしえて」
「おしえる? なにを?」
「パスのれんしゅうがしたい。ふうたくんと」
「いや、もういいよ。リブラ」
「え……?」
風太はリブラと目も合わさず、その場を立ち去ろうとした。それはいつものような照れ隠しではなく、嫌悪の感情による行為だった。
「……」
「どうしたの? ふうたくん」
「ひとりでれんしゅうしろよ。おれも、ひとりでれんしゅうするからさ」
「え? どうして? わたし、ふうたくんといっしょに、れんしゅうしたい。ふうたくんといっしょに、うまくなりたい」
「バカにすんなっ!!!!」
風太は怒鳴った。体育館に響くくらいの大声で。
「わたし、バカになんて……」
「じまんでもしにきたのか!? じぶんだけえらばれて!!」
「えっ? なんのこと?」
「とぼけるなよっ!! わかってるだろ!? おれが、レギュラーにえらばれてないことぐらいっ!!」
「さっきの……せんばつせんのこと? そんなの、わたし、きにしてない。だれがレギュラーかなんて、どうでもいいこと」
「そのどうでもいいことで、おれはずっと、なやんでたんだ……!! やっと、やっとみんなをみかえせるとおもったのに!! おれをバカにするのもいいかげんにしろよっ!! リブラっ!!!」
「うまく、つたわらない……。わたし、ことばへたくそだけど、ふうたくんのことは、バカにしてない。たいせつなおともだちだって、おもってるから。しんじて……!」
「うるさいっ!! おまえだって、おれをみくだしてるんだ!! ふたせふうたは、できそこないのおとうとだって!! おまえは、らいたにいちゃんとおなじで、ほんものの、てんさいだからっ!!」
「ちがう……。わたし、ことばへたくそで、ごめんね。だから、そんなこといわないで……」
「くそぉっ!! くそっ、くそぉっ……!! おれだって、がんばったのに!! いっしょうけんめいがんばったのにっ!! なにがダメなんだよっ!! なんでうまくいかないんだよぉ……!!! うぅっ、うあああああぁぁぁーーーっ!!!」
哀れみすら感じる、嘆き。風太は顔を真っ赤にして叫び、心に溜め込んでいる想いを全て吐き出した。風太の心の中では、美晴が必死に感情を収めようとしていたが、その力も及ばず、ついには爆発してしまった。
風太は、はぁはぁと息を切らしながら、瞳に溜まった涙をゴシゴシと拭った。そして、リブラに向かって言い放った。
「リブラぁっ……!! おれと、しょうぶしろ……!!」
「しょうぶ!?」
「バスケットボールで、1たい1のしょうぶだ……!! いやとはいわせないっ!」
「そんなっ……」
「おれはぜんりょくで、おれのすべてをかける……! おれのことを、たいせつなともだちだとおもうなら、おまえもほんきでたたかってくれっ……!!」
「……!」
天才の影を追い続ける凡才の、哀しき意地とプライドが、この小さな一戦に賭けられた。それはまさしく、風太なりの決着のつけ方だった。
騒ぎは次第に広がり、この一戦に注目する子たちはどんどん増えていった。高学年チームに属する風太の兄も、その観衆のなかにいた。
*
数時間後。
やまあらし公園のバスケットコート。
「はぁっ、はぁっ……」
ぽすっ。ぽすっ。ぽすっ。
入らない。入らない。どれだけ投げても、ボールはゴールに入らない。心の乱れは、シュートの精度に直結する。
風太は、一本のバスケットゴールを目掛けて、運動会の玉入れのようにひたすらボールを投げている。ゴールに入ったかどうかなんて確認せず、落ちたボールを拾っては、ひたすら放り投げている。
壊れてしまった機械。そう呼ぶにふさわしい。
(風太くんっ、わたしの話を聞いてっ……!)
「はぁ、はぁ……! うるさい……! いま、れんしゅうしてるんだ!!」
(練習って……。そ、そんなの、ボールを上に投げてるだけですっ! ただ雑に繰り返してるだけっ!)
「うるさいっ!! うるさいっ!! うるさいって、もうっ……!! どいつも、こいつもっ……!!」
風太は、リブラに敗北した。
結果は2-3。先取点は得たものの、すぐに巻き返され、最後はリブラのシュートフェイクに引っかかるという、なんとも無様な負け方だった。風太が空中に跳んでしまった時、リブラはとても悲しそうな目をしていた。
「ぐうぅっ……! ううぅっ……!!」
そして風太は、あの場所から逃げ出した。コーチ、雷太、リブラに対して、何も言わずに。誰にも断りを入れず、体育館から飛び出した。今ごろ、向こうは大騒ぎになっていることだろう。
走って走って、振り返らずにただ走って、時々は歩いて、そうしてたどり着いた先が、このやまあらし公園だった。かつて、一人でシュートの練習をしていた場所に、風太は還ってきたのだ。
美晴は何度も体育館へ戻るように訴えたが、風太はそれを無視し、現在もそこでシュートの練習を続けている。
「ううぅっ……!! うううぅっ……!!」
(体育館に戻ろう? みんな、あなたを心配してるからっ)
「おれは……ひぐっ、おれはまけたんだっ……!! もう、おれのいばしょはないっ……!!」
(そんなことないっ! リブラちゃんの気持ち、わたしには分かる……。あの子は、あなたと一緒に、バスケットボールがしたいだけなのっ! 勝ち負けなんて関係なく、どっちが上手いかなんて関係なく、風太くんと楽しく遊びたいだけっ! こんなことで、仲違いなんて……!!)
「わかってるんだよっ!! そんなことはっ!!!」
(えっ……!?)
風太はボロボロと涙を流しながら、美晴の声に応えた。
「はぁ、はぁ……! わ、わかってる……!! ほんとうは、おれだって、わかってるんだ……!」
(風太くん……)
「り、リブラは、なにもわるくない……。おれが、えらばれなかっただけで、リブラは、ほ、ほんとうにがんばって、レギュラーになれたんだから、すなおに、『おめでとう』って、いわなきゃって……! おれがいまやってることは、ほんとうに、かっこわるいことだって……! わかってる、のに……!!」
(だったら、どうして……)
「どうしても、いえないんだっ……!! 『おめでとう』なんて、いえないくらい、くやしいんだよぉっ……!! リブラだけ、どんどんうまくなって、おれは……! おれだって……!」
(まさか、お兄ちゃんとリブラちゃんを重ねて……)
真意を知った美晴は、自分の言葉を探した。思い悩む6歳の風太に、どんな言葉をかけてあげれば良いのか。説得力のある言葉を。
しかし……。
「ここにいたのか。出来損ない」
美晴が言葉を見つける前に、その人物が風太の前に現れてしまった。
見た目は11歳の風太そっくりなのに、瞳の奥には暗い光を宿した、天性の才能を持つ兄。
「らいたにいちゃんっ……!?」
「母さんも、コーチも、リブラとかいうお前の友達も、みんなお前を捜してる」
「にいちゃんも、お、おれを、さがしにきてくれたの……?」
「そういうことになるな。おれが、わざわざこの場所へ来た理由は」
「そ、そっか……。えっと、ご、ごめんなさい……」
謝りながらも、風太は少し嬉しそうだった。
しかし、雷太は冷たく言い放った。
「謝る必要はない。お前には、もう何も期待してないからな」
最後の希望すら、その一言で消えた。
「え……?」
「お前の身勝手な行動に振り回され、多くの人間が迷惑している。本来なら、それだけでも充分な罪」
「らいた……にいちゃん……?」
「だが、それ以上にお前はおれの顔にドロを塗ってくれた。同級生の、しかも女なんかに、バスケットボールの1on1で負けるなんて……ふざけるのもいい加減にしろ。この恥晒しが」
「そ、それはっ……!」
「黙れ。おれは信じたくない現実を目の当たりにしている。……こんな奴が、おれの弟? この惨めで、情けない、愚かで劣等な存在が、おれの弟だと? 冗談はやめてくれ」
「うぅ……」
「自分を恨み、自分を憎め。まだ生きるつもりなら、才能が無いことを自覚し、なんの取り柄もない自分を戒めろ。そしてもう、二度とバスケットコートには立つな」
それだけを言い、雷太は一人でこの場を立ち去ろうとした。
風太は必死に、その背中を追った。
「ま、まって……! まってよーーっ!」
「おれを追うな。お前は、おれを追うに値する人間じゃない」
「やだよっ! おいていかないでっ!! おれ、もっとがんばるからっ!!」
「そこらの有象無象と同じように、地を這いつくばって生き延びろ。それがお前とおれの、住む世界の違いだ。じゃあな、哀れな弟よ」
「らいたにいちゃんっ!! らいたにいちゃーーーーんっ!!!」
歩幅すら違う。風太はどれだけ走っても、雷太兄ちゃんには追いつけなかった。
「うぅっ……うわああああああああーーっ!!! うわぁああ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーんっ!!!」
距離は遠くなり、雷太の姿は全く見えなくなった。
風太はやまあらし公園に一人取り残され、わんわんと大声で泣いた。今ではもう、その声が届いているのは、心の中にいる「お姉ちゃん」にだけ。
(どうしよう、わたしがなんとかしなきゃ……! 今、この場で風太くんを助けられるのは、心の中にいるわたしだけ……!)
しかし、美晴にも異変が起こっていた。
(あれ……? なんだか、意識が遠のいていく……。そんな、このタイミング……で……!? う、ウソっ……、それは困るっ……! 風太くんを……助けなくちゃ……いけないのにっ……! わたし……は……お姉ちゃ……ん……なの……に……)
追憶の体験はここまで、ということだろう。美晴は何かに魂を吸い寄せられ、5年後の未来へと強制送還されてしまった。
そして風太は、消えゆく「美晴お姉ちゃん」に気付きもせず、母親が迎えに来るその時まで、泣き続けた。
────────
────
──
*
一方、こちらは風太側の話。時間も場所も、全く異なる世界。
美晴が過去へ飛んだのと同じように、風太もまた、過去へと追憶の旅をしていた。それは元の世界から7年もさかのぼった、美晴がまだ4歳だったころの世界。
*
(つまりここは、7年前の世界なのか……! どういうわけかは知らないけど、おれ、過去に来ちゃったんだ……!)
風太の魂は、過去へと到着していた。そして美晴と同様、肉体の自由はない。
しかも、今回の宿主は、4歳の少女。
「だれ……? だれのこえ?」
(美晴、分かるか? おれだよおれ!)
「おれって、だれ?」
(風太だよ! 今、お前の身体の中にいる……!)
「ふうた? わたし、そんなひとしらない……。でも、なんだかこわい……! ママーーーっ!!」
(うわあっ!? お母さんを呼ぶなっ!)
4歳の美晴と、11歳の風太。
風太はその日から、彼女の精神の同居人になった。
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