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1.異世界は突然に
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大学デビューという言葉を知っているだろうか。
簡単に言えば、今までの自分を捨てて新しい自分になろうとする涙ぐましい努力とでもいおうか。
かくいう僕も目を覆っていた前髪を切り、眼鏡を新調した。格好? 一応柄物のシャツから無地のシャツに変えた。寝癖も気にして直すようにしたし、靴もあきらかな運動靴からスニーカーに変えた。そうしてマイナーチェンジをした僕は、少なくとも高校の時のように後ろ指さされるようなことはなくなった。
そんな僕の野望の一つに、彼女いない歴=年齢をここらで食い止める! というのがある。
ようは女の子にモテたいのだ。
いや、モテなくてもいい。彼女ができさえすれば! そしてあわよくば裸のお付き合いができるようになれれば!
という下心のままにサークル探しをしたのだが……。
当然のことながらかわいい女の子が入るようなサークルは僕とは縁のない集まりなわけで。
テニスなんてみんなやっているものなのか? 卓球はどちらかといえばガチっぽいし……。ボランティア精神もないし。
というわけで早々に詰んだ。
やはり無難に語学系サークルにでも入るべきだろうかとたそがれてみたがそこで思考停止してしまったらしい。結局入学して二ヶ月たった今でもなんらかのサークルに入れないでいた。
大学でも帰宅部か。バイトでも探すかと思い始めたある日の昼下がり、講義室に向かって歩いていたら廊下が突然光った。
「?」
次の瞬間、景色は一変していた。
「…………え?」
確か大学の構内の廊下を歩いていたはずなのに、一瞬後には外にいたのだ。それもただの外ではない。明らかに僕は大自然のまっただなかにいた。
「えええ?」
「これは……」
「何コレ?」
「……は?」
僕以外の声がしたので回りを見渡すと、どうやら同じように廊下を歩いていたらしい学生が三人いた。
そのうちの一人はどこかで見たような気が……。
「あれ? 斉藤じゃん。なぁ、これどうなってんの?」
声をかけられて気づいた。確か同じ高校出身で野球部にいた小平だ。確か部を引退するまでは坊主頭だったがその後髪を伸ばしはじめたので短め程度の髪型になっている。大学デビューで髪の色もこげ茶色になり、筋肉もほどよくついたいかにも運動部でした、という体つきをしている。
「さぁ……僕も何がなんだか……」
「何コレ? 意味わかんねー……」
茶色の長髪をかきあげてチャラそうな男が呟く。いかにも女にモテそうな風貌のその男はイラついた顔で足元の草を蹴っていた。近寄りたくない、こわい。
「こ、ここここれは……もしや異世界トリップ!? 僕の願いがもしや天に届いたのかーーーーっ!?」
一番後ろで呆然としていた、前髪が長くて以前の僕とキャラがかぶっているような奴がいきなり大声を出したのでびっくりした。
「お、おい、斉藤……」
思わず小平の背中に隠れてしまい、彼が苦笑する。
「ああ!? 異世界トリップとかわけわかんねーこと言ってんじゃねーぞっ!?」
ロンゲが前髪長男に怒鳴る。僕はもうどうしたらいいのかわからず小平の背中に取り付いていることしかできなかった。
「おおーい、斉藤……」
「ひっ!? で、ででででもそうでもなければ説明が―」
前髪長男はなんとロンゲに口答えをした。これはもしかしたらバイオレンスの予感! と青くなったその時、
「まぁ!? 殿方が四人も? あら、あら、あら、どうしましょう……」
いきなり女性のかん高い声が聞こえ、僕たちは思わず声のした方向を見た。
そこには、着物姿の髪の長い美少女がいた。僕たちは彼女を凝視する。
何故なら、彼女は幼い顔立ちながらも胸と尻がけしからんほどに自己主張しているとてもおいしそうな体つきをしていたからだった。思わずルパンダイブをかましたくなってしまう。
「あのぅ……もしよろしければ私たちの村に来ませんか?」
そうしてなんとも僕たちに都合のいい誘いをかけてくれた。
一も二もなくそれに飛びつこうとした僕を制して小平が美少女と話をし、そうして僕たちは晴れて彼女の村へと向かったのだった。
簡単に言えば、今までの自分を捨てて新しい自分になろうとする涙ぐましい努力とでもいおうか。
かくいう僕も目を覆っていた前髪を切り、眼鏡を新調した。格好? 一応柄物のシャツから無地のシャツに変えた。寝癖も気にして直すようにしたし、靴もあきらかな運動靴からスニーカーに変えた。そうしてマイナーチェンジをした僕は、少なくとも高校の時のように後ろ指さされるようなことはなくなった。
そんな僕の野望の一つに、彼女いない歴=年齢をここらで食い止める! というのがある。
ようは女の子にモテたいのだ。
いや、モテなくてもいい。彼女ができさえすれば! そしてあわよくば裸のお付き合いができるようになれれば!
という下心のままにサークル探しをしたのだが……。
当然のことながらかわいい女の子が入るようなサークルは僕とは縁のない集まりなわけで。
テニスなんてみんなやっているものなのか? 卓球はどちらかといえばガチっぽいし……。ボランティア精神もないし。
というわけで早々に詰んだ。
やはり無難に語学系サークルにでも入るべきだろうかとたそがれてみたがそこで思考停止してしまったらしい。結局入学して二ヶ月たった今でもなんらかのサークルに入れないでいた。
大学でも帰宅部か。バイトでも探すかと思い始めたある日の昼下がり、講義室に向かって歩いていたら廊下が突然光った。
「?」
次の瞬間、景色は一変していた。
「…………え?」
確か大学の構内の廊下を歩いていたはずなのに、一瞬後には外にいたのだ。それもただの外ではない。明らかに僕は大自然のまっただなかにいた。
「えええ?」
「これは……」
「何コレ?」
「……は?」
僕以外の声がしたので回りを見渡すと、どうやら同じように廊下を歩いていたらしい学生が三人いた。
そのうちの一人はどこかで見たような気が……。
「あれ? 斉藤じゃん。なぁ、これどうなってんの?」
声をかけられて気づいた。確か同じ高校出身で野球部にいた小平だ。確か部を引退するまでは坊主頭だったがその後髪を伸ばしはじめたので短め程度の髪型になっている。大学デビューで髪の色もこげ茶色になり、筋肉もほどよくついたいかにも運動部でした、という体つきをしている。
「さぁ……僕も何がなんだか……」
「何コレ? 意味わかんねー……」
茶色の長髪をかきあげてチャラそうな男が呟く。いかにも女にモテそうな風貌のその男はイラついた顔で足元の草を蹴っていた。近寄りたくない、こわい。
「こ、ここここれは……もしや異世界トリップ!? 僕の願いがもしや天に届いたのかーーーーっ!?」
一番後ろで呆然としていた、前髪が長くて以前の僕とキャラがかぶっているような奴がいきなり大声を出したのでびっくりした。
「お、おい、斉藤……」
思わず小平の背中に隠れてしまい、彼が苦笑する。
「ああ!? 異世界トリップとかわけわかんねーこと言ってんじゃねーぞっ!?」
ロンゲが前髪長男に怒鳴る。僕はもうどうしたらいいのかわからず小平の背中に取り付いていることしかできなかった。
「おおーい、斉藤……」
「ひっ!? で、ででででもそうでもなければ説明が―」
前髪長男はなんとロンゲに口答えをした。これはもしかしたらバイオレンスの予感! と青くなったその時、
「まぁ!? 殿方が四人も? あら、あら、あら、どうしましょう……」
いきなり女性のかん高い声が聞こえ、僕たちは思わず声のした方向を見た。
そこには、着物姿の髪の長い美少女がいた。僕たちは彼女を凝視する。
何故なら、彼女は幼い顔立ちながらも胸と尻がけしからんほどに自己主張しているとてもおいしそうな体つきをしていたからだった。思わずルパンダイブをかましたくなってしまう。
「あのぅ……もしよろしければ私たちの村に来ませんか?」
そうしてなんとも僕たちに都合のいい誘いをかけてくれた。
一も二もなくそれに飛びつこうとした僕を制して小平が美少女と話をし、そうして僕たちは晴れて彼女の村へと向かったのだった。
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